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ミステリの祭典

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makomakoさんの登録情報
平均点:6.17点 書評数:887件

プロフィール| 書評

No.167 6点 借金取りの王子
垣根涼介
(2010/12/08 20:49登録)
君たちに明日はないの続編。相変わらず読みやすく面白いのだが前作ほどのインパクトがない。前作ではリストラ請負会社などというとんでもないテーマに対する驚きがあったが、第2作となるとびっくりの度合いが少なくなる。でも読んでいて面白いことは確かです。


No.166 7点 闇の喇叭
有栖川有栖
(2010/11/28 18:40登録)
 これって北海道の人が読んだらどうかなと思う内容であるけれど、まずまず上手に出来ていると思う。ちょっとびっくりするようなトリックも盛り込まれているが本格物としてのインパクトとしては多少物足りないかな。
 この小説は完結しておらず当然続きがあるものと思われ、作中の人物に愛着が深まってくればもっと楽しめるはず。次の作品を期待しよう。


No.165 8点 厭魅の如き憑くもの
三津田信三
(2010/11/19 19:53登録)
本格推理の面からいうとちょっと問題はあると思いますが、雰囲気がなかなかで楽しく読みました。文章も出てくる人物も分かり難いところがありすらすらとは読めず、ずいぶん読破するのに時間がかかった。読むのに時間がかかる小説はだいたいダメなのですが、本作品に関しては特有の雰囲気が長く楽しめたという印象です。ちょっと変わったところとしてはみんなを集めての最後の結末のところで、探偵役の刀城は次々とはずれの謎解きを繰り返し、最後にようやく正解らしきものにいたります。バカミスならともかくこんなへんちくりんな解決の仕方ははいかがなものかと少々感じました。


No.164 8点 星を継ぐもの
ジェイムズ・P・ホーガン
(2010/11/03 16:41登録)
この作品の評がこのサイトにあるのはやはりミステリー好きが読んでも楽しめる内容だからと思います。SFとしてもよく出来ているのでしょうが謎解きとして読んでも実に面白い。翻訳小説はあまり好きではない小生でも途中からは時間を忘れて読みふけってしまいました。


No.163 7点 妃は船を沈める
有栖川有栖
(2010/10/17 19:30登録)
中篇をふたつくっつけたというのは本サイトの書評にもあるとうりでした。長さとしてはちょっと短い長編小説なのですがアリスと火村の掛け合いはやや少ないのは残念なのですが、その分推理小説としてコンパクトにそぎ落とされた魅力もあります。読みやすいしこういったこともときにはありなのではと思うけど、私としては作者のがっちりした長編のほうが好みです。


No.162 7点 ガダラの豚
中島らも
(2010/10/10 07:56登録)
 盛りだくさんの内容をうまくミックスした小説。第1部の超能力とそれを暴くマジックが興味深くどんどん読んでいくと第2部はなんとアフリカの秘境冒険小説風となってこれまた大変面白い。第3部はまた舞台は日本。ケニヤの呪術者はとんでもない能力を発揮して主人公たちはとても太刀打ちできそうにないと思っていたらめちゃくちゃに近い展開となりめでたく終了。
 おもしろかったね。かなり長い小説だが長さは全く感じさせない。最後の展開があまりに非現実的なのが欠点かな。


No.161 7点 四月の橋
小島正樹
(2010/10/03 09:50登録)
「武家屋敷」ではトリックの詰め込みすぎと登場人物の魅力不足が気になったが、本作品ではそういった点が大幅に改善されている。探偵も例の「っす」とは言わなくなったし、先輩弁護師の泉さんはとても魅力的に描かれている。トリックも無理がないため「武家屋敷」のように解法事典を読んでいるようなつまらなさは皆無となった。そのかわり推理小説としては小粒でややひねりが足りない気もする(読者とはかようにわがままで贅沢なものです)。
 相変わらずあまりメジャーとは言いがたいリバーカヤックに対するお話がはじめのほうに長々と語られている。今回は川にちなんだお話であるのだが、カヤックの色々なテクニックのお話は薀蓄というよりはおたく気味である。
 それにしても短期間に人物描写がうまくなったのはすごいではないか。次回を期待しよう。


No.160 8点 首無の如き祟るもの
三津田信三
(2010/10/03 09:33登録)
 三津田氏の小説は初めてだが評判にたがわず面白かった。久しぶりのおどろおどろしげな本格推理小説。
 このところ雰囲気だけの小説やトリックだけ(しかもかなり無理なトリック)の小説が多いなあと嘆いていた矢先であったのでそういった面では十分に満足がいく内容でした。
 犯人も犯罪の過程や結果も私にはまったく推定できず(私はたいていの推理小説の犯人当てが外れるおめでたい読み手ではあるのですが)、作者の巧みなストーリー展開に巻き込まれ最後には唖然とした結果を十分楽しませてもらった。
 残念なのは探偵が事件をあつかった読み物を読んでの推理といった形態をなしているため、物語の中の言葉使いなどを証拠として指摘するのはちょっと無理があるように思えたところかな。せっかく小説のはじめのほうにちょこっと探偵が出てきているのだからそのまま事件に絡ませるとよかったのに。
 


No.159 6点 武家屋敷の殺人
小島正樹
(2010/09/26 09:05登録)
 話の展開は興味深いものがあり、トリックも盛りだくさんで何回も修正される謎解きも精緻であり、、、となれば本格推理小説として非常によく出来ていると思うはずなのだが、残念ながらそれほどでもない。原因は登場人物が平坦にしか描けていないことと、本の帯にあるようにトリックの詰め込みすぎにあるように感じる。私も探偵の「っす」としゃべるのは全くなじめない。弁護士がこんな言葉でしゃべったらまず自分の弁護人にはしないだろうな。
 主人公の瑞樹はもう少し素敵でかわいい女性に描いてもらいたかった。そうすれば印象はぐんとよくなったのに。最後のトリックの解決も精緻なのだが解法事典の答えを見ているようでちょっとうんざりしてしまった。「つめこみすぎ」なのです。
 旬な食材をふんだんに使った料理を高級な雰囲気のレストランで食べたのに意外と美味しくなかったような感じでした。


No.158 6点 配達あかずきん
大崎梢
(2010/09/26 08:15登録)
読んで不快な内容ではないが非常に面白いというほどでもない。表題の配達あかずきんが一番よかったかな。まあ軽い内容でひとつずつの長さが適当なので電車の中などで読む分にはちょうどよいかも。


No.157 6点 クリスマス黙示録
多島斗志之
(2010/08/29 07:35登録)
 アメリカを単にツアー旅行しただけでは決して分からないアメリカ人の日本人に対する考え方やアメリカ人気質がよく描かれている丹念な小説ではある。しかし主人公のタミはやたら相手を不愉快にする発言を繰り返す嫌なキャラクター。敵の女警察官はモンスターのような女。こんな女が今まで普通の警察官でいられたの?
 それを受け入れればまずまずなのだが。登場人物が好きでないのでどうしても印象は悪くなる。ひいきの多島氏の作品なのでちょっと甘めの評価。


No.156 7点 離愁
多島斗志之
(2010/08/21 21:20登録)
 これはミステリーというより恋愛小説のほうがふさわしいかもしれない。でも推理の要素はかなりあってそれなりに楽しめるし、結果もちょっと意外なものとなっている。
 主人公はほとんど無表情の女性。死後30年してからその女性の過去を探っていくという地味な話ではあるが多島氏らしい丁寧なストーリー展開にひきつけられる。


No.155 4点 雪のマズルカ
芦原すなお
(2010/08/21 21:07登録)
これは私にはあわない。芦原すなおは好きな作家であのふんわかした気分がなんともいえないと思っていたのだがこれは全く違ったテイストの作品。ぼんやりした小説を書いていたらたまにはスカッとしたものを書きたくなるのは分かるのだが、この小説はハードボイルドとしては間抜けなところがある(ハードボイルドの間抜けはぜんぜんふさわしくないと思うのだが)。推理小説として読むと穴だらけでこんな殺人を平気でやってしまう女探偵がいること自体が腑に落ちない。ふうちゃんが登場するのが唯一の救いとの意見に同感です。


No.154 6点 虫とりのうた
赤星香一郎
(2010/07/24 16:45登録)
私はミステリーよりホラーの要素を強く感じました。読んでいるとそれなりに面白いのですが、ちょっと気味が悪いところがあり好みとはいえない。
作者から解明されていない秘密が隠されているとコメントされているが、残念ながら私は見つけられなかった。その秘密をみつけないとこの話は解決されないというから難儀なことです。したがってみつけられなかった私はもうひとつ割り切れないままとなりました。


No.153 7点 福家警部補の挨拶
大倉崇裕
(2010/07/18 07:39登録)
4つの中篇すべてが倒叙小説。作者らしく犯人はその道に執着を持つために殺人まで犯してしまうという設定。どろどろとしたところは全く無くさらりと読めて後味もよい。福家警部補がかわいい小柄な女性であることにまずびっくりさせられるが読んでいくうちにこの警部補が好きになってきた。ちょっと作品ごとに出来不出来はあるがこのシリーズの続きも出ているので読んでみよう。


No.152 8点 青春デンデケデケデケ
芦原すなお
(2010/07/18 07:26登録)
作者が直木賞をとった作品。片田舎で何も知らない若者がバンドを組んでといった話でミステリーとはいえないが、同年代の私にはきわめて共感が深い。出てくる音楽もほとんどがかってなじみだったものばかり。われわれの青春時代を髣髴させてくれる。友人に勧めたら「三丁目の夕日」といわれた。そうかもしれない。


No.151 4点 共犯マジック
北森鴻
(2010/07/11 17:47登録)
北森鴻は好きな作家であるがこれは私にはあわなかった。悪いことのみが当たる占いのお話なんてだいたいがいやな感じがする上に結末ももうひとつすっきりしない。


No.150 7点 白戸修の事件簿
大倉崇裕
(2010/07/11 17:41登録)
こんな軽い感じの話は好きです。それぞれの話の中になかなかマニアックな薀蓄様の内容が盛り込まれているのも面白い。ツール&ストールが一番好き。


No.149 5点 無法地帯 幻の?を捜せ!
大倉崇裕
(2010/07/11 17:36登録)
 おたくの書いたおたく向けミステリー。登場人物のやることがめちゃくちゃでとてもこの世界についていけないと思ったらおしまいでしょう。よくこんな話を書いたもんだ。
 作者の三人目の幽霊や白戸修の事件簿を読んでこの作者を好きになったのでインターネットで買ったが、本屋で見たらきっと買っていないね。
 それでも5点としたのは私もゴジラの映画はすべて見ているし仮面ライダーはクウガ以後は楽しみにしているし(おたくじゃないよ、少年の心を忘れないだけ)。多少のシンパシーがあるので。


No.148 6点 冥府神の産声
北森鴻
(2010/07/04 13:23登録)
北森鴻らしくよく出来た小説と思うが、このお話はどうもすっきりしないところがある。物語があちこちの部分ですこしずつあいまいになっており本格推理といった感じは薄い。それでも十分に楽しめることは楽しめる。ただ医学系の話は自分がかかわりがあるせいかどうしても穴が見えてしまい楽しみが半減する。そういった穴を気にせずに読めば結構面白いと思うのだが。それにしても解剖学者が先端の移植医に突然なるのは無理なんじゃないかなあ。

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