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ミステリの祭典

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ホワイト・ジャズ
LA4部作

作家 ジェイムズ・エルロイ
出版日1996年03月
平均点6.40点
書評数5人

No.5 4点 ◇・・
(2022/06/30 18:14登録)
独特な文体がまず合わなかった。単語と短文がダッシュやスラッシュやイコールで結ばれながら、語り手の意識をスタイリッシュに紡いでいく。また、人名だけでなく役職名も単語だらけの言い切りで頻出するから、アメリカの司法と行政のシステムに詳しくない自分には二重苦・三重苦。
話としても、はめたつもりがはめられたという、よくある愚かな物語。その点からいっても魅力に欠ける。

No.4 7点 ʖˋ ၊၂ ਡ
(2021/07/22 14:33登録)
主人公の悪徳刑事クラインの一人称を通して描かれる。異常に短く、記号で切り刻まれた電文のような文体によって、より物語はスピードを増し、四部作全体を通して、物語の水面下で進んできた最大の陰謀へと突き進む。
四部作のラストを飾るにふさわしいカタルシスを味わえる作品。

No.3 7点 レッドキング
(2019/04/21 13:08登録)
ジェフリー・ディーヴァーとジェイムズ・エルロイ。「明朗」「軽快」なディーヴァーと「暗鬱」「シニカル」なエルロイ、「民主党 能天気派」みたいなディーヴァーと「共和党 無頼派」の様なエルロイ、ミステリの伝統的な諸要素を材料に、アクロバティックに「ミステリ遊園地」を構築するディーヴァーと、物語の最重低音部に、吐き気を催すまでの暗く濁った「ミステリの真相」の汚水を澱ませるエルロイ・・・。
「ブラック・ダリア」の二視点叙述から「ビッグ・ノーウェア」「LAコンフィデンシャル」の三視点叙述を経て、この最終作は一人称視点で物語が語られ、その分、描写の「狂気」も一際荒れ狂っている。
「ホワイト・ジャズ」・・「白人」の「まがいもの」のジャズ。こんなカッケータイトル見たことないから、それだけで1~2点のオマケ。

No.2 7点 tider-tiger
(2015/06/22 21:16登録)
好き嫌いはともかくとして「いかに書くか」を突き詰めたエルロイの一つの頂点だと思います。エルロイはLA四部作で米文学史に名を残す作家になったと思います。

悪徳警官クラインが巨悪に翻弄され破滅していくさまを電文調の独特な文体で綴った物語です。説明が極力排除され、主人公の独白というかその時その時の思考を連ねていく文体で、それだけではあまりにもわかりづらいので新聞記事の引用なんかを入れて全体像をつかみ易くする工夫をしています。ので、そういう部分を読み飛ばすとわけがわからなくなるおそれがあります。気をつけて下さい。

エルロイを狂犬と呼ぶ人もいるようです。本書のあとがきでも、エルロイは狂っているみたいなことが書かれていました。
うーん、自分にはそうは思えないのですが。作中から法が厳格に守られる世界へのエルロイの憧憬が仄見えるのは気のせいでしょうか。

本書の序にロス・マクドナルドの引用があります。
――要するに、わたしには生まれた土地があり、そこの言葉から離れられないということだ。―― 
これはエルロイの真情であると自分は感じました。こういう人を狂犬などと呼ぶのは抵抗がありますね。

No.1 7点 あびびび
(2014/11/21 05:34登録)
LA4部作というのは知っていたが、解説の中で、この本だけでも十分楽しめると言うので買って読んだ。が、いきなり、警察官が容疑者をホテルの窓から落として殺すというシーン!これで頭の中が混乱した。しまった、やはり、ブラックダリアから読むべきだったか?

それ以後も、何かがあると、「奴を始末しろ!」の連続、いや、初めから終わりまで各ページが血しぶきで赤く染まっている、そんな小説である。でも、それが妙にリアルであり、当時のアメリカの病心的暗黒時代を彷彿させる。

登場人物が多く、一読では理解できない部分が多かった。3ヶ月後ぐらいに再読してみたい。

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