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ミステリの祭典

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秋期限定栗きんとん事件
小市民シリーズ

作家 米澤穂信
出版日2009年02月
平均点6.33点
書評数18人

No.18 6点 ぷちレコード
(2022/09/11 22:08登録)
扱われるのは連続放火の犯罪とはいえ、死者は出ない事件である。新聞部内部の路線対立。学校の生活指導部と新聞部で生じた摩擦。また、小山内は恋人の瓜野、小鳩は友人の堂島部長を通じて新聞部に接近する。ここには高校生たちの駆け引きがあり、大げさな言い方をすれば政治的暗闘が展開されている。本書では小鳩の推理とともに、そんな駆け引きの面白さも読みどころになっている。

No.17 6点
(2021/04/29 08:02登録)
 前作での互恵関係解消を受けて、主人公・小鳩常悟朗と小佐内さんがそれぞれのやり方で清く正しい小市民への道を目指す、第三作にしてシリーズ初長編。主人公二人は一歩後ろへ退き、木良市全域に頻発する連続放火事件の犯人を捕えようとの功名心に逸る、船戸高校新聞部員(途中からは部長)・瓜野高彦が主体となってストーリーを動かす。小佐内さんに告白し、常悟朗に代わってペアを組む事になる彼だが、その行動力はともかく暴走一歩手前の強引さは、傍から見ても危なっかしい。シリーズの重しである前新聞部長・堂島健吾も若干持て余し気味である。
 全体としてはこの新キャラクターパートと、こちらもクラスメイトに告白されたジョーゴロのパートが交互に綴られる構成。もちろんその影では小佐内さんが暗躍している。さすがに新田先生の異動には関わっていないと思うが、彼女の事だから分からない。あまり言われないが正直ここが一番怖かった。
 ミステリとしては主人公が放火犯あぶり出しの為仕掛ける「月報船戸」利用の罠がセオリーなれど秀逸。レシートの暗示はちょっと露骨だが、最後まで交わらない二つのパートにそれぞれ巧妙な伏線が張ってあるのもいい。解説の辻先生には悪いが、直接行為に出るのは小佐内ゆきのスタンスから少々外れると思う。
 約一年の長丁場なだけあって、『夏期限定トロピカルパフェ事件』よりさらにゆったりした流れ。ただしボリューム増の胃もたれ感は無く、読み心地の方も前作とあまり変わらない。縒りを戻した形の二人だが大学受験まであともう僅か。最終作と思われる『冬季限定~』は、果たしてどのような作品になるのだろうか?

No.16 6点 パメル
(2021/04/17 08:29登録)
小市民シリーズ3作目。中学時代にいろいろあって、高校ではなるべく目立たずひっそりと過ごしたいと思っている主人公と、同じ考え方を共有する女の子がコンビを組む。
ひっそりと生きたいにもかかわらず、いろんな事件が降りかかってきて、心ならずも名探偵の役割を果たしてしまうっていう本格ミステリの連作。前作の最後で、二人がコンビを解消して別々の道を歩み始める。それを受けて、今回は冒頭からそれぞれ別の彼氏彼女が出来て、二人は一体どうなるの?というあまりテンションが上がらない恋愛ストーリーも淡々と進行する。それと並行して、今回初めて二人以外の視点人物が出てくる。
その人物が新聞部の男の子で、街で起きている連続放火事件の謎に挑むコラムを掲載する。この放火事件を軸にしたミステリパートと、学園青春小説パートが並行して進み、最後にどんでん返しがある。このシリーズの面白いところは、萌えキャラ小説になりそうなのに、意外とダークなところに落ちていく点。今回も大変皮肉な結末が待っていて、その突き放し方が面白い。

No.15 7点 じきる
(2020/08/30 16:44登録)
私もこのラストは気に入りました。

No.14 7点 青い車
(2016/09/10 22:42登録)
 連続放火事件にまつわるトリックは素直に感心できたのですが、年季の入ったミステリー読者の方からはさほど喜ばれなかったようです。そこよりは彼女のできた小鳩くん、年下の男子を振り回す小佐内さんの方が重要ポイントでしょうか。しかし、それにしたって瓜野くんは可哀想すぎるだろ……。おそらく最終作になるであろう冬季がずっと出ていませんが、このシリーズがどう終結するのか、期待と不安が半々といったところです。

No.13 6点 風桜青紫
(2015/12/19 09:59登録)
最後のひとことで妙に盛り上がっているかたもいるっぽいけど、ゆきの「小動物っぽいけど、実は狼みたいに凶暴、でも処女」みたいな胡散臭い設定にはほとほと嫌気がさしてるので、「あほ臭い」という印象しかなかった。逆にファッション彼女を作ったジョーゴロは今回好感度がずいぶん増した。馬鹿馬鹿しくても彼女ラブはやりたくなるよね。くだらんことを大真面目に推理する系でいえば、『あたたかな冬』はなかなかの出来。『おいしいココアの作り方』や『シャルロットだけはぼくのもの』よりか出来がいいような気がするけど、はて、どうして短編オールタイムベスト100みたいな企画だとこの二作品に押されちゃうのかな(もとより米澤の作品がオールタイムベストレベルかはかなりの疑問なんだけど)。

No.12 7点 505
(2015/10/06 08:34登録)
2つの視点を巧みに使い分け、決して交差することなく、事件が進んでいくところが◎。
ミッシングリンクものとして高いレベルにあり、巧妙なミスディレクションも効いているために真相のインパクトは中々。
〝探偵〟が推理を披露する『対決シーン』のクライマックスは圧巻の一言。ここまで容赦なく人物を痛めつけるとは、肌が粟立つ。最終章にあたる『第六章』に至るまでの〝反転の構図〟が〝俯瞰の構図〟になるシーンは美しく、最後の一行の破壊力は名作たる証明を成している。彼らの小市民への道程は険しいばかりだが、彼らの美学はどうも蠱惑的である

No.11 5点 ボナンザ
(2014/10/21 22:45登録)
現在でている中では1番の出来。まあ犯人の正体は簡単に予測出来るでしょうが・・・。

No.10 6点 makomako
(2014/06/08 10:52登録)
 この本から読み始めたのでそれまでの経過がわからずはじめはちょっと戸惑ったが、読んでいけばまあ何とかなりました。でもやっぱりこれは春、夏と呼んでいくものなのでしょう。
 この子小さくてかわいいと思っていたら、本当はとんでもないやつででしたねえ。
 好みとしてはかわいいままで終わるほうがよいのですが、作者はそんなのは甘っちょろくて好きでないのでしょう。
 

No.9 7点 初老人
(2014/05/09 20:58登録)
いきなりこのシリーズのこの話から入ったので、小鳩君と小佐内さんが解消した互恵関係というのがどういうものか解らず、戸惑った。
それでも下巻に入ってからは物語に入り込む事が出来、一気に読み終えた。特に放火犯を特定するために小鳩君が仕掛けた罠は見事。少なくとも春にさかのぼって読んでみたい、と思わせるほどには十分な出来だったと思う。

No.8 7点 mohicant
(2012/10/17 00:12登録)
せっかく推理しても、相手がついてこれずにもどかしくしている小鳩君がおもしろい。小山内さんは小山内さんで相手の男を手のひらでころころと。うーん、おもろい。

No.7 7点 HORNET
(2011/09/18 21:18登録)
 互恵関係を終わらせた小鳩君、小山内さんの煮え切らなさにやきもきするが、そっちのほうも、本筋の事件のほうも、ラストにすっと胸がすく。学園ものというライトな設定、事件も本格のような重さはないが、伏線もよく考えられ、下手な本格よりミステリ的にも面白かった。

No.6 5点 3880403
(2011/04/06 20:05登録)
前作に続いて読了。
春夏秋の中では一番面白いというか、良い長さかもしれない。
冬期に期待。

No.5 6点 まさむね
(2010/09/03 22:41登録)
ミステリとして目立った点はないのでしょうが,このシリーズのファンにとっては結構楽しめる内容。
特にラストはいいですね。小佐内さんは,これだから目が離せない。

No.4 6点 kanamori
(2010/07/11 22:53登録)
高校生・小鳩&小佐内さんの小市民シリーズ第3弾。
一応のコンビ解消で、今回は学園ミステリの様相が強まっていると思いました。
登場場面は比較的少なめですが、小佐内さんの存在感は小鳩くんを圧倒しています。

No.3 6点 あるびれお
(2009/06/13 04:52登録)
あからさま過ぎる「レシート」とか、これまでの小山内さんを知っているからきっとそういうことなんだろうな、と思って読んでいたので、驚きはあんまりなかったかな。でも、最後の「動機」は、ホントにそうなのかな?あまりに小山内さんらし過ぎて、逆に納得できない。

No.2 6点 江守森江
(2009/05/22 08:04登録)
最後の動機の告白だけで満足。
放火犯当てのミステリとしてだけなら二時間ドラマレベル。
ミステリとは関係ないラノベ部分では、シリーズテーマ「才能の有無と発揮すべき方向性について考る」を上手く纏めている。

No.1 8点 だい様
(2009/04/14 23:17登録)
小市民シリーズ第3弾

最後が強烈(笑)。
このシリーズで一番の出来だと思います。
面白かったです。

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