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ミステリの祭典

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すべてがFになる
S&Mシリーズ

作家 森博嗣
出版日1996年04月
平均点6.74点
書評数179人

No.159 7点 mozart
(2014/09/04 10:08登録)
テレビドラマ化されるとのことなので再読しました。このS&MシリーズとVシリーズは新刊が出るたびに購入して一気読みするほど気に入っていたのですが、改めて本作を読み直すと犀川助教授のイメージが記憶とちょっと違っていて意外に新鮮でした。トリックやテクノロジーの設定が時代的に古いのは当然ですが、それよりもやはり動機に不満が残りますね。ただ、自分も理系出身なので、レガシーな業界用語の数々が少々懐かしくもありました。
それにしてもドラマ化は大丈夫だろうか……。

No.158 10点 shica
(2014/07/04 17:16登録)
出てくる大学生、大学院生の振る舞いが(萌絵以外)自然な感じ。随所で語られる哲学に共感できるかどうかで評価が分かれるだろう。

No.157 7点 アイス・コーヒー
(2014/05/11 12:36登録)
十代で両親を殺害したという天才工学博士・真賀田四季が住む孤島の研究所。島へキャンプに来たN大工学部建築学科の犀川創平助教授と生徒の西之園萌絵は、そこで殺人事件に遭遇する。シリーズ第一作。

記念すべき第一回メフィスト賞受賞作であり著者のデビュー作。理系を主要登場人物に配置し、様々な本格の要素が詰め込まれた異色の傑作だ。
本作最大の魅力は天才科学者の四季と犀川&萌絵の頭脳戦だ。冒頭の面会シーンは「羊たちの沈黙」を思わせる。彼女を巡って起こった殺人事件での不可解な死体の状況、密室殺人、コンピュータシステムの誤作動…。そして、彼女が残した「すべてがFになる」という言葉の意味が分かったとき、真の衝撃があるといっても過言ではない。
トリックは皆、一筋縄ではいかない特殊なものだが、個人的には満足している。全体としての完成度も高い。
ちょくちょく登場する哲学的な話題は、作品世界に奥行きを出すため強引に押し込んだようで不自然だが、デビュー作ゆえ許される範囲内だ。無論、ストーリーとほとんど関係がないため実害はない。

世間に云われているような歴史に残る名作ではなかったが、出世作だけあってよく出来ていた。
森氏の作品は初めてだったので、もう少し読んできたいと思う。

No.156 6点 ボナンザ
(2014/04/08 15:15登録)
大学生にとっては恐るべきタイトル・・・。
今となっては当時の先進性がむしろ違和感を感じさせるが、パズルものとしてはよくできている。

No.155 9点 バード
(2014/03/04 00:14登録)
自分はボトルシップのくだりと真賀田女史と未来の見た目から真相は推理できたが実際は流石に子供が生まれれば気づかれちゃうからまぁミステリ用の設定と言わざるをえない。更に残されたすべてがFになるというメッセージから一応レッドマジックが初めからトロイの木馬というのは伏線としてあるがこれを読んでる途中で推理で当てるのはちょっと厳しいかな。

このように突っ込みをたくなる点は他にも多々あるがそれでも面白かった、綾辻さんの「十角館の殺人」もそうだがどうも自分はアクロバットな技には甘めにつける傾向があるようだ。

シリーズもののようなので以降のシリーズも読んでみたくなった、ただどうにも主人公の萌絵は苦手なタイプのキャラで真賀田女史がとてもいいキャラだったので以降のシリーズには出ないのが残念。

No.154 6点 smk
(2014/02/04 23:55登録)
密室トリックは、まぁ考えてみたらこれしかないのかなといった印象でフェアではある。
ただ、このトリックを推理できるのかといえば暗示程度のヒントがあるぐらいなので難しいかなと。
第2の殺人もそりゃ無理があるでしょって感じ。
あとは動機がいまいちわからず。。『天才だから』ってことなんかな。

No.153 8点 メルカトル
(2013/12/11 22:23登録)
再読です。
全く素晴らしい出来栄えの一言に尽きる。
花嫁姿の死体が登場するシーンは圧巻で、それこそ度肝を抜かれたし、密室のトリックもおそらく前例のない斬新なものだと思う。冒頭の西之園と真賀田教授との邂逅も、最終章の余韻を残す締めくくりなども見事だ。
しかし、褒めてばかりもいられないのが人情というものである。ここからは本作の、私なりの気になる点を列挙していこうと思う。
まず、犀川と萌絵ばかりでなく他の登場人物のほとんどに、人間味が感じられないこと。よって、誰にも感情移入する余地がない。
第二に若干読み難いこと、これはまあ私の責任によるところも大きいので、一概には断言できないが。
第三に肝心の密室トリックに関してだが、その状況はかなり無理があるのではないかとの疑問。共犯者でもいるのなら別だが、一人では○○をこなすのは難しい。
最後に、動機の問題。作者が敢えてぼかしたとは思えないので、作者自身にもはっきりとした動機が思い浮かばなかったのではないかとも思える。ただし、これは私の読解力が足らないせいかもしれないので、あまり大きな声では言えない。
これだけの欠点がありながらも、やはりこの作品は本格ミステリの本髄と言っても決して言い過ぎではないだろう。稀有な傑作であるのは間違いないと思う。

No.152 8点 TON2
(2013/03/25 18:29登録)
講談社NOVELS
 S&Mシリーズを読み終えて再読して、実によくできた作品だと感心しました。「天才」という概念には今一つシンパシーを感じないものの、このシリーズの世界観が的確に描かれています。また、デビュー作にありがちな、人間関係や設定の過剰な説明もなく、リーダビリティにも優れています。
 理系ではないので、トリックは全く分かりませんでしたが、肉親の死というものにも冷静・冷酷に対する真賀田四季という人物造形は素晴らしいと思います。
 真賀田博士は、萌絵のことを「頭の回転が速い」と、犀川助教授のことを「頭の回転は遅いが、指向性が抜群」と評しています。なるほど。

No.151 7点 ろーてくろいつ
(2012/09/05 00:14登録)
S&Mシリーズの第一弾。

本当は(冷たい密室と博士たち)の方が先だったが、インパクトの問題でこちらが第一弾になったそうです。

確かに、四季というキャラには引きつけられます。あまり天才だとは思いませんでしたが・・・一読する価値はありです。

No.150 9点 ミステリ初心者
(2012/05/28 16:30登録)
 ネタバレあります。


 自分はこの作品の雰囲気やキャラクターが大嫌いで、読むのには苦労しました。が、これは高評価をつけざるをえません。
 これまで読んだ密室物の中で一番。ビンの中の船のヒントも最高です。とにかく密室の可能性を突き詰めてます。これ以上の密室ものは無いと思います。

 ミステリを読みまくっている人(そんな人はこの作品も既読だと思いますが)は、少し読んだだけで分かってしまうかもしれません。

 自分は、この小説独自の状況と施設から、ある時点で真相に近いものに気づきました。

No.149 4点 いいちこ
(2012/02/12 14:49登録)
これまでで最も世評との乖離を実感した作品。
メフィスト賞受賞作と決定的に相性が悪い。
本作も1個の読物としてはともかくミステリとしては評価すべき点がない。
随所に散りばめたコンピュータ用語と処世訓で装飾しているが、ミステリの本質としては欠陥が多く空想的。
(以下ネタバレを含みます)
そもそも殺人の動機が十分に説明されておらず、想像しようにも非常に無理があり、それを登場人物の個性として片付けるのはアンフェア。
「すべてがFになる」というメイントリック自体が陳腐。
これだけのメイントリックを仕掛けられる犯人なら、こんな迂遠かつリスキーな手段に訴えずとも、目的を達成できるはず。
主人公が他殺体の身元を断定した根拠が不明であり、かつ警察の解剖でも見抜けなかったというのはあまりに無理がある。
第二の殺人の真相がいくら何でも無理筋。
衆人環視の状況の中、犯人があんなに簡単に脱出できるはずがない

No.148 9点 toyotama
(2011/10/03 12:47登録)
犯人はともかく、トリックはすぐ判りました。
それが理系の私だからなのかどうかは、わかりませんが・・・。

20代でデビューした人たちと比べて、文章が成熟していて、読みやすい。やはり、論文執筆などの経験が大きいのでしょうか。
大学のゼミなどの描写も非常にリアル!

No.147 9点 蟷螂の斧
(2011/09/12 22:06登録)
大変楽しく読めた。コンピュータの世界で、登場人物もあまり感情を持ち合わせていないし、人間らしさを感じさせない。作品の中では、動機らしきものをサラッと流しているが、実はドロドロとした人間関係が背景にはある。なかなかの秀作だと思う。

No.146 8点 判子
(2011/08/11 23:53登録)
根っからの文系の僕は、分かり辛い用語に少し疲労しました。
これだけ科学的な話が10年以上前に書かれたことに驚きです。
密室構成についてのトリックは新本格として充分満喫できました。

No.145 7点 E-BANKER
(2011/07/24 15:44登録)
第1回メフィスト賞受賞作にして、S&Mシリーズの第1作目。
記念碑的作品に相応しく、本格ミステリーのギミックをたっぷりと詰め込んだ大作です。
~孤島のハイテク研究所で少女時代から完全に隔離された生活をおくる天才工学博士・真賀田四季。彼女の部屋からウェディングドレスを身にまとい両手両足を切断された死体が現れた。偶然、島を訪れていたN大助教授・犀川と西之園萌絵が、この不可思議な密室殺人に挑む~

久し振りに再読。
森作品は、当初S&Mシリーズをノベルズで刊行のたび読んでいましたが、何か肌に合わないような気がして途中で完全に脱落してました。
やっぱり本作は別格のような気がしますね。デビュー作とはとても思えない。
ミステリー的な視点で見れば、密室トリック(と言えるか?)はやや反則気味ですし(これなら何でもありになってしまう)、「動機」もはっきり言って意味不明。
フーダニットかハウダニットかどちらかにもう少し拘って、深掘りしても良かったかなというのが個人的感想。
ただ、当時はこういう設定自体が目新しかったでしょうし、「新しい形の本格ミステリー」という表現が確かに当て嵌まるのだと思います。
というわけで、再読してみると、S&Mシリーズをもう1度おさらいしてみるのもいいかもという気が・・・
(私みたいなコテコテの文系人間には、やっぱり犀川のような考え方に反発を覚えるんでしょうか・・・それが肌に合わないと感じるのかな?)

No.144 4点 haruka
(2011/05/29 11:04登録)
そもそも犯人が万能すぎてフェアでない。物語としても不自然な設定が多く、入り込めなかった。

No.143 8点 好兵衛
(2011/04/23 20:31登録)
自分的には満点の8点。

密室が出尽くした近代に「限りなく密室にチャレンジした」
作品ではないでしょうか。

ただ、その密室を把握するのがちょっと大変ですかね。
密室のための状況をスッキリさせて欲しかったです。
ですが、
Fの意味は解答前に主人公が解くので問題はないと思います。

人間模写や動機、細かい部分はあまり気にしないほうですが
トリックと発想が抜けていましたね。
さあ、どうやって殺したんだ?解いてみろ!
というミステリの確信をついた
大胆な作品だと思います。満足です。

No.142 6点 ムラ
(2010/12/16 03:00登録)
二人のコンビがなんとも魅力的で文章も凝っていて面白かったです。
下手するとキャンプのシーンのが面白かったくらい、とくに事件性のないシーンが読んでいて楽しかったです。
タイトルもそそられました。
トリック自体はちょっと首を傾げちゃいましたけどね。
犯人の天才性もまだちょっとわからなかった。

No.141 9点 まさむね
(2010/11/13 16:19登録)
今まで「理系ミステリ」ってイメージだけで氏の作品を避けていたのですが,ひどく損をしていたことを思い知らされました。
緻密なパズルを見せ付けられた感じ。
登場人物のキャラにも魅かれる。
登場人物に「語らせてる」内容も(共感できるかはともかくとして)好印象。
高評価になっちゃいますね。

No.140 5点 seiryuu
(2010/07/16 18:38登録)
長編だけど中だるみもなく読みきれた。
インパクトはあまりないけど読み終わりはすっきり。
萌絵と犀川 どちらのキャラもよかった。
ミステリというより昔勉強したC言語を思い出してしまった。

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