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ミステリの祭典

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あびびびさんの登録情報
平均点:6.33点 書評数:669件

プロフィール| 書評

No.429 7点 アリアドネの弾丸
海堂尊
(2014/11/24 15:53登録)
海堂尊は初めて。医療関係の物語はあまり好きではなく、どこか敬遠していたところがあったが、まさかこれほど本格的な推理小説だとは思わなかった。しかし、実行犯が、弾丸の行方を微細に計算していたイメージが浮かばず、なんとなくすっきりしなかったが、警察に対して、いや法医学、司法解剖に対して警鐘を鳴らしていたのは好感が持てた。

しかし、白鳥さんは凄い。映像では誰が演じているのだろう?


No.428 7点 ホワイト・ジャズ
ジェイムズ・エルロイ
(2014/11/21 05:34登録)
LA4部作というのは知っていたが、解説の中で、この本だけでも十分楽しめると言うので買って読んだ。が、いきなり、警察官が容疑者をホテルの窓から落として殺すというシーン!これで頭の中が混乱した。しまった、やはり、ブラックダリアから読むべきだったか?

それ以後も、何かがあると、「奴を始末しろ!」の連続、いや、初めから終わりまで各ページが血しぶきで赤く染まっている、そんな小説である。でも、それが妙にリアルであり、当時のアメリカの病心的暗黒時代を彷彿させる。

登場人物が多く、一読では理解できない部分が多かった。3ヶ月後ぐらいに再読してみたい。


No.427 7点 死者との誓い
ローレンス・ブロック
(2014/11/15 00:16登録)
弁護士のグレン・ホルツマンがマンハッタンの路上で殺害された。その直後にホームレスの男が逮捕され、事件は公式には解決する。だが、容疑者の弟がスカダーのもとを訪れ、ほんとうに兄が殺人を犯したのか捜査を依頼してきた。

マット・スカダーが愛する元高級娼婦のエレインとの会話は本当に洗練されていて楽しい。それと、殺し屋ミック・パルーとの深夜の会話もこのシリーズの肝だ。


No.426 8点 死者の長い列
ローレンス・ブロック
(2014/11/15 00:10登録)
年に1度の秘密の会合を続ける男たちの集団「三十一人の会」。現在のメンバーになってから32年後、会員の半数近くが相次いでこの世を去っていることが判明。偶然とは思えない死亡率の高さに不審を抱いた会員の依頼を受け、私立探偵スカダーは調査を開始する。

犯人は急がない男だった。スカダーは粘り強い捜査で男をとらえ、ある方法で犯人を永遠に封じ込める。ハードボイルドを堪能させてくれる作者には賛辞を贈るしかない。ニューヨークよ、今夜もありがとう…である。


No.425 6点 泥棒は深夜に徘徊する
ローレンス・ブロック
(2014/11/06 13:13登録)
作者が楽しんで書いているのが良く分かる。主人公の泥棒、バーニィが、ストレス解消のために入った部屋は女性弁護士の一人住まいだったが、不覚にもその女性が男を連れて帰宅。とっさの判断でベッドの下にもぐりこんだが、その女性はバーで酒に麻薬を入れられ、ノックアウトの状態だった…。

それからいろいろ不可解な事件が続くが、最後に全関係者20数人を一堂に集め、エルキュールポアロのごとく事件を推理する。バーニィーが凄すぎる!


No.424 6点 狐火の家
貴志祐介
(2014/11/02 23:32登録)
表題作は、密室が見る角度によって難解度が異なる点が興味深かった。ちがう切り口から推理すれば、その犯行現場は、密室ではなくなるからなあ。

最後の「犬のみぞ知る」は、何もかもが浮かれすぎ。その劇団がいくら変人揃いと言っても、限度がある…。でもそれを意図してできた作品だから仕方ないか…。


No.423 8点 倒錯の舞踏
ローレンス・ブロック
(2014/10/30 18:38登録)
元警官、マット・スカダーは魅力的な探偵だった。大都会ニューヨークの陰に潜み、社会では処理できない邪悪に敢然と立ち向かっていく。自らギャングとの付き合いがあり、清廉潔白な身とは言えないが、快楽殺人は絶対許さない!そんな強い思いが最終章の爽快アクションにつながって行く。

久々にスカッとした結末だった。


No.422 8点 ジェノサイド
高野和明
(2014/10/20 17:51登録)
実にスケールの大きな物語。アフリカでの大量虐殺は予想以上に陰惨で、読むだけで吐き気を催すほど。また、アメリカ大統領(たぶん親子のあの…)の混迷ぶりも不気味だった。

あのふたりはいったいどうなるのだろう?トム・クルーズあたりこの作品を映画化してくれないだろうか?


No.421 9点 リヴィエラを撃て
高村薫
(2014/10/18 22:27登録)
冒頭の手紙がどうも理解できず、天性の勘の悪さも手伝って、なかなか物語の中へ入れなかったが、終盤は山の霧が晴れるように視野が広がり、もちろん冒頭の手紙も意義あるものだと分かった。

高村さんは、どんな発想からこの物語を考え、執筆したのか?日本人らしくない?ワールド、ワイルドなこの物語をぜひ映画化してほしい、もちろんハリウッドで…と思った。

「マークスの山」がほとんど理解できず、ここ3年間、この作者の本は敬遠し、恐る恐る読んだが、これはもう一度、マークスの山を読みかえすべきだと思った。


No.420 9点 絆回廊 新宿鮫Ⅹ
大沢在昌
(2014/10/09 11:19登録)
「新宿署は、全署を挙げて君を擁護する側に回ることを、先ほど副署長、組対課長、刑事課長と合意した」、鮫島は敬礼した。署長の目がうるんでいるのを見て、視界が曇りそうになった…。

何をいまさら…だが、自分にとって忘れられないシーンになりそう。大切な人々との別れがあり、河は大海に注いだ感じだが、新たに分水嶺があり、新展開が始まりそうなラスト。新時代に新宿鮫はどう対応していくのだろう。実に待ち遠しい。


No.419 5点 ヒートアップ
中山七里
(2014/10/03 15:40登録)
意外な犯人は驚いた。思わず、せき込んでしまった。しかし、動機は理解できるにしても、なぜ彼に罪を着せるのか?部外者にした方が分かりにくいだろうし、現実的である。

ただ、麻薬取締官と、やくざの広報官のやりとりはおもしろかった。


No.418 9点 バーニング・ワイヤー
ジェフリー・ディーヴァー
(2014/09/29 23:22登録)
ずっとこのシリーズを読んできたが、今作ほどほのぼのとした結末はなかった。しかし、ウォッチメーカーが!!!

四肢麻痺のリンカーンが最後に見せる葛藤は、本当に涙物ではあるが、読者としての思い入れは深い。まさか、このままシリーズ終了ではと、危惧する自分がいる…。


No.417 3点 からくり富
泡坂妻夫
(2014/09/29 00:06登録)
昔からテレビで馴れ親しんできた捕物帳だけに、読者として色々な状況も飲み込みが早い。その点は外国作品と大きく違うところ。だからすいすい読める。

ただ、そのせいかどうか、記憶に残った作品はあまりなかった。


No.416 8点 黒い家
貴志祐介
(2014/09/24 11:48登録)
ホラーはあまり好きではないが、この作品は避けて通れない関所のような気がして拝読。

和歌山カレー事件を思い出したが、モンスターになってしまうと、素知らぬ顔で何度も事件を起こしてしまうということ。その連続性が恐怖、凄惨さを何倍にもしてしまう。過去の保険金殺人を思い出してみても、「真実は小説よりも奇なり…」的な事件が多い。


No.415 7点 赤い罠
ウォルター・モズリイ
(2014/09/21 18:05登録)
映画で有名な「ブルードレスの女」の作者らしい。それで読んでみたが、作者はもともと純文学の出だという。しかし、黒人の純文学は売れなかった。それでミステリに転身したらしいが、ブルードレスはアメリカ私立探偵作家クラブ賞、英国推理作家協会賞の処女長篇賞をダブル受賞し、クリントン大統領からも絶賛された衝撃のデビュー作だという。

そちらは映画で見ただけだが、あまり記憶に残らなかった。しかし、この作品は面白かった。黒人的な差別を受けながら、粘り強い捜査で活路を見出す物語はまさにハードボイルド。あまり期待していなかっただけに、得をした気分に…。

もちろん、ブルードレスも本で読んでみたい。


No.414 7点 さよならドビュッシー
中山七里
(2014/09/17 17:58登録)
クラシック、ピアノの薀蓄が多く、少しページを飛ばしてしまったが(ほとんど興味なし)、ドビュッシーの曲を聞いてみたい…と言う気になった。特に「アラベスク」は近いうちに!

ストーリーの流れも悪くない。最後のどんでん返しは想定内だが、最後まで「ピアノの腕が…」と、こだわっていたから少し意外な気がした。探偵役の岬は司法試験トップで通過しただけあり、すべてに万能。次の作品も興味津々である。


No.413 5点 ねずみとり
アガサ・クリスティー
(2014/09/16 16:03登録)
時の首相、チャーチル夫妻も観劇したという。軽く1万回を超えるロングランらしいが、やはりお国柄と言うものがあるのだろう。自分としては「検察側の証人」の方が意外性があり、強烈な感じがする。

犯人についてはほとんど『この人しか考えられない!』という感じだった。


No.412 4点 暗い森
アーロン・エルキンズ
(2014/09/09 23:43登録)
殺意はあったとしても、個人的ではなく、その分本格的な推理とはいかなかった。ただ、骨博士としての立場から見る視点はユニークで、この作者ならではないか。

恋愛的進行は楽しくはあったが、その分雰囲気を和らげてしまった感は否めない。しかし、内容的に仕方がない部分かも。彼女と運命的な出会いをし、シリーズの中で最愛の妻として登場するわけだから。


No.411 4点 茶色の服の男
アガサ・クリスティー
(2014/09/04 20:06登録)
冒険を夢見る、若くて魅力的な女性主人公。こういうストーリーが好きな方は本当に楽しい一冊だと思うが、ほとんど結末が露呈しているので自分的には楽しくなかった。

しかし、世界三大瀑布のビクトリアの滝は行ってみたい。


No.410 4点 シタフォードの秘密
アガサ・クリスティー
(2014/09/02 15:24登録)
プロローグから犯人の予測がつく流れ。いつもはいい意味で期待が裏切られ、さすがクリスティ!となるのだが、これはアリバイトリックも正常。この作品は短編で良かったのでは…と感じた。

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