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ミステリの祭典

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放浪探偵と七つの殺人
探偵信濃譲二シリーズ

作家 歌野晶午
出版日1999年06月
平均点6.79点
書評数28人

No.28 6点 虫暮部
(2021/10/09 13:06登録)
 「水難の夜」の鮮やかな反転は見事。「阿闍梨天空死譚」トリック自体は結構判り易かったが、飾り付けが面白い。
 「烏勧請」わざわざゴミ屋敷を作るほうが大変では? ブツを動かせない確固たる理由が欲しかった。「有罪としての不在」あんなメタネタはいらん。

No.27 6点 メルカトル
(2020/11/12 22:33登録)
大学の男子寮で殺人事件が発生。犯行時刻に外部からの侵入者はいなく、すべての寮生にはアリバイがあった―「有罪としての不在」や、“水難”とは何を示すか見きわめると、犯人がわかる?「水難の夜」など、さすらいの名探偵・信濃譲二が奇想天外な難事件の謎を見事な推理で解決する七つの傑作短編を収録。
『BOOK』データベースより。

やや作品ごとに出来不出来の差があるように思います。増補版に収められた『マルムシ』は分かりませんが、例えば『ドア⇔ドア』なんかは穴が多く、たとえその場を凌げたとしてもすぐに犯行が発覚するかなり杜撰な殺人事件です。指紋の問題などが度外視されており、ちょっとどうなのかなという気がします。アイディアそのものは面白いですが、どこか既視感がありますね。このトリックはおそらく既出ではないかと思いますが。
初出がアンソロジー『奇想の復活』である『阿闍梨天空死譚』は再再読ですので、他とは比較し難い点がありますし、これはある意味別格扱いで良いのではないかと思うのですが、これを除いて最も面白かったのは『烏勧請』でしょうかね。近所のゴミ捨て場からゴミを拾ってきて庭をゴミだらけにする妻と、それをせっせと元に戻す夫。この関係性の裏に意外な事実が、という物語。他にもなかなか気の利いたトリックを駆使して読者を楽しませてくれる短編が幾つかありました。

探偵信濃譲二はあまりアクの強さは感じませんが、それでも風体を含めて異彩を放つ存在であることは間違いありません。まるで猫丸先輩の様に神出鬼没でもあります。定職に就かずアルバイトしながら事件に巻き込まれ、速攻で解決する点は共通する点ですね。

No.26 5点 いいちこ
(2017/05/28 14:04登録)
オーソドックスでフェアなパズラーを志向する作風には好感が持てる。
作品間の毀誉褒貶が激しく、一部の不出来な作品も考慮すると、全体としてはこの評価

No.25 5点 パメル
(2016/12/14 01:09登録)
七編からなる短編集で問題編と解決編に分かれており読者への挑戦形式で推理する楽しさが味わえる
倒叙・叙述に犯人当てとバラエティに富んだ作品が楽しめる
また正統派パズラーでフェアに徹している点は好感が持てる
ただ探偵役の飄々としているというか斜に構えているという感じがどうも好きになれないし佳作と駄作の差が激しい印象

No.24 9点 MS1960
(2016/06/04 22:26登録)
同時代を下宿生活した身としては、「ドア⇔ドア」が一番面白かった。途中で「もしかしたら・・」と思ったことが、最後に「・・やっぱりそうだった」というのが、本格推理を読む上で一番わくわくしますね。本作の場合、「●●のお知らせ」・・ですが。

No.23 6点 nukkam
(2015/11/02 05:25登録)
(ネタバレなしです) 社会に背を向け過ぎる信濃譲二の言動を作者が持て余しつつあったのではと思いますがこのシリーズは長編第3作の「動く家の殺人」(1989年)で終了となりました。その後さらに短編が8作書かれたそうで(それで本当に打ち止めらしい)、その中の7編をまとめて1996年に短編集として発表されたのが本書です。本格派推理小説としてしっかり作られた作品が多く(講談社ノベルス版では問題編と解決編に分けて袋綴じしていたらしいです)、特に「有罪としての不在」は講談社文庫版で70ページ超に及ぶ長めの作品で10人以上の登場人物を揃え、「読者への挑戦状」と「読者への確認」まで挿入された長編並みの密度に圧倒されました。犯人の名前を最初に明かしておきながらなお意外性を追求した「水難の夜」も出色の出来映えです。なお「マルムシ」はアイデアに先例があることが判ったため当初は単行本未収録で(だからタイトルは「七つ」になりました)、講談社文庫の増補版でようやく陽の目を見ましたが他作品と比べて見劣りのする凡作にしか感じられませんでした。

No.22 7点 まさむね
(2012/02/27 22:23登録)
 読者挑戦形式の本格短編7連発。そして解答編は袋とじ(ノベルス版の場合)。読者挑戦モノ好きの私としては,この構成自体で「プラス1点」って感じです。
 で,中味も良かった。凡作と言えるのは1話のみ。個人的なベストは,傑作と評価したい「有罪としての不在」。(問題編のみで完璧な「正答」に辿り着ける方は皆無のような気もするが…)次点が「水難の夜」でしょうか。総合的にレベルが高い短編集だと思います。
 えっ?「結局,お前は何問解けたのだ」ですって?痛いところを突きますねぇ。すみません,1問だけでした。しかも,その1問は前述で「凡作」と評した,分かり易すぎるもの。でも,「分からなかったからこそ,楽しめた」って側面もあるわけですしね!(開き直り)

No.21 5点 haruka
(2011/08/27 00:55登録)
可もなく不可もなく。気軽に楽しめる。

No.20 6点 itokin
(2011/05/30 09:15登録)
歌野さんの作品は2作目、「葉桜の季節に・・・」が素晴らしかったので読んでみたがなるほど短編でありながらこれだけの本格が書けるのはただものではない。「ドア・ドア」、「水難の夜」が好き、「有罪としての不在」2度読みしたが解からなかった。俺の頭はこの程度。

No.19 6点 ムラ
(2011/02/01 14:37登録)
(ネタバレあり)

ちょっと変わったキャラである信濃譲二の短編集物。
お手軽に読める短編集物かと思ったら「有罪としての不在の証明」で完全にしてやられた。
いや、これは誘導するのが上手い。単純なロジック物かと思ったらそんなドンデン返しなオチを出してくるとは思わなかった。
個人的にこのクラスの短編が七つだったら言うことなかったけど、他の六つもテンポよく楽しめたからまぁ満足。水難の夜も結局気がつきませんでしたし。
最後はちょっと文体がそれまでの六つに比べて変わっていてそれも面白かった。

No.18 8点 HORNET
(2011/01/16 09:19登録)
 信濃譲二が活躍する短編集。一つ一つがきちんとした謎解きの体をとっており,純粋に推理を楽しめます。信濃のキャラも光っていて,家シリーズよりむしろよかったくらい。私としては「有罪としての不在」がロジックが優れていて好きでした。
 唯一の難点は,いくつかの作品については,タイトルがあまりにも解くべき謎に直結していて,読んでいくうちに「分かってきてしまう」ことでしょうか。

No.17 7点 kanamori
(2010/07/13 23:04登録)
信濃譲二ものの本格ミステリ短編集。
作者の原点回帰のような本格編が7編収録されていて、パズラーとして一級品の作品集だと思います。
ダークで奇妙な味の短編も好みですが、たまに読む正統派の本格編もいいですね。

No.16 6点 E-BANKER
(2010/02/24 21:45登録)
信濃譲二シリーズの短編集。
前の採点者の方と被りますが、1作ずつ書評します。
①「ドア⇔ドア」: 本作では一番面白い。短編らしい短編ですね。
②「幽霊病棟」: 中学生向けの推理クイズのような趣向&レベル。すぐに分かりました。
③「烏勧請」: 現実性が乏しいんじゃないでしょうか。一時期話題になった「○○屋敷」ネタ。
④「有罪としての不在」: ロジックが効いています。
⑤「水難の夜」: これぞショート&ショートですが、すぐにバレる気がしますけど・・・
⑥「W=mgh」: 別に物理の公式を出さなくても・・・
⑦「阿闍梨天空死譚」: 可もなく不可もなく
以上、トータルでは水準級でしょうか。

No.15 9点 simo10
(2010/01/25 23:06登録)
「長い家」以前の信濃譲二の七変化および探偵ぶりを堪能できる7つの短編集。どれもよくできており、信濃譲二ファンとなってしまった私にとってはこれ以上の短編集は望むべくもないかも。

①「ドア⇔ドア」:倒叙モノ。下手な小細工を弄する犯人VS信濃の構図にハラハラ。
②「幽霊病棟」:クイズレベルの謎が仕掛けられた倒叙モノ。この作品だけイマイチかな。
③「烏勧請」:なるほどと思ったが、子供にはばれんのだろうか?あと会社で臭ってばれるのではないだろうか?
④「有罪としての不在」:超難解だけれども、このマニアックさがたまらない。よくできている。
⑤「水難の夜」:騙された。あとピザ屋が可哀相。
⑥「W=mgh」:島田荘司氏ばりの怪奇現象に対してきちんと説明がなされている。
⑦「阿闍梨天空死譚」:解決編で冒頭の謎がすっきり。しかしこのトリックは後の島田荘司氏の作品でも用いられているが、解り辛い。

No.14 7点 白い風
(2009/11/23 20:47登録)
残念ながら3問しか判らなかった…。
”有罪としての不在””水難の夜”が面白かったかな。
基本、問題形式のトリックは好きですね。

No.13 9点 測量ボ-イ
(2009/10/02 20:33登録)
7編ある短編集。内容を問題編と回答編に分け、回答編は袋
とじ・・ワクワクしますね、この構成。
構成だけでなく、内容も充実していました。謎を解く難易度
も簡単すぎず、難しすぎず(有罪・・は例外)、丁度良かっ
たです。この僕でも、7編中4編、謎解きに成功しました。

ベスト作品を挙げるのは難しいですが、強いて言えば「水難
の夜」か「W=mgh」でしょうか?「有罪としての不在」
はさすがに難しすぎますね。

採点8点 or 9点かで迷いますが、久々に9点つけちゃい
ましょう。

No.12 7点 vivi
(2009/08/25 18:59登録)
好きです、こういう短編(^^)
ひとつひとつに、読者との勝負という気概があって。
論理的に答えをしぼっていくものや、
伏線からの連想や飛躍的思考を要するものや、
「本格」の感じが、楽しめました♪

キャラとしては、実は結構気になっている信濃。
また書いてほしいな~と、ちょっと思いますけど・・・

No.11 7点 kowai
(2009/06/28 15:20登録)
短編だから許されるネタ。信濃の人物像が(自分のなかで)固定しないのだが、なぜ。。これって挑戦ものだったんですねぇ~、意外。。だって、わからんですよ、これ。

No.10 7点 江守森江
(2009/05/22 16:50登録)
読者挑戦物連作短編集としてバラエティーに富む。
まだ読みにくい頃の歌野作品だが推理クイズ感覚で充分楽しめる。
「有罪としての不在」は、タイトルの意味、プロット、ロジカルな推理と三拍子揃った傑作だと思う。
信濃譲二の名前の由来と推測していた当時大井競馬のOP馬シナノジョージに作品内で触れていてニヤリとした。

No.9 6点 いけお
(2008/08/06 09:34登録)
いい意味で無難な短編集。
それにしても信濃の推理力が高過ぎ。

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