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ミステリの祭典

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白戸修の事件簿
白戸修シリーズ。『ツール&ストール』改題。

作家 大倉崇裕
出版日2002年08月
平均点6.29点
書評数7人

No.7 5点 蟷螂の斧
(2021/04/07 17:25登録)
巻きこまれ形の探偵らしい。と言っても自分で解決してほしいものです。
①ツール&ストール 4点 友人が殺人の容疑者に・・・。さてどうするのか?と思ったら主人公が活躍するわけでもなかった。オチも先例があるしなあ
②サインぺインター 5点 許可なしの看板の回収に警官も大変???
③セイフティゾーン 6点 銀行強盗に遭遇。銀行の清掃員が思わぬ活躍。さて、その正体は?この設定は好き
④トラブルシューター 5点 ストーカーに怯える女性。その裏には、ある悪意が・・・
⑤ショップリフター 6点 出版社への内定があったばかりの主人公に万引きの疑いが・・・

No.6 6点 まさむね
(2017/09/01 22:57登録)
 お人好しな性格であるがゆえに、様々な事件に巻き込まれてしまう大学生「白戸修」が主人公の短編集。必ずしも探偵役を務めるという訳でもなく、純粋に巻き込まれただけ、という短編があるのも、なかなか楽しい。
 ハラハラさせる展開がありつつも、全体の雰囲気としては「ほのぼの調」であることも好印象。何より、全ての短編の結末が爽やかなのがイイ。
 個人的には、第一話「ツール&ストール」と最終話「ショップリフター」が特に良かったかな。

No.5 7点 Tetchy
(2014/04/22 22:57登録)
平凡な学生白戸修が巻き込まれるのはスリにステ看貼りに銀行強盗、そしてストーカー被害に最後は万引き。軽犯罪だけでなく命に係わる事件にも巻き込まれる受難男。
しかもここに収められた5つの事件は就職先も決まり、大学卒業を目前に控えた最後の単位取得の試験の時期、その1月後、そして卒業式も終わって入社式を迎える猶予期間、入社式前日までの大学生活最後の年の後半に起こっており、白戸修はこの短期間でドミノ倒しの如く次々と事件に巻き込まれていくという濃密な数ヶ月を送っている。しかもそのいずれも中野駅界隈であるのが面白い。作者は中野駅にどんな恨み(?)があるのだろうか。
物語の最初はいつも頼みごとを断りきれない気の弱いお人よしの青年という、いささか頼りない男と映る白戸修が、物語の最後ではそのお人よしぶりがこの上ない善人になり、稀に見る好青年となって読者の心に印象づけられていき、どの作品も読後は爽やかな涼風が心に吹く思いを抱かせる。

個人的ベストは「ツール&ストール」、「サインペインター」、「ショップリフター」の3編。「ツール&ストール」と「ショップリフター」は姉妹編とも云うべき好編でそれぞれスリと万引きと云う軽犯罪を扱っており、その手口のヴァリエーションも紹介され、その奥の深さに唸らされるが、最後に明らかになる事件全体に仕掛けられたトリックが判明するところは久々に不意打ちを食らった感があった。「サインペインター」は単なる巻き込まれ騒動の1編と思わせつつ、実は意外な謎が隠されていたという読者がその真相を探るのがほとんど不可能な構成の妙を買う。ホント、何が謎なのか全く解らなかった。

とはいえ、まだまだ特色のあるシリーズとはこの段階では云い難い。逆に最後の短編でシリーズキャラクターとなりそうな人物が再登場した事でこれからシリーズとしての奥行きと幅が出てきそうな予感がする。
次回からは出版社に就職した社会人として白戸修がまたもや事件に巻き込まれていくことになるのだろうが、どんな形で事件に関わるのか暖かい眼で見守ってやりたい。白戸修にはそんな魅力がある。

No.4 7点 E-BANKER
(2012/01/09 21:40登録)
頼まれると断れない、お人好しの大学生・白戸修が巻き込まれる事件の数々。
なぜか始まりはいつも「中野駅北口」っていうのも面白い。

①「ツール&ストール」=殺人犯の濡れ衣を着せられた先輩を救うため、スリ専門の元刑事となぜか真犯人探しに奔走する修。1日動き回ったあげく、最後にドンデン返しが待ち受ける。
②「サインペインター」=街中の電柱なんかによくある「ステ看」(サラ金なんかの看板ね)。この「ステ看」のバイトを急病の友人から無理やり振られた修。そして巻き込まれる「ステ看」張りの縄張り争い。そして最後には意外な構図と、修の思いやりが明らかに・・・
③「セイフティゾーン」=本作では、何と銀行強盗の現場に遭遇する修。たった1人の味方・芹沢とともに4人の犯人グループと対峙することになったが、実は芹沢にも大きな秘密があった・・・。ラストのシーンにホッとさせられる。(確かに掃除道具って強力な武器にもなるよなぁ)
④「トラブルシューター」=今回は、ストーカー被害に悩む女性を守る私立探偵の相棒になぜか無理やり引っ張りこまれる修。想像を超えて執拗さを発揮するストーカーに翻弄されるが、これも終盤には意外な構図が浮かび上がる。
⑤「ショップリフター」=今回はデパートの万引Gメンになぜか巻き込まれる修。本来の万引きGメンから携帯電話で指示を受け、右往左往するが、罠にはまり窮地に! そして、ラストにはまたしてもドンデン返しが・・・

以上5編。
主人公である白戸修のキャラが効いてるし、ドタバタ感も面白い。
毎回、訳の分からないうちに犯罪に巻き込まれ、右往左往している途中で、裏側にある真のカラクリに気付くというプロットは共通しているが、読者も白戸に感情移入しやすく、作者が用意するオチや仕掛けに素直に楽しめた。

たまには、こんな「ホッと」する作品集もいいね。
(オチのインパクトでは①がいいかな。③もなかなか好きだけど・・・)

No.3 7点 makomako
(2010/07/11 17:41登録)
こんな軽い感じの話は好きです。それぞれの話の中になかなかマニアックな薀蓄様の内容が盛り込まれているのも面白い。ツール&ストールが一番好き。

No.2 5点 kanamori
(2010/07/02 22:57登録)
軽犯罪ものの連作ミステリ、シリーズ第1作。
お人好しの大学生主人公が、いずれも中野駅に絡む事件に巻き込まれるという同じパターンで、繰り返しギャグとドタバタ劇が楽しい作品。

No.1 7点 江守森江
(2009/05/22 05:57登録)
単行本「ツール&ストール」(表題作)を改題して文庫化した物(内容は全く同じ)
主人公が事件に巻き込まれる連作短編集。
色々な犯罪の手口が楽しく読めるドタバタ・ミステリ。
一話目の秘密組織が最終話にも絡み連作としての趣向も楽しい。

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