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ミステリの祭典

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黒死館殺人事件
法水麟太郎シリーズ

作家 小栗虫太郎
出版日1956年02月
平均点5.11点
書評数27人

No.27 3点 じきる
(2022/02/08 09:01登録)
日本のミステリ史でも並び立つもののない一大建築。
でも、この奇書を楽しむセンスがまだ私には無いですね……。

No.26 8点 虫暮部
(2021/09/01 11:31登録)
 私はコレ、普通に楽しめた。何なら『紅殻駱駝の秘密』に比べて衒学のおかげで読み易くなった感さえある。私の推理――1.某が実は生きている。2.某が生前に仕掛けた精緻な罠による犯行。3.某の遺言に従っての殺し合い。
 フーダニットとしては割と平凡な点と、全員殺し尽くせなかった点が残念。作者は後年、自作品が“衒学的”と評されることを見越して弦楽四重奏団(魅力的な設定を生かし切れていない)を登場させたのか。
 台詞回しやそこから示される心情表現、或る種の整然さに則った人物の出入り、これはまるで舞台劇を見ているようだ。
 法水麟太郎とちゃんと会話している検事も捜査局長も同類。それどころか主要人物全員が事件を成立させる共犯者である。
 “ああ、僕の頭は狂っているのだろうか”――大丈夫だよ法水、君だけじゃない。

No.25 1点 Fヴァンス
(2020/01/17 10:42登録)
ミステリーの内容を論じる前に小説として難解すぎて失格だ。
読者に読んでもらってナンボということを忘れ自己陶酔に浸っているとしか思えない文章。この本を最後まで読み切れる人がいるのかと思う。

No.24 2点 ロートレアモン
(2019/09/17 06:14登録)
いわゆる日本三大奇書に共通するのは、そもそも読者を想定していない、あるいは読者をまったく意識していないことかもしれない。

もちろん作家が小説を書くということは、言うまでもなく読む者を意識しているわけである。ところが日本三大奇書の場合は、結果的に書いているうちに作家が自分のためだけに書かざるを得なくなってしまったのではないかと思っている(元々当初から自分のためだけに書いていたのかもしれないが....)
そういう意味であえて俗っぽく貶すならば、その作家のとてつもなく珍妙な自慰を見て、面白いか興奮するかということに尽きるだろう。
要するにあなたの性癖やフェティシズムがあの三作品のそれと交わることができるかどうかが鍵なのである。

さて、そのことを踏まえて"黒死館"である。
はっきり言ってしまうならば、自分は虫太郎の自慰にはまったく興奮しなかった。
何か凄い理屈っぽいこと言ってるけど、結局ごく普通の自慰をやってるだけなのだ。頭でっかちの変態さんなのだが、恐ろしく経験に乏しいという感じかもしれない。
いずれにせよ、世の中には虫太郎の自慰に興奮する人もおられると思う。しかもそういう人は何回も何回もその自慰を見てエクスタシーを感じるのだろう。
自分はもっと興奮する自慰を見たいです。ただそれだけ。

No.23 5点 蟷螂の斧
(2019/04/15 21:39登録)
万人に理解不能が「奇書」であれば、まさしく本書は奇書である。三大奇書が東西ミステリーベスト100の上位にランクインしているのが不思議で仕方なかった。文芸批評家・郷原宏氏の座談会の会話~小栗虫太郎はカチッとした長編は「黒死館」しかないし、夢野久作は「ドグラ・マグラ」しかない。中井英夫さんは「虚無への供物」。つまり、これしかないという本当の代表作をもった作家は得なんです。~これを読み、ああ、成る程と(笑)。「虚無」8点、「ドグラ」5点、「黒死館」5点となったわけですが、結局、理解できたかどうかが基準になったような採点でした・・・(トホホッ)。

No.22 10点 モンケ
(2019/03/30 22:52登録)
実を言うと1点でも0点でも構わない。
知人から「一生楽しめる推理小説だ」と薦められて長い時間をかけてやっと読んだ。「自分はドグラマグラが好きだ」と言ったら、そいつ「あれは『通俗』だ。これは『超俗』だ。」って言いやがった。多分そうなんだろ。確かに一生楽しめそうだ。また読もう。

No.21 9点 mediocrity
(2019/03/25 17:41登録)
他の本の合間合間に読み続けて1ヶ月くらいかかってやっと読了。さてどれだけ理解できているのやら。
法水のペダンティックな知識披露はどこまでが事実でどこからが虚構なのか正直わからない。ググっても黒死館殺人事件関連のページしか出てこない単語は虚構という認識でよいのだろうか。存在する単語にしても、法水の知識が正しいのかどうかよくわからない。実はほとんどがハッタリのような気がしないでもない。
漢字の羅列にやたらとドイツ語のルビが付いているが、基礎的な単語が多いのでむしろそちらの方がわかりやすかったりする。発音が一昔前のオペラ歌手みたいなので最初ちょっと戸惑ったが。

さて法水の推理は荒唐無稽なものが多い。実際、事件が起こって最初に指摘した犯人はほとんど外れている(容疑者揺さぶりのためにわざと間違い推理をすることも2回くらいあったが)。ただし「あの人はもう死んでいる!」という突然の予言めいた宣告はなぜか当たる。解明された謎の数々も苦笑してしまうほど突飛な物が多い。
しかしである。この作品そもそも、事件そのものが現実にはほとんど、または絶対に起こりえないことの連続なのだ。だから最初から半分SFのつもりで読めば腹も立たない。そして法水の無茶苦茶な推理を支倉や熊代と一緒に楽しむのが正しい読み方だと思う。
珍しく「まっとうな」推理の時は大外れで、「こじつけここに極まれり」みたいな時に大正解だったりしますが、笑って済ませましょう。
前半読みにくかったけど、後半はそうでもなかったです。悪文だという方もいますが地の文の妙なリズム感は癖になります。
小ネタがこれでもかとばかりに詰まった宝箱、という感じのサービス過剰小説です。特に終盤の複数回にわたる暗号の強引すぎる解読は見ものです。

色々と問題がある小説だとは思いますが、これだけ楽しませてもらって低い点数は付けられません。

No.20 7点 E-BANKER
(2019/02/23 11:48登録)
やっとたどり着いた1,500冊目の書評。
今回は「ドグラ・マグラ」「虚無への供物」とともに、日本ミステリー界の三大奇書として名高い本作をセレクト。
直近で復刻された河出文庫版にて読了。
本作は雑誌「新青年」1934年4月号から12月号にかけて連載され、1935年新潮社より刊行。

~黒死館の当主・降矢木算哲博士の自殺後、屋敷の住人を血生臭い連続殺人事件が襲う。奇々怪々な殺人事件の謎に対し、刑事弁護士・法水麟太郎がエンサイクロペディックな学識を駆使して挑む。江戸川乱歩も絶賛した本邦三大ミステリーのひとつ、悪魔学と神秘科学の結晶しためくるめく一大ペダントリー~

いやはや・・・まずはその一言しか思い浮かばなかった。
読む前から三大奇書中でも最難関の難解さという評判は聞いていたが、その評判もむべなるかなという感想。
文庫版で500頁を超える分量を読了するのに、どれだけの時間を要したことか・・・
でも途中で諦めなかった!(エライ!と自分で自分を褒めたりする)
これが以前の私なら、途中で投げ出していたに違いない。そういう意味ではミステリーファンとしていくらかでも成長したのかなと思う。

そんな個人的なことはどうでもいい! 本筋の評価は? ということなのだが・・・
うーん。書きようがない。
終章も終盤に差し掛かったところで、一応真犯人の名前は明確になり、事件全体を貫く構図や動機も(恐らく)こうだろうというのが見える。
でも、読者にとってはそんなこともはやどうでもよくなってる!
中途で法水から披露される圧倒的な衒学と、トライ&エラーの上に積み重ねられる推理の数々、一応科学的と思われるトリックの数々・・・いったいどれが正解でどれがダミーなのか、混乱に混乱が重なってもはや夢遊状態!
ネタバレサイトも閲覧したが、あまり納得のいく解釈はなかった。
これはもう・・・作品の雰囲気・世界が好きかどうか、それ次第。

これが書かれたのが昭和一桁年代というのが驚き。よく出版したな! 読者もビックリだろう。
でもこの作風が後のミステリー界に影響を与えたのは確実。そんなエッセンスが作中のあちこちに見られた。
それだけでも本作に触れた意義はあったと思いたい。
(とりあえず2,000冊目までは書評を続けていこう。そこまで到達すれば後は・・・)

No.19 10点 クリスティ再読
(2017/05/06 10:24登録)
中学の頃出会って以来、何度読み返したことか...評者にとって、ある意味目標であり理想の小説である。今回久々に通読(折に触れ途中から好きな個所を拾い読みしていたんだけどね)。
本作くらい、キャッチーなミステリはないように感じるよ。神秘の光に包まれる死体、「独りでに動いていく死者の船」テレーズ人形、鐘鳴器(カリルロン)が奏でる旧約詩篇の讃詠(アンセム)に表れた不可思議な倍音から死体のありかを透視する探偵、「犯人の名はリュッツェン戦役の戦没者の中に」など、など、など極めてキャッチーなネタがジェットコースターのように繰り広げられる。もう単にこの流れに身を任せていけば、めくるめく体験が得られる...という稀有の書である(まああくまで相性が合えば、ね)。
ミステリ的興味は...というと、本作はダブルミーニングの宝庫であり、一見そう見えた内容が全く別なものに転化するなんて、枚挙に暇なし(のっけからmass+acre=虐殺!をやるわけだし)。今回気が付いたことだが、意外に本作、流れの中断と再開が多いのだ。わかりやすいところで言えば、十二宮円華窓の暗号を解読して「behind stairs」を得たあと、大階段の裏でさらに似非創世記暗号を見つける一連の流れを中断してクリフォグ夫人狙撃が挟まり、真斎の尋問から始まる算哲の死と埋葬を巡る話も、死霊集会とか地下通路を通って算哲の墓に向かう場面などに分散して配置されている...というわけで、読んでいて有機的な展開じゃなくて、意図的に再配置されて絡み合った鎖の連鎖のような印象を受ける。
で、なんだけどこういう読み方はどうだろう?

黒死館はミステリのリミックスだ

ミステリの一番面白く、スペクタクルな部分だけを抜き出して、それを意図的に再構成したのが、黒死館なんだと...だからこそ、枠組みは極めて平凡でなくてはならない。法水=ホーミズ、支倉&熊城がマーカス&ヒースみたいなパロディな部分を含めて、枠組みだけは館モノのお約束でしかない(要するに四つ打ちで「踊れる」ことを最低限確保するのと同じ)のだけど、内容は過重なまでに独自だが、そこで働く力の射程が極めて短いミニマルなロジックで組み立てているのを、中断配置(カットアップ)によって長編らしいサスペンスと重量感を再構築しているのだと...

あと、今回気づいたこととしては、実に描写が「絵」である。スペクタクルなイメージがふんだんにあって、これほど「絵」なミステリはないと思う。奇異で日常から遠くかけ離れた、骨董的なものだらけなのに、映画を見ているかのように劇的な場面をイメージできるのである...確かに並みの小説を大幅に越える怒涛の情報量ではあるが、ちょっとこれ不思議である。それだけ、本作からはポエジーが噴出しているということだろうか。
というわけで、10点と言わず50点でも100点でもつけたいくらいの、評者にとっての最高のミステリである。

No.18 9点 斎藤警部
(2015/08/04 06:57登録)
雰囲気が最高。 連続殺人劇の舞台としてこれ以上の何物かが創造され得ましょうや。

作者の撒き散らす碩学の破片達は存外誤りも夥しいとの巻末解説こそ最大のドンデン返したる趣もありましたが、それでもこの容赦無い衒学ぶりこそ創出し得た『黒死館』の内外を漂う空気、邪気、妖気をおそるおそる吸う行為こそは我が生涯忘れ得ぬ戦慄の間接経験に他なりません。

これだけ物々しい推理小説ですから、世にもとんでもなくおぞましい犯人設定を作者は企んだに違いない、と勝手に想像していたもので、、、実際の眞犯人を知ってみるに思いの他おとなしい着地点だったかなと思わなくはなし。 そういう意味でも「イニシエーション・ラヴ」とは究極の正反対に位置する作品w。 さて評者は数ヶ月前この本を約三十一年も掛けてやっと読破しました。 どちらかと言うと速読み派の評者としては異例中の異例と言うに他無い時間の掛かり具合で(極めて雑な概算ですが「イニシエーション・ラヴ」の約三万二千分の一のスピードで読んだ事になる)、この特殊な読書行為こそ自分にとって究極の叙述トリックであり究極のアリバイトリックではなかったか、と思わなくも無いと言った次第であります。(読者が犯人、というのに一脈通じるかも知れん)

No.17 1点 いいちこ
(2015/07/24 20:35登録)
ミステリとは「提示された謎に対して解決が与えられる作品群」を指すと解するところ、本作は謎が提示され、その解決が与えられている点において、ミステリであると理解。
従って、私が本作の真価の片鱗さえも理解していないであろうこと、著者が既存のミステリの枠組みなど意識していないであろうことを前提としつつ、あくまでもミステリとして以下のとおり評価。
まず、解明プロセスは、殺人事件の発生にもかかわらず、探偵がひたすらゲーテの「ファウスト」はじめ中世ヨーロッパの衒学を披露し、容疑者への心理戦に終始するという異様なもの。
衒学が難解なのはやむを得ないとしても、その量があまりにも膨大過ぎるため、確信犯的に説明不足に陥り、読者の理解を拒絶するものにならざるを得ない。
こうした合理性・論理性のないアプローチを続け、実証的な捜査を全く進めない間に、殺人事件が続発し、しかも手口がエスカレートしていくにもかかわらず、捜査方針を一向に変更せず、登場人物がほぼ死に絶えた最終盤に至って唐突に真犯人が指名される。
膨大な衒学を除去して一連の犯行を俯瞰するなら、合理性・フィージビリティを無視した、荒唐無稽というべき物理トリックを一貫して使用し、それを登場人物の特異体質というご都合主義で支えた楼閣でしかない。
また、恐らく意図的に登場人物の詳細な描写を避け、ロボットのように描く作風を選択した結果、これだけ凶悪な連続殺人事件にもかかわらず、サスペンス的な盛りあがりに欠け、犯行動機も十分に説明される訳ではない。
こうした点はすべて本作の強烈な個性であり、意図的にそのように書かれたであろうことは百も承知。
ただ問題なのは、面白くないのである。
著者の博識は手放し・無条件で認めるが、衒学を詰め込めば面白い作品になる訳ではない。
本作の場合は、あまりにも膨大な衒学が却って犯行の全体像やプロセスの理解を妨げており、主客転倒していると言わざるを得ない。
いわばミステリの骨格を持った難解極まるファンタジー小説であり、ミステリ読みにとっては、何とか読み切ったという徒労感だけが残る作品。
繰り返しになるが、本作の強烈な個性とその存在意義は認め、敬意を払うものの、面白い作品とは断じて言えず、この評価が相応しいと判断

No.16 8点 ボナンザ
(2014/04/08 02:22登録)
本作を楽しむにはかなりの根性が必要。
登場人物が何を言っているのか、そもそも本題がなんだったかを忘れるほどの蘊蓄の海に放り込まれる。

No.15 4点 ムラ
(2013/01/10 18:36登録)
まさに奇書にふさわしい一冊。内容もそうだがこれだけの量の下地を書いた作家にも当てはまる。
暗号の解読やトリックなんかは割とこの本の中ではわりとまともでまだ楽しめたのだが、他の大半の部分は意味不明だった。とくに法水が閃いた後のマシンガントークは読者を撃ち殺すかの如くの勢いで何度か読み直してやっと輪郭を掴めたかなって感じだ。
超時間かけて読み終わったこの本だが、他人に「面白かった?」と聞かれても「わからなかった」としか答えようがないのが残念。同様に「読み辛かった?」と聞かれても「わからなかった」としか答えようがない。例えるなら、専門分野外の論文を読まされているような感覚。
そういう面も含めて、点数は個人的に平均点と決めてる4点。
この本そのものが謎なせいで面白いつまらないの感想が出せないせいである。
もしこの本の中にある蘊蓄が身についたら、今度はしっかりと点数をつけたいものだ。
とりあえず自分はゲーテを読もうと思った。

No.14 2点 makomako
(2012/12/28 21:27登録)
 日本ミステリーの評価には必ず登場するマニア必読の書であるとのことなのだそうです。ああなんとも読みにくい。わたしは薀蓄が嫌いではないのだが、こんな異常な薀蓄の塊にはうんざりです。
 作者のやりたいことは何となくわかるのですが、感覚も作品のできも極めて異端。
 いってみれば新興宗教のようなもので、のめりこんでいる人にはとても素晴らしいのでしょうが、そうでない人間にとってはなんともばかばかしい。 
 かなり辛抱して読んだのだが、結局付き合うのは時間の無駄でした。好きならともかく無理に付き合うことはないでしょう。

No.13 4点 TON2
(2012/11/19 20:55登録)
創元推理文庫「日本探偵小説全集6 小栗虫太郎集」より
以下「黒死館……」について書きます。
日本の歴代探偵小説の中でNo1ともNo2ともされる作品を読んでみたくて読み始めましたが、その博学多才というか、衒学趣味に圧倒されてしまいました。1日に20ページぐらいしか読み進めない日が多く、読了までにほぼ1か月かかってしまいました。
本当か嘘か見当がつかない中世に関する知識と隠喩のオンパレードで、正直この作家がこれほど支持されるのは何故かと考えてしまいました。発表当時から熱狂的な支持を受けたということですが、改めて当時の読者のレベルの高さというものを感じます。元捜査局長にして優秀な弁護士の法水麟太郎の超人的な心理推理や機械トリックに関する薀蓄を読んでいると眠たくなってしまいました、そして「お前の言っていることは本当かいな」とおちょくりたくなりました。
たしかに空前絶後の作品なのでしょうけれど、最近のライトな作品を読みなれていると、この作品の内容すらおぼろとしてしっかりつかみきれなかったです。
推理小説を読む者の基本的知識だとして、ようやく読み終えた感じがします。一人の人間の頭の中に、これだけの知識が詰め込まれていたと思うと本当にすごい。

No.12 10点 青銅の魔人
(2012/03/01 13:57登録)
3大奇書の中で特に難読本として有名な黒死館ですが、
単なるミステリー小説としてではなく、別の読み方(遊び方?)
をすると、これほど面白いものはありません。
 法水をはじめ、登場人物たちが繰り広げる薀蓄・無駄知識を
検証して遊んでいます。薀蓄は本当なのか、作者の創作あるいは
アレンジなのか?
一昔前なら、図書館に入り浸りにならなければ出来なかったこと
が、今はネットのおかげで家に居ながら調べられる。
Google Earthでパロヒアル教会を見つけ出しストリートビューで
散策なんて事をして悦に入ります。
 同じ様なことをして遊んでいる方が作っているHPもいくつか
あるようです。
 しかし、ネットもない時代に、よくこれだけ膨大な薀蓄を調べ
上げた物だとただ感服。
 ミステリーとして評価していないと言われるかもしれませんが
他に比類ない一冊なので10点とさせてもらいます。

No.11 4点 好兵衛
(2011/04/24 01:31登録)
こんな読みにくいミステリ始めてだ!!!な作品。

三大のなかで抜群に読みにくい。と思う。
なんとか読みきったといったかんじで
事件の全貌など全然つかめなかった。

消去法で犯人を捜そうと思ったが
アリバイを見ていこうと探しても
あの語り口で もうめちゃめちゃになり。

読みにくいといったことで奇書入り・・・ではないはずだが。
後何回か読み直さなければいけないかもしれない。

でも、今は読み直したくない。
もう少し大人になってから読もう・・・

法水の、のらりくらりとした推理が苦手だった。
後、挿絵が見づらかった。

No.10 7点
(2011/04/07 21:48登録)
皆さん読みにくさに怒ったりぼやいたりされていますが、久々に読み返してみると、地の文章は確かに晦渋ではあるものの、それほど難解だとは思いませんでした。それより名探偵法水を始めとする登場人物の台詞の方が、やたらに博識を披露してカタカナルビだらけ、さらに無茶な飛躍も多く、意味不明です。地の文章より会話の方がはるかに難解(というより理解不能)な小説なんて、めったにないでしょう。確かに奇書です。
しかし、そういった薀蓄羅列があればこそかもし出される雰囲気もあるわけで、そこは意外に楽しめました。謎解き的な部分では、各事件の経緯は仮説の山に埋もれ、結局明快な形をとれないままに終っていますが、それほど気になりませんでした。
法水、支倉、熊城の3人の関係は、ファイロ・ヴァンス、マーカム検事、ヒース部長刑事の関係そのままですし、「ケンネル」「グリーン家」「僧正」等のタイトルも出てきます。語り手のヴァン・ダインに相当する人物はいないのですが、何となく一人称形式を思わせるようなところもあります。まあこの偏執狂的な博識披露癖はヴァン・ダインなど問題になりませんが。

No.9 2点 とろろ
(2010/08/28 00:17登録)
こんなものを完全理解できたところで何の自慢にもならないだろう。

No.8 6点 kanamori
(2010/07/28 20:23登録)
「東西ミステリーベスト100」国内部門の第5位は奇書といわれる古典本格ミステリ。
この晦渋な文体のミステリを読了するのは難儀ですが、法水探偵の広範囲な分野に渡る衒学的蘊蓄解析の部分を読み飛ばせば、単純なプロットでステロタイプな犯人像を設定したオーソドックスなコード型本格だと解る。
しかし、そういった読み方は作者の創作意図にまったく相反するもので、「黒死館」を読解したとは言えないのでしょうね。

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