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ミステリの祭典

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makomakoさんの登録情報
平均点:6.17点 書評数:887件

プロフィール| 書評

No.147 7点 三人目の幽霊
大倉崇裕
(2010/06/26 13:23登録)
落語がもとだなんてと思っていたが、なかなかに面白い。特に表題の三年目の幽霊が好み。ミステリーとしては小ぶりで事件も殺人などの殺伐したものは無く日常の謎のようなものが主体なのだが、十分に楽しめた。


No.146 5点 カンナ 鎌倉の血陣
高田崇史
(2010/06/21 06:17登録)
カンナシリーズは本格ミステリーとするにはあまりにも軽い内容であるが、歴史と薀蓄が好きな私には読めばそれなりには楽しめる。登場人物にもなれQEDの奈々ちゃんがチラッと登場しているのはファンにとってはちょっとしたプレゼント。推理小説としてだけ見れば残念ながらあまりぱっとしないが源氏三代の謎という点では面白い推理が楽しめた。


No.145 5点 私が殺した少女
原尞
(2010/06/20 17:17登録)
ハードボイルドが好きなら結構面白いのかも。沢崎という探偵はよほど馬鹿なのか余計なことを言っては失敗していると思って読むのならぜんぜんダメでしょう。こんな頭の悪い男が正鵠を獲るような最後の展開も説得力はないしね。外国の小説ならまだ外人にはこんな人間がいるのかと多少の納得があるが日本人が主人公だとどうもいけない。結局私がハードボイルドをあまり好まないせいなのでしょう。


No.144 8点 七度狐
大倉崇裕
(2010/06/13 08:18登録)
古典落語の話がメインということでちょっとどうかなと思ったのですが、落語のお話も芸に対する執念も興味深く書き込んである。さらに孤立した村と名探偵とパートナー、意外な展開と本格推理の面白さをしっかり楽しませてくれる。惜しいのは登場人物がうまく描き分けてあるのに探偵の手先となる緑さんがもうひとつのところ。もうちょっとでなかなかかわいくて素敵なヒロインとなれそうなのだが。
久しぶりに夜がふけるのも忘れて読んだ。この作品好きです。


No.143 7点 白楼夢 海峡植民地にて
多島斗志之
(2010/06/06 18:12登録)
冒険小説、歴史小説そして推理小説の要素が加わった魅力的な内容。ことに白蘭という女性が強烈なインパクトがあり興味しんしんで読み進めると複雑なストーリーが絡み合ってきてと、このあたりは非常にすばらしい。幕切れも後味が悪いわけではないが、多くの謎が未解決のまま突然終わってしまうのは推理小説としてはどうかなと思うところがある。続編は多分望めそうもないし。ちょっと残念。


No.142 7点 トーキョー・プリズン
柳広司
(2010/05/28 18:20登録)
戦争直後の混乱と密室殺人をうまく組み合わせた力作だと思う。いろいろな歴史世界を舞台とする話が得意な作者だけあってこの時代の矛盾やそこに潜む悲しみなどは上手に描かれているが、推理小説としてみるとトリックがちょっと無理かな。そんなにうまくいくとはとても思えない。


No.141 4点 十二人の手紙
井上ひさし
(2010/05/24 22:08登録)
この作品の書評がよいので読んでみたのだがこれは私にはあいませんでした。最初の手紙でまずがっかり。なんだこれだけ?あまりに安易ではないかと次を読む気がしなかったのだが、きっと面白くなるのだと我慢して読んだ。ひとつの話が短すぎる。しかも「なあんだ」という話ばかり。最後の話も途中まで読んだら結論は読めてしまった。推理小説のほとんどで犯人が分からず読者への挑戦などで勝ったためしがないというのに、これはまたどうしたことだろう。


No.140 5点 新・オリエント急行殺人事件
森村誠一
(2010/05/24 21:55登録)
題名を見てアガサクリスティーの「オリエント急行」を思い浮かべわくわくして読むとなんとオリエント急行の旅は殺人事件など無く終わってしまいがっかり。帰ってからのお話なのだ。いろいろな絡みもあるがいったい森村氏の作品では捜査陣の個性がない。いっぱい意見が出てくるし警察内での対立も描かれているが一人ひとりの個性がない。多分本当の警察ではひねくれて上司に絡むような警察官はほとんどいないだろうからこの方が正しいのだろうが何だか物足りない気もする。作者が「新オリエント」をつけた意味は最後まで読まないとすっきり分からないが犯人は途中で何となく分かってしまう。読後感はよいのだが出来はいまひとつ。


No.139 5点 丹波家の殺人
折原一
(2010/05/19 10:58登録)
 折原一の凝った作品はマニア以外はなかなか読み難いと思うが、黒星警部シリーズは軽い内容で誰でも比較的読みやすい。しかしこの作品は残念ながらあまり軽くもなく本格としてそれほど凝った内容でもなく中途半端な感じがした。悪くも無いがよくもない。
 作者はしばしば作品名を改題するため、私などは新しい作品として買って読むと実が昔読んだ内容であったことが何度かある。この各品もそのひとつでどうも読んだことがあると思っていたらやっぱり改題したものであった。買う前にちょっと見ればすぐ分かるのではあるが。これもトリックの一種?


No.138 8点 新・新幹線殺人事件
森村誠一
(2010/05/16 11:55登録)
新幹線殺人事件の続編。普通第2作は最初より落ちることが多いがこれはむしろ第1作より出来が良いと思う。トリックはよく考えられ一見無関係そうな事件が偶然と必然が重なって解決に導かれてくるところはすばらしい。最後の犯人も全く意外なもので見事にやられた。森村氏の作品がこのサイトに少ないと嘆いていたらその後ずいぶん沢山取り上げられるようになりちょっとびっくり。氏の作品は特有の冷たさがあるのだが、この作品は登場人物の孤独感や家庭愛が感じられる。好きな作品のひとつ。


No.137 7点 新幹線殺人事件
森村誠一
(2010/05/16 11:41登録)
この作品が出た頃たまたま新幹線のなかで読んだ。乗っている間読みふけり時間を忘れていた覚えはあるが、内容はすっかり忘れてしまっていた。今回読み直してみると本格推理物としてもなかなか凝った内容で、トリックなども十分に吟味されていることに感心した。時刻表のトリックはあちこちひねり回して無理やり作り出しましたという傾向に陥りがちであるが、きちんとした設定の上さらにひとひねりふたひねりがあり最後に意外な結末が用意されている。結構面白いですよ。


No.136 8点 闇色のソプラノ
北森鴻
(2010/05/05 16:26登録)
 二転三転する複雑なストーリー。こんなに込み入った話だと読み難くなってしまうところをさらさらと読ませる。作者の能力が高いのだろう。北森鴻は短編の名手として知られるが長編を書くと時々こんな複雑なお話を作り出す。単に推理小説としても優秀なだけでなく詩情もあふれてすばらしい。好みの小説です。
 減点は消化器外科教授の下に精神科医がいるという大学医学部では絶対ありえない設定と最後がちょっとつらいこと。


No.135 5点 安達ヶ原の鬼密室
歌野晶午
(2010/05/03 17:43登録)
本屋で手にとったら最初のナノレンジャーの漫画ですぐに書棚へ返したけど、インターネットで買ったのでまあ仕方ないかと思って読んだ。やっぱりナノレンジャーな不要なのでは?その後のナオミの話も妙にいじけているのに変にずうずうじい女の子の話が実に長々と(ことにアメフトのところは何度かもう読むのを止めようかと思った)書かれていて私にはとてもひとつで何度も美味しいといった感じではなかった。真ん中の話だけで十分。鬼屋敷と堂園別荘の話だけだったらよかったのに。


No.134 9点 黒白の囮
高木彬光
(2010/04/29 19:59登録)
この作品は高木氏のなかでもとりわけトリックがさえるすばらしいものだと思います。時刻表トリックとしても秀逸なのに、じつはそれが隠し味のようなものでさらに意外な結末が用意されている。複雑なストーリーを明快に読ませた上に読者への挑戦もあり(私としては当然犯人が当てられなかった)解決方法も納得いくものであった。作者の力量と本格推理への情熱が感じられ読み応えのある本格推理小説でした。


No.133 7点 顔のない男
北森鴻
(2010/04/25 10:54登録)
連作のような長編のような複雑な形態の上読み進むにつれ話が二転三転と込み入ってくる。文章がうまいのでさらさらとは読めるが、複雑な話なので途中で意味がよく分からなくなって読み返すこととなった。作者の仕掛けに注意を払いつつじっくり読めばミステリー好きなら面白いと思う人も多いだろう。最後のどんでん返しもなかなかすごい。


No.132 6点 屋上物語
北森鴻
(2010/04/19 21:32登録)
なかなか凝ったいかにも北森鴻らしい作品。文章も雰囲気もよいので後味はあまり悪くないような錯覚を受けてしまうが、結構救われない話や残酷な結末なのでしばらくしてちょっと待てよといった感じとなる。北森氏は好きな作家であるがこの作品はどちらかというと好きなほうではない。でも奇抜なアイデアで違った主人公の視点からこのような連作を作ってちゃんと読ませることが出来る作者の力量は相当なものだと感心する。


No.131 3点 五声のリチェルカーレ
深水黎一郎
(2010/04/11 19:20登録)
深水氏の作品は今まで読んだのはどれもが水準をはるかに向くすばらしいものであったが、これはぜんぜんダメでした。作者の才能と教養からこういった作品が生まれうることは何となく感じてはいたのですが、私にとって最後まで読むのが苦痛な作品でした。


No.130 5点 支那そば館の謎
北森鴻
(2010/04/10 20:10登録)
「ぶぶ漬け伝説の謎」を先に読んだので馬鹿っぽいキャラクターに慣れたせいかすらすら読めた。それなりに面白いが、ミステリー度は低く主人公の魅力で読ませる北森作品としてはあまり評価できない。ストーリーも読んだ傍らから忘れてしまいそうなお話でインパクトに乏しい。


No.129 5点 ぶぶ漬け伝説の謎
北森鴻
(2010/04/03 07:31登録)
北森鴻の短編集は謎を解くというより登場人物の会話と雰囲気や薀蓄を楽しむといった要素が大きいので、読者にとって登場人物がいかに気に入るかによって作品の楽しみが大きく変わる。このシリーズは魅力的な登場人物が多い北森作品の中ではちょっと馬鹿っぽいキャラクターに振りすぎており残念ながらあまり好みではない。美意識と孤独感を内に備えた人物の小説を書いているとこんなタイプのも書きたくなったのだろうか。


No.128 8点 赤い帆船(クルーザー)
西村京太郎
(2010/04/01 22:31登録)
この頃の西村京太郎はきっちりした本格ものを書いていたことを再認識した。スケールが大きい本格海洋推理小説でプロットもしっかりしており二転三転の物語の展開も明快な文章ですらすらと読める。書かれた時代が大分古いが、当時をリアルタイムで経験している私にとってはぜんぜん問題にならない。この後大量に出回るトラベルミステリーの探偵十津川警部(この本ではまだ警部補)がヨットマンとして登場するのも興味深い。薄利多売のようなトラベルミステリーとは格段の差が有ると思うが、この小説でも一介の刑事が気軽に海外出張したり犯人がぺらぺらと犯行の詳細を自供してしまうといった安易な設定がすでに見えるところが減点。

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