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ミステリの祭典

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世界の終わり、あるいは始まり

作家 歌野晶午
出版日2002年02月
平均点5.89点
書評数35人

No.35 6点 斎藤警部
(2021/02/15 10:54登録)
“私はやはり自分がかわいい”

これは間違い無く、真っ当な平成の新本格ミステリなんだよな。。違うのか。。と疑いが芽生えたのは物語進行のどのあたりだったか。途中から、妙にこの小説に不似合いな気がする、格好よくないユーモアが頻出。この親父何やってんだよーー いろんな意味で。。だがしかし、物語の半分にも遠い地点でギラつきすぎるスーパークライマックスらしきものが露出。これによる、物語後半というか全体像への期待感の勃興ったらない!ハードル上げまくったもんだなあぁ、やけに、と感心する。これは間違い無く、真っ当な平成の新本格誘拐ミステリなんだよな。。気付けば、何なんだこの章立ての。。おい、どういう展開のハンドル切りなんだ。。徐々に、これはもしや、アガサ流の真犯人隠匿術を真相隠匿に拡大応用しているのではないかとの疑いが。。最後の最後近くに、推理クイズというか鮎川さんの緩い倒叙短篇みたいなの、の更に多重解決版みたいなのが出て来ちゃったよ。。まさかそこで。。エンド、唐突に気分が変わるなあ、これでいいのかなあ。拳銃の件もあるだけに。。(アレの確認とかどうするつもりだろ)。。何より、このエンディングで受け止め切れてないでしょ、それまでの物語の圧力を。恐るべきリーダビリティを持ってはいましたし、読んでてとても愉しかったですよ。文庫解説にもありましたが、その後の歌野さん快進撃を想うと、実験敢行した甲斐は充分あったのではないでしょうか。

これを言うとネタバレになると思いますが、途中から西澤保彦「七回死んだ男」を読んでるような気分にもなりました。多重解決ひとひねりは若干うるさかった、的な。 

No.34 6点 ミステリ初心者
(2019/01/18 20:05登録)
 ネタバレをしています。

 これまでに読んだことのないタイプの小説でした。いろいろな展開や、意外な結末があり、濃い作品でした。はっきりとはしないラストだったのですが、主人公の想像によって色んな結末が見れたため、これもありかと思います。
 同作者の、"密室殺人ゲーム"シリーズとは、ある意味真逆な作品でした(私の勝手な感想)。

 以下、苦手だった部分。
 主人公が想像をめぐらす前の部分が、やや長いと思いました。
 中盤まで、読むのに苦労しました。いろいろなことを想ってしまい、読むのが苦痛でした。

No.33 5点 sophia
(2017/07/12 22:16登録)
父親の行動の描写ばっかり、しかもどうせ妄想なんだろうという退屈で緊張感のないところを我慢して長いこと読み進めて、最後は結局何もないんかいという感じです。
リドルストーリーなのは分かりますが、持って行き方がちょっと下手です。
しかしこの父親は小説家になればいいのに。

No.32 6点 りゅうぐうのつかい
(2016/06/07 05:15登録)
自分の息子が連続誘拐殺人事件の犯人ではないのか、そういう疑心暗鬼から生まれた「想像の巻き戻し」、シミュレーションの連続。この特異な小説のスタイルが印象的だ。
シミュレーションのそれぞれで面白いストーリー展開を見せ、リーダビリティーが高い。この先どうなるのか、曖昧模糊としたまま終了するラストも余韻がある。
犯罪加害者の家族が世間からどのような仕打ちを受けるのか、マスコミからどのように報道されるのか、そういったことが克明に描かれており、考えさせられる内容。実際の事件報道は他人事にすぎないこと、事件の当事者と第三者とでは大違いであることを改めて感じさせてくれる物語であった。
雄介の部屋という、パンドラの箱を開けた主人公は、箱の底に希望を見出すことができたのだろうか。

No.31 7点 あのろん
(2014/03/04 16:01登録)
(ネタばれ気味)
これでもか、これでもか、というほど妄想が続く…
結構好きです、この振り回され感。
そして、最後のリドル感。

No.30 7点 ayulifeman
(2013/07/08 20:14登録)
序盤から中盤にかけてのうちの息子が犯人なのか…どうなのだ?いや違うよねでもいろんなことが息子犯人ってことを裏付けているよねってところがもうグイグイと読まされてとっても楽しい読書でした。しかもまだまだページはあるしどうなっちゃうのって。
で終盤は…そういうことでページがあったのねって感じ。主人公の選択による結末の変化は「かまいたちの夜」を思い出しました。

No.29 6点 E-BANKER
(2012/12/14 21:32登録)
2002年発表のノンシリーズ長編作品。
意味深なタイトルが表すとおり、ある意味たいへん実験的な作品ではないか。

~東京近郊で連続する誘拐殺人事件。誘拐された子供は、みな身代金の受け渡しの前に銃で殺害されており、その残虐な手口で世間を騒がせていた。そんななか、富樫修は小学六年生の息子・雄介の部屋から被害者の父親の名刺を発見してしまう。息子が誘拐事件に関わりを持っているのではないか? 恐るべき疑惑はやがて確信へと変わり・・・。既存のミステリーの枠を超越した、崩壊と再生を描く問題作~

これは人によって評価が分かれるだろうなぁ。
で、個人的にどうかというと、これが微妙なのだ。
実験的&チャレンジブルな作品として評価したいという気持ちもあるし、中盤の「行ったり来たり」が許容範囲を超えて冗長な気もする。
ということで、この評点に落ち着いた・・・という次第。

恐るべき連続児童誘拐&殺人事件の犯人が我が子かもしれないという、実に緊張感ある展開が途中まで続いていたので、ハラハラ・ドキドキというサスペンスに最も必要な要素が詰まっているかに思えたのだが・・・
これは「妄想」だよな。
まぁ、妄想に何回も付き合わされるというのは、やっぱりプロットとしては如何なものかとは思う。
そして、問題のラスト。
結末を付けないまま、割と爽やかに、割り切ったようなシーンで終わるが、これはこれで良いという大方の意見には賛成。
ただ、拳銃の謎だけはせめてはっきりさせて欲しかったという不満は残った。

読む前から、普通のミステリーではないという予備知識があったので、サプライズ感には乏しかったが、逆に作者の狙いやプロットの妙は感じることができた・・・ような気がする。
(息子を持つ父親としては、こんな事態にならないよう祈るのみ・・・って、これが自分本位っていうことなのだろうか?)

No.28 8点 モグ風
(2011/12/26 16:12登録)
この本の紹介に枠を超えたミステリーってなってたからどんなんだろっておもいながら読んだ。

以降ネタバレあり

夢やら話の巻き戻しがあって、なんだそういうことかみたいな
でも読みやすくストーリーは面白かったのでこの評価
夢やら話の巻き戻しが多いため、話が少しくどい。

No.27 9点 蟷螂の斧
(2011/08/18 16:17登録)
題名からして哲学的。哲学とは「少し考えること」と、どこかの大学教授が言っていたけれど、これは、たくさん考えさせられました。終わり方もこれで良し。満足です。

No.26 7点 kanamori
(2010/07/13 23:04登録)
これは、裏・本格のほうの歌野晶午が全開したミステリでした。
本格嗜好の読者にはミステリとして認められるか微妙な作品で、評価が分かれると思いますが、後期のパトリック・クェンティンを彷彿とさせるプロットは結構好みです。
結末の付け方もあれで問題ないと思いますが、中盤のスリリングな展開が読みどころでしょう。

No.25 7点 spam-musubi
(2010/05/13 12:43登録)
てっきりミステリだと思って読み進めたので
ものすごい裏切られ感。

読み進むうちに、「一体これはどんなラストを
用意しているんだろう」ということに非常に
興味が出始め、読みやすい文章もあってどんどんと
ページが進んだ。
こんなにオチが楽しみだったのは久しぶり。

オチもある意味でびっくり。こんなんでいいの???
という気もするが、ま、徹頭徹尾裏切られ続けるのも
たまにはいいかも。

結局雄介くんは犯人なのか否か。
読者の想像にお任せします、というのはある意味、
東野圭吾の「彼女を殺した」シリーズに通ずる
ものがあるのかな。

No.24 6点 vivi
(2010/04/30 19:14登録)
実験的要素に富んだ作品で、結局何?という感じではあるけど、
相変わらず引き込んでいく筆力には感服します。

重くてシビアな内容を含んでいて、
人間の姑息で卑怯な面にスポットを当てているのですが、
それをすべて飲み込んでいる作者の視線が、心地よいとも思えます。

No.23 4点 凡平
(2010/02/04 11:53登録)
“葉桜~”の次に読んで結構面白い試みだなぁ~と思ったんだ
けれども、“女王様と私”や“ジェシカが~”などを読んで評価
を変えた。

“葉桜の季節に君を思うということ”に縛られ過ぎていないか?
読者のミスリードを誘うアイデアに力が入り過ぎて、ストーリー
や会話に違和感がある作品が目立つ。

『読者が好きなように想像(完結)してくれよ』というのは、
そろそろ止めた方が良いのでは…。

No.22 4点 simo10
(2010/02/03 21:35登録)
う~ん、評価が難しい。
このペースでどうやって500ページ持たすのだろうの思ったけれど、そうきたか。
ページ数が分かっているのが不利な作品という感じ。
終わらない悪夢という感じで、ダークな部分は楽しめました。
ただ、これはミステリではなかったなぁ。
何か巧妙に隠された伏線がありそうなんだけど、そうでもなさそうだし。
なんだか本格していない歌野作品は残念だ。

No.21 8点 文生
(2010/01/19 14:01登録)
本格ミステリを期待した人は怒ると思いますが、個人的にはこの特異な設定が面白かった。
問題はなにひとつ解決していないのに妙にさわやかなラストも独自の味わいがってグッドです。

No.20 8点 ZAto
(2009/11/02 23:06登録)
ここまで「当事者」であることのどうしようもない重みで圧倒させる小説も珍しい。

No.19 5点 測量ボ-イ
(2009/08/23 13:48登録)
結末があってないようなものだったり等、あまり僕好みの作
品ではなかったですね。まあこれでも広い意味では推理小説
といえるのでしょうが・・・読後感があまり良くないのも理
由の一つでしょうか?
頁数の割りにサクっと読めるのがまあ救いです。

No.18 5点 sasami
(2009/06/24 23:44登録)
途中でオチが予想できちゃいましたね。
ラストは予想外のものが欲しかったなぁ・・・

No.17 4点 nobiinu
(2009/03/03 21:52登録)
ストーリーに期待して読んだのだが、とんでもない変化球。主人公の妄想力は素晴らしいが、まさか妄想だけで終わってしまうとは・・・・・・

No.16 5点 ぷねうま
(2009/02/22 01:39登録)
妙にリアルな心理描写と、意外性のある急展開にかなり期待は膨らんだ。
でも、プロットを理解しだしてからは、まあ、そうだよなあ、そうなるよなあ、って感じで、特に他に見所はなかった。

こういう構成の物語って、映画とか小説でも少なからずみられるし、ミステリー作家として出版するなら、この構成を逆手にとったトリックなどを挟んでいて欲しかった。
ラストの雰囲気は嫌いではないですが。

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