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ミステリの祭典

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第四の扉
アラン・ツイスト博士シリーズ

作家 ポール・アルテ
出版日2002年05月
平均点6.69点
書評数16人

No.16 7点 みりん
(2024/10/11 12:57登録)
密室×2は正直しょぼい…最近読んだ「スウェーデンのディクスン・カー」や「中国のディクスン・カー」と比べても派手さがまるでない。でもこのしょぼさがなんか嫌いになれない…というか好きだ。怪奇、憑依、密室、メタネタなどサービス精神旺盛なのに、ここまでコンパクトにまとまっている点も評価したい。(日本の作家だったら500ページは優に超えそうw)ということで6点ではなく7点。
本サイトを利用していて痛切に感じるのは、どうやら私は早急にジョン・ディクスン・カーを読むべきであるということだ。

No.15 7点 レッドキング
(2023/03/03 08:44登録)
フレンチ・カーでぃあん、アルテ処女(?)作。「密室」三つ・・施錠・封印・雪足跡・・に、オカルトドタバタ・・・
カーおまーじゅ、標準近いレベルでクリアし、新本格風どんでん返し見事で、点数おまけ加点。

No.14 6点 いいちこ
(2022/09/29 14:44登録)
本作の核となる事件と、その真相はトリックを含めて平凡。
プロットはサプライズを演出しているものの、独創性は認められない。
海外ミステリの翻訳とは思えないリーダビリティの高さ、冗長さを廃したスピーディな展開は大いに好感がもてるが、作品全体にご都合主義が強く散見される点は減点。
全体として一読の価値はあるものの、世評ほどの傑作とは思えなかった

No.13 8点 八二一
(2022/09/06 20:38登録)
会話主体で物語が進行するので、人物造形に深みはないが、軽いタッチで非常に読みやすい。分量も軽量級だが、短い中に不可能趣味と怪奇趣味がぎっしり詰まっていて、贅沢な印象を受ける。
終盤における転調は、少々やりすぎの感もあるが、どうせなら「最後の一撃」も盛り込んでやろうという作者のサービス精神のなせる業であり、そういった部分での現代的センスが、日本の新本格とも共通している。

No.12 6点 ミステリ初心者
(2021/06/01 19:57登録)
ネタバレをしています。

 本当に海外翻訳ものかと疑いたくなるほど、素晴らしく読みやすい本です。人・場所・時間の情報が徐々に出てきて、混乱がしづらいです。それでいてテンポが良く、割と早い段階で事件が起きます。ページ数の割に第二の事件が起こるし、さらに不可能犯罪なので、どんどんページが進みます。

 推理小説的要素について。
 2つの大きな不可能犯罪と、最後に大きなドンデン返しがありました。また、本全体的に複雑な事件でした。
 1つ目の不可能犯罪について。かなり強固な密室であり、ドルー警部による推理も楽しめます。私は全く分からず、解決編には驚きました。この系統のトリックは似た趣向の物を2~3作品見たような気がしますが、バレる可能性が高いように思えます(笑)。人間の目ってなかなか騙せませんよね。マジック的で好みですが。
 2つ目の雪の密室について。これは犯人に有利な偶然が重なりすぎていて、ほぼウミガメのスープ系ミステリになってしまっていますね(笑)。雪の密室自体が偶然の要素が強いため仕方がありませんが、ちょっと肩透かしを食らいました。
 最後のドンデン返しですが、私は予想がつかなかったし、驚きではありました。しかし、最後にとってつけたようですね。このラストを活かしたいなら、序盤から作中作であることを明かし、ロナルドと作中作登場人物の共通点を伏線として入れたりしたほうが面白いと思うのですが。

 ページ数の割になかなか内容が濃い、本格度の強い作品でした。初めて読んだ作家なのですが、何作品か買って読みたくなりました。

No.11 7点 斎藤警部
(2021/05/17 23:15登録)
フランスの新本格と言われる’87年作。不可能興味より展開の意外さ派手さで魅せる。舞台装置がおどろおどろしい割に軽い雰囲気と「押すなよ押すなよ」みたいなお約束の序盤展開に苦笑していたら、折り返し少し前から、まるでカードの代わりに生身の人間を使ったクローズアップマジックのようなひどくトリッキーな見せ場が次々とフラッシュし始めた。。観察者効果の暴走みたいなエピソードも凄まじい。こりゃ確かにカーの新型モデルと称されもしよう。ところが良いのか悪いのか、本格アイテムをこんだけ思い切って詰め込んだ割にはなんだか軽い。結果的に、ショートショート一発ネタを長篇の体裁でキメるにはどうしたら良いのか、という研究発表のよう。 そして最後の一撃は、事象aの指摘より、むしろ事象bに関するオープンエンディングの凄みこそ、響き渡った。。

密室トリックはまるで熱くない(題名で堂々ネタバレ?してる通り)。各アリバイトリックはどれもまあまあ緩い。だがしかし凄いのは、それら全てを包み込んでの飛翔を見せつけるこの構成の妙に支えられた、と言うよりむしろ破壊された(?)、アンチ叙述トリックの犠牲にでもなったような(?!)灰汁のように浮かび上がった何物か。。 それとやはり特筆すべきは、探偵役のある意味「スルー」のような独特の立ち回り方か。(探偵役と言えば、もうひとつ?重要なトリックもあるわけですが。。) ところでこのタイトル(原題直訳)、アレの事だけでなく、物語全体を包含する比喩的意味合い等はあるのでしょうか??

No.10 7点 人並由真
(2020/05/06 00:28登録)
(ネタバレなし)
 アルテは最近の新シリーズ2本の方を先に読んでしまい、人気のツイスト博士ものはこれが初読である(ノンシリーズ作品もまだ手つかずだが)。

 ハッタリとケレン味を煮凝らせた甘いお菓子のような第二部までは、魂が震えるほどにワクワクしたものの、最後の3分の1はなあ……。
 容疑者の名前全員を推理の圏内に入れて、その上で読者の隙をつく大技を仕掛けるには、ああいう方策がよいと作者は判断したんだろうけれど、事件そのものの真相といい、作品全体の(中略)といい、二重の意味で裏切られたような気分である。

 21世紀に黄金時代クラシックパズラーのまんま踏襲をしたら、結局は古色蒼然たるものになってしまう危険性があるから、現代の作家(東西の新本格的な作風の書き手)はあれこれプラスアルファの趣向を盛り込むんだろうけれど、それって素直にレトロな形質の謎解きを書いたら後ろ指をさされるという疑心暗鬼の産物なんじゃないかと、意地悪もいいたくなる。なんか悲しい。
 これならまだ『ロジャー・マーガトロイドのしわざ』の方が愛せる。

 最後のギミックも作者の狙いは理解できるものの、それも結局は書き手の悪い意味の(?)プライドの発露で、ああ、そうなんですか、と心に響いてこない。大体、第二部まで、大して感情移入の余地もなかったキャラクターに(以下略)。
 
 シリーズ第二作はもうちょっとフツーのものになるみたい(?)だから、そっちにはちょっと期待を込めておきます。

【2020年5月6日11時の追記】
 あ、とはいえE-BANKERさんのレビューで改めて意識したけれど、これは2000年代ではなく、原書は1987年の作品か。だったらその時期にこれだったのなら相応に挑戦的だったかもしれず、もうちょっと評価してもいいかも(笑)。評点を1点あげておきます。

No.9 6点 メルカトル
(2018/10/14 21:37登録)
流石にカーの再来と言われるだけのことはありますね。ご本人もカーを信奉というか溺愛されているようで、不可能犯罪や怪奇現象、勿論密室もあり謎の提示は申し分ありません。そこまで大風呂敷を広げて収拾がつかなくなるのでは?という心配をよそに、怪事件の数々を合理的に解決に結びつけています。
しかしながら、手品の種明かしをされた時の様な拍子抜けの感は否めません。結局そんなことだったのか、確かに誤魔化しという訳ではないけれど、もっと意表を突くトリックを期待していただけに残念ではあります。

尚、作品の構成としては好きな部類で、解説の麻耶雄嵩が書いているように、まるで往年の新本格を彷彿とさせる作風にも感じます。しかし、その性質上名探偵のはずのツイスト博士が実際に事件に携わっていないのは物足りないですね。
又ジョン・カーターなる人物を登場させるなど、遊び心も忘れていません。本当はフェル博士を探偵役にしたかったのだそうですが、著作権の問題でしょうか、実現はしませんでしたが、他の作品でのツイスト博士の言動は、フェル博士にそっくりらしいですよ。

文体は平易で読みやすく、カーのファンにとっては一読の価値があると思います。フランスにもこんな作家がいるとは正直思っていませんでした。

No.8 8点 makomako
(2018/09/15 07:28登録)
 ポール・アルテは初めて読みました。フランス人でカーのファンという触れ込みどおり、怪奇趣味や、密室がてんこ盛り。
 やー、これって大好きなお話だなあ。ワクワク感いっぱい。おもしろい。
 読んでいてこれで本当にちゃんと解決できるかと心配になるほどでしたが、まあある面で解決しており、これはこれで良しとすべきなのでしょう。

以下少しネタバレを含みます。
 ただ密室の謎の一部はちょっとインチキだなあ。もともと解決していたとすべき状態をそうでないように見せかけてやっぱりことに謎ではなかったというのは
どうかと思います。さらに最後のどんでん返しはちょっとびっくりしたのですが、登場人物の最後の行動や行く末がはっきりしないところがあり、この辺りがすっきりすれば最高の点数を差し上げたいところです。いずれにせよ久しぶりに出会った本格推理小説で、作者のほかの作品も是非読んでみます。
 

No.7 7点 E-BANKER
(2015/03/19 21:08登録)
1987年発表の長編作品。
作者のメインキャラクターとなるツイスト博士が登場し、フランスのミステリー賞も受賞したデビュー作。

~オックスフォード近郊の村に建つダーンリー家の屋敷には奇妙な噂があった。数年前に密室状態の屋根裏部屋で、全身を切り刻まれて死んだダーンリー夫人の幽霊が出るというのだ。その屋敷に霊能力を持つと称するラティマー夫妻が引っ越してくると、さらに不思議な事件が続発する。隣人の作家アーサーが襲われると同時にその息子ヘンリーが失踪。しかもヘンリーは数日後、同時刻に別々の場所で目撃される。そして呪われた屋根裏部屋での交霊実験のさなか、またしても密室殺人が・・・~

噂に違わぬ“意欲作”とでも言えばいいのだろうか。
何しろ本格ミステリー風のガジェットがてんこ盛り。
密室殺人はかなり堅牢なやつだし、交霊会や幽霊などの怪奇趣味が溢れ、“フランスのディクスン・カー”という形容詞はやはり的を得ていると思う。
ただし、黄金世代の本格ミステリーとは“似て非なるもの”には仕上がっている。

密室トリックについてはひと言物申したい方もいるだろう。
一応合理的な解決はなされているが、視覚的にかなり無理があるのは自明。
(歌○晶○氏のあのトリックと被るけど、規模的にみてこちらの方が難しいと感じる)
何より、不可能趣味以外に密室を構築した理由に欠けるのが弱点。
その他の謎についても割とアッサリ片付けられるものが多くて、マニアはちょっと食い足りない気にさせられるかもしれない。

本作の肝はそんなことより、作品全体に仕掛けられたトリックということになる。
読者は第三部を読み始めた途端、唖然とさせられるに違いない。
「これって、どういうこと??」って感じだ・・・
世界観がひっくり返される展開というのは、最近の作品では珍しくないが、ここまで見事に“嵌められる”感覚というのは久し振り。
ラストには追い打ちのような一撃まで炸裂するという念の入れよう・・・いや、参りましたと思う読者も多いだろう。

まぁ惜しむらくは、詰め込みすぎでガチャガチャしていて、頭の中にスッと落ちてこないことか。
それでも、デビュー作としては十分合格点。
こういう作品を書こうという心意気だけでも買いたい。

No.6 6点 ボナンザ
(2015/02/15 15:23登録)
フランスのカーという呼び名通りの不可能犯罪と怪奇趣味。
ただ、カーに比べるとやはり現代的なところも感じさせる。

No.5 7点 蟷螂の斧
(2013/10/06 19:40登録)
(ネタバレあり)密室がメイントリックかと思わせ、実は・・・という凝った作品です。また3分の2くらいまでの物語(一人称形式)が突如、○○により打ち切られる。そして突然のツイスト博士の登場となる。この展開も新鮮でした。密室を期待すると、裏切られるかもといった感じですね。本作は1987年ですが、ほぼ同時期発表のU氏(日本)のN殺人と似ています。やはり、プロット勝負といった作品だと思います。

No.4 6点 kanamori
(2011/09/01 20:09登録)
比較的短めの分量の中に作者の企てが多数入っていて、デビュー長編らしい意欲的な作品だと思います。
怪奇趣向は”あっさり風のディクソン・カー”というか、本家ほどの濃密さは感じられず、密室トリックもオリジナリティの点でイマイチでしたが、作品全体に仕掛けられた趣向は面白いと思いました。
もう少し登場人物を整理してプロットをシンプルなものにすれば、最後の一撃のインパクトが増していたのではと思います。

No.3 6点
(2009/10/03 09:21登録)
アルテはフランスのディクスン・カーと呼ばれている密室の得意な作家だそうです。海外版新本格といったところでしょうか。
本書には、もちろん密室殺人が含まれていますが、そのほかにこれでもかというほどの多くの事件が盛り込まれています。しかも、幽霊屋敷、交霊会などの怪奇的要素も十分にあります。そして、後半には展開にひと捻りあり、最後には衝撃もあります。しかし、詰め込みすぎのせいか、ツイスト博士によって解明された真相にはすこし無理があります。得意の密室トリックも私にとってはイマイチでした。それから、後半の展開はアイデアとしてはよかったのですが、さんざん無理のある真相を読まされたあとなので、驚愕もさほどではありませんでした。良かったのは、不気味な雰囲気を楽しめたことと、ストーリーに無駄がなかったことぐらいでしょうか。

No.2 7点 nukkam
(2009/05/15 10:29登録)
(ネタバレなしです) ハヤカワポケットブックの巻末解説によれば、アルテ(1955年生まれ)はフランスの作家ながらジョン・ディクスン・カーを目指した作品を書いており、フランスでも異色の存在だそうです。1987年発表の本書はアルテの出世作です。謎も沢山、トリックも沢山のぜいたくな本格派推理小説です。あまりにも展開が早くて雰囲気づくりが台なしだと思っていると、後半になるにつれて物語はだんだん不気味な様相を呈してきて、読者はこれが現実の世界のことなのか悪夢の世界のことなのかわからなくなってきます。謎が沢山ある分、トリックもいろいろあります。中には子供だまし的なトリックや偶然に頼ったトリックもありますが、密室殺人のメイントリックはなかなかよくできていると思います。残念ながら謎が謎のまま放り出されてしまったり、手がかりが不足している個所があって、「すべてが解明された」という読後感はありませんでした。それでもあれだけのありえない謎を合理的に解決する手腕は大したもので、最後の一行も実に衝撃的です。

No.1 6点 あい
(2008/10/24 13:59登録)
密室トリックは単純で、期待していた分残念だった

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