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ミステリの祭典

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あした天気にしておくれ

作家 岡嶋二人
出版日1983年10月
平均点7.32点
書評数19人

No.19 6点 ミステリ初心者
(2022/07/01 19:49登録)
ネタバレをしております。

 私は競馬については無知だったのですが、それでも大丈夫でした(笑)。非常に読みやすい文でテンポもよく、一気に読み終えられました。

 始めは倒叙形式のような感じで、主人公達が狂言誘拐を企てますが、別の犯人が誘拐の乗っ取りをして…といった流れです。競馬という特殊な設定を活かした意外な方法での身代金奪取と、意外な犯人が楽しめます。
 私は、セシアが怪我をする前にもう入れ替わっているかもしれない…とうっすら頭によぎったぐらいで、後のことはわかりませんでした。いろいろな偶然も絡みますし、推理小説としては読者が全て推理できないとは思います。

No.18 7点 ボナンザ
(2022/01/27 20:39登録)
先を読ませないストーリー。いつも思うがこのコンビのトリック、意外性、そして話づくりのうまさはずば抜けていると思う。

No.17 7点 斎藤警部
(2020/02/13 12:30登録)

“私の不安はそこにある”

画期的身代金強奪トリックさえ呑み込む構成の妙で大いに読ませる煌めきの一篇。 複雑な取り込まれの渦に、予想を呑み込む加速のやばさ、わずか2ページ足らずの隙間に。。そんなシビレる核心の一幕を経、大トリックが明かされてもまだ積み残される、違和感と謎と人間ドラマ。 “あの人”が真犯人なら、ミステリ的に最高に素敵だなと(実人生だったら最低だが!)妄想しながら読み進めたところ。。。。 いっけんドライな行動描写の中に考え落ちならぬ考え情感が溢れる(ハードボイルド文体とは微妙に違う)、そんなシーンによく出くわす。 そして今から動き出すラストシーンも、気持ちが深い。。。  「そうしましょう。牧場にそうするように言っておきます。」 ← この哀しきユーモア、哀しいのに噴き出したw で、何故このタイトルなのかという疑問はおいといて、バランスちょっと悪いとこもあるけど、この創作パッションは見逃せません。

講談社文庫、ミスタ・ヨー・サノの巻末解説、いいねえ。特に最後の四行。“そして、この有名な方法は、さらに、競馬の外の社会で頻繁に行われていることからの応用だろうと思います”という一文も拡がりがあって素敵。




【最後はネタバレ(メイントリックについて)】


本作の身代金トリック、昔どっかで読んだ奇想麻雀漫画のネタを彷彿とさせます。点数計算を、その日に実際打って和了った手の占有率(誰かが和了る毎に変動する!)で倍率配分したらどうなるか、みたいなの。 たとえば早い段階で四暗刻単騎行っちゃったら。。


No.16 8点 蟷螂の斧
(2019/02/09 14:21登録)
身代金受け渡しのトリックに前例があり、江戸川乱歩賞を逃したとのこと。惜しいですね。本作の肝は、倒叙形式からフーダニットへの展開にあると思うのですが・・・。”私が誘拐計画を立てた二日前に、第三者がその計画を予知することができるのか?”という謎は秀逸です。「前例」はリスペクトしますので、早速読まなければ(笑)。

No.15 9点 ねここねこ男爵
(2018/01/18 21:07登録)
これは面白い!

倒叙ものとして始まるが、中盤から犯人グループに便乗する第三者の存在が明らかになり、それによって徐々に計画が破綻していくサスペンス、更に衆人環視のなか身代金を奪取する鮮やかさ、どんでん返し、そしてラストと一気に読ませる。
文章もテンポよしストレスなしで登場人物も整理されておりやたら読みやすい。文句なし。

No.14 8点 パメル
(2016/01/21 13:35登録)
狂言誘拐テーマの倒叙ミステリとしスタートし
中盤からは事件に便乗した謎の人物の正体を探るフーダニットの要素や
身代金受け渡しのハウダニットの要素も加え
更にラストで事件全体の構図をひっくり返して見せるという
凝った構成で楽しめる

No.13 8点 いいちこ
(2015/07/09 14:41登録)
誘拐事件と相性のよい倒叙形式を採用しつつ、事件に捻りを加えてフーダニットに仕立てあげたプロットが実に巧妙。
そのうえ、誘拐モノの最大の急所である身代金の奪取を巡るメイントリックが強烈。
ある仕掛けを利用し、かつ全額の回収を諦めることによって、2つの絶対的な不確実性を排除した奇想は、その合理性と完璧なフィージビリティの点で素晴らしくエレガント。
私はコアな競馬ファンであるため、途中で仕掛けの大半を看破したが、それでも執筆当時のシステム上の欠陥を利用したディテールはさすがに見抜くことができず。
“人さらいの岡嶋”の評価に相応しい傑作

No.12 6点 E-BANKER
(2011/02/08 23:16登録)
作者の第二長編。
出版順では乱歩賞受賞作「焦茶色のパステル」が先ですが、執筆順では本作の方が先のため、実質的には処女長編というべき作品のようです。
競馬界を舞台にしたミステリーの傑作。北海道の牧場で3億2千万もの値が付いた1頭のサラブレットが誘拐され、2億円の身代金が要求される。衆人環視の中、思いもよらぬ方法で大金が奪われるが・・・というのが大まかな粗筋。(「傑作」は帯のことばですが、ちょっと言いすぎかな?)
「焦茶色」に続いて、競馬界を舞台にしたミステリーであり、しかも今回は作者得意の誘拐もの。(馬が誘拐されるというのも珍しいですけど)
まずは、プロットがうまいですね。一種の倒叙形式ではじまり、犯人(?)側の視点から事件が書かれるわけですが、途中から思いもよらぬ邪魔が入ってきてさぁどうなる? 
既視感があると言えばあるのですが、読者にとっては作者の手のひらで遊ばれてる感じが心地よい・・・
メインプロットは、競馬に詳しい人ならば、正確ではなくてもある程度は予想のつくものだとは思います。(私も気付いた)
「あとがき」でも触れてるとおり、舞台となった昭和56年当時では、こういった初歩的なやり方も想定できる時代だったのでしょう。
全体的な評価としては、「まあまあの面白さ」という感じでしょうか。もう一捻りあっても良かったかなというのが正直な感想。
(今思えば、この頃の馬券は単純だったんですよねぇ・・・今や、馬単・ワイド・三連複に三連単、おまけに、5レースの1着馬を当てる5連単も近々発売されるとか・・・ 1レースの1着馬さえ当てられない奴が、5レースも当てらるわけないだろ!)

No.11 8点 kanamori
(2010/05/30 19:07登録)
倒叙形式で描く競走馬の狂言誘拐から、謎の介入者による身代金略取計画に変わる物語のツイストが非常に巧妙です。このような面白いプロットを書かせたら、この時代では著者が抜群のナンバーワンでしょう。
身代金略取のトリックに関して、夏樹静子の某短編との類似性とか現実的に実現不可能とかイチャモンがはいったようですが、本書の肝は倒叙ミステリとフーダニットを両立させたプロットの妙にあると思います。

No.10 5点 りんちゃみ先輩
(2010/02/19 17:59登録)
岡島二人の作品は大好きなので「競馬」には全く興味がなかったのですが読んでみました。私はやはり「人間」の方が物語に引込まれます。専門用語などが理解できず今ひとつでした。それにしても”バブル”の時の話ですね・・・景気の良い物語でした。

No.9 7点 測量ボ-イ
(2009/10/30 06:56登録)
誘拐ものですが、誘拐されたものが人ではなく動物(馬)という
設定がユニ-クですね。
なるほど、そういう身代金強奪方法があるのですか・・でもこれ、
競馬に詳しくない人にはちょっと分かり難いでしょうね。
この作品が書かれたときは僕も大学生になった頃で競馬のこと、
あまり分かっていませんでしたので、当時の事情を知る良い機会
になりました。
作品の性質上、どうしても「焦茶色のパステル」と較べられかち
ですが、僕には甲乙つけがたかったです。

No.8 8点 isurrender
(2009/09/30 20:55登録)
倒叙なのに、犯人がわからないっていうのがいいですね
ただ、真犯人があの人だったっていうのがちょっとヒントが少ないかなぁ

No.7 6点 いけお
(2008/09/19 01:51登録)
この展開は見事。完成度は高いと思う。

No.6 8点 COBRA
(2008/06/27 16:21登録)
途中からの視点の変化。
そして犯人、トリック、結末と満足。

No.5 8点 こう
(2008/05/17 22:29登録)
岡島作品の競馬物三作の中では一番出来が良いです。倒叙形式から後半一転する展開も良いですし、身代金受け渡し(?)の部分も良いと思います。本人のエッセイによるとこの部分のトリックに前例があるために乱歩賞を逃したらしいですがはっきり言って受賞作の焦茶色のパステルより断然上だと思います。

No.4 8点 vivi
(2008/05/06 01:40登録)
『焦茶色のパステル』よりは、競馬社会に突っ込んでる感じで、
専門性は強かったかもしれません。
しかし、その「競馬」という世界が舞台であることが、
見事に作品の必要性となっていて、ポイントが高いです。

誘拐もので、倒叙もので・・・という定型から、
一気にスライドしていくサスペンスは秀逸だし、
ラストの無力感もいい味を出していますね(^^)

No.3 7点 VOLKS
(2008/03/21 20:41登録)
競馬には疎いが、とても面白かった。(いつもとは少し様子が違うが)やはり誘拐モノが得意な作者だけはある、と痛感。毎回、身代金の受け渡しはどう切り抜けるのか・・・と興味深く読んでいるが、今回の方法も見事だった。

No.2 8点 深夜
(2007/11/14 10:17登録)
倒叙モノだが、途中からフーダニットの展開に。競馬をテーマに得意の誘拐も織り交ぜて、一気に読ませる。多少ごちゃごちゃした感じもあるが、面白かった。

No.1 7点 ギザじゅう
(2003/11/09 23:29登録)
 (江戸川乱歩賞最終候補作!)
馬の誘拐を犯人側から描く倒叙形式なのだが、途中から謎の脅迫者も加わって次はどうなるのか、次はどうなるのかと気になって一気に読んでしまう。
乱歩賞受賞作の『焦茶色のパステル』よりも、こちらの方が楽しめた。

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