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ミステリの祭典

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向日葵の咲かない夏

作家 道尾秀介
出版日2005年11月
平均点4.71点
書評数56人

No.56 6点 みりん
(2024/09/28 20:25登録)
ま、まだ夏なんで滑り込みセーフ…
タイトル「向日葵の咲かない夏」は、自分の世界に閉じこもって、結局抜け出せなかった主人公のことだったのかな。
どことなく『夏と花火と私の死体』感があったのでホラーに投票しとこ。
ひとつだけ腑に落ちないのは駅員さんとの会話だね。

No.55 9点 zuso
(2024/06/18 22:16登録)
子供特有の残酷さ、悲しみを詩情性豊かに描き出し、結末では主人公の少年が背負う物語の重さに抑えがたい哀切の念を湧き起こさせる。
オカルティックな設定を本格ミステリの骨法と融合してみせた傑作。

No.54 8点 猫サーカス
(2023/09/06 17:05登録)
物語は小学生である主人公が夏休みを迎える終業式の日、欠席した級友のS君の家へ、プリントと宿題を届けに向かうところから始まる。主人公はそこでS君が首を吊って死んでいるのを目撃するも、何と死体が忽然と消えてしまうのだ。そして一週間後、死んだS君の生まれ変わりと名乗る存在が現れ「僕は殺されたんだ」と訴える。三歳の妹と共に謎多き級友の死に迫る。やけに大人びた妹の口調、母親の冷たい雰囲気、狂気に満ちた担任の先生、何かがおかしいというより全てがおかしい。ずっと悪夢を見ているような気分だった。それでも真実を知りたい、結末が気になるそんな物語であった。結論から言えば、これぞどんでん返しの代表作である。あまりにも悲惨で報われない内容のためか、レビューでは賛否両論といった感じだが、個人的にこのダークな世界観は好みだ。作中に「何かをずっと憶えておくというのは大変なことだ。しかし、何かをわざと忘れることに比べると、大したことはない」という主人公のモノローグがある。どんな形であれ記憶に色濃く残る作品はそう多くない。忘れたいと思えば思うほど、その記憶は深く脳に刻まれるだろう。そんな作品だ。

No.53 8点 パメル
(2022/04/23 08:14登録)
夏休みに入る直前の終業式の日。学校に来ていないS君に返却された提出物を持っていくため、彼の家に行った。ミチオはそこでS君が首を吊った姿を目撃する。驚いて学校へ戻り、先生へ伝えると先生は警察と共にS君の家へ向かった。しかしS君の死体は消えていた。S君はあるものに姿を変え、「僕は殺されたんだ」と訴える。ミチオは妹のミカと真相を探ることに。
全体的にホラーの雰囲気が漂っており、何か不気味なものが背後に潜んでいるのを感じながらも違和感を覚えることになる。占いが得意なお婆さん、小説を出版したことがある国語の先生、百葉箱を毎日見に来るおじさん、そしてパパ、ママ、S君のママ。協力者なのかS君を殺した犯人なのか、それぞれ皆秘密を抱えていて、物語が進むにつれ事情が分かってくると、登場人物全員が怪しく思えてくる。
帯には「僕と妹・ミカが巻き込まれた、ひと夏の冒険。分類不能、説明不可、ネタバレ厳禁!超絶・不条理ミステリ。(でも、ロジカル)」まさにその通りの作品で、作品全体のありとあらゆる部分に伏線、ギミック、トリックの類が満載に仕掛けられている。そしてあらゆることが、残り十数ページで一気に解明し、一種のどんでん返しに驚かされる。ロジカル的にも上手くまとめ上げた感じ。
以前から気になっていた作品だが、あまりにも否定的な意見が多かったので読むのを躊躇っていた。確かにあり得ない特殊設定や、全体的に漂う陰鬱な雰囲気、動物虐待などの気持ち悪い描写、イヤミス特有の読後感など、好き嫌いが大きく分かれるのも納得の一冊。

No.52 4点 ぷちレコード
(2020/12/22 17:20登録)
肝となる世界設定がご都合主義的。しかも探偵役の造形は、この不思議な世界にあってさえ不自然極まりない。新本格黎明期に出たある名作の異形譚という印象が拭えない。

No.51 5点 ミステリーオタク
(2020/08/09 16:17登録)
読み物としてはそこそこ面白いが、何人かの方が指摘されているとおり明らかな矛盾点があるのは頂けない。


※ 今年は「何もない夏」になりそうだ。

No.50 2点 Kingscorss
(2020/08/08 02:07登録)
かなり評価が分かれる作品と知って読んでみましたが、自分は全くダメな方でした。
読後に解説サイトも合わせて見て理解を深めようとしましたが、更にダメでした…

最初からファンタジー要素で個人的にイマイチでしがが、オチも含めて全く納得行かず、アンフェアの塊のような構成で、ツッコミどころ満載の内容。文体は読みやすい方だとおもいましたが、何故か不快で受け付けず。

読んだ後に壁に投げつけたくなったのは初めてです。ただ、個人的にはダメダメでしたが、これぐらい好き嫌い分かれる内容の方が、当たり障りなく記憶に残らないよりは作品としてはいいのかなぁとは思いました。

道尾秀介さんの作品がこれが初めてだったので、以後一度も他の作品を読んでません。ファーストインプレッションは大事だなぁと実感。

No.49 4点 雪の日
(2020/04/13 15:29登録)
ミステリーというより、ファンタジー。
あと、全体的に暗い。

No.48 6点 ミステリ初心者
(2020/04/13 00:45登録)
ネタバレをしています。

 さわやかな表紙とタイトル?のわりに、意外にも読みづらい要素が多い作品でした。悪いという意味ではなく、ホラー感特有の不安感や不快感がありました。
 明らかにおかしな主人公とその母親。それだけでなく、ほぼすべての登場人物がどこか変な感じであり、読んでいて漠然とした違和感や不安感におそわれます(笑)。私が、ミステリ以上にホラー初心者だからかもしれません。ジャンルは本格/新本格となっておりますが、個人的にはホラー7:3本格な感じがします。
 途中まで、S君が探偵、主人公がワトスン役のような感じで進んでいきますが、中盤あたりからS君の様子もおかしくなってきます。嘘を隠しているような感じです。S君の蜘蛛化はなんだかかわいらしくて、唯一の清涼剤だったのですが…(涙)。

 私はS君の登場から、S君だけでなく他の人物も人間ではないやつがいるだろうと高をくくっていました(笑)。
 ミカは真っ先に人間ではなさそうだと思いましたが、ミチル君の母親が服を着せたり、化粧をさせたりしているため、ここが難点でした…。猿なのかと一瞬考えました(笑)。しかし、母親も狂っている描写が十分にあったので、やはり人形ということに気付くべきでした(涙)。
 スミダさんが人間ではない(金魚かとおもった(笑))のは何となく予想がついたのですが、トコお婆ちゃんが猫なのは完全に予想外でした(笑)。小父さんは狂ってはいないと思うのですが、小父さんの言動はよいミスリードでしたね。

 ラスト数ページのシーン、私はあまり理解できないのですが…。ミチル君の母親の「ミチルもミカも助かった」とはどういうことなのでしょうか? ミチル母の視点では、ミチルがトカゲをミカだと認識しているのを認めつつ、人形をミカと思っていたはずなのですが、ラストではトカゲをミカと認識しているのでしょうか? それとも、助かったミチルによる幻覚なのでしょうか??
※追記:解説サイトを閲覧しました。伸びている影が一つ=ミチルのみが助かり、ミチルが自分の都合の良い世界を作っているようですね(笑)。お爺さんとの会話はなんだったのか…(涙)。
追記2:さんざんミチルって書いたんですが、ミチオだったみたいですね(笑)。これは恥ずかしい(笑)

 以下、推理小説としてみた場合の不満点。
・非常に多くの登場人物が嘘をついている…あるいは、精神に異常がある…あるいはミチル君による幻覚幻聴?の可能性があり、すべてを推理するのは不可能に思えます。
・S君だけ頭文字のみの表記のため、なにかトリックがあるのかとおもいきや、そんなことはなかったですね(ですよね?)。

 なんだか悲しさが残る作品でした(涙)。

No.47 6点 新世紀ミステリー
(2019/06/29 22:46登録)
2005年発表。少年にあのキャラをさせる狙いは悪くないと思います。肝心なタイトルの咲かない向日葵のネタは少々外してしまってますね。

No.46 5点 モグ風
(2018/07/14 19:53登録)
本格的ではない。
設定がsfになるのかな?
自分はSFでも気にしない方であるが、これは設定に不満が残った。
読みやすいけど、自分にとっては内容がやりすぎで、反則的でした。

No.45 6点 レッドキング
(2018/06/03 16:44登録)
好きになれんぞ この小説家 小器用で こざかしくて偽善的で
唯一この作品だけは再読する気になるが 他のは全部ダメだ

< 2023/9/6 追記 > ありゃ、何でこんな子供みたく毒づいてんだ? 5年前。それだけ良く読んでたって事か、この作家。今や何の関心もないが・・・

No.44 6点 ねここねこ男爵
(2017/10/13 21:26登録)
ミステリではなく幻想小説です。最初からそのつもりで読めばなかなか面白いです。
おそらく、読書量と評価が反比例するでしょう。

No.43 7点 斎藤警部
(2016/08/12 13:27登録)
一抹の気味悪さとギリギリの爽やかさで〆る神経症ファンタジー。物語の中核に居座る甘酸っぱく硬いジェラート状の本格推理興味が最後に夏と○○のアツさで一気に蒸発(昇華)してしまう思い切りの良さには…チッとばかりダマサレタ感も混じったが、暑い夏の倦怠と退廃にヤラレて見事にシャッキリ納得、呑み込まされた。少年小説の皮を被った本格推理小説、の皮を被った幻想イヤミスと言った着地ぶりか。


【ネタバレ】

奇跡の映像化を実現するとしたら、とりあえずきょうだいをもう一人増やす、のを取っ掛かりにするかなあ。。安直ですが。。。いやぁそんなんじゃ無理無理無理か

No.42 7点 風桜青紫
(2015/12/28 23:22登録)
大した読書量もないだろうに「新本格しか読んでことのない自称ミステリ好きが好みそうな作品」と本気で書いてしまう自称ミステリ好きが嫌いそうな作品。冒頭から伏線がころつに提示されてるからオチは十分に予測できるし、駅員とのやり取りなんて結末を予測して読めばすぐに見破れるだろうに、はて、どこらへんがアンフェアなんだろう。少なくとも風桜が頭をからっぽにして読んでいても見破れるレベルのトリックでした。しかし種明かし前に気づいたからといって興ざめしたわけでもなく、なんというか、「そんなんアリかい」と笑えます。友だちの感想を聞いていると「残酷な話で嫌になる」ってな意見が少なくないんだが、果たしてそうだろうかと感じる。ウマル・ハイヤーム的に、実際の世界というのは悲しいことだらけなんだから、自分の内面世界だけでも楽しくありたいもんでしょう。作者本人から話を聞く機会があったとき、「マッチ売りの少女」を意識したという意見がうかがえたが、まあ、納得しました。ミチオの世界はキモくて愉快で楽しそうなのです。

No.41 7点 谷山
(2014/08/31 01:03登録)
面白かったです。前半の主人公とミカとS君の少年探偵団的な冒険も楽しかったですし。それがあることをきっかけに主人公が壊れ出し、結局それが元に戻るどころかエスカレートしたまま物語が終わるので読後感があまり良くないですが、まあそれも味でしょう。
ところでS君が本名じゃなくてイニシャルなのは何でなのでしょうかね。主人公が作者の苗字と同じミチオだからS君は作者の名前から取られてるとかそういうことなのでしょうか。

No.40 6点 メルカトル
(2014/07/19 21:48登録)
面白かった。しかし、拒否される訳もなんとなく理解できた気がした。本格志向が高い人ほど「許せない」のではないかな。そうでない人でも生理的に受け付けないという理由で、自分には向かないと感じているのではないかと思う。
だが、私は圧倒的にとは言えないが、大方支持する立ち位置でいたい。なぜなら、まず小説としての完成度が高いから。ミステリとしても、しっかりと伏線が張られているし、真相も過不足なく明らかにされており、設定が特異なだけで決してホラーなどではないと個人的には信じているのである。
確かに、非常に際どい描写があるのは認める。しかしながら、必ずしもアンフェアとは言えない。
やや気になるのはS君の生まれ変わりの早さで、蜘蛛に生まれ変わるのはいいが、たったの7日間でというのはいかにも早いのではないだろうか。私の少ない知識では人間が生まれ変わるのには400年前後かかるはずだけど。まあ、仏教にはそのような教えもあるのかもしれないので、あまり偉そうなことは言えないね。
それと、同じトリックの多用が気に入らない人も多いんじゃないかな。またかって感じで、感覚が麻痺してしまい、驚きが次第に目減りするのはやむを得ないと思う。
蛇足だが、冒頭のプロローグに当たる部分は最後に持ってきた方が良かったのではなかろうか。或いは、同じ文章を最後に繰り返すのも一つの手だったのではないか。そのほうが余韻がいい感じで残ると思うのだが。

No.39 7点 いいちこ
(2014/05/26 14:00登録)
特異な設定である時点で読者を選ぶ作品であるのは間違いない。
にしても、本サイトでの評価がここまで低くなるのは、本格ミステリ読みが集まっているからだろう。
確かにアンフェアな部分があるうえ、全体に荒削りな印象は否めないが、著者の後日の飛躍に通じる伏線のうまさ、騙しのテクニック、解法のロジックは存分に発揮されている。
救いのなさ過ぎるラストの残す印象も強烈。
プロットの稚気や野心を堪能する作品

No.38 7点 sophia
(2014/04/12 23:12登録)
評価が分かれる作品かなと思っていましたが、ここでは想像以上に不評なんですね(笑)まあかなり滅茶苦茶な作品ですから仕方ありませんが。ダークな雰囲気の作品ながら自分は楽しんで読めたのですが、転生システムが面白いだけなのかなという気もします。しかもその「転生」はミチオの妄想だったのですが、これは最後にもっとはっきり示した方がよかったと思います。気付いてない人は結構いるんじゃないでしょうか。これに気付くか気付かないかでラストシーンの捉え方が全く違ってきますから。
事件について。読者はS君と泰造お爺さんに振り回されるはめになるのですが、S君が嘘ばかり吐くのはミチオに対してだから許容範囲として、泰造の方は独白で惑わせているのでフェアプレー上アウトだと思うんですよねえ。図書館で調べ物をした後につぶやいた「何てことだ・・・あの子は――」のところです。ここはこの作品の大きな失点ですね。
しかし麻耶雄嵩の「神様ゲーム」と同じ年にこの作品が出たというのは何か運命的な物を感じます。共通点が多いですから。

No.37 3点 ボナンザ
(2014/04/10 17:21登録)
お前はなにを言っているんだ・・・感がすごい。
どんでん返しというよりはちゃぶ台返し。

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