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ミステリの祭典

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病める巨犬たちの夜

作家 A.D.G
出版日1979年09月
平均点5.67点
書評数3人

No.3 6点 クリスティ再読
(2018/10/06 21:51登録)
マンシェットの翻訳コンプを記念して、邦訳2冊だけのA.D.G も片付けよう。けどね、これ何とも面妖な小説である。エクスブライヤの田舎ユーモアミステリみたいに始まるが、A.D.Gなんで下ネタだって満開でお下劣。村はずれにキャンプを張ったヒッピーと村人が馴染んじゃうあたり、ほのぼの&アナーキーな良さがある。となると旦那衆と軋轢が...と期待するんだが、この旦那衆、というのが曲者ぞろい。「城」の元持ち主の老嬢が絞殺されたのをきっかけに、その兄「稚児さん」一家が村に滞在するのだが、インドシナで怪しい商売をしていたというイワクがある。先代の棺の中に少女の白骨死体が見つかる異様な出来事ののち、ヒッピーのキャンプの放火には、ギャングなボディガードを従える今の「城」の持ち主「パリっ子ジェラール」に疑惑がかかる。村人、ヒッピー、「稚児さん」一家、城の持ち主「パリっ子ジェラール」一派と組んずほぐれつの「病める巨犬たちの夜」が始まる...
村人とはいえ、ハンティングやレジスタンス経験があったりしてみんな血の気が多い(軽機関銃だって隠してあるのさ!)し、そこはA.D.G。読み終わったあとにちゃんと「ノワール、だったね」と思わせる作品だ。
ま、フレンチ・ノワールって「言語」という面では過激なものが多いわけで、それこそギャングの隠語たんまりなシモナン、ルブルトンから、体脂肪率ゼロのマンシェット、で方言俗語なんでもござれなA.D.Gで、実のところ実験小説みたいに読むのがいいんだろう。生き方もアウトローなら、コトバもアウトロー、そういう実践ということだ。

No.2 5点 こう
(2012/01/28 00:21登録)
 以前ガイド本の折原一の推薦があって読みました。推薦文は「俺だよ、俺」小説。最後ちょっと驚いた。でしたがこの一言に集約されているような本です。
 あまり長くないのですがとにかく読みづらいのが難点でした。(訳のせいなのか、原文のせいなのか)内容はへんてこで登場人物たちが若くなく中年のおっさんばかりなのでやってることを読み進めると独特の不思議な味わいはあります。

No.1 6点 kanamori
(2011/05/17 18:53登録)
フランスの片田舎の村を舞台にしたノワールなミステリ。
村の休閑地にヒッピー集団が住みついた事を契機に、老譲殺しや墓穴の死体の入れ替りと、次々と発生する事件に対し、酒場に屯する村人たちが喧々諤々と推理を戦わせる序盤の展開は、集団探偵ものの本格ミステリの様相でしたが、途中から変な方向に話がずれていき、非常に流れを把握しずらい小説でした。
語り手である村人の「おれ」の正体が終盤まで明示されないのもストレスがたまる構成でしたが・・・・結末でビックリ。
読みずらい文章が難点ながら、がまんして最後まで読めばちょっとしたサプライズを楽しめます。

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