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ミステリの祭典

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makomakoさんの登録情報
平均点:6.18点 書評数:873件

プロフィール| 書評

No.213 5点 葬神記 考古探偵一法師全の慧眼
化野燐
(2011/07/24 09:35登録)
 考古探偵という聞きなれないエキセントリックな探偵が登場するとの見出しに誘われえて読んでみた。さすが考古学を専門としていた作者らしく極めて専門的な話も出てくるが何とか理解できた。考古学の発掘という全く知らない世界も垣間見えてこの分は興味深かったが、推理小説としてみるとイマイチ。とくにいろんな事件の黒幕を見つけるに当たってはアンフェアーな展開でしょう。巻末の銅鐸の図解も物語とは関係ないと思うのだけど何で載せたのかなあ。
 ちょっと新分野に属するような小説のなりうると思うので、次回を期待しましょう。


No.212 6点 少女Aの殺人
今邑彩
(2011/07/16 14:39登録)
私は推理小説が好きなくせに、読んでいて犯人あてをしようと思っていないのか馬鹿なのか犯人が途中で分かることが少ないのですが、これは残念ながら途中で犯人が分かってしまった。犯人は結構以外ではあるのですが。当初はこんなみえみえで大丈夫かと思っているとそれ自体はうまくまとまって意外な展開とはなる。ちゃんと本筋ははずさないところもあるが、いかんせん犯人が分かってしまったのでちょっとつまらなかった。


No.211 8点 いつもの朝に
今邑彩
(2011/07/16 14:32登録)
これは厳密にいうとミステリーではなく、評にも書かれているように兄弟小説ではあるが、なかなか感動的でした。でもミステリーの要素はしっかりと書き込まれており、ストーリーも二転三転、そして意外な結末も用意されている。長編であるが一気に読んでしまった。最後のほうがちょっとくどいのがちょっと減点。


No.210 7点 七人の中にいる
今邑彩
(2011/07/16 14:24登録)
かなり面白い。結構長いお話なのに一気に読んでしまった。確かに多少地味かもしれないがミステリーの基本をしっかりと押さえた作風は好きです。作者はサスペンスといっているがちゃんとしたミステリーだと思います。発表当時はあまり注目されなかったようだが、やはり主人公が地味なことと、男からみると登場する女性がもうひとつかわいくない。女性の視点からみるとこうなるのだろうし多分この方が現実として正しいかもしれないのだが。
いずれにせよ最近作者の作品が次々に復刻されて誠に喜ばしいことだと思います。


No.209 7点 龍臥亭幻想
島田荘司
(2011/07/10 14:35登録)
初めの部分は物語の伸展が話し言葉でつづられてしかも岡山ベンなので多少読みにくい。まあすごい話ではありました。トリックも強烈で犯人も意外なと本格物としてすばらしいのですが、残念ながらこのトリックは成り立たないことが職業柄分かってしまい多少興ざめ。


No.208 7点 そして誰もいなくなる
今邑彩
(2011/07/02 07:29登録)
名作のオマージュはどこか作者の独りよがりのところが垣間見えてなかなか良いものには出会えないが、この作品はまず一定のラインはクリアーしていると思います。初めはこんな設定で大丈夫かなあと思っていたが、無理なく物語りは進行して最後のほうはお約束のどんでん返しもある。ただ個人的好みからいえば最後の話はなしのほうがすっきりとするのですが。


No.207 3点 ネジ式ザゼツキー
島田荘司
(2011/06/28 08:00登録)
どうも雲をつかむような話で、しかも長い。御手洗もいつの間にか脳科学者となり以前のようなエキセントリックなところがほとんどみられない。好みの問題でしょうが私は退屈してしまった。


No.206 1点 密室殺人ゲーム王手飛車取り
歌野晶午
(2011/06/26 08:14登録)
私にとってこんな設定の話は不愉快なだけでとても楽しむことはできない。


No.205 6点 「裏窓」殺人事件 tの密室
今邑彩
(2011/06/24 07:43登録)
一見無関係な事件がだんだんと捜査するに従いつながってくる過程は興味深く読める。探偵の貴島は陰気で暗く、あまり好きなキャラクターではない。彼の性格上結構衝撃的な話なのに物語の伸展が平坦な感じがする。目撃者の女の子もえらく気が強そうでもうひとつ魅力に欠ける。登場人物がよければこの話はもっともっとよくなりそうなのに。


No.204 5点 シャドウ
道尾秀介
(2011/06/23 08:03登録)
この作者とは愛称が悪いようだ。出だしから暗くて読みにくい。精神障害に興味があるようだが本で読んだ精神科といった感がとても強い。、精神科から神経科へ転科(神経内科ならともかく)とか、精神科医?が狂った人の治療と述べたり(これは多分ありえない。精神科医は病気と捕らえている)。
こういった本が共感されるということは精神科医や精神科医療が多くの人にこのように捕らえられているということを示すのかもしれないので、この方面に携わっているものとしては何だか心配な気もする。
主人公が精神科医の苦悩に絶望して国家試験を受けなかったというのもぜんぜん納得できない。医師にとってはほかの臨床科目はいっぱいあるし(むしろ精神科はマイナーなほう)、それが嫌なら基礎分野にも進める。
色々書いたが作者の筆力はなかなかのものと思うので、こういったことが気にならないならもう少し良い印象となるのだろう。


No.203 7点 「死霊」殺人事件
今邑彩
(2011/06/19 09:06登録)
私は結構この作品好きです。初めからかなり解決が大変と思われる謎が提出され、刑事はあちこち振りまわされつつ意外な結論へ到達していくところなんかはなかなか面白かった。ただ欠点もある。女性が書いた作品のせいかは登場人物の女性がちっとも素敵でない。若いツバメ(死語?)がおばさんを捨てて若い女のところへ走ってしまうにも相手の若い女が狸顔で無教養下品ではねえ(そんな女のところへはいかないでしょ)。主人公の刑事も何となく暗い過去を待ったのはよいが、捜査会議で突然死体が殺人を犯したなどと言うだろうか。刑事のキャラクターがエキセントリックなら仕方がないが、常識をわきまえた普段の行動とはかけ離れていて違和感がある。
評価が余りよくないが私は楽しく読みました。


No.202 5点 犬坊里美の冒険
島田荘司
(2011/06/15 07:27登録)
 主人公の犬吠泣きすぎ。だらしないったらありゃしないのに妙なところでがんばる。ミニスカートで化粧バッチリ、緊張してしゃべるとミーハーのようなへんちくりんな言葉。私は高学歴高地位の女性と一緒に働いたり接したり機会が比較的多いがいずれの女性もきわめて優秀で、男なんかによりはるかに丈夫。彼女たちにこれを読ませたらきっと作者は女を馬鹿にしているんじゃないと怒り出しそう。こんな女性がいたらかわいいとは思うが弁護士では頼りないでしょうね。
 日本の裁判制度に対する批判のようなものは読み取れるが、作者のミステリーとしてはちょっと薄味。


No.201 8点 スイス時計の謎
有栖川有栖
(2011/06/09 21:38登録)
スイス時計の謎は本格推理としてよく出来た作品と思います。この程度以上の長さがないとアリスと火村の掛け合いの楽しみが薄れてしまうのでちょうどよいのかも。いかにも本格らしいロジックにあふれていますが、しっかりと読んでいかないと意味不明の推理となりそうではあります。本格推理が好きな読者にとっては興味深い展開なので、当然私も興味しんしんで読みました。そのほかに3篇ではあるYの悲劇はまずまず。女彫刻家の首はちょっと落ちる。シャイロックの密室はトリック一本での勝負作。現実にこの話どうりになるかはかなり疑問ではあるが(理系の人間はすぐこういうことを考えていけませんね)まあ良しとしましょう。


No.200 4点 郷愁という名の密室
牧薩次
(2011/06/04 22:11登録)
牧薩次名での完全恋愛はなかなかよかったので読んでみたが、全く趣が違う作品。はっきり言ってぱっとしない。夢の中での密室がどうのこうのといわれても現実感はない。密室となった場面での挿絵があるけど、こんな絵でどんな説明となっているのか分からないようなしろもの。完全恋愛のようなみずみずしさがなくて、大分水分が抜けてしまったような気の抜けた印象でした。


No.199 6点 オーデュボンの祈り
伊坂幸太郎
(2011/05/31 21:06登録)
好みが分かれる話だと思います。現実離れしたシュールな作品で好みからいえば余り好きではない。しかし受け付けないこともない。作者の力は十分に感じる。ミステリーとしては完全に解決していないしもやもや感が残るけど、こういった話なら仕方がないのでしょう。もっと若い頃に読んだらもうちょっと共感したかも。伊坂氏の作品は読みにくそうだったので今まで敬遠していたのですが、これぐらいならなんとかなりそう。他も読んでみようかな。


No.198 5点 ささらさや
加納朋子
(2011/05/28 08:12登録)
 女性しか書けない内容ではある。女性が書いたから奥さんを「ばかっさや」なんて呼んでいても許されるのでしょう。内気で恥ずかしがりで自分のことをはっきり表現できない女性というのはちょっとの付き合いならムードがあってよいのだがずっといたらうっとうしいことこの上ない。しかも変に頑固で理詰め話をすると黙り込んで逃げていってしまう。爺さんにも一理ある話なのに全く聞こうとしない困った嫁。爺さんの立場から言えば家族に愛されていた息子が変な女と一緒になってもう嫁の言うことしか聞かなくなった上に、急死したら嫁は孫を連れて逃げてしまい孫に会わせてもくれないといったことになると思うが(自分が爺さんだからこんなとりかたをしてしまうのです)。
 こういった女性は職場にもいるのだが、放っておけないから話を聴いて、明らかに損な事をしているので止めてはどうかと余計なおせっかいをして黙りこくられる。一緒に仕事をするには本当に大変な人だが良い人手もあるのでむげにはできないし。
 ミステリーの度合いは大変低いがまあほんわかとした雰囲気ではあるのでそれを味わうといったところでしょう。
 


No.197 5点 六月六日生まれの天使
愛川晶
(2011/05/24 18:42登録)
 帯に読み終えた後必ずもう一度読みたくなりますとあるが、確かに私はもう一度読み直した。ただし感動したとか面白かったためではなく一度読んだだけだとどうもよく分からないところが多くあって、すっきりしないためだが。
 読み直すとだいたいは納得したのだが、それでももうひとつはっきりしないところが残った。さすがにもう一度読む気はしないのでこれで終わりとした。エログロが出てきた割には嫌な作品ではないがすきでもない。愛川氏の作品は比較的好んでいたのだが。


No.196 7点 i(アイ)―鏡に消えた殺人者
今邑彩
(2011/05/23 18:22登録)
出だしがあまり好きでないが途中はなかなか本格推理としてよくできていると思う。作者は怪奇と本格推理の癒合を目指したとのことだがこういった方向は嫌いではない。結構楽しく読んだので私としては評価は高いほうです。ただ最後のどんでん返しも意外性があって面白いのだが、女性の感覚なのだろうか主人公の行動がどうにも腑に落ちない。最後の数ページは怪奇趣味の結果だろうがせっかくの本格推理がなんだか消化不良の結果となってしまった。


No.195 6点 ホラー作家の棲む家
三津田信三
(2011/05/19 22:01登録)
刀城シリーズは大好きなのだが、こういった現実と物語の混在したような作品はどうもあわない。ホラーもあんまり好きではない。処女作ということだが、導入部分が長く退屈なのはその後の作品と共通しているようだ。我慢して読んでいくとだんだん興味深い内容となってくるが、おしまいのほうはどうもよく分からない。作者も多分分からせようと思ってはいないのだろう。それにしてもこんな家に住もうと思うことじたいが私の感覚では理解できそうにない。


No.194 5点 インシテミル
米澤穂信
(2011/05/13 18:50登録)
読み始めはとても面白そうでどうなることかとはらはらしながら読んだ。読み進むにつれてこんな設定は不自然ということはさておいて、人殺しを全くのゲームとしてみている組織にだんだん腹立たしくなってきた。登場人物にも同様の人物がいてとても嫌な感じ。私が今まで読んだ作者の作品とは最後のほうが大幅に違う。最後に新たな殺人ゲームを企画するにいたっては悪趣味としか思えない。推理小説はしょせん殺人をお遊びとして楽しむのではないかといってしまえばそれまでではあるが。読み始めてたらひきつけられて読んだ割には読後感が悪い。

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