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ミステリの祭典

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こうさんの登録情報
平均点:6.29点 書評数:649件

プロフィール| 書評

No.569 8点 ミステリ・ハンドブック
事典・ガイド
(2012/02/05 00:43登録)
冒頭が海外ミステリベスト100、次いでジャンル別ベスト10(黄金時代、ディテクティヴノベル、ハードボイルド、サスペンス、スリラー)、座談会、有名作家の書評と盛りだくさんのガイド本です。
  90年代前半に手に取った時まず思ったのが文春の東西ミステリーベスト100とは全然結果が違うなあということでした。特に古典が苦戦してました。そのかわりラヴゼイやリューインなどこのガイドで知った作家もいて収穫でした。ただ古典以上に今は消え失せている作品、作家が多いのも感慨深いです。
 冒険、スパイ小説、国際謀略小説は 姉妹本の冒険・スパイ小説ハンドブックに分離されているのは画期的だったと思います。ただ作品のジャンル分けに不満があるものもありましたが。
 作家論はほとんどが文庫の解説の転載なので内容がふさわしくないものもありますがロス・トーマスのようにランキング本、ガイド本に漏れやすい作家の書評を事前に読めたのは収穫でした。逆に瀬戸川氏のカーの書評(夜明けの睡魔)のように全然解説になってない ものもありますが。
 当時は本格とそれ以外に分けてほしいと思ったりもしましたが当時の流行を反映したバラエティに富んだ作品群で重宝したのも事実です。


No.568 8点 本格篇「眼中の悪魔」
山田風太郎
(2012/02/05 00:04登録)
 10年ほど前にこの全集を手に取るまで山田風太郎がミステリ作家だということすら知りませんでした。60~70年前にこんな作品を書く作家がいたんだなあという驚きがありました。 この作品集ではやはり「誰にでも出来る殺人」と「厨子家の悪霊」が印象に残っています。折原一の「天井裏の散歩者」なんかまんま「誰にでも出来る殺人」のパロディですが本家には敵いません。全部が本格というわけではないですし一部読みにくい文体の作品もありましたが楽しめた記憶があります。


No.567 6点 ヒルダよ眠れ
アンドリュウ・ガーヴ
(2012/02/04 01:51登録)
 アンドリュウ・ガーヴのデビュー作です。知らぬは夫ばかりの「悪女もの」ですがとはいっても被害者は大した悪女でもないですしここまで変だったら夫も気づくだろう、という人物造形です。真犯人が見つかる所も結末もあっさりしているのは良くも悪くもガーヴらしい作品です。一応デッドラインサスペンスなんでしょうが緊迫感がないのもガーヴらしいですが真犯人を見つけるのが主ではなく被害者ヒルダの本当の姿があらわになってくるところが面白みなんでしょう。同じテーマでもパトリッククェンティンだとこってりするんですがガーヴの作品だけに甘いです。比較的この作品とギャラウエイ事件の知名度が若干高いかなと思いますがレアンダの英雄やメグストン計画なんかが個人的には好みです。 この作品は個人的にはまあまあだった記憶があります。


No.566 6点 ウィンブルドン
ラッセル・ブラッドン
(2012/02/04 01:34登録)
 以前折原一のガイド本の推薦を見て読みました。
 スポーツミステリとして思いつく作品は少ないのですがこの作品は成功例だと思います。
 冒頭三分の一以上が主人公ラスタスと親友となるゲイリーの交流、ラスタスの成長が描かれ全くミステリを感じさせませんが舞台となるウインブルドン決勝に二人が進むことに説得力を持たせています。ラスタスみたいなプレーヤーは絶対に現実にはいないんでしょうけど青春ミステリとして主人公たちに感情移入させやすくなっている印象です。
 決勝戦の短い時間の間のサスペンスは警察、犯人いずれも魅力なく物足りないです。いわゆるデッドラインサスペンスの緊迫感はあまり出ていません。
 主人公たちはただテニスをしていたるだけなんですが青春ミステリとして楽しめた記憶があります。


No.565 5点 少女Aの殺人
今邑彩
(2012/02/04 01:19登録)
昨年本屋に並んでいて手に取った今邑作品の一冊でした。プロローグから全体の構図は察しやすいですが手堅い作品と感じました。ただ高校の教師、刑事など事件に関わる人物たちがこんなに都合よく集まるのかなという不自然さはありますが。あと終盤は結構あっけなかった印象が強いです。


No.564 5点 長い廊下がある家
有栖川有栖
(2012/01/30 00:32登録)
 まあ無難な火村シリーズ短編集だと思います。本格というか数学だと思いますがロジカル・デスゲームが一番楽しめました。表題作は中編の趣きですが個人的にはイマイチでした。
あとシリーズが進むごとにアリスと火村は年をとっていると思っていたので勝手に40代をイメージして読んでいたのでまだ34歳だったのに驚きました。いつの間にか自分が年を追い抜いてしまっていたことが少しショックでした。


No.563 7点 スリーパーにシグナルを送れ
ロバート・リテル
(2012/01/30 00:24登録)
 数年前ガイド本の折原一の推薦で読んだのですが国際謀略小説の佳作だと思います。登場人物も個性的でストーリー自体面白いのですが肝はラスト部分で不謹慎かもしれませんがニヤリとさせられます。kanamoriさんも触れられていますが解説を先に読むと面白さは半減します。


No.562 6点 追跡者
パトリック・クェンティン
(2012/01/30 00:14登録)
 はじめに発見される男性死体の扱いがあまりにもとってつけているのは不満ですが主人公の消えた妻の追跡劇や最後の展開は流石パトリック・クェンティンと思える作品です。
 ボクサー上がりの主人公が単独でここまでロジカルに行動できるのか、途中でなんで殺されないのか、あまりにも都合よすぎる展開でストーリーは進行していきますが楽しめました。


No.561 6点 悪女パズル
パトリック・クェンティン
(2012/01/30 00:08登録)
未訳の初期パズルシリーズもこんな感じなのかもしれませんが他作品に比べて明るい作風なのが印象的です。
 結構ばったばったと殺されてゆくのに深刻さが全くないのは古き良き本格世界といった感じで結構好きです。
 大きな意外性があるわけではないですが良くできた本格作品だと思います。訳もよかったです。(古い訳の女性のセリフは読んでられないので)


No.560 5点 謎解きはディナーのあとで
東川篤哉
(2012/01/28 00:43登録)
 あれだけ売れたのはやはりミステリファン以外の支持なんでしょうか。各作品は本格の体裁をしっかりとっていますし悪くはないんですが個人的にはさほど楽しめなかったです。このシリーズが軌道に乗ると烏賊川市シリーズの長編が後回しにされそうなのが少々不安です。


No.559 4点 R.P.G.
宮部みゆき
(2012/01/28 00:36登録)
 発売当初に読みましたが一読者としては否定派ですね。作者があとがきで断っているとしても地の文の虚偽はないだろう、という不満が強かった覚えがあります。作者がこの手の作品を発表するのは意外でしたし短くてさっと読めますし類型プロットがいくつもあるストーリーでも読みやすいのはよかったんですが不満が先にきた記憶が残ってます。


No.558 5点 マンハッタンの悪夢
トマス・ウォルシュ
(2012/01/28 00:29登録)
 以前ガイド本の折原一の推薦があって読みました。石油会社の社長の幼い子供の誘拐事件を扱った警察小説でした。
50年以上前の作品で古いのはどうしようもないですし犯人があまり優秀そうに描写されていないのが残念です。身代金を奪うためのプロットも杜撰でした。
 ただローテク時代の誘拐や警察捜査はこんなものなのかなあという興味はありました。


No.557 5点 病める巨犬たちの夜
A.D.G
(2012/01/28 00:21登録)
 以前ガイド本の折原一の推薦があって読みました。推薦文は「俺だよ、俺」小説。最後ちょっと驚いた。でしたがこの一言に集約されているような本です。
 あまり長くないのですがとにかく読みづらいのが難点でした。(訳のせいなのか、原文のせいなのか)内容はへんてこで登場人物たちが若くなく中年のおっさんばかりなのでやってることを読み進めると独特の不思議な味わいはあります。


No.556 9点 夜明けの睡魔
評論・エッセイ
(2012/01/26 00:06登録)
 海外ミステリの評論、ガイドとしては個人的には最良の本の一つです。
 読んでいて筆者がミステリが大好きなことが良く分かる本で独特の語り口が好きでした。
 私も筆者の推薦本には他のガイド本も含めて当たり外れはありましたがアンドリュウガーヴなんてこの本に巡り合わなければ読むことはなかったと思います。モールの「ハマースミスのうじ虫」のように創元クライムクラブ+この本の推薦で過度に期待しすぎたものもありますが。
 名作巡礼で古典を切りまくりつつフォローしているのも楽しめましたし特にディクソンカーを扱った書評は筆者のカーキチぶりが味わえてほほえましいです。
 既読作品が多いのですが未読作品の中でこわいものみたさでエドウィンコーリーの「日本核武装計画」をいつか読んでみたいなあと思っていますが以前アマゾンでみたらめちゃくちゃ高額で手がでなかった記憶があります。他のガイド本でも筆者が推薦しているのは見たことありますが他の評論家が挙げている所は見たことありません。


No.555 5点 ルームメイト
今邑彩
(2012/01/25 23:47登録)
 昨年手に取った今邑作品の一つです。多重人格を題材にした作品ですが登場人物が少ない上に作者の書き方があまりにも真犯人を特定し易くしていると思うので読み易いですがもの足りない印象でした。
 ノベルズ版ラストはあってもなくてもいいかなと思います。あったからといって驚愕という感じもないですし元々真犯人に〇〇を据えている以上予測の範囲内でしょう。 


No.554 7点 卍の殺人
今邑彩
(2012/01/25 23:36登録)
(少しネタバレあります)
著者のデビュー作で1989年作の様ですが昨年本屋で偶然手に取るまでタイトルすら知りませんでした。
 館物で、プロットが昔懐かしい作風で楽しめました。
プロローグはエピローグとの対として構成上必要だったのかもしれませんが察せ易いのが難点です。
 建物の構図も私も我孫子作品をイメージしてしましいました。刊行年度がさほど違わないのに損しているかもしれません。
 犯人についてはプロローグだけでも非常に察し易いですがストーリー、プロットいずれも昔懐かしい作風で新本格の他の作家のデビュー作と比べても見劣らないと思いました。 


No.553 6点 マスカレード・ホテル
東野圭吾
(2012/01/24 00:47登録)
 口が悪いけれど優秀な刑事がホテルに潜入しプロの女フロントとぶつかりながら交流してゆく、ありがちな人物配置だとは思うんですがそれでも面白かったです。新田と栗原のサイドストーリーの所や真犯人の行動の伏線などが気に入りました。この作品もストーリーを楽しむべき作品だと思います。


No.552 5点 真夏の方程式
東野圭吾
(2012/01/24 00:19登録)
 根本的な不満として殺人者に対する対応が一貫してないのは湯川のキャラクターを考えるとまずいと思います。
ほとんどの読者は「容疑者Xの献身」などを通過してから読むと思いますが今回の犯人だけが例外に値するようには思えなかったです。
プロット自体は既読感がありますが相変わらず読みやすいですし少年との交流も湯川の新しい一面が見られたのはよかったのですが。 


No.551 7点 キングを探せ
法月綸太郎
(2012/01/23 01:05登録)
 倒叙形式で交換殺人を冒頭からオープンにした手垢のついたスタイルながらよく考えたプロットだなあと感心しました。
 カードの組み合わせのロジック、最後の展開も楽しめました。全体として小ぶりでしたが久々に法月綸太郎作品が読めたので+1点で。


No.550 5点 もう誘拐なんてしない
東川篤哉
(2012/01/23 00:46登録)
 これまで読んだ東川篤哉作品では正直イマイチだったかなと思います。ギャグ、ユーモアも少々空回り気味ですし主人公の皐月だけがやけにインパクトがあり他のキャラクター(特に狂言誘拐をする翔太郎と絵理香)が埋没しているような印象でした。真犯人が誰かと考えれば見当がつけやすいので全体の構図も見えやすいですしメインのアリバイトリックも少々安易かなと思いました。
 あともう少し笑いたかったというのが正直な所です。

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