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ミステリの祭典

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悪女パズル
ダルース夫妻

作家 パトリック・クェンティン
出版日2005年10月
平均点6.70点
書評数10人

No.10 7点 ボナンザ
(2024/06/30 16:46登録)
謎解きも小粋なラストも楽しめる良作。

No.9 7点 nukkam
(2016/09/27 23:23登録)
(ネタバレなしです) 1945年発表の本書はダルース夫妻シリーズの第4作にあたる本格派推理小説です。関係が悪化している夫婦を何組も登場させる状況設定はパット・マガーの「七人のおば」(1947年)を連想させます。マガーが本書を参考にしたのかどうかはわかりませんが読み比べてみるのも面白いと思います。人物描写に関してはマガーの方が濃厚ですが謎解きに関しては本書の方が格段によく出来ていると思います。全体構成もすっきりしていて読みやすいです。連続怪死によるサスペンスがよく効いていますが最後はシュールでコミカルな一同退場場面を用意して悲惨一辺倒では終わらせないなど小粋な面も持ち合わせています。

No.8 8点 ロマン
(2015/10/24 23:21登録)
大富豪ロレーヌの邸宅に招待されたダルース夫妻、しかし離婚危機の3組、婚約者、異父兄、その恋人など曰くありげな人たちも集い険悪な雰囲気立ち込める中一人また一人と死者が、ピーターとアイリスは素人探偵として推理をするがさらに犠牲者が……第四弾、登場人物が多く最初は混乱したものの、章ごとに出る被害者の構成、徐々にパズルのピースが嵌るように明らかになる真相と真犯人、伏線もキチンと回収、ラストはいつものテイストで良かった。

No.7 8点 蟷螂の斧
(2015/10/20 13:35登録)
1945年作品。離婚を考える3組の夫婦、婚約者カップル2組、そして主人公ダルース夫婦の計6組の男女が織りなす愛憎劇か?!・・・。プロットはシリーズで一番と思えるほど非常に優れていますね。第2、第3の事件は、○○殺人(私にとっては初物)という本作品の”肝”であると思います。よって、どんでん返しへの伏線として、非常に重要な事件であると感じました。ダルース夫婦シリーズで8点評価が3作品となりましたが、順位は「悪女パズル」>「俳優パズル」>「女郎蜘蛛」です。

No.6 6点 あびびび
(2015/05/05 22:52登録)
うーん、本格を読んでいるなあ…と感じた。ただ、途中で犯人を知っている人間がいて、なおかつ殺人事件発生である。殺す方も見逃す方も、いくら事情があったとしても、それはないでしょう!と思ってしまうが…。

これがミステリの世界である。現実ではそれ以上の殺人が起きているのだから!しかし、大富豪にはなりたくない。もちろん、貧乏はもっと嫌だけど…。

No.5 7点 E-BANKER
(2014/06/23 22:24登録)
ピーターとアイリスのダルース夫妻が活躍するパズルシリーズの四作目がコレ。
シリーズ三作目までは創元推理文庫で最近新訳版が出ているが、本作は扶桑社で2005年に発刊されたものを読了。

~大富豪ロレーヌの邸宅に招待された。離婚の危機を抱える三組の夫婦。仲直りを促すロレーヌの意図とは裏腹に、屋敷には険悪な雰囲気が立ち込める。翌日、三人の妻のひとりが謎の突然死を遂げたのを皮切りに、ひとりまたひとりと女たちは命を落としていく・・・。素人探偵ダルース夫妻は影なき殺人者の正体を暴くことができるのか?~

なかなかの佳作だと思う。
何よりミステリーらしいプロットが「さすが」と思わせる。
離婚寸前の三組の夫婦が一堂に会するという不穏な舞台設定、間髪入れず起こる連続殺人事件・・・
スピード感のある展開に読者は否応なく巻き込まれてしまう。
章立てをひとりひとりの女性としているのも構成上当たっていると思う。

終盤も押し迫ってからは怒涛のような真相解明に突入。
ピーターの推理は完全な前座扱いでしかなく、主役は妻のアイリスが務める。
「三組の怪しげな夫婦関係」というミスリードがきれいに嵌っているし、そのための伏線の回収もまずは見事と言えるだろう。
他の方も指摘されていたけど、第二・第三の殺人についてはちょっと必然性に欠けるし、その動機にしては舞台設定が複雑すぎるというというところが気にはなった。

パズルシリーズは本作で三作読了したが、本作が一番面白かった。
世評的には「俳優パズル」の方が高いのかもしれないが、探偵役としてもレンズ博士よりはこの夫婦コンビの方がベターだし、作者の良さが前面に出た作品だろう。
他のシリーズ未読作も順に読んでいきたい。
(「悪女」というタイトルは正しいような、正しくないような気が・・・)

No.4 6点 mini
(2012/04/27 09:59登録)
本日27日に創元文庫からパトリック・クェンティンの初期パズルシリーズ第1作「迷走パズル」が刊行される
これが他社だったら、まず「俳優パズル」を復刊して様子見てってな順番だろうが、ファンの間で復刊要望の高い「俳優パズル」を後回しにして、順番としてシリーズ第1作目から手を付けるなんていうあたりがいかにも律儀な創元らしいよな

* 1912年生まれ、つまり今年が生誕100周年に当たる作家は意外と多い、今年の私的テーマ”生誕100周年作家を漁る”の第5弾はクェンティンだ
合作コンビの内の1人、ヒュー・ホイーラーも生誕100周年である(コンビのもう1人リチャード・ウェッブの方は少々年上)

マクロイなんかもそうだが、幻の絶版本が有って予てから復刊要望が寄せられるような作家の場合、悪い意味で一種の伝説化してしまう傾向が有る
クェンティンもそんな典型的な1人(2人だけど)で、特にパズルシリーズっていうと神的に崇め奉られてる印象が有るんだよな
その最大原因と思われるのが”パズルシリーズ”という通称である、この通称からガチガチの論理パズラーみたいに誤解されやすい風潮を生んでしまったのがこのシリーズの一番の悲劇なんじゃないかなぁ
トリック一辺倒だったアメリカ本格派は黄金時代末期に行き詰まり戦中戦後にかけて質的変化を起こしていく
この時期のアメリカン本格派作家達はヘレン・マクロイなどのようにサスペンスタッチの変化球的本格に移行していくわけだが、クェンティンのパズルシリーズも同系統だと思う、少なくとも黄金時代真っ只中の本格派とは異質だ
まさにアメリカン本格の辿った変遷潮流に乗ったシリーズと解釈すべきである
そう考えると、ちょっとごちゃごちゃしたプロットも必然性が有ったと見なせる気がする、パズルシリーズは再評価されるべきなんだろうな
ただこの「悪女パズル」はごちゃごちゃし過ぎて上手く纏まっていない印象は有る

※ (追記)
その後「俳優パズル」も読んだが、私はこの「悪女パズル」よりも「俳優パズル」の方が好きだ
何故かと言うと、「悪女パズル」を「俳優パズル」より上に評価する読者というのはいかにも本格派らしい真相を求める読者な気がするのだ、私は「俳優パズル」のちょっとスレな真相の方が好きだ

No.3 6点 こう
(2012/01/30 00:08登録)
未訳の初期パズルシリーズもこんな感じなのかもしれませんが他作品に比べて明るい作風なのが印象的です。
 結構ばったばったと殺されてゆくのに深刻さが全くないのは古き良き本格世界といった感じで結構好きです。
 大きな意外性があるわけではないですが良くできた本格作品だと思います。訳もよかったです。(古い訳の女性のセリフは読んでられないので)

No.2 6点 kanamori
(2010/06/28 21:44登録)
ダルース夫婦が探偵役を務めるパズルシリーズの第4作。
富豪邸に招待された3組の離婚寸前の夫婦の中から女性だけが次々と殺されていく・・・これはシリーズ・タイトル名に恥じないパズラーの佳作だと思いました。
ちょっと無理な構成もありますが、登場人物の言動に二重の意味を持たせるなどして、殺人の動機を巧く隠蔽しています。

No.1 6点 ElderMizuho
(2008/05/28 18:35登録)
良くも悪くも推理小説らしい推理小説
何人もが立て続けに殺害され、しかも誰もそこから逃げ出そうとしないあまりに不自然な事件状況。
何回も事件が起こっている割に検証するのはもっぱら最初の事件だけで他はおまけ扱い。(これはどーなのよ・・)
まあ突っ込んじゃいけないとはわかっていてもここまで典型的だとやはり苦笑します。
無理矢理こうした展開にしただけあって解決はさすがしっかりしています。すべての伏線が収束し犯人の意外性も充分。
野暮な突っ込みさえ入れなければ充分に楽しめる作品ではないかと

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