home

ミステリの祭典

login
makomakoさんの登録情報
平均点:6.17点 書評数:887件

プロフィール| 書評

No.227 4点 釧路・札幌1/10000の逆転
深谷忠記
(2011/10/09 08:55登録)
 深谷氏の作品は謎があり、鉄壁のアリバイがあり、意外な犯人やトリックがあるのだが、どうも私には面白く感じられない。レシピどうり作ったがこくのない料理。もっと言えば数学の解答を読んでいるような感じでなのです。難しい数式を考えていたら解答では思いもつかぬ変数を代入するとすらりと解けますよといったもののような感じといったらよいか。
 実際の捜査はきっとこんな風に近いとは思うのだがごたごたと細かい理屈が書かれていて結局それがぜんぜんダメだったりしたりしてと読んでいてうっとうしくなる。最後の展開も以外であったが、一般にこういった展開だとどうしてそうなったかをわくわくしながら読むのだが、氏の小説ではよく分かりました、もう結構です、といった感じとなってしまった。


No.226 6点 天使の眠り
岸田るり子
(2011/09/25 21:47登録)
 小説として読んでいると何となくだまされ結末も納得してしまうのだが。うーん、作者は女性だからこういったお話が成り立つの考えるのだろうが、男はもっと女性の肉体的なことはよく覚えているのでまずこうはならないと思いますが。
 それにしても主人公の秋沢はひどい取り扱いですね。若くてきれいな新しい恋人ができたから、昔の思い出なんかはめちゃくちゃにされてもまあよいだろうということなのでしょうかねえ。


No.225 8点 虚栄の肖像
北森鴻
(2011/09/21 12:01登録)
佐月シリーズの第2弾。3つの短編が連作のように絡み合い、花氏であり絵画修復師という魅力的な主人公の過去が少しずつ明らかになっていく。物語の謎のに伴って大変興味深い。少し暗い感じもしますが個人的には非常に好きな短編集です。


No.224 7点
今邑彩
(2011/09/17 16:21登録)
10分程度で読める短編を集めたもので、ひとつの物語たいていは中断することなく最後まで読める。推理の要素は少ないがコンパクトにまとめられていて大変読みやすい。ホラーの傾向があるもの多いが、嫌な印象は受けない。なかなかの短編集。


No.223 6点 阿蘇・雲仙逆転の殺人
深谷忠記
(2011/09/17 16:09登録)
旅情ミステリーとして渥美半島から雲仙阿蘇と観光名所を旅するような感覚を盛り込んだサービスあり、奇抜なトリックありなのになんだかもうひとつインパクトにかける。ずいぶん昔読んだものを再読してみたが当時も今もこんな印象は変わりない。


No.222 6点 暁英
北森鴻
(2011/09/12 21:20登録)
 北森氏の最後の長編。完成すれば大長編となったのだが。それでも大体のなぞについての手がかりは書き残してくれているので結末は想像がつく。もっとも氏の事だから大どんでん返しがあるのかもしれなかったが。
 鹿鳴館のなぞについて深く掘り返すだけでなく、西南戦争や大久保の暗殺に対しても極めて特異な解釈がされており作者の並々ならぬ歴史観が伺える。ところが話はあんまり面白くないのだ。北森鴻ならもっといくらでも面白くかけただろうに。氏の小説としては珍しく読んでいて退屈になってしまった。読者に対するサービス精神旺盛な作者であったが、最後の長編となったこの小説では自分が書きたいことのみを書いていったのだろうか。


No.221 5点 鎌倉ユガ洞殺人水脈
浅黄斑
(2011/09/11 08:16登録)
結構いろんな小道具が出てきたり、薀蓄も盛り込まれているのだが、いかんせん話のテンポが悪く凡長な感じは否めない。誘拐の捜査は実際にはこんな感じなのかもしれないが、それをそのまま読まされてもねえ。悪くはないのだがよくもない。何となく作者の限界を感じさせるところが多々あるが。次回に期待しよう。


No.220 6点 ブラジル蝶の謎
有栖川有栖
(2011/09/11 08:09登録)
有栖川氏の短編物は一発芸のようなところがあり、当たれば爽快だが外れるとなあんだということとなりがち。この作品集はあたりではなかったが、大はずれでもない。旅行中のつれづれに読んだので退屈しのぎにはなったが、心に残るようなものでもなかった。氏のファンであるので多少甘めの評価かもしれない。


No.219 7点 迷路館の殺人
綾辻行人
(2011/08/21 10:25登録)
綾辻氏の館シリーズはすべてリアルタイムで読んだ。次の作品が出るのが待ち遠しく発売直後に購入した頃が懐かしい。このシリーズは言ってみれば密室の謎が「実は抜け穴がありました」といった禁じ手のようなところもあるのだが、それでもなお読ませる勢いと情熱を感じていた。迷路館はその中でも実に凝ったつくりが魅力的で、作中作、謎かけなど興味が尽きない。禁じ手ぎりぎりのところも多々あるがそれをいやみとさせないところが作者のすごさでしょう。20年以上たって再読してみたがやっぱり面白かった。最近の作者には円熟と引き換えにこういった楽しさがうせてきているのは残念なところです。がんばれ綾辻!


No.218 7点 龍臥亭事件
島田荘司
(2011/08/18 21:48登録)
力作であることは分かるが、やっぱり長いなあ。社会派と本格と文章的表現のいずれをも大切としたという姿勢は分かるけどちょっと凡長にすぎる。小説の雰囲気はとてもよいと思うのだが切れ味が悪い。30人殺しの真実を伝えたいという試みも悪くはないと思うしこの小説にとって肝心なところではあるのだが、ここまでだらだらと書く必要はないのでは。犬坊里美の冒険を読んで久しぶりに読み直したが発表当時に読んだ印象とあまり変わりはなかった。


No.217 2点 ストロベリーナイト
誉田哲也
(2011/08/11 07:42登録)
まず主人公の姫川が好きでないことが大きい。さらに強圧的な警察官が出現して犯人でもなんでもない人の都合など一切無視して無茶苦茶を言いまくる。言葉使いも最低、といったところにいたっては読むのが苦痛となったほど。もし現役の警察官がこれを読んだらさぞかし憤慨すること(そう願いたい)と思う。


No.216 6点 つきまとわれて
今邑彩
(2011/07/31 07:46登録)
魅力的な謎とどんでん返しと推理小説のお約束はきちんとふんだ小説であり読んでいる間は面白かったのだが、なぜか印象が後に残らない。インパクトもそれなりにあると思うのだが。


No.215 7点 なぜ絵版師に頼まなかったのか
北森鴻
(2011/07/31 07:42登録)
北森氏得意の連作。話は明治初期の東京大学雇われ外国人に仕える冬馬が中心となって周囲におきる事件を順々に綴っていく。はっきり言って推理小説としては若干弱いところがあるが、作者の巧みな筆により昔学校で習った(と記憶する?)有名外国人たちがそれぞれが極めて特徴的でもあり、日本と日本文化とんでもなく愛していたことがほほえましく描かれている。愛すべき小説でした。


No.214 6点 よもつひらさか
今邑彩
(2011/07/24 09:46登録)
今邑氏の作品はどれをよんでもきちんとした構成と練った内容が読み取れて面白い。私としては作者の長編物のほうが好みではあるが、短編もどれもひねりが効いている。「ささやく鏡」や「茉莉花」南下は結構好きだが、好みでないお話もあり(穴二つなんかは好きでないな)全体としての印象はまずまずといったところでした。


No.213 5点 葬神記 考古探偵一法師全の慧眼
化野燐
(2011/07/24 09:35登録)
 考古探偵という聞きなれないエキセントリックな探偵が登場するとの見出しに誘われえて読んでみた。さすが考古学を専門としていた作者らしく極めて専門的な話も出てくるが何とか理解できた。考古学の発掘という全く知らない世界も垣間見えてこの分は興味深かったが、推理小説としてみるとイマイチ。とくにいろんな事件の黒幕を見つけるに当たってはアンフェアーな展開でしょう。巻末の銅鐸の図解も物語とは関係ないと思うのだけど何で載せたのかなあ。
 ちょっと新分野に属するような小説のなりうると思うので、次回を期待しましょう。


No.212 6点 少女Aの殺人
今邑彩
(2011/07/16 14:39登録)
私は推理小説が好きなくせに、読んでいて犯人あてをしようと思っていないのか馬鹿なのか犯人が途中で分かることが少ないのですが、これは残念ながら途中で犯人が分かってしまった。犯人は結構以外ではあるのですが。当初はこんなみえみえで大丈夫かと思っているとそれ自体はうまくまとまって意外な展開とはなる。ちゃんと本筋ははずさないところもあるが、いかんせん犯人が分かってしまったのでちょっとつまらなかった。


No.211 8点 いつもの朝に
今邑彩
(2011/07/16 14:32登録)
これは厳密にいうとミステリーではなく、評にも書かれているように兄弟小説ではあるが、なかなか感動的でした。でもミステリーの要素はしっかりと書き込まれており、ストーリーも二転三転、そして意外な結末も用意されている。長編であるが一気に読んでしまった。最後のほうがちょっとくどいのがちょっと減点。


No.210 7点 七人の中にいる
今邑彩
(2011/07/16 14:24登録)
かなり面白い。結構長いお話なのに一気に読んでしまった。確かに多少地味かもしれないがミステリーの基本をしっかりと押さえた作風は好きです。作者はサスペンスといっているがちゃんとしたミステリーだと思います。発表当時はあまり注目されなかったようだが、やはり主人公が地味なことと、男からみると登場する女性がもうひとつかわいくない。女性の視点からみるとこうなるのだろうし多分この方が現実として正しいかもしれないのだが。
いずれにせよ最近作者の作品が次々に復刻されて誠に喜ばしいことだと思います。


No.209 7点 龍臥亭幻想
島田荘司
(2011/07/10 14:35登録)
初めの部分は物語の伸展が話し言葉でつづられてしかも岡山ベンなので多少読みにくい。まあすごい話ではありました。トリックも強烈で犯人も意外なと本格物としてすばらしいのですが、残念ながらこのトリックは成り立たないことが職業柄分かってしまい多少興ざめ。


No.208 7点 そして誰もいなくなる
今邑彩
(2011/07/02 07:29登録)
名作のオマージュはどこか作者の独りよがりのところが垣間見えてなかなか良いものには出会えないが、この作品はまず一定のラインはクリアーしていると思います。初めはこんな設定で大丈夫かなあと思っていたが、無理なく物語りは進行して最後のほうはお約束のどんでん返しもある。ただ個人的好みからいえば最後の話はなしのほうがすっきりとするのですが。

887中の書評を表示しています 661 - 680