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ミステリの祭典

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時計館の殺人
館シリーズ

作家 綾辻行人
出版日1991年08月
平均点7.84点
書評数125人

No.105 10点 ロマン
(2015/10/20 13:21登録)
館シリーズ五作目。 緻密に計算された<時>を題材にした本格ミステリである。先ずは巧妙に練り上げられたトリックを、物語の引き立て役として使い捨てる氏の大胆さに驚愕するだろう。そして、結末を予測した読者を困惑させる、あまりにも普通過ぎる結果にたどり着いた瞬間に、物語の初めから終わりまで流れ続ける<時>が文字通り音を立てて崩れていくのである。

No.104 10点 斎藤警部
(2015/08/14 20:00登録)


胸がいっぱいです。。。。


私の求めてやまなかった、、、「容疑者X」でさえそこには届いていない、、、『悪魔のアリバイ・トリック』はこの館でとうとう発見されました。

早い段階から多くの伏線が大胆に投げ出されますし、色々勘付く人も多いとは思います。。

(これよりネタバレ度、弱より徐々に強)

どう見ても推理小説的にいちばん怪しいのはあの人、という自然に湧く疑惑は序の口もいい所。
この小説の神髄である悪魔的(デモーニッシュ)にして壮大なアリバイトリックを、全ての重要点を正しく押さえて看破する事は極めて困難でしょう。 特に、実は、それが既に亡くなっている某人物の凄まじく強靭な意志で構築された「ある仕掛け」を、生きている某人物が全く別の(しかし過去は繋がっている)強い意志に基づく全く別の意図で利用して云々、、更にその仕掛けを知る人物達は云々、、という背景事情までまるっと窺い知る洞察はなかなか出来ないわざと言えましょう。

さて肝となる時計のトリックですが。。 私はずっと「不定時法」(の応用)を想定していました(時計薀蓄のミスディレクションに引っ掛かったのか?)。 眞犯人が、正午や真夜中にこだわって細工を施していたような気がしたので。。こりゃ思い込みによる誤読だな、きっと。

実は時計たちは、天上的に狂っていると言えるまさかの理由で、不定時法とはまったく異なる、悪魔の様な動きを強いられていたのですね。。。。そしてそれに乗っかって悪魔的アリバイ・トリックを構築し、最後まで貫徹して逃げ切ろうとした本事件の眞犯人。 その犯罪動機もまた、既に亡い某人物が時計たちに狂った動きを強いた動機と同様、我が子への強力無比な愛がその根底にはあった。


さて、不定時法と見当違いはあったものの、時計の動きにこそ巨大な秘密が隠されていると踏んだ私は
「ならばきっと、巻末近くの方に『対照表』の様なリストが印刷されている筈だ!」 
と信じ込み、ハラハラドキドキしつつも(うっかり文字を読んでしまわないよう気を遣いながら)パラパラと後半の頁をめくってみたのでした。。 すると、、果たしてうっすら見えた、明らかに何かを掘り起して白日に晒すが為の『対照表』が!! 
この発見の瞬間の異様な感動を私は忘れられません。 実際に結末まで読み進めると、やはりやはりそれは、ある時間と、また別のある時間の『対照表』でした。 しかしながらその一方は私が思っていた、毎日いちいち落とし前が付いて何度もやり直す「不定時法」ではなく、遥か無限の彼方に向かって人智を超えた収束なのか拡散なのか、あるいは人間らしい悲劇的な超級巨大破綻をイメージ喚起せずにはおかない、悪魔のアリバイ・トリックと呼ぶに相応しい、究極のギミックと言える何物かの核心なのでした。。。。





No.103 7点 CHABI
(2015/02/14 23:53登録)
序盤で仕掛けも犯人も解ってしまったにもかかわらず、サクサク読めた
ヒント詰め込みすぎかも

No.102 7点 STAR
(2014/10/01 15:59登録)
十角館と同じくらいおもしろいというコメント等があったので、買ってみました。ちょうど新装版も出ていて読みやすそうだったし。
上下巻ですが、すらすら読めますね。やたら人が死に過ぎ?という感じもしますが。

十角館ほどの衝撃はやはりなかなか越えられない感じでした。内と外の二部構成は上手です。

(以下ネタバレあり!)
これだけ時計が関わるので、内と外で時間がずれているんだよなと当初から疑い読んでいました。たぶん内側の時間がずれているんだろうなと。でも進めていくうちに、あれ?内側の時間合ってるかと思ってしまったりましました。なので最後の種明かしで、なるほどねとなりました。
十角館同様、読者の先入観を利用した仕掛けですね。

No.101 10点 sophia
(2014/06/28 19:08登録)
館シリーズと言えば十角館と時計館の二強ですかね。分厚さを感じさせないくらい一気に読まされました。十角館以上にテンポよく人が死んでくれます。そして相変わらず2パートの構成が上手い。この空前の大トリックを使う必然性を持たせるために、よくぞこれだけの話を作りました。お見事。しかし鹿谷さん、旧館内の学生たちの身の危険を自ら指摘しておきながら、結局ほったらかしにするのはどうなんですかね。

No.100 6点 ボナンザ
(2014/04/07 01:41登録)
トリックは無難ですが、やはりこれまでのシリーズほどの衝撃はないです。
それでもこれだけの長さをだれさせずに読ませるのは本格のみならずホラー、サスペンス描写もこなす作者の腕によるものだと思います。

No.99 8点 バード
(2013/09/24 22:57登録)
これまでの館シリーズのなかで最も大がかりな仕掛けで時刻を表にして確認ときはうまくかみ合ってるなぁと感心した。
作品の長さも長編としては読みごたえがありかつ長すぎることもなくちょうどよかった。

読んでいた時は特に不満はなかったけど後々考えてみると大量殺人の理由が少し厳しい気はした。終わり方は急展開だが館シリーズとしては珍しい終わり方だと思う。

No.98 9点 アイス・コーヒー
(2013/06/19 22:15登録)
鎌倉にある中村青司の館「時計館」。江南たち雑誌編集者とW大学ミステリー研究会は亡き館主の娘の幽霊を調査するため時計型の旧館に三日間立てこもる事になる。
一方作家の鹿谷と、調査に行けなかったミステリー研究会の学生福西は大きな時計塔がある新館で館に住んでいた一家の過去を調査をしていく―

日本推理作家協会賞を最年少で受賞した本作は「十角館」を超える、正に館シリーズ最高傑作。いつも通りの離れ業には驚かされる(犯人の目星はついてしまうが・・・)。孤立した状況下での殺人の緊張感もまたいいが物語的な点では微妙。でも読んで損は無い傑作であり、壮大なクライマックスもはらはらさせられとても満足。

No.97 8点 ミステリ初心者
(2012/06/20 12:14登録)
ネタバレあります



 館シリーズでもかなり面白い作品です。館シリーズの魅力たっぷりです。クローズドサークル、大量殺人、大掛かりな仕掛け、叙述トリックのどんでん返し。迫力満点です。

 メイントリックが良いです。
館の外と中は明らかに時間があってない。が、館に入った時間は外と中で同じ。時計の数が多すぎて針を操作することができない。ならどうするか? 普通は、時計の1秒1秒が違うとは思わない。無意識に時計の1秒の感覚は信頼してる。でも、掛け時計の時間の狂いはだいたい起こってるし、その原理も電池切れなどで1秒1秒が遅くなってる。普通に目にしていることなのに気づかない。
 実は、自分は、某動画投稿サイトの動画が音ズレを起こしているのを見て、このトリックに気づくきっかけになりました。動画と音が徐々にズレていくあれです。

 悪い点を上げるなら、あまり犯人当てを楽しめる作品でないこと。

No.96 10点 スパイラルライフ
(2012/02/05 23:30登録)
閉鎖空間の大量殺人。
秀逸なプロット、伏線。
壮大なトリックと、物語の中での必然性。
美しいラスト。

館シリーズ、一位二位を争う名作です。

半ば辺りで犯人の目星はつくものの、
如何にして犯行をなしえたのか?
誰の目線で語られているかにヒントがありました。中途半端な時間トリックしか自分には考えつかなかった。

ミステリ好きなら必読の一冊です。


※コナン君の時計の件は見落としがち。
精読を勧めます。

No.95 6点 いいちこ
(2012/01/24 21:08登録)
館シリーズ最高傑作との評価にも納得できる佳作だと思う。
舞台設定とプロットが壮大かつ有機的に連携しており、張り巡らせた伏線が遺漏なく回収され、メイントリックも効果的に機能していた。
ロジックと完成度の点では文句なし。
ただ殺人が多すぎる点が大きな難点。
残されたキャラクターから犯人の想像が容易であるうえ、厳しい時間的制限の中で膨大な連続殺人とアリバイ工作を1人でやってのけた超人的技量に違和感が残る。
6点の最上位

No.94 10点 makomako
(2011/12/12 21:42登録)
 綾辻の館シリーズ私にとって推理小説にのめり込見始めた頃に読んで十角館以来館シリーズはすべてリアルタイムで読んできた。20年ぶりに読み直してみたが、雰囲気といい堅固で独創的なトリックといい、ほんとうにすばらしい。
 思えばこの頃の作者は人形館、霧越邸と年に1作ぐらいの割ではあったがきわめて質の高い本格推理小説を発表しており、まさに絶頂期であった。綾辻の新作が出ると聞いたら書店へ飛んでいったものだ。
 このところの作品は当時の勢いが低下気味なのはまことに残念なのだが、思えばこんな作品を何作も書くこと自体が無理なのかもしれない。

No.93 8点 モグ風
(2011/12/02 14:43登録)
このトリックは独創性があっていいと思う。
非常に緻密に出来上がったストーリー。



(以降ネタバレ含む)
くだらないことだけど少し気になったのが窓の色が昼と夜で変わるとなっていたが、それは館にいる人が色が変わるタイミングで窓を見れば気づく可能性があったのでは?(夕方は存在しないのか?)
来客の人は数日では気づかないかもしれないが、
ゆきやって人は何年間も館で過ごしていたのだからそこに気づいていると思う。

No.92 8点 蟷螂の斧
(2011/12/02 14:25登録)
評価基準は「衝撃度」「どんでん返し度」に重点をおいているので、「十角館」が10で本作品は8となります。トリックは秀逸と思いますが、実行する犯人(必然的に絞られてしまう)が平凡になってしまっていたので・・・残念。ラストシーンは印象的で映画を見ているように美しい。

No.91 7点 isurrender
(2011/10/27 21:12登録)
大掛かりなトリックはすごいと思いますが、それがミステリとして充分に生きているかは微妙
ラストシーンはルパン三世のカリオストロの城を思い出しました(笑)

No.90 9点 まさむね
(2011/10/23 21:25登録)
伏線が見事です。きっちり張られているんですよねぇ。
私の中では,「驚きの十角館」・「完成度の時計館」…ですね。

No.89 7点 itokin
(2011/09/16 20:53登録)
孤島(離れ屋敷)、密室、嵐、監禁、殺人と、本格の見本の作品。よく練られ、意外性も結構あり、うまく書かれていると思うが、謎解きだけで動機に共感を持てないのが作品に深さがなく残念。

No.88 8点 nukkam
(2011/09/06 16:50登録)
(ネタバレなしです) 館シリーズ前作の「人形館の殺人」(1989年)が本格派推理小説でありながらサイコ・サスペンス路線に踏み出しかけていたのでその種のジャンルが苦手な私は心配しましたが、1991年発表のシリーズ第5作である本書は推理をメインにした本格派推理小説だったので安心かつ満足することができました。派手な殺人場面の直接描写(もちろん犯人の正体は隠してます)が多いですけど残虐性や気味悪さを強調していないのもいいですね。好都合過ぎな部分もありますが思い切った大トリックに挑戦しており、作者が1つのピークを迎えたことを納得させる出来ばえです。

No.87 10点 ぷにぷに
(2011/06/07 18:37登録)
トリックが印象的な作品。

十角館の殺人のトリックが、一文でアッと理解できるのに対して、こちらは、なぜそんな事がありうる?と驚き、詳しい説明を聞いて、更によく考えなければすぐには理解できない点で、好みが分かれる気がする。 自分は、時計館の方が好み。
作者の作品の中では1番好きです。

時計がたくさん出てきた時点で、漠然とトリックは浮かんでいたので、やっぱり感があったが、全然、正確なものではなく、きっちり説明できなければ意味ないから、完敗でした。
アインシュタインの相対性理論が発表される前であれば、もっとびっくりしたかもしれません。

No.86 8点 つよ
(2011/05/01 21:54登録)
館シリーズでは面白い方。

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