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ミステリの祭典

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探偵小説のためのゴシック「火剋金」
探偵小説シリーズ

作家 古野まほろ
出版日2010年01月
平均点8.00点
書評数1人

No.1 8点 江守森江
(2010/03/30 22:52登録)
久々の「古野まほろ」故に‘ソラシド’が獄門島の「あの台詞」である事をド忘れするファンにあるまじき失態だった(笑)
「古野まほろ」は現在新作が執筆される作家の中でロジカル・フーダニットの書き手として(本家・有栖を凌いで)一番だと思っている。
本作は、相剋シリーズ最終巻で、怪盗・黒蜜柑との対決を描き乱歩の冒険活劇風味も取り入れた。
それに加えて、本来通り大量に潜ませた「陰の伏線」から紡がれる論理的な犯人指摘(今回は黒蜜柑の正体)は相変わらず素晴らしい。
しかも、最終巻に相応しく天帝シリーズとのリンクまで明確にした。
更に、密室不可能トリックも論理的に解明する今までにない趣向に加え、一方の意外な犯人は叙述トリックまでカマし盛り沢山。
シリーズ終了を惜しむ一部ファンに向けた特別編と新(相生)シリーズ(新探偵まで紹介)の予告もあり嬉しい。
どこかしらに弱点があり満点にしなかったシリーズだが、最終巻でここまで昇華すれば‘天帝陛下’に謹んで満点を献上する。
※但し書き
作品発表順に厚い壁を乗り越えて読み進まねば‘桃源郷’には到達しない。
満点の献上には読み進めた自己満足も多分に含まれる。

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