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ミステリの祭典

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makomakoさんの登録情報
平均点:6.18点 書評数:862件

プロフィール| 書評

No.542 7点 黒龍荘の惨劇
岡田秀文
(2017/03/26 08:59登録)
バリバリの本格推理です。本格物が好きな方はぜひ。
舞台は明治時代で、大きなお屋敷といわくありげな登場人物。そして歌になぞらえた連続殺人事件。
 なんともおどろおどろしい。なんかどこかの名作で読んだようだなあとも思いつつ読み進めていくと、最後は見事にやられた。
 久しぶりの大トリックで大どんでん返しでした。
 探偵の月輪は、なかなかの名前ですが、インパクトはいまいちかな。もう少しスマートにかけていたらもっと良い点数となったのですが。


No.541 6点 曲った蝶番
ジョン・ディクスン・カー
(2017/03/24 22:14登録)
はじめのうちは実に面白い。主人公の友人で誰もが疑ったこともない地元の名士が偽物で、本物はこの俺だといった人物が出てきての争いとなる。そりゃ無理でしょうと思っていたら、案外名乗り出た人物が本物かもしれない。どうなることやら。
 この辺りのお話はカーのストーリーテラーの本領発揮といったところです。
 かなりお話が進んでようやく殺人がおきるのだが、殺人の方法が全く分からない。だとすると自殺なのか?読むほうは完全に作者に翻弄されてしまう。
 さすがカーと思わせる展開なのですが、フェル博士の長々とした解説がかなり凡長でちょっと嫌気がさしてきたところで、犯人ととんでもない殺人方法が提示される。
 せっかくのお話がだいなしだなあ。長々と読んできてこんなのではむちゃくちゃではないかと腹立たしく思っていたら、さすがにこのまま終わるのではなく、真相はまたもとんでもないものでした。まあ納得なのですが、無理っぽいことは否めませんでした。


No.540 6点 ビブリア古書堂の事件手帖7
三上延
(2017/03/06 18:34登録)
 このシリーズは6冊までは順調に発表されていたのに、この第7作が出るのにやたら手間取って作者が病気かスランプになったか心配したほどでした。
 あまり待ったのでお話の詳細も大分忘れてしまっていたのですが、作者は読者が忘れているだろうことを想定してか、ちゃんと思い出せるように色々と説明を入れてくれています。
 古書ことに今回はシェイクスピアという外国の古典であるため、それなりの薀蓄が楽しめたのですが、根底となるお話としては当たり前の展開で、まあこんなものかといったところでした。
 読みやすいが、内容も薄いといった感じは否めませんでした。
 まあこのシリーズそのものがそういった感じではあるのですが。
 とにかくようやく完結の運びとなりました。めでたしめでたし。
作者は番外編みたいのものを書こうとしているようですが、もう読まないかも。


No.539 7点 狩人の悪夢
有栖川有栖
(2017/03/05 10:43登録)
 このところぐっと懐が深くなってきた有栖川有栖氏の火村シリーズの長編ということでさっそく読んでみました。
 なかなか長い。殺人事件の話となるまでに相当ページがさいてあります。それでも飽きさせずに読ませるのはさすがに最近の有栖川有栖。充実していますねえ。
 登場人物は少ない。犯人たる人物は極めて絞られています。かなり最後まで行かない犯人は分からない。後付けで真相を暴露するといったかたちなら、誰が犯人でもこの小説は成り立ちそうなのです。
 まあ怪しげな人は初めから怪しそうなのですが、推理小説の常として怪しそうな人は犯人でないことが多いからなあなどと、余分なことを心配しながら読むこととなりました。
 どんでん返しはあるのか?期待しながら読んでいました。
 結果は書きません。読みごたえは十分で読んで損はありませんよ。


No.538 5点 プレゼント
若竹七海
(2017/03/05 10:29登録)
 推理小説の短編集として、よくできた作品が並んでいるといってよいと思います。
ちょっと外国の推理小説みたい。
推理小説が好きな方にはいい感じ。このサイトでの評判がよいのもよく分かります。
私のようなつるつると呼んでいく読者にとってはひねりが効きすぎて分かりにくいものが何点かありました。
メイン単体の一人の葉村さんは若い頃より年が行ってからのほうがいい感じですね。


No.537 7点 緑のカプセルの謎
ジョン・ディクスン・カー
(2017/02/10 20:37登録)
 みんなの目の前でしかもフィルムを回しながら殺人事件が起きるという、なんともものすごい設定です。犯人とおぼしき人物は次々と指摘されるが、全員鉄壁のアリバイがある。よくもこんなお話が成立したとまず感心しました。推理小説ファンにはこたえられないです。
 ちょっと残念なのは犯人の推理が二転三転しながらは良いのですが、ちょっとくどい感じになってしまったところです。これだけいろいろやればくどくなるのもやむを得ないかなあ。
 カーの作品はそれほど読んではいませんでした。こみいった話である上に翻訳が悪く読みにくいのです。そういった悩みは今回の新訳でずい分解消されたようです。
 何篇か新訳が出ているようなので、読んでみようかな。


No.536 6点 悪いうさぎ
若竹七海
(2017/01/29 15:33登録)
 この作品はミステリーマニアならかなり高く評価されそうです。ストーリーが奇抜で規模も大きく、推理もサスペンスもあり、最後のどんでん返しなどもなかなかのものです。
 じゃあどうして私はこの程度の評価なのでというと、女の登場人物に対する体つきや容貌など外見的な描写が少なく、セクシーでかわいい女の子がほとんどいない(本当は若い女性が多く登場するのできっと外見がよい女の子が出てきているなずなのですが、葉村を含めて)。人物は話の駒としての扱いが強いのです。私は人の名前を覚えるのが苦手なので、どの子がどうだったかがしばしばわからなくなりました。セクシャルな面は女性にとってどうでもよいのでしょうが、男の読者にとってはかなり重要なポイントと思います(私だけか?)
 多分この辺りが一般の書評がやや低めで、ミステリー好きには受けるところなのかもしれません。


No.535 5点 依頼人は死んだ
若竹七海
(2017/01/18 21:32登録)
 さよならの手口が面白かったので、葉村晶シリーズを読んでみようと思い何冊か購入しました。本作品が葉村晶の原点。連作となっていますが、初めのほうはなんだかいやな感じの登場人物が多く出てくるし、葉村もあまり感じよくないし、であまり感心しませんでした。
 女性しか書けない世界であることは間違いなく、女ってこんな風なんだというところは随所にみられ興味深いのですが、女から見ると女は随分感じの悪いのが多いようで、女性に対するあこがれが爺になっても消えない私にとってかなりショッキングです。
 葉村はもっといい女のようにも思うのですが。
 肝心のお話のほうは推理モノやちょっと幻想風のものなどがあり、でこぼこな感じでした。
 全体としてはすごくよくはなかったが、悪いということもないといった感じです。


No.534 7点 追憶の夜想曲
中山七里
(2017/01/15 21:23登録)
 このサイトでの評価がかなり高い作品ですが、私はこの程度の評価です。どうしても主人公の御子柴に違和感があるのです。
 まあ小説の中ですからどういった背景にしてもよいといえばよいのですが、あまりにもショッキング。私にとってはひどすぎます。勿論作者はそれを狙って書いてはいるのでしょうが。
 小説の内容としてはよくできたものとは思いますが、私のように犯人がほとんど分かったためしがないものでも、見当はつきました。なんせ御子柴が弁護を買って出たのですから当然被告が犯人ではない。すると登場人物が少ないため自動的に誰がやったが推測できてしまうのです。
 さらに物語が御子柴個人の歴史と重なってくるのですが、このことに関してはほとんど述べられずなんだか後出しじゃんけんのようにも感じられました。まあそれを無理なくまとめているのは作者の力量と思いますが。
 


No.533 6点 贖罪の奏鳴曲
中山七里
(2017/01/08 14:55登録)
 はじめのうちはちょっと引いてしまいそうな内容です。これが楽しい人もいるようですが、私は感覚的にあいません。
 途中から二転三転して最後にはまあ何とかそれなりに良かったような気にもなりますが、ちょっと現実感が乏しいような気もします。
 もともと興味本位で殺人を起こす人物がこんな風になるのかなあ。
 それとこのサイトの書評にもありましたが、御子柴の死体遺棄はどうなるのでしょうかねえ。


No.532 7点 祈りの幕が下りる時
東野圭吾
(2017/01/04 18:41登録)
 面白いというより相当に悲しい物語でした。東野氏はこれ程多作なのによくもこんなストーリーをかけるものだと改めて感心しました。
 一見無関係な話が最後にはきちんと決着してくるところは見事なものです。ただとても暗い話で、やりきれないなあ。
 加賀警部補もだんだん偏屈で暗くなってきている。はじめは相当好きなキャラクターだったけど、こういった話を見せつけられるとちょっとつらい。
 最後の決着がどうなったかははっきり書いていないけど、推理小説としては完結しているのでしょう。


No.531 6点 さよならの手口
若竹七海
(2016/12/30 14:03登録)
 なかなかの力作だと思います。いろんなアイデアを盛り込んでのハードボイルドであり推理小説でもあり。これを書くのは大変だったのでは。
 女性でなければ絶対書けない女たちの描写がまた興味深い。男にとっては女は永遠の謎があるのですが、女同士だと謎でも何でもない。結構素敵な葉村晶やその周囲の女性たちなのですが、女から見ると男に全然もてる要素がないように描かれてしまっている。女は女に厳しいねえ。
 そういった内容ならもっと評価が上がってもよいのですが、いろいろなアイデアむしろがごちゃごちゃした感じになってしまっているからではないでしょうか。
 作るのに大変な作品が必ず素晴らしいというわけにいかない。良い要素が詰まっているのにちょっと残念です。


No.530 8点 カーテン ポアロ最後の事件
アガサ・クリスティー
(2016/12/23 12:13登録)
 ポアロ最後のお話です。自分が犯人たりえない方法で殺人を繰り返す殺人者。まさに究極の殺人者といえるかもしれません。それに対するポアロはもう命がつきかけてでも頭はさえています。
 作者も歳をとり、若い頃のような感性がつきかけているようで、登場人物がちょっとこらえ性がない。でもまあそこそこには収まっているところはさすがクリスティー。
 最終場面ではついにポアロが死んでしまう。
 私はポアロがそれほど好きではないように思っていましたが、こうしてお別れとなると実に心残りです。
 あとあとまで心に残るお話でした。


No.529 6点 オシリスの眼
R・オースティン・フリーマン
(2016/12/16 21:43登録)
 はじめに不可解なエジプト学者の失踪が語られる。いかにもといった感じでここにトリックがあると推理小説ファンならすぐに気づくところですが、これが意外と難敵でした。
 登場人物が少ないので読みやすく犯人の推察もできるのですが、真相を見抜くのは難しいと思います。
 作者が医者であるので、解剖学的なお話は比較的正しく書かれています。確かに普通の人間がバラバラ事件を起こすとしたらこのような切断は絶対しないでしょう。
 私は古代エジプトが好きなので、エジプトに関するお話もすんなりと理解できましたが、この方面の知識がないとちょっとわかりにくいかも。
 実に大胆なトリックというべきですが、現実に可能か否かは何とも言えませんね。
 でもこんなことを考え付いたことに敬意を表します。


No.528 6点 珈琲店タレーランの事件簿5
岡崎琢磨
(2016/12/07 21:55登録)
 このシリーズは読みやすいのですが、内容はあまり濃いものではありません。今回はアオヤマ君の過去に絡んだお話。眞子という素敵な女性が登場します。源氏物語が好きで何かと源氏物語に人生がかぶってしまう女性、素敵ですね。でも話は結構暗い。何とかよさそうな結末になっていくのですが、最後がくどいなあ。もう少しすっきりと終わりたかった。そうすればさらに読後感がよくなるのですが。
 それにしても美星さんはめちゃめちゃによく当たる推理屋ですね。ちょっと無理があるぐらい些細なことから真相を見抜いてしまう。こんな人といっちょにいたら疲れるだろうな。


No.527 5点 鳩のなかの猫
アガサ・クリスティー
(2016/12/04 08:35登録)
 クリスティーにしてはこの作品はあまり出来がよろしくないと思います。本格物としてはこのサイトの書評でも述べられているように無理があります。ポアロが登場するのも半分以上話が済んだ後、しかも彼が話を聞いたらたちどころに解決してしまう。犯人のわかった理由は後付けで出てくるといったアンフェアさ。
 確かにこれでは誰が犯人でも成り立ってしまうでしょう。しかも彼女の長編の中でも長いほうのお話なので、途中で退屈してしまう。
 なんだか無理やり書き上げた作品のような気もします。
 大作家でもこういった駄作?があるのですね。


No.526 6点 書斎の死体
アガサ・クリスティー
(2016/11/25 21:23登録)
 小説の序文に筆者自身が書いているように、オーソドックスな書斎にその住人には全く面識のない奇抜な若い女性の死体が発見されるという、現実には到底無理な設定の事件のお話です。
 ミスマープルによって真相が明らかにされるとまあ納得できるものではあります。
 クリスティーの作品だけあって真相はそう簡単には見抜けません。こんな真相であるなんて私は思いもよらなかった。ただしこのトリック?はあくまでも古き良き時代のお話であって、現代なら絶対無理でしょうね。現代の推理小説作家さんは大変だなあ。


No.525 5点 死者のあやまち
アガサ・クリスティー
(2016/11/23 17:33登録)
 お金持ちの屋敷で余興に殺人ゲームを企画したら、殺される役の女の子が本当に死んでいたという、サービス精神にあふれた作品といえましょう。
 登場人物の推理作家アリアドニオリヴァーはクリスティーの分身のようなところがありなかなか興味深いのですが、このお話はクリスティーとしてはあまり出来が良いとは言えないと思います。
 例によって最後にポアロにより真相が明らかにされますがあまりにも作りすぎで、これほど複雑なことをしなくてもいくらでもやりようがあろうかと思うのです。


No.524 6点 麒麟の翼
東野圭吾
(2016/11/16 21:47登録)
作者は話の始め方がとても上手な作家と思っていますが、このお話はそれほどでもない。初めのほうは加害者とされている人物や彼を愛する女性の悲惨な状態、そして被害者の家族がいじめにあったりしてちょっとやりきれない。
 次第に加賀の地道な捜査から、意外な結末が浮かび上がってくる。最後には何となくよかったといった終わり方なのだが、あまりすっきりしないのです。
 この結末ではとても重く取り返しのつかないことが残ったままで、全然すっきりとはしない。まあそこが物語の重さともいえるのですが。
 それにしても被害者が突然刺されたときに、瀕死の重傷を負いながら急に思いついて必死に歩いて日本橋まで行くというのがちょっと無理がある気もします。


No.523 5点 象は忘れない
アガサ・クリスティー
(2016/11/11 19:42登録)
 最近クリスティーの作品をよく読むようになりましたが、これは本当に最晩年の作品で、やはり年寄りが書いたの作品といった感じは拭い去れませんでした。
 悪くはないのです。
 作家がファンからあまりに称賛されると気恥ずかしくていやだといったところは、多分作者自身の感慨からのものであろうと思います。クリスティーは謙虚な人だったようですから。
 高齢になっても筆力が衰えないことをある意味証明したような作品ではありますが、うまくまとめてはいるが若いパワーがないなあとしみじみ感じるところもあります。
 私だけかもしれませんが、ことに前半ではセリフのうけとりの場面が長く続き、誰がしゃべっているのかよくわからなくなるところが多くありました。ひょっとしたら翻訳のせいかもしれませんが、これが重なってくるとかなり読みにくい。原文はどうなのかな。

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