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ミステリの祭典

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麒麟の翼
加賀恭一郎シリーズ

作家 東野圭吾
出版日2011年03月
平均点6.08点
書評数25人

No.25 6点 たかだい
(2024/11/10 06:35登録)
新参者としてドラマ化もされている加賀恭一郎シリーズの(短編含め)9作目にあたる作品
瀕死の身で日本橋まで移動して生き絶えた男の謎を、刑事・加賀恭一郎が追う
正直なところ、派手なトリックや秀逸な真相があるわけではなく、どっちかと言えば聞き込み等による地道な捜査で徐々に事件の輪郭が浮かび上がってくる地味な内容です
しかし、そこに秘められた男の真意、七福神巡りの理由などに気付いてくる事で、とある過去の過ちや親子間の絆が見えて来る構成は結構好きでした
真相なんかも割とあっさりしていて、過ちに関しても最後まで補完され切れない辺り、変に救いのある円満なラストでご都合主義にするより効果的だった気がします

No.24 4点 ボナンザ
(2022/10/20 23:40登録)
いかにもこのシリーズらしい真相ではある。

No.23 6点 ぷちレコード
(2022/02/08 22:49登録)
被害者の足取り調査と、その界隈を歩いた理由に迫っていく、地味ながらも二段構えの構造の謎解きが読みどころ。
中途半端な解決は、被害者家族の救済にならないという加賀の言葉には胸を打たれる。

No.22 6点 斎藤警部
(2021/12/15 06:42登録)
妙に微妙に早すぎるタイミングでネタバラシ、またはそれがとんだダミーであることのほのめかし。 靴下の伏線も瞬殺で潰されるし。。 だが折り鶴の色が毎回変わった理由、シンプル且つミステリ的には浅いのに、どこかハッとした。。。。 人間ドラマとしても社会派としてもさほど踏み込んでないのはわざとで、てことは、さぞかしミステリとして、こう見えて腰抜かすようなゴン攻め真相が蠢いているのかと少し期待しなくもなかったっすが。。 この真犯人提示含め、ううーーむ。 序盤~中盤~終盤までかなーり面白かったが、暴露される結末の意外性が、東野基準にしてはちょっと、うねってないやね。 それでも余裕の6点ですよ。

No.21 6点 sophia
(2020/05/26 17:51登録)
スラスラ読めたのですが、真犯人の浮上が唐突に過ぎた感があります。もう少し伏線を張れなかったものでしょうか。悠人の妹の思いもどこへやら。肝心の「麒麟の翼」も×××のタイトルでした、ではねえ。

No.20 4点 雪の日
(2020/04/13 14:59登録)
話は面白いけど、ミステリーではない。

No.19 6点 makomako
(2016/11/16 21:47登録)
作者は話の始め方がとても上手な作家と思っていますが、このお話はそれほどでもない。初めのほうは加害者とされている人物や彼を愛する女性の悲惨な状態、そして被害者の家族がいじめにあったりしてちょっとやりきれない。
 次第に加賀の地道な捜査から、意外な結末が浮かび上がってくる。最後には何となくよかったといった終わり方なのだが、あまりすっきりしないのです。
 この結末ではとても重く取り返しのつかないことが残ったままで、全然すっきりとはしない。まあそこが物語の重さともいえるのですが。
 それにしても被害者が突然刺されたときに、瀕死の重傷を負いながら急に思いついて必死に歩いて日本橋まで行くというのがちょっと無理がある気もします。

No.18 5点 風桜青紫
(2016/01/15 03:33登録)
親と子の葛藤とその解決。東野圭吾がシリーズ最高傑作と太鼓判を押したくなる気持ちはわからないでもないが、そこまで上手く決まった作品だとは思えない。だって事件の解決がなんだか投げやりなんですもの。やっぱ東野圭吾の本領は本格チックなプロットの構成であって、こういう人間模様に焦点を当てた作品を書くとなれば宮部先生とかもっと上手いのがたくさんいるんだよね。まあつまらなくはないんだけど、あまりカタルシスを得られない作品だった。それにしても、加賀さんは水泳の先生を堂々と叱れる身分じゃないよなあ……。

No.17 7点 Tetchy
(2016/01/09 20:43登録)
前作『新参者』で日本橋署に転勤になった加賀が同署で再び相見えたのは一見簡単だと思われた行きずりの殺人事件。そして『赤い指』の事件でタッグを組んだ松宮刑事と再び捜査を共にする。
新宿に本社を持つ建築部品メーカーの製造本部長を務める男性がなぜ日本橋で殺害されたのか?しかも腹を刺されながら日本橋交番を素通りしたのか?そしてなぜ麒麟の像の下で彼は息絶えたのか?

当時社会問題となっていたいわゆる「派遣切り」問題を扱いながら、ある会社の本部長を務める男がなぜ日本橋七福神を参っていたのかという小さな謎が加賀を奔走させる。一つの謎が明らかになると浮かび上がる被害者の謎めいた真意。加賀は軽い臆測で事件を片付けず、とことん真相を追及していく。

さらに今回加賀は『赤い指』で亡くなった父親加賀隆正の三回忌を迎えようとしていており、その際に隆正の看護を担当した看護婦金森登紀子の世話になっている。この金森が加賀に隆正の三回忌の打合せをしている時に放つ言葉が今回の事件解決のヒントになるところが本書のミソだ。

一見不和のように見える親子関係。そしてこの悠人と武明の関係はそのまま加賀親子の姿と重なる。加賀は事件を通じて生前の父親の心に向き合うのだ。
この2つの構図をなんと上手くリンクさせることか。そしてこの加賀の父親との不和が『赤い指』を経て徐々に浄化されていく過程こそ、シリーズを読んできた者が得られるカタルシスであり、特権だ。

そしてタイトルとなっている“麒麟の翼”には本書が過ちを犯した人々に向けたそれぞれの再出発の物語であるというメッセージが込められている。それはまた加賀にもまた当て嵌まる。『赤い指』で一旦決着したかに見えた父親との不和。しかし看護婦金森を通じて、何も解決していなかったことを悟らされる。

さて今度は加賀恭一郎の番だろう。次作以降を読むが愉しみだ。

No.16 8点 E-BANKER
(2014/05/20 21:54登録)
「新参者」に続く加賀恭一郎シリーズの長編。
前作で日本橋署へ異動になった加賀が、構図が複雑に絡み合った殺人事件の謎を紐解いていく。

~「わたしたち、お父さんのこと何も知らない」。胸を刺された男性が日本橋の上で息絶えた。瀕死の状態でそこまで移動した理由を探る加賀恭一郎は、被害者が「七福神めぐり」をしていたことを突き止める。家族はその目的に心当たりがない。だが刑事のひとことで、ある人物の心に変化が生まれる・・・。父の命懸けの決意とは?~

うーん。さすがだ。
読み終えて、そういう感想しか浮かばなかった。

本シリーズについては、「卒業~雪月花ゲーム」からのファンであるが、加賀恭一郎は作者が30年近くかけ熟成してきたキャラクターとして、今や作品中で圧倒的な存在感を放っている。(当たり前かもしれないが・・・)
本作のテーマは「父と子の絆」というものだろうし、これは前々作の「赤い指」辺りから繰り返し語られてきたテーマだ。
被害者親子、巻き添えをくい死亡してしまった男性と新たな命を宿したばかりの子供、そして加賀刑事と亡くなった父・・・本作にも複数の親子が登場し、テーマに相応しい人間ドラマを見せてくれるが、それよりも、やはり本作では何より加賀恭一郎の鋭すぎる観察眼と推理力に驚かされることになる。

前作(「新参者」)でも、日本橋・人形町という町に溶け込み、町の人々の証言と自身の慧眼を組み合わせていった加賀。本作でも日本橋界隈を縦横無尽に歩き回り、相棒・松宮刑事を呆れさせるような鋭さを発揮し続けることになる。
ここまでいくと、あまりにもスーパーマンすぎてどうかという気にもなったが、モラルが崩れ、人間関係がどんどん希薄になっていく現代において、加賀のようなヒーロー像を作者は求めているのかもしれない。

他の多くの方が指摘しているとおり、ミステリー的観点からすると、本作はやや食い足りないということになる。
事件の鍵となるある過去の事件が完全に後出しだし、ある人物の行動についても読者がそれを推理できる伏線は感じられなかった。
そこに焦点を当てれば、本格ミステリーとしては評価を下げざるを得ないのだろうけど、個人的にそこは気にならなかった。
作者が表現したかったのは、そのような瑣末なことではない。
心の襞、苦悩、運命・・・そして人としての“生き方”こそ、本作で表したかったことなのだろう。

やはりスゴイ作品、スゴイシリーズだ。最新作の方も楽しみ。
(昔、日本橋界隈で勤務してたことがあり、出てくる地名や建物をついつい懐かしく思い出してしまった。だいぶ変わってるけどね)

No.15 6点 ドクターマッコい
(2013/09/09 10:10登録)
加賀刑事の日本橋周辺の愛着が良く出て馴染みやすい作品です。内容は申し分ないものの最後はバタバタと結論が出てしまうのはちょっと残念

No.14 6点 Q-1
(2012/05/27 23:57登録)
ハードカバーは読みにくいし場所をとるので買わないのですが、
知人に新参者と一緒にもらったので読みました。
その帯びに依ると加賀シリーズ最高傑作とのことでしたが、
そう言われると少し評価を下げざるを得ません。

ストーリーにトリックどれも破綻なく書かれているのですが、
特に衝撃的な何かがあるわけでもなく、
ありふれた難易度のミステリだったかなと思います。

お父さんが会社の悪事の首謀者と思われたまま終わったのも読後感が悪かったです。

No.13 6点
(2012/05/27 19:37登録)
良い作品だと思いますが、ミステリーという観点からはこの点数です。

No.12 8点 ayulifeman
(2012/04/23 02:14登録)
加賀シリーズ。
やはり面白いです。
地域に対して興味や愛着がわきこういった点でも楽しめた。
ぼんやりでも頭の中に地図が描けるのは楽しい。
映像化されて以降どうしても脳内では阿部ちゃんが動き回りますが、今回は原作のほうが映像に寄せた、かな?

No.11 8点 akkta2007
(2012/02/10 22:20登録)
加賀シリーズの最高傑作との評判どおりの作品であった。
間違いなく、のめり込んでしまった。

No.10 7点 HORNET
(2012/01/04 20:34登録)
 冒頭の事件発生のシーンから引き込まれた。確かにミステリよりもヒューマンドラマの要素が濃い作品だが、それはそれで楽しめる。最初被害者として同情的に見られていた会社員家族が、事件の背景が明るみになるにつれ冷たくあしらわれていく様など、読み入ってしまう。
 一応フーダニットの体はとられていると思うが、手がかりとなる情報があと出しになっている点は否めない。だが、結末の衝撃度は大きく、私としては「新参者」よりこちらのほうが(結末に限って言えば)好み。
 やはり東野圭吾は加賀恭一郎シリーズがよい。

No.9 6点 モグ風
(2011/09/21 20:53登録)
ネタばれあり

ミステリーというよりは
絆を描いた感動物(ヒューマンもの)の小説ですね。
そのように思って読めばそこそこなできの作品です。
東野さんの作品は誰が犯人かを当てるよりは、犯人が既知でホワイダニイット、動機を深く掘り下げる作品が多いです。
この作品は犯人が既知ではないですが、犯人当てが重点ではなくホワイダニイットの考察が重点な感じです。

No.8 6点 まさむね
(2011/08/22 22:53登録)
 「赤い指」あたりから続く,加賀恭一郎シリーズのキーワード(「家族」)が,これまた色濃く反映されてますね。加賀刑事の着目点や推理の推移を楽しもうと思えば,悪くないと思います。松宮の成長とか,金森登紀子看護婦の再登場,さらには彼女に頭が上がらない加賀刑事のシーンなど,シリーズファンにとっての見所もありますしね。
 ただ,謎解きとしては楽しめないでしょうねぇ。読者への証拠の提示もないですしね。ちなみに,私の根拠レスな真犯人予測は見事にハズレました…。

No.7 6点 白い風
(2011/07/18 23:19登録)
加賀恭一郎シリーズで「新参者」の続編的要素の強い作品ですね。
今回はミステリ度より、人間模様を反映させた作品だったね。
犯人は誰か?と云うより何故被害者は日本橋へ、また麒麟がある欄干へ行ったのか?がメインだったかな。
本で読むよりドラマ向きかな(もう既に映画化決定だけどね(笑))

No.6 6点 mozart
(2011/07/01 14:42登録)
加賀恭一郎モノとしては普通の水準だと思う。前半で悠人たちの犯した罪に関する伏線が読み取れなかったのは、ミステリーとして残念なところです。彼の屈折した人格が形成されるに至った過程こそが「伏線」なのだ、といえるのかも知れませんが。
また、被疑者が、瀕死の状態の被害者を前に、救護を求めるでもなく、警察に通報するでもなく、金品を奪って逃走するだけ、という設定は、いくら彼が窮乏していたとはいえ、ちょっと納得できない。そこが、彼が犯人か否かの判断のポイントとなるだけに、もう少し説得力のある理由が(後付けでもいいから)ほしかった。
ただ、それなりに感動モノではあることは確かで、「死にゆく者の最後のメッセージを受け止めるのは生きている者の義務である」、という言葉は、本当に心にしみ入りました。

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