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ミステリの祭典

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赤の女王の殺人

作家 麻根重次
出版日2024年03月
平均点5.50点
書評数2人

No.2 5点 虫暮部
(2025/04/11 11:50登録)
 ネタバレあり。
 地味な話だな~。とは言え、ダミー推理にはつい “成程!” と納得、その反論にまたもや “成程!!”。この流れは上手かった。
 アレッと思ったのが動機に関わる部分。Aと別れてBに行く心算が、想定外にAが死亡、だったらBも殺してしまおう、とはどういうことか。別離でも死亡でも “犯人が身軽になる” と言う結果は同じだろうに、何故その先のルートが分かれるのか。作中説明された “Bと結婚せずに金だけ得る” 方法は、Aの存在/不在とは無関係で実質的には別件の筈だが、“Aの死によってBの死も決まった” みたいな話になってない? 人死にが出たことで箍が外れちゃったのかな。
 いや、人の気持だから色々考えられるし不合理でもまぁ駄目とは言わないが、そこは犯人の口から説明して欲しかった。
 もう一点。Bは共犯者でもないのに犯人に言われるがままに身を隠した。不自然と言うか御都合主義的な動きだと思う。

 “増殖する焼骨” って三回続けて言えない。

No.1 6点 メルカトル
(2025/04/06 22:06登録)
島田荘司選第16回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞受賞作! あなたは二度驚かされる。
感動させられた。日常のうちに、意表を衝くミステリーを創って見せている。ーー島田荘司

松本市役所の市民相談室に勤務する六原あずさは、相談者の妻が密室から転落死する現場を目撃する。
被害者が死の間際に呟いた「ナツミ」を追って、刑事である夫の具樹は捜査を始めるが、なかなか手がかりを掴めない。
一方であずさの元には、施錠された納骨室でひとつ増えた骨壺や、高齢男性ばかりを狙うストーカーなど、不可思議な相談が次々と舞い込んでーー
Amazon内容紹介より。

はい、という訳で氏のデビュー作を読み終えました。何となく昭和のまずまず良く出来たミステリの雰囲気が漂います。新鮮さはあまり感じられませんでした。本格ミステリと言うより警察小説に近いでしょうか。全体的にプロットが整理し切れていなくてごちゃごちゃした感じがします。

二作目と比べてみると、良い意味で随分飛躍したなと思います。本作からは考えられない様な作風の違いを次作で見せ付けられました。失礼ですが、意外と懐の深い作家だなと言う印象です。本作は具樹とあずさ、そして「私」のパートで語られ、後々どう関係してくるのか想像が付きません。しかし、思った以上に事件は単純で、動機もありきたりなので、その辺りは褒められたものではありません。まあこれを密室に持って行ったのは、強引ではありますが外連味を感じました、個人的には好きですけどね。
受賞作として相応しいかどうかとなると、微妙です。ちょっと地味過ぎる気がします。

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