home

ミステリの祭典

login
久遠の檻 天久鷹央の事件カルテ
天久鷹央の事件カルテ

作家 知念実希人
出版日2024年04月
平均点7.50点
書評数2人

No.2 7点 メルカトル
(2025/02/16 22:35登録)
楯石希津奈。十五年以上前にアイドルとして活動していた少女が、当時とまったく同じ外見で現れた。患者の姿に驚いた精神科部長の墨田淳子は、統括診断部の天久鷹央に診察を依頼する。だが、その矢先、父親によって希津奈は連れ去られてしまい……。ミイラ化した遺体。自殺からの復活。不老不死は実在するのか? 現役医師が描く医療ミステリー! 
Amazon内容紹介より。

第一作から随分遠のいてしまいましたが、これは間違いなく力作だと思います。相変わらずの天久鷹央の傍若無人ぶりには、そうそうこれこれ、と思わず納得してしまいました。久しぶりの再会に知らず笑みが浮かんでしまいました。
本作では摩訶不思議な現象を扱っており、果たして医学で不老不死をどう解釈し真実を突き止めるのかが焦点となります。

真相解明には医療の専門知識が必要な為、全面的に一般読者が謎を解く事はどう考えても難しいですが、それでもどこまでも齟齬のない完璧で圧巻の解決編には成程と深く肯かざるを得ません。これぞ最先端を行く医療ミステリだと感心しました。そして短く纏められた涙を誘うエピローグには安堵感と希望が生まれ、素晴らしい余韻を残す締めくくりだったと思います。

No.1 8点 たかだい
(2025/02/04 08:27登録)
個人的には、今の時点でこのシリーズ作品中最も好きな作品
本作では、ある意味で医療ミステリーらしい「不老不死」をテーマに挙げている
昔と寸分変わらぬ幼さすらある容姿で現れたアイドルの少女。あまりの異様さに鷹央先生が呼ばれるも、彼女の身内によるガードで、詳しく調べる事も難しい。そんな中、当の少女は崖からの飛び降りを生中継しながら、その場で蘇生して見せ、世間を熱狂させていく
十何年経ても容姿が変わらない不老、一見生存不可能な飛び降りからの復活。そこに、倒産した芸能事務所の敷地から見つかったタイムカプセルに入れられた遺体、海から打ち上がった謎の女性の腐乱死体まで係り、いかにも現代的な企みまで見えて来る
1冊に納めるには中々の詰め込み具合だと思う。それらを破綻なく収束させ、不老不死の真相は興味深く、追い詰められる黒幕にカタルシスを覚え、ある意味で一番の被害者とも言える人物にも希望が与えられて幕を下ろす。綺麗に、すっきりとした終わり方に満足です

2レコード表示中です 書評