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ミステリの祭典

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七度狐
落語シリーズ

作家 大倉崇裕
出版日2003年07月
平均点6.60点
書評数5人

No.5 6点 ミステリ初心者
(2020/12/23 18:15登録)
ネタバレをしています。

 私の知らない落語の世界の話が物語にかかわってきますが、物語を理解するのに必要な知識はその都度解説が入るため、全くの無知でも読みやすかったです。
 また、クローズドサークルものであり、それほど場面が移動しないため、変に複雑でないこともよかったです。それでいて、驚きの真実やどんでん返しが楽しめ、解決編を読んだ後にすべての伏線がすっきり回収されるところは、横溝ものやアガサ・クリスティーもののような良さがあります。
 最初から重要な伏線がいくつかあり、素晴らしかったです。百目関連はもっとよく考えてみるべきでした(笑)。物語後半まで読み進めたところで、百目や幽体離脱系の話をすっかり忘れてしまっていました(笑)。

 以下、不満点。
・いくら昔のことであっても、亀山は自分の存在を隠し続けることが可能なのでしょうか?(笑) 
・露骨に怪しい夢風と亀山でしたが(笑)、やはり共犯というと好みではありません。

No.4 6点 E-BANKER
(2010/12/17 23:39登録)
「季刊落語」の牧編集長と部下、間宮緑のコンビが活躍するシリーズ第2作。
古典落語の名作に纏わる殺人事件。
~「静岡に行ってくれないかな」。北海道出張中の牧編集長から電話を受け、緑は単身杵槌村へ赴く。ここで名跡の後継者を決める口演会が開かれるのである。ところが、到着早々村は豪雨で孤立無援になり、関係者一同の緊張はいやがうえにも高まる。やがて後継者候補が1人ずつ見立て殺人の犠牲に・・・あらゆる事象が真相に奉仕する惑う事なき本格テイスト~

静岡の山奥の村を舞台に、閉ざされたクローズド・サークルで起こる連続殺人、おまけに落語の古典の「見立て」など、本格物のガジェット満載の作品になっています。
「見立て」については、どうしてもその「必然性」を考えてしまうのですが、本作については、トリックや何かを隠蔽するために仕方なくという必然性ではなく、あくまで「動機」や「事件の背景・経緯」と深く関連したうえでの必然性・・・というわけで、まぁ納得はさせられます。
解決編のサプライズもなかなかのものなので、本来ならもっと高評価でもいいかもしれないのですが、個人的には「どうも評価しにくい」感じ・・・
「落語」というものに全く親しんでないという理由もありますが、クローズドサークル物特有の緊張感とか衝撃が今ひとつ足りないのが原因かもしれませんね。
あと、周りはあの人の正体に本当に気づかなかったんですかねぇ?
(落語に詳しければもっと楽しめるのかも・・・)

No.3 6点 kanamori
(2010/07/02 22:57登録)
落語雑誌の牧編集長&新人部員・間宮緑シリーズの長編ミステリ。
先の短編集のテイストとは一転、閉ざされた村を舞台にした連続殺人を描いていて、本格ミステリど真ん中の作品です。
見立てや不可能犯罪など本格好きの趣向がふんだんに盛り込まれていて、パズラーの佳作といえそうです。

No.2 8点 makomako
(2010/06/13 08:18登録)
古典落語の話がメインということでちょっとどうかなと思ったのですが、落語のお話も芸に対する執念も興味深く書き込んである。さらに孤立した村と名探偵とパートナー、意外な展開と本格推理の面白さをしっかり楽しませてくれる。惜しいのは登場人物がうまく描き分けてあるのに探偵の手先となる緑さんがもうひとつのところ。もうちょっとでなかなかかわいくて素敵なヒロインとなれそうなのだが。
久しぶりに夜がふけるのも忘れて読んだ。この作品好きです。

No.1 7点 江守森江
(2009/05/22 16:05登録)
落語がテーマの本格長編ミステリ。
C・C物だがトリックらしいトリックはない(作者の弁)
このシリーズなら長短自在で外れはないが、作者のブログによればシリーズの新作は当分先らしい。
ミステリーとしてよりも、芸に対する落語家達の執念を読む作品でラストシーンが印象的。

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