| メルカトルさんの登録情報 | |
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| 平均点:6.04点 | 書評数:2057件 |
| No.2017 | 5点 | 短歌探偵タツヤキノシタ 舞城王太郎 |
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(2026/05/30 22:09登録) 小学3年生になる春、福井に引っ越してきた「キノシタタツヤ」が、「短歌探偵」として事件を解決する全5話収録の連作短編集。事件のあるところ、必ず現れる「短歌一首」。この歌を読み解くことで真相に迫る、「短歌×謎解き」の前代未聞の探偵小説!! Amazon内容紹介より。 舞台はまたまた福井県西暁町、架空の土地です。読む前に読書メーターで確認してみましたが、大方好意的な感想を抱いています。ほとんどが舞城フリーク達でしょうから、あまり当てにはならないと思いながら一応参考にして、一読後。こりゃ身銭を切って読むだけの価値はないなあと思いました。舞城王太郎特有のクセのある文章で、相変わらずだなとかちょっと懐かしんですけどそれだけ。 第一首と第五首は短歌と小事件が有機的に繋がりを持って来ますが、他は何が何だか分からないうちに終わってしまい、えっ、一体何が起きてどこが解決しているんだってなりました。私の読み落としであれば良いんですが、そうで無ければやはりこれは駄目な作品って事になりませんかね。まあ余程のファンだけ読んでいればいい代物であると断言しては叱られますか?ミステリで短歌を取り上げるのは悪くないですが、それを暗号的な扱いでもっと確りと活用しなきゃいけないと感じます。あ、五首だけは成程とは思いましたが。短歌が一番ミステリっぽいものだっただけに上手く行ったんでしょうね。 |
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| No.2016 | 5点 | 桜葬 斎堂琴湖 |
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(2026/05/28 22:15登録) 駅のホームからバラバラ死体を線路に投げ、札束をばらまき、微笑を浮かべて自ら電車に飛び込んだ謎の男。 この不可解な事件を解明するため、県警捜査一課の刑事・氷室は、上司の滝坂と共に捜査を開始する。 男の足跡を追ううちに見えてきたのは、三年前の爆破予告事件との奇妙な繋がりと、複雑に絡み合う人々の祈りと罪。 すべての謎が解けるとき、あまりに哀しく切ない真実が明らかになる。 Amazon内容紹介より。 冒頭の強烈で、実に不可解な事件は何故起きたのかという圧倒的な謎を追う二人の刑事。しかしそれだけではありません。浦和界隈駅爆破予告事件がそこに絡んできて、背景にはコロナ禍が・・・。 手堅い文章で読ませはするのですが、あまり面白味はありません。実直過ぎて遊び心が足りないのではないかと思います。事件は徐々に明らかになっていきます、その度に登場人物が増えて複雑化して行き様々な要素が絡んで、裏に隠された事案が浮かんできます。 しかし、ですよ。肝心の何故死体をバラバラにした上、線路に放り投げたのか。500万の札束をばら撒いた意味は何か、どうして自身がクリスチャンであるにも拘らず電車に身を投げて死んだのか。死顔が幸せそうだったのは何故か。これらの謎が死者に訊く訳にもいかないとばかりに、ハッキリとさせなかったのは致命的な欠点となり得ると思いました。典型的な竜頭蛇尾と言わざるを得ないのです。多くの読者の興味は其処に尽きるのは間違いないのに、それを裏切った作者の罪は大きいですね。 |
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| No.2015 | 6点 | ネタバレあり 双紋島の殺人 下村敦史 |
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(2026/05/25 22:16登録) 「島での最初の犠牲者は名探偵」「登場人物の一人は偽名」「島では四人が殺される」「共犯者がいる」など、巻頭に書かれた7つのネタバレ。嵐に閉ざされた孤島で起こる連続殺人を描いた作中作「双紋島の殺人」は、現実に起きた事件をもとにしたノンフィクションノベルだった。事件に巻き込まれたミステリー作家は、真相解明を読者に求めるため小説として刊行するが……。 仕掛け満載でアクロバティック!『同姓同名』『全員犯人、だけど被害者、しかも探偵』の著者が贈る禁断のネタバレミステリー。 Amazon内容紹介より。 ネタバレに注意しなければならないし、その裏に何が仕掛けられているか分からないので、正直かなり疲弊しました。その結果は確かに騙されたとは言えますが、個人的にはもっとストレートにひっくり返してほしかったですね。この騙し方はカタルシスを齎しません。それと私だけではないと思いますが、内容がややこしく難しいと感じました。 殺人事件に関しては猟奇的でもなければ、装飾等の凝り方はしていません。またトリックとしては通常のミステリには見られないもので、ネタバレありと堂々とタイトルに謳っているだけに、その効果は読者の想像を超えたものとなっています。しかしそれが読者にどれだけ受け入れられるか疑問です。動機には非常に納得感がありました。 |
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| No.2014 | 6点 | 吉祥寺の朝日奈くん 中田永一 |
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(2026/05/23 22:02登録) 収録作品 交換日記始めました! 恋人同士の圭太と遥が内緒で交わしていた交換日記。二人だけの秘密だったはずが…。 ラクガキをめぐる冒険 高校二年のときにクラスメイトだった遠山真之介。五年後の今、不思議なことに同級生の誰も彼のことを憶えていないのだ。 三角形はこわさないでおく ツトムと小山内さんと、俺。ツトムは小山内さんが気になり、小山内さんは…? 微妙なバランスの三角関係の物語。 うるさいおなか 私のおなかは、とてもひんぱんに、鳴る。そのせいでどうしても積極的になれなかった私の前に、春日井君があらわれて…。 吉祥寺の朝日奈くん 山田真野。上から読んでも下から読んでも、ヤマダマヤ。吉祥寺に住んでいる僕と、山田さんの、永遠の愛を巡る物語。 Amazon内容紹介より。 表題作を除いて、終始ぬるま湯に浸かったような感覚が抜けませんでした。叙述トリックや意外な真相など、ミステリ的趣向が盛り込まれており、あまり恋愛小説集と言う感じがしません。乙一の別名義だと安心していたら、ちょっと拍子抜けでした。敢えて作風を変えているのかなとも思いましたが。 どれもこれも毒気が抜けた、悪く言えば読者に迎合した様な作品で、まあまあの印象です。 しかし『吉祥寺の朝比奈くん』だけは秀作或いは傑作だと思います。山田真野と僕朝比奈の恋愛はちょっといけない、秘められた愛。登場人物が少ないだけに、それだけ濃密な二人の揺れ動く恋心が繊細に描かれます。付かず離れずの関係性の先に待っているのは・・・。これですよ、これ。私が待っていたのは。やはり油断なりませんね、この作家は。 |
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| No.2013 | 6点 | TRICK新作スペシャル 林誠人 |
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(2026/05/21 22:35登録) 初のスペシャル版のノべライズ! 奈緒子と上田のコンビが占い師と対決! 金なし乳なしのマジシャン・山田奈緒子(仲間由紀恵)と、身長・プライドはめちゃ高い物理学者・上田(阿部寛)のコンビが、宇宙の力を受けたという占い師・祥子(名取裕子)と対決。2人は祥子の殺人をどう見破る? Amazon内容紹介より。 テレビのスペシャルドラマのノベライズ。かなり昔観たような気がしていたのですが、記憶が曖昧で正直どうなのか読みながらも疑問でした。途中仲間由紀恵の体当たりの演技が思い起こされ、ああやっぱり観ていたんだと判りました。ほとんどストーリー等は忘れていたんですけどね。 本作では上田は完全に脇役というか助手みたいな存在で、見せ場はカンフー対決のシーンくらいです。マジックの仕掛けを見破るのも、事件の真相を看破するのも奈緒子でした。 ジャンルとしてはユーモアミステリですが、骨格が本格ミステリなのでそちらに一票投じました。占い師の予言通り死んでいく被害者達。これは果たしてどういった現象なのか?殺人とすればどんなトリックが仕掛けられているのか。何と言っても最初に心臓麻痺で、これまた予言通り死んでいく者の背景にある暗い真実に共感させられました。物語としてはここが一番の見どころだと思います。 小ネタですが、赤ちゃんの男女の産み分けトリックには感心しました。こんな事を思い付く奈緒子の母里見の鋭さと貪欲さ、翻って脚本家の林氏の発想の豊かさに感じ入りました。 |
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| No.2012 | 6点 | わたくしだから改 評論・エッセイ |
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(2026/05/20 22:37登録) ご存じ文科系パンクス・オーケンが、ロックとモノ書きのボンクラな日々をのほほんと明かす爆笑エッセイ。文庫化に際し極私的映画鑑賞術「パイパニック!」ほかを追加し、さらにパワーアップ!! Amazon内容紹介より。 大槻ケンヂはミュージシャンだけに、そっち方面の話題も勿論ありますが、それはイマイチ面白くありません。それよりも例えばシャーロック・ホームズをライヘンバッハの滝への落下から救ったのはバリツだったという話。そのバリツというのは日本の柔術だったとの仮説から、数々の謎を巡りああでもないこうでもないと調査した挙句辿り着いた結末は全く想像外のものだったという面白プチ蘊蓄。実はシャーロキアンだったオーケン、なかなかやりますな。 と言うかそれよりももっと凄いのは、パイパニックの章である。『沈黙の戦艦』に出ていたエリカ・エレ二アックの○ッパイの真ん丸さに驚くオーケンが面白おかしく書いてあります。そして澤井健の描く彼女のイラストが、若い頃の画像と比べてもとても良く似ているし絵が上手いのが印象的。顔は四角いのにパイは丸いと。 一方和製パイでは『忠臣蔵外伝 四谷怪談』に出ていた高岡早紀の上半身裸の堂々とした演技とパイ。これは私もビデオで観ましたが、あまりの迫力にセリフが頭に入って来ませんでした。又南野陽子が『寒椿』でパイを出していたという、○ッパイガチ勢の頓知気さきなも真っ青(知らんけど)な事実。知らなかった、まさかあの南野陽子が微乳を晒してしまっていたとは知りませんでした。教えてくれてありがとうオーケン。 |
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| No.2011 | 5点 | しにがみのバラッド。(2) ハセガワケイスケ |
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(2026/05/18 22:22登録) ある日、ひとりの少女が目を覚ましました。その少女は、ふつうの人間ではありませんでした。手には、鈍色に光る大きな鎌を持っていました。傍らには、奇妙な黒猫を従わせていました。少女は、「死神」でした。そして、死を司る少女には、他の仲間(しにがみ)と違うところがありました。その姿が、冬の雪のように真っ白であること。その心が、春風のようにやさしいこと――。これは、白い死神の、哀しくてやさしい物語です。 Amazon内容紹介より。 哀しくて優しい、は良いけれど、圧倒的にインパクトが足りません。読んだ先から忘れてしまう様な感覚で、どうにも心に刺さるものがありません。前作でも同じような事を書いた気がします、つまり前作同様って事ですかね。 モモは死神のくせに、人に死を齎すと言うより死んだ人間の願い事を叶え、残された大切な人に残りの生を託すみたいな話ばかりです。 まあ仕掛けはあるんですけどね。だからと言って驚くほどのものではないです。純粋な心の持ち主には響く何かがあるのかも知れませんが、擦れた読者にはあまり感じないでしょうね。サラッと読めるのは良いです、正にラノベの見本の様な作品ではあります。 |
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| No.2010 | 6点 | 死小説 福澤徹三 |
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(2026/05/17 22:10登録) あとがきにはほとんどの場合、文庫化に際し大幅に加筆修正を加えるが、本書に関してはほぼそのまま訂正せず出版されたとあります。私にしてみれば、なかなか味わい深い文章で全く手を加える所が見当たらないと感じました。その意味では完成度の高い作品集と言えます。五篇の短編はいずれも『死小説』その名の通り何らかの形で死に迫っています。「死」とは一体どういうものなのか、永遠の謎である命題に対して作者なりの解釈を施していると言っても良いと思います。 特に印象深いのは最初の『憎悪の転生』で、主人公に大いに感化されました。他も凡百のホラーとは一線を画す中身の濃い短編が並びます。怖いと言うより人間の業や罪深さ等を描いた佳作ばかりです。最後には確りとオチが付いていて、成程と納得させられます。ホラーの枠に嵌り切らない異色の短編集でしょうか。 |
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| No.2009 | 6点 | あの日、君は何をした まさきとしか |
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(2026/05/15 22:30登録) 北関東の前林市で平凡な主婦として幸せに暮らしていた水野いづみの生活は、息子の大樹が連続殺人事件の容疑者に間違われて事故死したことによって、一変する。深夜に家を抜け出し、自転車に乗っていた大樹は、何をしようとしていたのか――。 15年後、新宿区で若い女性が殺害され、重要参考人である不倫相手の百井辰彦が行方不明に。無関心に見える妻の野々子に苛立ちながら、母親の智恵は、必死で辰彦を探し出そうとする。 刑事の三ッ矢と田所が捜査を進めるうちに、無関係に見える二つの事件をつなぐ鍵が明らかになる。 『完璧な母親』で最注目の著者が放つ、慟哭のミステリー。 Amazon内容紹介より。 105頁までの一部は大樹の母親であるいづみの視点で、執拗に描かれくどい位の内容になっています。なぜ息子が死ななければならなかったのかが繰り返し違う表現で書かれ、いづみの心痛が胸に刺さります。が、あまりの変容ぶりに心が付いて行けない、そんな心境になることも事実です。そして二部はガラリと変わって、二人の刑事が行方不明の男を探っていく姿を多視点で描いています。 この両者の間に必ず何らかの関係性がある筈だとは分かっているのですが、なかなかそれらを繋ぐ鍵が見つからず、ヤキモキさせられました。しかしいづみが二部で人間の生まれ変わりを信じるに至るまでの心理描写はとても印象に残りました。 結局意外な形でタイトルの様な少年はあの日何をしようとしていたのかが明かされ、その真相にはちょっと意表を突かれました。 本作は人間がよく書けているし、なかなかのリーダビリティでぐいぐいと引っ張っていく文章はお見事です。特に三ツ矢の人間性は掴み所がないのが又魅力的で、この事件の探偵役としてはうってつけと言えるでしょう。佳作であり力作だとは思いますが、どことなく消化不良な点が気になるところであると思いました。 |
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| No.2008 | 5点 | みんなの少年探偵団2 アンソロジー(出版社編) |
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(2026/05/12 22:33登録) 江戸川乱歩生誕120年を記念して刊行され、テレビや新聞など様々な媒体にも紹介されて話題にもなったアンソロジー『みんなの少年探偵団』。 2015年は江戸川乱歩没後50年ということで、市場も盛り上がりを見せているが、その最後の締めくくりとしての『みんなの少年探偵団』第2弾企画。 第2弾も、子供時代に少年探偵団と怪人二十面相の息詰まる対決に胸を躍らせた過去を持つ作家陣が集結。 今作では、有栖川有栖、歌野晶午、大崎梢、坂木司、平山夢明という豪華5人が「少年探偵団」オマージュに挑む! Amazon内容紹介より。 5作品の中では有栖川有栖の『未来人F』が頭抜けて面白かった。流石としか言いようがありません。オマージュとしては勿論、やはりミステリですからそこに最も比重を置いているのが有栖川でした。又メタミステリにもなっている辺りが凄いです。その点歌野晶午は記憶に残りませんでした。他の三人はそれぞれが自身の色を出していて、比べてみるとなかなか興味深いものがありますね。 平山夢明なんかを読むと、「少年探偵団」って何でもアリなんだなと思います。グロさを抑えきれず思わず書いてしまった感が半端ないです。物語として破綻はしてませんけど。坂木司はそう来たかって感じで、ちょっとだけ意外性を楽しめました。全体的に目立つのは、怪人二十面相がどんだけ変装するんだよって事でした。そんなに変装してたかなあって。 |
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| No.2007 | 7点 | χの悲劇 森博嗣 |
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(2026/05/11 22:16登録) 香港で仕事をする島田文子のもとに男が現れた。島田が真賀田研究所にいた頃に起きた飛行機事故について質問があるという。その日、走るトラムの中で殺人が起き、死者の手に「χ」の文字が遺される。乗客として警察の捜査に応じた島田だったが、そこである交換条件を持ちかけられ……。Gシリーズ後期三部作開幕! Amazon内容紹介より。 本作は妃真加島の事件に一枚噛んでいる島田文子の物語であり、ミステリ部分は全体の10%未満です。その背後には少なからず真賀田四季の存在が確かにあり、その意味ではファンには嬉しい作品だと思います。ただ、物語が一向に進展せず、特に第二章、第三章はいささか退屈な想いをしました。おまけに殺人事件の真相はかなり拍子抜けするものであり、それは島田によって呆気なく解かれるので、うっかりすると読み落としてしまいそうな危険性すらあります。 それでも第四章だけは格別好印象を受けました。かなり切ない話になり久しぶりにセンチメンタルな気分にさせられました。ゴリゴリの理系作家でもこの様な抒情的な描写が出来るんだと、新鮮な衝撃を受けました。そしてラストの二段オチには拍手を送りたいです、マジで。この終盤で評点をグッと押し上げましたね。 |
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| No.2006 | 5点 | 新「超」怖い話6 樋口明雄 |
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(2026/05/08 22:22登録) 怪談話と云うのは、基本的に本人に聞いたか又聞きした怪談を作家が書くというスタイルを取っています。よってそれが事実なのか作り話なのかは判然としない場合が多いと思います。だからなのか、似たような話が結構多い気がしますね。枝葉は違っても根本的に同じとか。まあそんなものを含めて本書は「とにかく怖かった怪談」「どうにも奇妙な怪談」「かなりヤバい怪談」に分かれていて、私的にはそれほど怖くなかった感じです。繊細な心を持った方には結構グサッと来るものがあるかも知れませんが。 その中でも印象深かったのは風変わりなドッペルゲンガーを描いた、どこか牧歌的な雰囲気の『ドッペルゲンガー』。遭難した凍った死体を解剖するととんでもない異変が起こる『人氷』。人の足が転がっていてそれが・・・という『むかしむかし』辺りですかね。 怪談としてはこれだけシリーズ化されている訳ですから、その筋の人にとっては歓迎されるべき著書なのかも知れません。個人的に思うのは、よくこれだけ集まったものだなあという事。それ以外特にこれと言った感想はありません。 |
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| No.2005 | 3点 | 妖怪変化殺人事件 赤川次郎 |
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(2026/05/06 22:18登録) 傍若無人・神出鬼没のあの大貫警部が殺人犯を追って勇猛果敢、遊園地の〈怪奇の館〉に突入。不気味な闇に待ちうけるのは吸血鬼・ミイラ男にゴーゴン、そして狼男――。けれどもこんな怪物たちよりもっと恐ろしい生きものが、この世にはいたのである。表題作を含め四編収録の大人気・大貫警部シリーズ・第八弾。 Amazon内容紹介より。 第三話まで、ゴチャゴチャして非常に解り難い内容だと思います。さしたる仕掛けもトリックもない、面白味の無いユーモアミステリの凡作と言えるでしょう。大貫シリーズも第八弾ともなるとネタ切れ感が半端なく、会話文が多くサクサク読めるだけが取り柄です。殺人事件そのものにも魅力がなく、外連味すら感じられないし、褒めるところが見当たりませんね。 第四話の『表裏一体殺人事件』だけは比較的真面な連続殺人事件であり、背後にストーリー性があってまずまずの出来かなとは思いました。 しかし、こんなに面白くないのによくここまで続いたなという感じですね。大貫警部もアクが強いだけで、たまにまぐれで推理が当たるケースもありますが、ただの人の悪い人物として描かれているのが残念です。時折人情味を見せるとか何にかしら人を惹き付ける物があればなあと思います。 |
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| No.2004 | 7点 | 野良犬の値段 百田尚樹 |
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(2026/05/04 22:30登録) 突如としてネット上に現れた、謎の「誘拐サイト」。 <私たちが誘拐したのは以下の人物です> という文言とともにサイトで公開されたのは、 6人のみすぼらしい男たちの名前と顔写真だった。 果たしてこれは事件なのかイタズラなのか。 そして写真の男たちは何者なのか。 半信半疑の警察、メディア、ネット住民たちを尻目に、 誘拐サイトは“驚くべき相手"に身代金を要求する――。 日本全体を巻き込む、かつてない「劇場型犯罪」が幕を開ける! Amazon内容紹介より。 誘拐サイトの第一発見者、フリーライター、新聞社、TV局、出版社、誘拐犯、警察等の多視点から描かれ、登場人物は夥しい数に上ります。しかし群像劇という訳ではなく、飽くまでエンターテインメントに徹しています。社会派の様相も呈しています。残念ながら文体としては会話文が多く、その分重厚さに欠けるのが気になるところではありますが。 誘拐物によくある警察と誘拐犯との駆け引きはあまり見られず、終始警察が誘拐犯の罠に翻弄されるという形が取られています。個人的には第一部より第二部の方が面白かったですね。特にホームレスへの拷問シーンとその背景にあるものは心に突き刺さりました。ここが私にとってはクライマックスであったのではないかと思っています。 世論を巻き込んでの劇場型犯罪、読み応えも十分で、特にエピローグは良かったです。多くの読者に受け入れられる納得の一冊だと思います。 |
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| No.2003 | 6点 | 累々 松井玲奈 |
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(2026/04/30 22:20登録) 23歳の小夜は、同棲中の恋人からのプロポーズを受けて戸惑っていた。私の年齢は、結婚をするのに適しているのだろうか――? 獣医師のセフレと奔放に夜を過ごす「パンちゃん」、恋愛ゲームのようにパパ活女子との逢瀬を楽しむ星野の前に現れた不思議な女子大生「ユイ」、才能あふれる美大の先輩に切ない恋をする「ちぃ」……現代を生きる女性のさまざまな顔を描く、たくらみに満ちた連作小説集。 Amazon内容紹介より。 男女の別なく人間が描けていると云うのはこういう事なんだろうなと思います。文体はクールで恋愛小説としてはどちらかと言えば感情を抑えた短編集となっています。しかしながら、エロ描写ではないものの、かなり性に対して踏み込んだ内容です。元アイドルで現女優という立ち位置としては大胆な作品と言って良いでしょう。 作品全体に仕掛けられた罠に嵌る事必至で、成程と唸らされました。男女の駆け引きもさることながら、男と女の本質的な違いが奔放とも言える描写によって浮き彫りにされる辺り、作者が只者ではない事を感じさせます。最早これは広義の恋愛ミステリと呼んでも差し支えないのではないかとさえ思わせます。まあミステリじゃないけど。それでも面白い、期待通りの出来栄えでした。特に『パンちゃん』が良かったなあ。 |
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| No.2002 | 7点 | 未館成の殺人 信国遥 |
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(2026/04/28 22:19登録) X大学ミス研の夏合宿の舞台は、建築家・黒澤泰洋が忽然と姿を消した無人島。島には建設を中断された、奇妙な館の基礎部分だけが残されていた。 ミステリさながらのこの状況を記事にするため、島に降り立ったミス研メンバー。しかし到着早々、本土との唯一の連絡手段だった船が炎上し、完全に孤立してしまう。飢えと渇きで衰弱していくなか、なんとか生き延びようと策を講じるメンバーだったが、ひとり、またひとりと不可解な死体となって発見されるーー。 Amazon内容紹介より。 前半は連絡不能な孤島に取り残されたX大学推理小説研究会のメンバーが、何とか生き残るために水を確保しようと火を熾すことに腐心するシーンが長すぎて、ちょっと飽きるし疲れました。やっと殺人事件が起こったと思ったら、これがまた地味で何だかなあって感じです。つまり本作は問題編はちょっと詰まらないけれど、解決編でグッと盛り返すタイプの典型的な例だと思います。 ただ動機をどう考えるかでこの作品の評価が割れる可能性は大いにあります。実は私も最後の畳み掛ける展開には心奪われましたが、ホワイに対しては完全に納得する事は出来ませんでした。従って採点はちょっと甘目にしてあります。文章に関しては可もなく不可もなく、読み進められます。過去の事件や怪しげな建築家など、見所は幾つかありますがどれも既視感がかなりありますね。 |
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| No.2001 | 5点 | マイナス・ゼロ 広瀬正 |
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(2026/04/25 22:17登録) 幻の名作が大きな活字で登場 戦時中に隣人と交わした約束。18年後にその約束を果たそうとして、主人公が見たものは? 日本語で書かれたタイムトラベル小説の最高峰といわれる名作が大きな活字で登場。(解説/星新一) Amazon内容紹介より。 昭和38年でも無理なのに、昭和7年の東京が舞台って全然ピンと来ませんね。なかなかの大作ですが、余計な描写が多い割に肝心の所で色々と説明不足なので、非常にアンバランスな印象を受けました。タイムカプセル物が好きな方には良いかも知れませんが、どうも私には合いませんでした。SFっていうのは元々肌に合わない所がありまして・・・まあ時間の無駄だったと言うか、何でこういうのを買ったのかなあと過去の自分に問い質したい気分です。 最後にどう収束させるのか、それだけが興味の的でした。しかし、結局モヤモヤ感しか残らず、自分をどう説得させたらよいのか分かりませんでした。昔の作品だからこれが精一杯なのかなとは思いますが、ストーリーとしては兎も角SFとしての本領を発揮して欲しかったですね。Amazonの評価が高いのはSF好きが多いせいなのか、昭和初期の雰囲気が好ましかったのか、その辺りを鑑みての事だと思います。あ、イマイチ面白くなかったという個人の意見を勝手に反映させてすみません。 |
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| No.2000 | 7点 | バラバの方を 飛鳥部勝則 |
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(2026/04/20 22:34登録) もっと野卑で暴力的な小説かと思っていたら、意外と真っ当な本格ミステリでした。ただ登場人物のほとんどがクセの強い人ばかりで、雰囲気は殺伐としています。相変わらずの絵画に関する薀蓄は健在で、特に宗教画を模した腸を引き摺り出された死体や、歯が抜かれた死体など見立て殺人をどう解釈するかが事件の鍵ともなっています。本作は異色作の多い飛鳥部作品の中でも特異点に位置する作品だと個人的には思いました。これが飛鳥部勝則を初めて読む読者にとっての入り口であっても悪くないでしょう。 なかなか破壊力のある本書ですが、グロやスプラッターとしては控えめで飽くまで本格寄りに軸足を置いている様な気がします。特に動機に関して比重を高めにしていると思います。だからと言って必ずしも納得感の得られる動機とは限りませんが。 個人的に印象に残ったシーンは、久仁子の父親の逸話や実質的な探偵役であり、独特の魅力を持っている佐井光次と持田との邂逅ですね。 |
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| No.1999 | 5点 | この素晴らしい世界に祝福を! あぁ、駄女神さま 暁なつめ |
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(2026/04/16 22:20登録) ゲームを愛する佐藤和真は女神を道連れに異世界転生。大冒険が始まる……と思いきや、衣食住を得るための労働が始まる。「安定」を手にしたい和真だが、女神が次々問題を起こし、ついには魔王軍に目をつけられ!? Amazon内容紹介より。 コメディを多分に含んだファンタジー。魔法使い、冒険者、アンデッド、魔王討伐と一般的なラノベの定型を踏襲した極々ありきたりなファンタジーです。どこがどう受けたのか、Amazonでは完結編の17巻まで評価が800以上付いていて、いずれも高い評価が下されています。私にはありふれたラノベとしか思えませんが、その道の読み手には琴線に触れるものがあったのでしょう。全く理解不能な世界ですね。 主人公は引き籠りの佐藤和真。彼は少女を助けた代償に自身がトラクターに引かれて亡くなります。死後女神に天国を選ぶか、生き返りをを目指して魔王を討つ道を選ぶか選択を迫られます。後者を選んだ和真はその女神と共に二人の少女とパーティーを組み、冒険の道に足を踏み出すというお話です。 「ぱんつ返してください」のシーンは良かったですが、キャラもそれほど立っているとは思えませんし、ストーリーも物珍しいものではありません。和真の内面を抉っているとかもないです、どこを取っても平凡としか言いようがありません。世の中何が当たるか分からないですね。 |
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| No.1998 | 6点 | ハウスメイド フリーダ・マクファデン |
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(2026/04/14 22:03登録) 前科持ちのミリーが手に入れた、裕福な家庭でのハウスメイドの仕事。だが、この家は何かがおかしい。不可解な言動を繰り返す妻ニーナと、生意気な娘セシリア。夫のアンドリューはなぜ結婚生活を続けていられるのだろうか? ミリーは屋根裏部屋を与えられ、生活を始める。しかし、この部屋には……。そして、家族にまつわる真相が明かされるや、それまでに目にしたものすべてがひっくり返る。恐怖と衝撃のエンタメ小説。 Amazon内容紹介より。 内容はなかなかへヴィながら文体はライトで読み易い、一般受けしそうな作品ではあります。私としてはもっとじわじわ来る様なサスペンスを期待していたのですが、恋愛要素もあったりして飽くまで大衆を狙った作風なのがやや残念でした。訳者あとがきにある様に、中盤そう来たかとの感想は全く同感です。流石に予想外でしたが、成程ね、そういう事か程度で、驚くほどではありませんでした。 割と長尺ですが、サクサク読めます。あまり長さは感じさせない面白さがあります。でもこれが本屋大賞第2位だと言われると、そうなのか、これがねえってなります。確かに良作ではあると思います。しかし、やはり翻訳物はこれが限界なのかと私には感じられてなりません。国内作家の手練れが書いたらもっと傑作になっていたのではないかと。続編は多分読まないでしょう。 |
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