home

ミステリの祭典

login
イン・ザ・プール
精神科医・伊良部シリーズ

作家 奥田英朗
出版日2002年05月
平均点6.65点
書評数23人

No.23 7点 みりん
(2024/05/27 00:20登録)
人間の身体や脳髄こそが至高のミステリー。精神科医・伊良部が患者に仕掛ける魔法のようなトリック(治療方法)を5編楽しめる。と、無理やりこじつけたが、やっぱりこれは非ミステリー。エンタメ小説としては無類の完成度を誇る最高に楽しい一冊。279ページ2h15min読了。

水泳しないと生活に異常をきたすほどの水泳依存症やメールで1日200回やり取りする携帯依存症の患者が登場するが、私もスマホを開くたびにこのサイトを更新して新着書評がないかを確かめるほどの「ミステリの祭典依存症」になってしまっている。伊良部先生に見てもらわねば。

No.22 7点 take5
(2023/09/02 16:33登録)
伊良部シリーズは読みやすいです。
ミステリーの範疇かは定かではないですが。
主人公の思い込む世界が反転するのを
読者として追いかけるというスタイル。
5つの作品のいずれかには、
誰しも多少思い当たる事柄が在るのでは。

因みに学校公開で訪れた中学校の学級文庫に
奥田作品がずらっと並んでいました。
自家中毒予防?

No.21 9点 タピオカ
(2023/08/23 10:57登録)
このシリーズ好きだなぁ。病を抱えて病院にやって来る登場人物がみんな特徴的で面白い。我が強がったり、コンプレックスを抱えてたり、単純に疲れてたり。そりゃあ、心も病みますよ。

No.20 4点 ぷちレコード
(2021/01/20 17:36登録)
精神科医がクライエントに対して精神的優位に立ち、相手の精神をコントロールすることで癒すという、精神分析を扱った小説における古典的な一方通行の図式は、完膚なきまでに崩壊し去っている。
確かに結果的には、クライエントの抱える心の病は癒されるのだけれども、伊良部は、クライエントと一緒になってはしゃぐばかりで、少なくとも表面上は、クライエントの意志を左右しようという意志があるようには見えない。

No.19 6点 HORNET
(2017/11/08 21:33登録)
 金持ちのボンボンで、ガキみたいにアホな、伊良部総合病院の神経科医・伊良部一郎のもとに、心に悩みを抱えた患者が次々訪れる短編集。あまりにいいかげんな伊良部の様子にはじめは「来る病院を間違えたか?」と思いつつも、なぜか毎日通ってしまい、アドバイスを受け入れるようになっていく。それぞれの患者の症状(?)は、ある意味では「あるある」で、伊良部とのおバカで軽妙なやりとりとバカバカしいような展開が考えてみれば意味深いような気がして、なかなかに楽しい。
 個人的には「コンパニオン」と「フレンズ」が中でも面白かった。特に「フレンズ」は、この作品の出版はまだガラケー全盛期のころだと思うが、現代の若者の「病」を極端に描いている感じがして面白かった。

No.18 8点 いいちこ
(2017/01/06 11:53登録)
各短編の主人公は、平々凡々とした人物でありながら、わずかに精神的不調を抱えており、直面する事態に、真摯かつ懸命に対処しようとすればするほど、事態の悪化を招いてしまう。
そうした彼らのあり様を、医師である探偵が徹底的に肯定することによって、苦悩から救い出す物語が並んでいる。
本作は、主人公たちの等身大の人物造形と、取りあげられた精神的不調の極めて高い今日性が、強烈なリアリティと読者の共感・感情移入を生んでいる。
また、彼らの苦悩を決して批判・嘲笑することなく、どこまでも肯定する探偵の行動原理が、本作を無味乾燥な現代社会への風刺に陥らせず、好感の持てる喜劇的な人生の賛歌に仕立てあげている。
やや手放しで褒め過ぎた気もするが、嗜好を超えて誰にでも勧められるという点では、近来稀に見る作品。
ミステリ以外の作品としては最高級の評価を献上したい

No.17 7点 smk
(2013/12/22 10:52登録)
トンデモ神経科医、伊良部一郎の連作短編集。
コミカルでリーダビリティも高く、さくさく読めました。
ミステリではないので△1点。

No.16 6点 ナノ
(2013/04/20 18:30登録)
短編集はいいですね。サックリ読めて。

この本は閉店間際の書店で購入しましたが、閉店15分前にレジを済ませた自分の一方、友人は閉店3分前までじっくり本を吟味。
閉店時間になったらどうするのかとハラハラでした。自分はレジを済ませているのに、です。
あぁ、私は義雄だなと思ってしまいました。
それぞれの患者のどこかしらに、読者誰もが共感する部分が隠れており、それが感情移入を呼び込んで、ストーリーをリアルなものとしているのでしょう。
少なくとも私は、そう感じました。

No.15 6点 Q-1
(2013/03/05 06:52登録)
一見ヤブ医師っぽい伊良部が知ってか知らずか反面教師として、
精神疾患者を治療してゆく様は痛快で面白いです。

個人的に一番好きだったのはフレンズの最後のマユミさんが少しだけ優しさを垣間見せた場面でした。
マユミさんが何者なのかもう少し掘り下げて欲しかったです。
シリーズの様なのでこれからそのあたりが楽しみです。

No.14 8点 TON2
(2013/01/03 21:19登録)
文春文庫
 松尾スズキ主演の映画を先に見ました。いかれた精神科医のもとを訪れる患者が、とんちんかんな医者の行動に振り回されているうちに癒されてしまうという話です。
 40歳すぎのマザコンで人格破綻していて注射フェチのドクター伊良部がめちゃくちゃ面白いです。
 

No.13 7点
(2011/08/10 16:08登録)
奥田作品をはじめて読みました。滅法おもしろいですね。

各短編の主人公たちは一見重症のように見えますが、実は、神経や精神をわずかに病んだ、どこにでもいる人たちです。
つねに仲間の輪の中に入ってなければおかしくなる携帯依存症の学生や、つねに男に見られていると勘違いしている自意識過剰なモデル女、健康のためにプールに通いつめ2、3日空くと震えがくる男、等々の主人公たちの気持ちは意外とよくわかります(もちろん勃ちっぱなしの気持ちも痛いほどわかる)。
主人公たちはいたって平凡で、ちょっと病んでいるだけという程度です。それにくらべ、レギュラー登場する準主人公のマザコン・オタク医師、伊良部はどうみてもかなり異常ですね。

そういったどこにでもいるけど、ちょっとおかしな人たちを、読者を納得させるようにリアリティをもって表現した奥田氏の才能には、ほんとうに感心させられます。

こんなお遊び感覚の作品、馬鹿らしくて読めるかという人もいるかもしれませんが、こんな作品でも、奥田氏がもし歴史に名を残すような大作家になったときには、病める現代人を軽妙な筆致で鋭く強烈に描いた初期短編集、なんて紹介されることになり、教科書にも載るようになるのでしょう。いやこれは冗談ではなく、中島敦の山月記、名人伝にも匹敵する素晴らしい名作短編集だと思います。

No.12 7点 haruka
(2011/05/29 10:34登録)
抱腹絶倒の面白さ。実写化するならドクター伊良部は古田新太だろう。

No.11 6点 まさむね
(2011/03/26 21:32登録)
 評判どおり,面白かったです。
伊良部センセは勿論のこと,登場人物のキャラ立ちが凄い。
 「コンパニオン」&「フレンズ」系の患者はホントにいそうだし,「いてもたっても」などを読むと,自分にもやや思い当たる節が…(病的ではないですよ。多分…)
 患者の狂い具合に辟易するあたりで前向きな展開に…っていう“さじ加減”も好みですね。ミステリでないだけに,このサイトでの採点は難しいですけど…。

No.10 5点 江守森江
(2011/03/09 01:04登録)
「空中ブランコ」を先日読んでいるので面白さは保証付だと思って手にした。
期待通りの面白さで満点(8点)でも良いが、本作も私的なミステリーの範疇には入らないのでポリシー通り2点。
でも、それでは気が引けるので妥協して5点(私の平均点←意識的に調整中)にしよう。
テレ朝を「ゼロの焦点」から勢いで視聴したドラマ(←嘘:毎回惰性で観てる)のエピソードが表題作だった。
いや〜2サス大好きな私には最高なゲストである中山忍に2サスのパロディをさせ、本作の映像化作品中では最高に素敵なエピソードだった(って他が酷すぎ)
録画した中山忍の水着姿を何度も観ていたら本作同様に【勃起】が治まらず、嫁といたしてしまった(←ウソピョーン)
私は児○ポ○ノ(←危険:伏字)が規制強化以前の緩かった時期、エロ画像&動画にハマって携帯中毒だった(>_<)(←これまた勃ちっぱなし)
次の「町長選挙」は都知事選にでも合わせて読んでみようかな。

No.9 7点 E-BANKER
(2011/03/05 00:07登録)
大好評の伊良部シリーズの第1弾。
とにかく面白い。面白いけど、最後に(ちょっと)ホロっとさせらる(ような)何ともいえないテイスト・・・
①「イン・ザ・プール」=「プール依存症」の男が登場。ただ、この中では一番マトモな患者では? ラストはなかなかいい感じに・・・
②「勃ちっぱなし」=「勃起しっぱなし」の男。これはツライ!!(自分だったら相当困る!) まぁ「言いたいことをグッとこらえる男性」は最近多いんでしょうねぇ。(かく言う私もそうだったりする)
③「コンパニオン」=「自意識過剰すぎる」女。これもどっかにいそうな感じがします。こんな女には近づかないにこしたことはない。
④「フレンズ」=「携帯電話中毒」の高校生。これも大げさだけど、いそうな感じ。携帯の料金が3万円を超えるような奴って、みんなこういう感じじゃないのかな?
⑤「いてもたっても」=「火事心配性」の男。とにかくかわいそう・・・
以上、5編。
それぞれの患者にしろ、伊良部にしろ、とにかくキャラが立ってて、スイスイ読めちゃう。
ホント、人間ってちょっとした精神(=心の持ち方)次第で幸せだったり、不幸だったりするんでしょうし、何だか勇気付けられました。
読み物としては10点でもいいんですが、まぁ「ミステリー」ではないでしょうから、この評点ということで・・・
(ちょうど今やってるTVドラマですが、伊良部役が徳重っていうのはあまりにもイメージと違う・・・)

No.8 6点 シーマスター
(2011/02/09 20:47登録)
やっぱり面白いね、伊良部シリーズは。

一作目の本短編集より先に二作目の「空中ブランコ」を読んだけれど、そちらに比べると全体的にストーリーテリングのキメが若干粗いかな、と。(このエラそうなコメントが本当なら段々良くなっているのだからいいことだよね)

本書の中では、個人的には「コンパニオン」と「フレンズ」が読み止まらない面白さでしたね。

ところでこのシリーズ、テレビで放映中のようだが、以前から映像化するなら伊良部役は伊良部(そう、元プロ野球の)が最適だと思っていたんだけどな。(やるわけないけどね)

No.7 7点 E
(2009/10/04 10:41登録)
「いらっしゃーい」
悩みを抱えた人はこの声が聞こえた診察室に入りましょう。

No.6 5点 おしょわ
(2008/09/05 23:05登録)
小説として面白いけど、ミステリではないです。
こういうのは採点が難しい。

No.5 7点 ひこうき雲
(2008/08/13 01:11登録)
私はシリーズ2作目の空中ブランコを先に読んだので、1作目の本作品の伊良部はこんなキャラでスタートしたのか。。。と2作目のキャラよりもどぎつい感じがしました。
でも、やっぱり笑えます。

No.4 5点 こもと
(2008/05/01 02:46登録)
 このシリーズが、「ミステリ」という括りになるのか、いささか疑問を抱く。
 確かに、楽しい作品ではあったと思う。
 ただ、伊良部のキャラが現実離れし過ぎていて、私には入り込みにくい世界だった。 それ故に、せっかくの「読み易い文章」という長所も、「印象に残りにくい」というマイナス方向に向かってしまったという、なんたる勿体無さ。
 しかし。
 「オモシロイ」との誉れ高いこの作品に対して、相当、辛口なこと言ってますね、ワタシ。 スミマセン。

23中の書評を表示しています 1 - 20