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ミステリの祭典

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マスカレード・ホテル
マスカレードシリーズ

作家 東野圭吾
出版日2011年09月
平均点6.30点
書評数27人

No.27 7点 パメル
(2021/11/01 09:13登録)
都内で起きた3件の不可解な連続殺人事件。容疑者もターゲットも不明。ただ一つ共通する点は事件現場に残された不可解な数列の暗号のみ。警視庁の捜査本部は暗号解読の結果、この暗号は次の殺害現場を予告するものであることをつきとめる。第3の殺害現場に残されていた暗号から、次の犯行現場は「ホテル・コルテシア東京」で起きると捜査本部は推測するが、現時点で予測できるのは犯行現場のみ。第4の事件は未然に防げるのか。
舞台は東京の一流ホテル。主人公は連続殺人を阻止するためにホテルマンに化ける若き刑事・新田浩介。ヒロインはその教育係になった一流ホテルのフロントクラーク・山岸尚美。それぞれ己の分野にプロ意識を持っている二人はぶつかり合う。新田が「おれはホテルマンになりに来たんじゃなくて捜査に来たんだ」と言えば、山岸は「どこから見ても刑事にしか見えない今のあなたはホテルにとっても捜査にとってもいい結果になりません」と言い返す。
こうしてホテルのフロントに立つ二人は、連続殺人というメインプロットの他に、ホテルにやってくる人々のさまざまなエピソードに関わっていく。バスローブを盗む者、「この男を私に近づけないで」と言って写真を見せる女、目の見えないふりをする老婦人、新田に言いがかりをつけ執拗に絡んでくる男など。他人を疑いの目で見る刑事と、感謝の気持ちで接するホテルマンの違いがみられるなど、ホテル業務の大変さと山岸のお客様への対応の素晴らしさに感心させられる。
さまざまな怪しい客が来て、その都度さまざまな方法で解決していくストーリー展開の中で、実は殺人事件についての伏線が散りばめられてある。クライマックスのホテルでの結婚式で、それが見事に収束されて気の利いた台詞で締めくくられる。爽やかな読後感をもたらす極上のエンターテインメント作品。

No.26 7点 ミステリーオタク
(2021/02/17 18:14登録)
見ようと思いながら、なぜか映画もテレビの見損ねてしまったが、本書を読んで逆に映像に触れる前に原作に当たれてよかったんじゃないかと思えた作品。

実に精巧な構成で読みごたえのあるケイゴ・ミステリーでしたね。
まぁ、目的達成のためにそこまでやる必要性があるか?という感想もあるでしょうが。

続編も映画化されるそうだから、その前にそちらも読んでから映画館に足を運びたいものだが、どうなることやら・・・

No.25 6点 斎藤警部
(2020/12/17 22:03登録)
「だからあたしは髪を切ったの」

『⚫️⚫️⚫️⚫️連作』と『連続殺人捜査長篇』がお互いにバックパスを繰り出しながら併走する魅力的構造。青春サスペンス展開もあり。(とばかり思っていると。。流石は俺の東野、必ず何かヤラシイ事を仕掛けて来るねえ。)昭和には無かった小味なアリバイ偽装も良し。毎度おなじみ●●ネタも、背景の人間ドラマ(ってほどでもないか..)と親和性があるから、まず納得。○○さん、疑ってすまなかった。まあ、最後のドッカーンは小さかったけどね。エンディングも爽やか過ぎるだろ。。もちょっと苦味ってやつを道連れにしないのか。。って思わなくはないですけどね、おかげで準主に近い脇役1の存在感が盤石となり、物語がふくらみましたかね。 しかしこの読みやすさは尋常でないな。

“ホテルの中で仮面を被っているのは客たちだけではないーー”

No.24 3点 雪の日
(2020/04/11 07:32登録)
ホテルについては面白かったけど、トリックがいまいち。
推理物として読むことはおすすめしない。

No.23 5点 nukkam
(2020/02/27 21:24登録)
(ネタバレなしです) 2011年発表のマスカレードシリーズ第1作です。無差別連続殺人の次の犯行現場が一流ホテルのホテルコルシア東京と予測した警察が刑事たちをホテルスタッフに変装して張り込ませることになります。野心あふれる新田刑事と彼の教育係となるフロントクラークの山岸尚美が主人公です。何らかの秘密を抱えているらしい宿泊客たちと新田や山岸が織り成す人間ドラマが魅力的です。ホテルの舞台裏を描いたミステリーでは、作家になる前はホテル勤務だった森村誠一の社会派犯罪小説の「銀の虚城」(1968年)が知られていますが本書もよく描けていると思います。本格派推理小説、サスペンス小説、そして警察小説の要素が入り混じったジャンルミックス型ですが、巧妙に張られた伏線が活きる展開は感心しますが誰が犯人で誰を次に狙ったのかという肝心な謎についてはほとんどが自白頼りで明らかになるのが残念でした。その代わりサスペンス豊かな締めくくりになってますが。

No.22 7点 バード
(2019/02/14 17:20登録)
映画化記念に読むことした、超にわか者です(笑)。
けっこう楽しめた、というのが素直な感想。少なくとも最近読んだの東野作品では一番好き。

メインのx4の犯行よりも、個別の事件が面白かったかな。警察とホテルマンの違いが良くかけており、かつ重苦しい犯罪なしにハラハラさせられた。エピソードの中では教育実習生とのやりとりが一番いい。
多くの登場人物に味があり、それも評価ポイント。

No.21 7点 VOLKS
(2018/09/05 00:34登録)
映画になると聞いたので読んでみました。
読み始めたらもう、木村拓哉と長澤まさみの声が頭の中を駆け巡ってうるさかったです(笑)

ホテルの中での色々なことがとても面白く興味深くて、逆に一番重要な連続殺人事件の方が印象薄、という感じでした。
新田、山岸、このキャラクターに加えて、能勢、栗原が良かったですね。
さすが東野圭吾、読みやすくて寝食を忘れての一気読みでした。

No.20 6点 take5
(2016/11/27 06:27登録)
流石の東野作品、リーダビリティーが高く、
しかも人物もしっかり描かれています。
構成がグランドホテル型とは、
人称的にちょっと違うかもしれないですが、
どのエピソードが本筋に関わってくるのか、
興味の持続もしっかりしています。
終盤まで主要な人間がしっかり描かれている反面、
最終盤の展開が弱く、本格的なミステリーとしては、
高評価まで至らないというのが主観です。
ホテルについて興味深く敬意をもって読めるので、
その点は素晴らしいです。

No.19 8点 Tetchy
(2016/05/31 07:14登録)
昨今流行りのお仕事小説にこれまた昨今ブームとなっている警察小説を見事にジャンルミックスした非常にお得感のある小説となっている。
人を笑顔で迎え、常に感謝の気持ちを忘れないと心がけるホテルウーマンと常に人を疑ってあらゆる可能性を考える刑事という職業のミスマッチの妙を実に上手く物語にブレンドしている。

また本筋の殺人事件の捜査とは別に本書ではホテルを舞台にしていることでヴァラエティに富んだ珍客が登場するのがいいアクセントとなっている。
これらはいわば日常の謎である。こんなエピソードをちりばめながら水と油の存在だった山岸尚美と新田浩介の関係を近づけていく。そして後々にこれらのエピソードもメインとなる事件に有機的に関わってくるのだからまさに抜け目のない出来栄えだ。

さてこのようにまさに面白い小説の良いお手本のような本書であり、まさに完璧だと思われるのだが、1点だけどうしても気になるところがある。
それは監視カメラについて警察があまり言及がなされないことだ。例えば犯人が毒入り(と思われる)ワインを送った際、警察は購入先を捜査し、コンビニで買ったことを突き止めるが、対応した従業員による聞き込みしかせずに防犯カメラの映像を確認すらしない。そこに違和感を覚えるのである。
他にも監視カメラや防犯カメラを使えばいつどこに誰がいるか、もしくはいたかが解るにも関わらずである。クライマックスシーンの山岸尚美の行き先についてもそうだ。候補として挙げられた部屋番号が判明しているのだから、当該階にあるホテルの廊下に設置されている防犯カメラを調べればいいのである。昨今のTVドラマでは防犯カメラの映像が実に効果的に使用されており、また他の警察小説でも同様の手法を取り入れているのに、なぜか東野作品における防犯カメラを警察が活用する頻度が実に低いのである。
特に本書の場合、携帯電話を使った電話番号差し替えのトリックや闇サイトにおける重層的な交換殺人と実に現代的な犯行計画が用いられているのに、捜査側のアナログ感が非常にアンバランスだと感じた。これは作品にとっては瑕疵にすぎないかもしれないが、他の作品でも同様に感じたことでなかなか改善がなされないので敢えて挙げさせてもらった。

今回のベストパフォーマンス賞は能勢刑事に決定!

No.18 5点 ボンボン
(2015/11/17 16:56登録)
深みはないが、トリックは面白かった。いかにも怪しさ満点な人がオチにどうつながるか私にはヨメなかったので、結末では一応、なるほど、となった。
事件そのものの説明は、ごく簡単にし、一方で、ホテルに現れる様々な客については、本筋と関係あるのか無いのか判らないまま長々と書かれている。読みどころをそこにしてあるのだから、それで悪くはないのだが、そのために中盤までは何となく散漫な感じ。
ホテルで働く人々の心意気(商売中心主義の腹黒さも含め?)が爽快で、プロの機転の利かせ方、言葉の選び方は、お見事。こんなに頭が良く回ればいいだろうなと羨ましくなった。

No.17 5点 CHABI
(2015/06/13 23:54登録)
テンポがよく読みやすいです。
が、ミステリの部分に関してはイマイチです。
予想外の展開ではありましたが、悪く言えばそれだけでした。

No.16 6点 ayulifeman
(2014/11/20 20:01登録)
さすが東野圭吾。読みやすい。
新参者のホテル版的な感じでしょうか。
細かいことから大きいことまでいろいろ事件があるんですね。
面白かったです。

No.15 6点 makomako
(2014/10/21 19:47登録)
 さすが東野氏は語りがうまい。一つ一つのエピソードがなかなか興味を引くのです。でも味が薄い。どうなることかと思えるようなシチュエーションを設定してくれるので、読むには退屈しないのですが、最終的にはえらくうまくいってめでたしめでたし。まあそれでも良いのですが、話を長引かせるために巧みに小話を追加したようで。
 売れっ子作家は色々と大変なのでしょうが、もう少し腰を据えて作品の質を高めてほしい。長編小説なのだが、連作集のような感じです。そのためメインの話がずい分薄められてしまい、心に響かない。
 それなりに面白くかけているのは才能でしょうが、作者が持っている冷たさが透けて見えてしまいます。初期の作品のような一途さを求めるのはもう無理なのでしょうか。
 

No.14 5点 STAR
(2014/09/02 20:27登録)
推理物として期待して読んだので、低い点数に。
そもそも犯人はこうする必要があったのか?と根底で思ってしまったので。
犯人を当てたいが、出てくることだけでは当てられないのも…。

ホテルで働く方の人間ドラマという感じがしました。

No.13 6点 蟷螂の斧
(2014/03/01 18:30登録)
舞台設定や犯罪構造はユニークであると思います。しかし、読後「しっくり感」がありませんでした。犯罪計画と犯人像が一致しない点か・・・。警察論理とホテル側論理の対立は楽しめましたが、サスペンスの盛り上がり、恋愛感情、刑事の捜査状況がやや希薄(中途半端)なように思えます。

No.12 7点 ドクターマッコい
(2013/08/19 12:31登録)
読み始めて登場するホテルの名前と違うしこのタイトルは何だろうと思ってたら後半で判明しました。本当に多彩で進展の仕方が上手な作品で一気に読み終えました。

No.11 6点 mozart
(2012/07/17 10:41登録)
図書館で予約したものの、さんざん待たされた後、ようやくゲット。例によって非常に読みやすく一気読み。純粋に面白かった。根がコンサバなので、新田浩介(&能勢)「シリーズ」として今後も読みたいかというと、彼の探偵役としての「立ち位置」がはっきりしないので、現時点では何とも言えないところですが、今後の作品次第、といったところでしょうか。加賀恭一郎シリーズは確かにすばらしい作品ばかりですが、あの格好良すぎるキャラクターには、ちょっと息が詰まりそうなので、案外こちらの方が好きになったりして。

No.10 6点 いけお
(2012/05/27 02:53登録)
推理する余地は無いが、設定をうまく生かしていて無駄がないため、読みやすく夢中になる。

No.9 8点 白い風
(2012/04/23 23:51登録)
久し振りの東野作品、今回も大いに楽しめました。
今回は謎解きと云うより、人間模様の面白さだったね。
主人公の刑事・新田とホテルのフロント係の山岸尚美の二人のプロフェッショナルの見方も楽しめました。
ただ、全く余談だけど、どんな仕事も大変だな~って思っちゃった(笑)
新田・尚美・能瀬たちステキなキャラだったけど、さぁ続編はあるのかな?

No.8 5点 ムラ
(2012/04/03 06:28登録)
ホテルで起きる小さな事件を軸にメインとなる事件の紐を解き解くストーリーの運びはさすが。
しかもただの小さな事件ではなくしっかりと伏線も張ってる。
ただ、メイントリックはさすがにわかりやすいのが残念。
さすがに犯人までは読めなかったけど、言い訳と欲を言うともう少し犯人を特定できる伏線も入れてくれたら満足だった。
能勢も一癖あるキャラもいい、けど新田のキャラはそこまで好きになれなかったのが残念。
ただ「新参者」と構造が似ていて、あちらのほうが作品的に好きなので評価は辛めです。

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