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ミステリの祭典

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華麗なる誘拐
私立探偵・左文字進シリーズ

作家 西村京太郎
出版日1977年03月
平均点6.60点
書評数5人

No.5 7点 斎藤警部
(2022/12/31 23:58登録)
人質は日本国民全員! 身代金は五千億円! 退屈と無駄の無い抜群のリーダビリティでブッ飛ばすのは、ありきたりの予想を粉砕する意外性あるストーリー。 まさか「アレ」では・・・との疑惑も少なからずよぎった。 まさかの地点でまさかのツイストも急襲。 左文字探偵夫妻登場シーンなど少しほんわかするが、決してユーモアに傾ききらない絶妙なバランス。 身代金回収法その2(その3?)にはクスクスしたが。。そこからの奇想天外な展開は、いつしかまるで寓話のように発展。 そして更に伸びる怖るべき逆説の味わい。 ただ、最終コーナーに至ってのドタバタ失速は、勿体ないぞ。。。。とわざわざケチ付けたくなるくらい、最後の最後を除いてはまっこと面白さ炸裂、疾走するエンタテインメント快作!

No.4 7点 まさむね
(2022/05/12 22:52登録)
 左文字進探偵シリーズの第二作。
 面白かったですねぇ。まずは、全国民を誘拐したとして政府に5千億円の身代金を要求するという発想が斬新。そして政府が支払わないと見るや、犯人グループは、安全・平和と印刷された5千円のワッペンを付けていれば殺さないと国民に呼びかける。売れ続けるワッペン。まさに「華麗なる誘拐」。どんどんページをめくらされましたねぇ。左文字の語る「犯人の計画が成功すればするほど破滅が近づく」という論理も記憶に残りそう。
 犯人グループの特定があっさりし過ぎていないか?という気がしないでもないのですが、個人的には、西村京太郎作品の中でかなり上位に入りそうな作品。(ちなみに、現時点でのトップは「殺しの双曲線」であります。)

No.3 5点 いいちこ
(2021/07/30 20:59登録)
アイデアの独創性は抜群であり、その点は高く評価する。
しかしながら、プロットは平凡で、かつ著者の作品は総じてそのような傾向が強いが、実証的な検討を経ておらず、フィージビリティがまるでない。
その点を大きく減点してこの評価としたが、もったいない作品

No.2 7点 蟷螂の斧
(2018/11/25 15:29登録)
数ある誘拐ものの中で、これほど大胆なものはないのでは?。身代金の受け取り方法の発想も良い。犯人は早々に判明するので、フーダニットを期待する作品ではないと思います。探偵対犯人の頭脳戦を楽しむ作品ですね。

No.1 7点 E-BANKER
(2009/08/20 22:51登録)
私立探偵左門字シリーズ。
本シリーズは「誘拐もの」のバリエーションが豊富ですが、本作も大胆不敵なプロットが特徴。
~「日本国民全員を誘拐した。身代金5,000億円を支払え」・・・首相官邸に入った1本の電話。『蒼き獅子たち』と名乗った男は、3日後に人質を殺すと通告した。果たして、新宿の喫茶店で若い男女が死亡した。死因はシュガーポットに混入された青酸カリによる中毒死。偶然現場に居合わせた私立探偵・左門字進と妻の史子は、捜査へ協力することに。だが、警察をあざ笑うかのように北海道で男が殺され、ついには航空機爆破事件まで起きてしまう! 犯人の狙いとは何なのか?~

やっぱり、初期の作品はよくできてます。何よりプロットが素晴らしい。
こんなプロットは最初にやったもん勝ちで、2度と同じものは使えないですからねぇー
途中、犯人グループと左門字の知恵比べ的な展開もかなり面白い。
大胆不敵な犯行に打つ手なしと思われた矢先、左門字の冷静沈着な推理が冴え渡る・・・結構シビレます。
中盤以降はスピーディーな展開で、飽きることなくラストまで一気呵成!
十分に楽しめる作品でしょう。
(姉妹編に短編ですが、「1千万人誘拐計画」という作品もあります。こちらは東京都民全員が誘拐されちゃいます。)

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