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ミステリの祭典

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江守森江さんの登録情報
平均点:5.00点 書評数:1256件

プロフィール| 書評

No.716 5点 禁断の報酬
安達瑶
(2010/04/09 10:47登録)
図書館でシリーズ第三弾が紛失中な為、第四弾から先に読む羽目になった(第三弾の犯人が拘置所で登場には・・・・)
結構売れているのか?シリーズは主人公の佐脇が死ぬか刑事を辞めるまで延々と続く気配になってきた。
そうなると一般的受け狙いも出てエロな部分より悪漢な部分に力点が置かれる。
御都合主義で時効を絡める為に十四年前の事件が発端になる。
今回は、テーマが地方マスコミとパチンコ業界にヤクザの権力争いを絡めてドタバタする。
作品内でもVシネか二時間ドラマと登場人物が呟くし、ネタ的にも使い古しでミエミエな展開になってしまった。
こんな小説でも舞台のT県の描写から地方の疲弊が強く漂う。
警察小説も扱うネタに限界がある事を感じさせる作品になり残念でもある。


No.715 7点 悪漢刑事、再び
安達瑶
(2010/04/09 03:31登録)
Vシネ感覚の小説を本格ミステリの合間の息抜きに読むつもりで、図書館の文庫棚で目に付きシリーズを3冊借りて来た。
一作目はエロもふんだんなVシネ感覚作品だったが、二作目はエロを抑え気味(セックス描写回数が減った)にした警察ハードボイルドに進化を遂げ、思わぬ拾い物に凄~く得した気分。
プロローグからエロに塗れさせた仕込みや真相の解明過程もきっちりハードボイルドになり、前作登場のサブキャラ達も活躍したりと非常に楽しめた。
エロ(バイオレンス)に紛らせ本質を射抜く「箴言」の数々にも、思わず唸る。
エロ小説に嫌悪感さえなければ今野敏「隠蔽捜査」に迫るレベルの警察小説だと思う。
※余談
因みに、作者は男女混合の合作作家でSM小説にてデビューしている。


No.714 5点 悪漢刑事
安達瑶
(2010/04/08 18:59登録)
タイトルは「わるデカ」と読ませる。
金や出世に興味なし、犯罪者やヤクザを食い物にし、女に執着する悪徳刑事・佐脇の活躍?を描いたエロチック&ピカレスク・ロマンの第一弾。
エロ場面と悪徳場面に終始しながら後輩刑事死亡の真相を突き止める。
実際の警官にも隠れて悪い奴(小悪党)はいるが、ここまで極端だとVシネマになってしまう。
逆に言うなら息抜きの娯楽としては充分満足できるしスピード感もあり一気に読了出来る。
読了後に何も残らないが、Vシネマ的娯楽作品なので、それも減点材料にはならない。
ベストセラーになったと紹介されているが、実際どれだけ売れたのか?が謎(ミステリー)ではある。


No.713 4点 怪人対名探偵
島田一男
(2010/04/08 03:09登録)
高木彬光・神津恭介シリーズ少年物を漁っていたら島田一男の少年物に出くわした。
偕成社・ジュニア探偵小説全26巻(特に横溝正史・柴田錬三郎)を探して読破したい(国会図書館に何冊かあるが出向くまで至っていない)
名探偵・香月先生シリーズの表題作にオマケ3編を収録している。
高木彬光より活劇では島田一男の方が一日の長があり手馴れていて、作者の真骨頂であるテンポの良さで一気に読了させる。
しかし、二人登場する怪人の正体は、幾ら少年向けでもミエミエ過ぎた。
直ぐに明かされる消失トリックなんかも笑えるレベル。
「名探偵コナン」で鍛えた今の子供には通用しない感があるのも残念。


No.712 5点 私の殺した男(角川文庫版)
高木彬光
(2010/04/08 00:57登録)
ノン・シリーズの短編集で六話収録。
作者の本格探偵小説らしく神津恭介物にも出来ただろう「幽霊西へ行く」にして水準レベルで、他も取り立てる程の作品はない。
しかし、他で読んだ「公使館の幽霊」は単独では小品の域を出ないが、「幽霊西へ行く」と順番に並べると楽しさが増す作品で、短編集は収録順や作品選択で印象が変わる事に気付かされた。
本来なら4点だが上記の好印象で1点加点した。


No.711 6点 銀座幽霊
大阪圭吉
(2010/04/07 22:47登録)
東京創元社版では「とむらい機関車」と「銀座幽霊」に分冊された。
此方は随想が無いので全12編収録。
先に「とむらい機関車」で「坑鬼」を読んでしまうと、収録作品に見劣りを感じる。
しかし、戦前でもユーモア作品があった事に驚く「大百貨~」や坦々と描かれたバカミス「燈台鬼」更には、作者お得意なトリックの「白妖」等々読み応えある作品が並んでいる。
戦前の表現に戸惑わなければ、どれも水準レベルはクリアしている。
本格探偵‘長編’が無い事も含めて、作者の早逝が惜しまれる。


No.710 7点 とむらい機関車
大阪圭吉
(2010/04/07 22:24登録)
※はじめに(但し書き)
大阪圭吉の本格探偵短編を網羅した「国書刊行会版」(絶版)と、幻想・ユーモア短編を加えて二冊に分冊化した「東京創元社版」がある。
同一タイトルで収録作品に違いがある為、収録数と入手難度から新しい「東京創元社版」での書評にした。
まず、表題作は期待ほどの作品ではなかった。
「デパート~」は本格のお手本としてマズマズ。
「雪解」の倒叙幻想や「カンカン虫~」「気狂い~」の物理トリックは好みではない。
「白鮫号~」の重量のロジックや「あやつり裁判」の何故?は楽しい。
なんと言っても一番は、謎・奇想・ロジックと本格要素を満たしながら炭坑風景の描写まで素晴らしい「坑鬼」だろう!
この一編さえ読めれば残りはオマケな感じがする。
戦前に、こんな本格探偵小説が存在した事にも感嘆した。
「坑鬼」単独なら満点だが、作品集としては7点。


No.709 4点 八日目の蝉
角田光代
(2010/04/07 15:34登録)
最近「外事警察」「行列48時間」などNHKのドラマ化作品はレベルが高い。
その為に原作を読む機会が多くなる。
直木賞作家の初の長編サスペンスで、ドラマ化情報を知ると同時に図書館予約した(現在予約殺到中)
子供をさらうのと、その先の展開は一応サスペンスと言えなくもない(かなり微妙)
しかし本質は、不倫・罪・愛情・人生観などから人間を描き、読者の魂を揺さぶる事にある。
感情移入(男性は特に)しにくい主人公で作品を引っ張り、ラストに仕留めるのは作者の真骨頂だとは思う。
また、ストーリーの先を考えさせるタイトルは秀逸。
それでも、もっとサスペンスフルな作品を期待していた私には肌が合わなかった。
※余談
本格ミステリの合間の息抜きを期待したら失敗してダメージを負った気分。


No.708 7点 カレーライスは知っていた
愛川晶
(2010/04/06 07:34登録)
「根津愛〈代理〉探偵事務所」のタイトルで単行本出版された短編集に、一編「納豆殺人事件」を加え文庫化した際に「カレーライスは知っていた」とタイトル変更した。
(私は単行本を読んだので、出版社変更と文庫化による、小説以外部分の扱いについては知らない)
収録五編中四編に「読者への挑戦」が付され、残り一編も「あとがき」まで取り込む趣向で遊んでいる。
発想の転換が素晴らしく、読者が実際に被害者になりかねない「カレーライスは知っていた」
女性ならではな気付きとロジックに冴えを見せる「だって、冷え性なんだモン!」
バカミス的密室トリックが炸裂する「死への密室」
と方向性を変えながら高水準で粒ぞろい。
美少女探偵・根津愛のキャラに馴染めれば、小説以外の部分(特に楽屋落ち話)は尚更楽しい。
満点にするか迷ったが、短編集として同系統な歌野「放浪探偵と七つの殺人」と同レベルと判断し7点にした。


No.707 5点 幽霊紳士
柴田錬三郎
(2010/04/03 17:51登録)
眠狂四郎でお馴染みだった作者唯一の推理短編集。
おおかたの推理小説が終了する場面で幽霊紳士が現れ、決着の裏にある真相を囁く形式の連作短編12話を収録。
前話の中心人物が次話の冒頭に登場する趣向でループする。
書かれた時代を考えると形式や趣向は斬新と云える。
しかし、論理より幽霊の啓示で人間の内面(特に作為や悪意)が暴かれるので、推理を読まされる感覚な為にもう一つ楽しめなかった。
一部の、現代では忘れさられた貞操観や倫理観で描かれる真相の開示には苦笑せざるを得ない。
但し、昭和30年代の風俗を知るには良い作品。


No.706 4点 エスケープ!
渡部建
(2010/04/03 12:03登録)
お笑いコンビ・アンジャッシュの片割れ渡部建の処女小説。
作者が好きだと公言する乾くるみ「イニシエーション・ラブ」を意識して書かれた事は間違いない。
青春・恋愛物から空き巣事件に話が展開するドタバタ・コメディ風な叙述ミステリ。
しかし、お笑いの作者だけに叙述部分の種明かしが早く、騙しや驚きよりコメディ部分に力点がある。
そのため、読んだ時点で察した事が次章で明かされる読書に終始する可能性は高い。
しかも、第四章(終章)の早々に一番の大ネタまで明かす為、最後はドンデンが返らず(コメディ映画なら許されそうな)しょーもないオチになってしまった。
作品の方向性が絞れず中途半端な印象は否めない。
読みやすく、時間をとらないのが救いで、話のタネにはなる。


No.705 6点 シナオシ
田代裕彦
(2010/04/02 09:10登録)
ラノベ・レーベルで先頃廃刊した富士見ミステリー文庫の代表的作品。
幾つかのブログでラノベと侮れない衝撃的な作品と書評され高評価だったので図書館で借りてみた(注:表紙の絵だけで大人は購入し辛い)
時を遡り人生を為直す〈シナオシ〉によるタイムパラドックス・サスペンスに装ったロジカル叙述ミステリ。
叙述と多重構造(仕掛け)に驚ければ高評価も頷ける作品ではある。
但し、タイムパラドックスを用いたトリックの説明はロジカルかつ親切で読み応え充分だが、タイムテーブル系の作品が苦手だと非常に難解かもしれない(理解に時間を要し驚きの到達が遅くなる可能性大)
ここまでが採点対象な書評。
※以下ネタバレしながらの私的な感想。
読んでみようと思われた方はスルーして下さい。
目次を見て偶数章は数字、奇数章は漢数字な事から一つの仕掛けは直ぐに察した(同時期発表の東川篤哉「交換殺人~」と同手口)
更に、主要登場人物である〈今見かずみ〉〈水上舞〉の2人の名前からもう一方の仕掛けも察した為にドンデン返しまで読み切ってしまい驚きが無かった。
それでもネチっこくロジカルな種明かし解説はミステリとしての納得が得られた。


No.704 7点 クール・キャンデー
若竹七海
(2010/04/02 02:02登録)
軽いノリな青春ミステリーの雰囲気で(一冊ではあるが)中編なため先入観なしに読み進んだ。
終盤にかかり「アクロイド」の技法だった事に呆れ、次に兄を庇う方法に思い至り、まんま想像通りで「なあ〜んだ」とナメきったら「最後の一行」に打ち取られてしまった。
軽いノリ・「アクロイド」の技法・兄を庇う方法までが最後の一撃の為の捨て駒で、実に巧妙な事に感嘆した。
しかも、読者に狙いを放置させながら結末まで読ませる技量は凄い。
#途中に追記(11月14日)
最後の狙いは高木彬光や歌野の短編に同プロット作品があるが狙いその物を一番放置し易い構成で巧妙だと思う。追記終了#
よくよく考えればダークな結末も想像できる程度に伏線もある。
しかし‘驚き’とダークな余韻しか残らない事も間違いなく、満点には至らないと判断した。
※補足
綾辻「十角館〜」・我孫子「殺戮〜」・歌野「葉桜〜」(←基本点)辺りを6点にしている事から‘驚き’のレベルは想像して下さい。
乾「イニシエ〜」の9点は驚きより納得に比重を置いた採点なので参考外。


No.703 6点 ミステリーの愉しみ②密室遊戯
アンソロジー(国内編集者)
(2010/04/01 21:40登録)
この巻は実質、鮎川哲也の責任編集で、密室を扱い埋もれかけた作品を集めた物。
《読者挑戦物短編の最高峰・高木彬光「妖婦の宿」は単独で書評しているので今回書評は除外》
流石に今となっては既読感のあるトリックや構成な作品が集まっている。
飛鳥高・天城一・仁木悦子・戸板康二は復刊されたりしている作家個別の作品集や全集で読む方が愉しい(この辺りは全てのアンソロジーが抱える問題かもしれない)
それでも、古き良き探偵小説時代の密室物短編は、このアンソロジーに鮎川哲也「赤い密室」を併せ読めば充分な気もする(私的に密室に飽きがある)
選者としての‘鮎川哲也’は埋もれかけた作品に対しての信頼度は高い(新人に関しては育てる意識が強すぎ信頼度は下がる)


No.702 5点 ミステリーの愉しみ⑤奇想の復活
アンソロジー(国内編集者)
(2010/04/01 21:08登録)
実際の責任編集は①~④巻までは鮎川哲也でテーマ別に埋もれてほしくないが埋もれた感のある作品を、⑤巻のみ島荘で当時の新人に新作発表の場として提供したシリーズ。
よって①~④巻と⑤巻ではコンセプトが明確に違う。
さて本巻だが、今なら作家個別の短編集で読んだ方が良い作品(シリーズとしての愉しみは確実に増す)と時代に淘汰された(今では新作が発表されない)作家の作品に2分される。
奇想がテーマで編集が島荘だけにバカミス寄りトリック連発だが、津島誠司「叫ぶ夜光怪人」を抑えて綾辻「どんどん橋~」がダントツのバカミスだろう!
このアンソロジーが出版された頃には‘島荘推薦’に対する免疫が出来ていたのでガッカリ感はなかった。


No.701 6点 エコール・ド・パリ殺人事件
深水黎一郎
(2010/03/31 17:22登録)
※要注意!!
作品構成について書いているので察する方には(真相直結で)ネタバレの危険があります!
目次に「読者への挑戦状」とあり、キワモノな「ウルチモ~」から一転して正統派なロジカル・フーダニットに挑んだと思ったのだが!違っていた。
芸術論に見せ掛けた「作中作」と「未亡人の遍歴」から結末の展開(作者の真の狙い)が真っ先に透けてしまった(絵画・画商絡みなミステリーでは王道過ぎる)
更に、密室(ハウ・ダニット)及び実行犯を指摘せよとの「読者への挑戦状」で、挑戦状すら真相隠蔽の為の捨て駒だと確信した。
そこから既存トリックの組み合わせだと悟らせてしまう見せ方と構成は稚拙だと言える。
坦々としながらも読みやすく、伏線の回収も見事なだけに、あと一歩足りない感じで惜しい。
それでも、最後に残された勘平死亡の謎だけは伏線からも読み切れず楽しめた。
※ボヤキ
ミステリー以外の本で、画商の実態と経済原則について読んでいたのが、この作品を高評価出来ない一番の要因になるとは思いもしなかった。
※疑問点
ドラマ等の認識からだが、刺し傷の角度や凶器の指紋から科学捜査や解剖で自・他殺の判別をされてアッサリ真相が判明しないのだろうか?
特に、凶器の指紋・被害者の指先のルミノールは当然鑑識対象でスルーは有り得ない。


No.700 8点 探偵小説のためのゴシック「火剋金」
古野まほろ
(2010/03/30 22:52登録)
久々の「古野まほろ」故に‘ソラシド’が獄門島の「あの台詞」である事をド忘れするファンにあるまじき失態だった(笑)
「古野まほろ」は現在新作が執筆される作家の中でロジカル・フーダニットの書き手として(本家・有栖を凌いで)一番だと思っている。
本作は、相剋シリーズ最終巻で、怪盗・黒蜜柑との対決を描き乱歩の冒険活劇風味も取り入れた。
それに加えて、本来通り大量に潜ませた「陰の伏線」から紡がれる論理的な犯人指摘(今回は黒蜜柑の正体)は相変わらず素晴らしい。
しかも、最終巻に相応しく天帝シリーズとのリンクまで明確にした。
更に、密室不可能トリックも論理的に解明する今までにない趣向に加え、一方の意外な犯人は叙述トリックまでカマし盛り沢山。
シリーズ終了を惜しむ一部ファンに向けた特別編と新(相生)シリーズ(新探偵まで紹介)の予告もあり嬉しい。
どこかしらに弱点があり満点にしなかったシリーズだが、最終巻でここまで昇華すれば‘天帝陛下’に謹んで満点を献上する。
※但し書き
作品発表順に厚い壁を乗り越えて読み進まねば‘桃源郷’には到達しない。
満点の献上には読み進めた自己満足も多分に含まれる。


No.699 5点 ≠の殺人
石崎幸二
(2010/03/30 08:25登録)
最初に双子トリックについての見解を述べたい。
一般に見分けがつかない(一卵性でDNAも含む)事が大前提。
1.共謀により、どちらが犯人か断定出来ずに法的に罰せない。
2.一方がもう一方に悪意を抱き殺害又は、犯行を擦り付ける(入れ替わり含む)
基本構造は上記2パターンに限定されると思う。
それ故、どんなに捻っても上記パターンを超越しない限り飽和状態を否定出来ない。
その点で、この作品も本格ミステリとして捉えると飽き飽きした気持ちが一番になる(卑近な伏線と回収は素晴らしいので勿体無い)
しかし、旧作の再読(復習)から、このシリーズは本格ミステリに主軸が無く、ドタバタとギャグにくるんだ皮肉(アンチ)ミステリーだと認識している。
本質を射抜く皮肉はプロローグから冴えているので充分楽しい。
キャラの書き分けなんか双子以上に判別不能なのも皮肉に満ちて笑える。
笑い飛ばすことが第一義なミステリーも息抜きになる。
※余談的追記(4/10)
古畑任三郎「ラストダンス」の再放送を観て、上記パターンを超越できずネタ切れだったとの印象を強く持った。
指紋から被害者特定で一発解決な事件を引っ張り過ぎとも思えた。


No.698 5点 はやぶさ新八御用帳
平岩弓枝
(2010/03/28 16:39登録)
南町奉行内与力・隼新八郎が様々な事件を解決するので、こちらは紛れもない捕物ミステリーと云える。
江戸風情溢れ颯爽とした姿や上司の懐の深さにも魅入られる。
但し、人情を描いた捕物帳では基本的に勧善懲悪でドラマの「水戸黄門」同様な偉大なるマンネリが必然になる。
よって、好きな間は良いが飽きて離れる時期が訪れた私には手放しでの高評価は出来ない。
「御宿かわせみ」との1点差は読んだ時期での上記の印象による。
※同タイトルの後に番号付なシリーズ作品が多数、更に御用旅シリーズも多数あります。
西村京太郎クラスの量産作家な事に今更ながら気付きました。


No.697 6点 御宿かわせみ
平岩弓枝
(2010/03/28 16:22登録)
大衆作家の大御所でテレビ脚本も含めて作風も幅広い。
何世代か前の「宮部みゆき」とイメージすれば現代読者にも伝わるだろう(老いてなお現役バリバリな平岩先生ゴメンナサイ)
この作品はドラマ・舞台化もされた江戸人情捕物帳シリーズで、作者の代表作の一つと云える。
明治編の新・シリーズ移行時に主人公の二人をバッサリ(殺して)捨て去る潔さに絶句した。
但し、作者の真骨頂である人情に力点がある為にミステリーの範疇に含めるべきかの判断は問題提起に留めて回避した(私的にはギリギリセーフ扱い)
一般大衆小説に範囲を広げれば昭和世代の読者には名作・傑作がゴロゴロある。
※余談
私的に一番好きな平岩作品は脚本を手掛けた人気ドラマ「ありがとう」シリーズ。
※注意点
シリーズ作品が多数、更に新シリーズ作品も多数あります。
ハマってしまい読み進むと多作なので当分抜け出せない危険があります(笑)

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