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ミステリの祭典

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テミスの剣

作家 中山七里
出版日2014年10月
平均点6.00点
書評数6人

No.6 5点 蟷螂の斧
(2017/07/04 13:46登録)
あらすじが物語全体の半分まで紹介されています。これは読むのに辛い。これからどうなるのか?の楽しみを奪われてしまう・・・。最近の著者の作品は社会派よりのミステリーが多いような気がします。本作も冤罪がらみ。後半、物語が急展開するのですが、既視感がありあり(苦笑)。他作品に比べインパクトは弱かったかも。

No.5 7点 メルカトル
(2017/06/22 22:06登録)
冤罪を扱った本作は、本格というより社会派の色合いが強いような気がします。それにプラス警察小説でしょうかね。
死刑の是非や司法から見た冤罪、旧態依然とした警察の体質の問題など、様々な問題提起に色々考えさせられる作品だと思います。中山氏の作品は一本筋が通ったものが多いですが、これもまた通底する問題意識は他に劣らず根深いものと感じます。
ストーリーも最初は単純な冤罪かと思いきや、のちのち意外な人物が浮かび上がってきたりして、予想を超えた展開を迎えます。
派手さはありません、むしろ地味な捜査の描写が続きます。しかし、この作者の筆致は退屈さとは無縁で、何を書かせてもついのめり込んでしまいます。それはもはや天性のもので、まさにミステリを書くために生まれてきたのではないかと思えるほど、その才能をいかんなく発揮しています。
メイントリックは確かに盲点を突いているものの、あまりに大胆すぎると思います。普通は敢えてそのような犯行手口を使うのはやはり無理があるのではないかと。
尚、『静おばあちゃんにおまかせ」の高遠寺静が裁判官として登場します。チョイ役とかではなく、かなり重要な役どころですので、こちらもファンとしては見逃せませんね。

No.4 7点 makomako
(2017/05/20 08:04登録)
 こんなお話が現実に警察であったとすると、冤罪などいくらでもできてしまいそうです。確かに悪賢いやつはなんとでも言い逃れして結局無罪となりかねないのでしょうが、思い込み捜査はやはり問題なのでしょう。
 作者の小説にはいろいろなキャラクターが出てきてそれぞれに興味深い。ことに本作品の主人公は正義感にあふれていて、しかもそれを自分が不利となってさえ実行していくのですが、それが皆に嫌われる元となってしまって、なんだかいたたまれません。
 こんなお話では最後がつらくなりそうなのですが、最後にはほっとする景色が描かれ、読後感はとてもよくなりました。

No.3 7点 パンやん
(2016/04/07 10:39登録)
冤罪のつくられ方がとてもわかりやすく、証拠捏造の論理にもなかなかの説得力があり、組織人の責任の有様とか、リアルで予想通りと思わせてからのどんでん返しが魅力。殺人トリックはちと弱いが、他作品の主人公が微妙に絡む当たりの世界観、中山七里、やりよるなぁ〜である。

No.2 5点 HORNET
(2015/12/12 21:06登録)
 「ミステリ」という観点から見ればそう評価は上がらないかも。基本的に「冤罪」を題材にした社会小説の色が濃いかな。それが一本太い幹としてあって、枝葉にミステリが数点添付されている、といった印象。
 しかも、その「枝」は根元から分かれている感じじゃなく、幹のかなり上の方で枝分かれして一本一本も短い。つまり、話のかなり後段になってこれまでなかった事実がでてきて、急展開する。それでも一番の黒幕はかなり前からなんとなく予想がついていて、急展開の部分が「答え合わせ」のような感じになってしまった。
 冤罪をテーマにおいた話自体は面白く、リーダビリティは高かったので非常に読み易かったし、先に述べた後半の急展開もなんだかんだいって「面白くなっってきたぞ」という印象はあったが、話全体の仕掛けに関してはやはり弱く、いわば「冤罪テーマの社会小説をなんとかミステリ要素も盛り込んで仕上げた」作品という感じ。
 警察小説の疾走感が好きな人には好まれそう。ここまで書いておいてなんだが、基本は面白いと思う。

No.1 5点 虫暮部
(2015/01/19 12:04登録)
 前半の“冤罪の作り方~それが露見して大騒ぎ”という流れは、しっかり書かれてはいるものの、ことさら目新しい話ではなく、“何度も読んだ本をまた読み返した”ような気分。後半も取って付けたような“意外な展開”で、たいしたことはない。
 四章。仮釈放された迫水の心情描写、及び渡瀬と白須の対話は面白かった。

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