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ミステリの祭典

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ネジ式ザゼツキー
御手洗潔シリーズ

作家 島田荘司
出版日2003年10月
平均点6.00点
書評数22人

No.22 5点 測量ボ-イ
(2023/08/24 21:38登録)
島荘先生の未読作品の一つ。2003年発表なので
初期作品とはいえないですね。
うん、これはファンタジー?なんとも評価が難しい。
この頃の氏の作品は、大風呂敷広げて強引に回収と、
御手洗の超人的推理は楽しめます。
ただ真相に偶然が絡むのを嫌う方にはあまりお勧め
できません。

No.21 6点 nukkam
(2022/08/25 07:30登録)
(ネタバレなしです) 2003年発表の御手洗潔シリーズ第11作の本格派推理小説で、講談社文庫版で600ページを超す大作です。全4章構成で、後の章ほどページ数が増えていきます。第1章が御手洗(舞台が外国のためかキヨシ・ミタライと表記)の1人称形式というのが珍しいですね。もっとも感情をほとんど表さないし、第4章では語り手が友人ハインリッヒに交代しますが、そこでの御手洗は常識的な医学者として描写されています。成長して人間が丸くなったのでしょうけどエキセントリックな言動がなくなっていることは初期シリーズ作品の愛好家からは賛否両論でしょう。第2章の幻想的な物語の「タンジール蜜柑共和国への帰還」まではミステリーらしさがほとんどありませんが、退屈させない語り口は見事です。首を切断された上に首に雄ネジを胴体に雌ネジを埋め込まれた死体の謎解きの奇想天外な発想はこの作者ならではです。

No.20 7点 斎藤警部
(2021/07/21 23:23登録)
螺旋が、物理的に心理の大罪を犯した話。 “私は、このセリフを言いたかったのだ。うっかり言わないで、この世界を去るところだった。” ファンタジーのドレスを纏い、自由奔放過ぎるが要所でクイーン張りに論理の閃きで崩しに掛かる御手洗。目を覆わんばかりだった奇想の群舞も折り目正しく着地。音楽の力がシビアに威力を発揮するシーンは強力だ。 死体にネジを嵌めた理由、見事な隠匿ぶり。「首を斬る理由」の凄い応用編、巧妙な広域目眩し付き。 或る人物の職業遍歴に微妙な唐突感があったのは、その、どこか笑ってしまうトリックのためだったのか。。 或る人物の正体バラシはもう少し勿体ぶってというか、重みを持たせても良かったんじゃないか。。? 或る人物の、告白に至る条件と経緯、これが熱い。。。そこがこの物語成立の肝なわけだ。。

最終地点へ近づくにつれ、じわじわ小波で押し寄せる感動と、やっぱり出て来たバカ要素への苦笑との、小さなせめぎ合いが。。外連味たっぷりの構成で壮大なバックグラウンドを匂わせつつ、終わってみれば当初の予感よりこじんまりとした収束。。ハナッカら大風呂敷を拡げなければ。。という気もしたが、んーー、それだとこの不可解な事件の猟奇性とバランス取りづらいよな。 出来れば、もっとスケールの大きいバカと感動のアウフヘーベン体験の渦の中に投げ込んで欲しかったものです(島荘さんなら出来る!)。 でもまあ、この人の作品世界はやっぱり特別に好きですよ。異物感無くスゥッとはまれます。

ビートルズの歌詞の記憶の件は、まあ装飾ですよね。これがたまたま、たとえばキンクスの「ローラ」だったらどんな不思議な童話が生まれたものかと妄想したりして。。 ところでスペース◯◯◯◯のアレはどうなったんだっけ? あのへん、一番あがる推理だったのに。。。 あとまあ、途中危惧したほどレペゼン反日でもなくてほっとしました。 ちょっと意味不明なタイトルが実は、、という大胆さにも拍手です!(つげさんは関係無かった) にしても、陰の主役、キーマンは天災か。。。(そいつが●●に運命のいたずらを。。)

No.19 5点 ボナンザ
(2021/03/13 20:01登録)
眩暈に味を占めた幻想と奇想の入り乱れた一作。犯人の狙い通りにやった方が島田荘司らしさはあるかもしれないが、こうゆうしっとり系の話にするのも悪くない。

No.18 8点 青い車
(2017/01/13 22:22登録)
 ロジックを第一に考えると、犯人のやったことは合理性を欠いていて無理筋なのは否めないのですが、島田荘司の醍醐味は別にあります。とにかく荒唐無稽なホラ話をリアルに語ってしまう剛腕ぶりだけで8点は堅いです。ひとつの童話をあの名曲にリンクさせたことに始まり、どんどんスケール感を増していく展開には興奮を覚えました。御手洗潔が初期と比べ大人しいキャラクターに落ち着いてしまっても、根幹はブレていないことがわかります。

No.17 6点 いいちこ
(2015/04/03 11:20登録)
本格ミステリとしての核は小粒であり、かつ強引さとアラが目立つので5点の評価。
ただ、冒頭に示される謎(タンジール蜜柑共和国への帰還)の壮大さ・不可解性と、それを生々しいリアルな犯罪に落とし込むプロット、物語世界に力強く引き込んでいく求心力の強いストーリーテリング、島田作品に特有の不幸な境遇に翻弄されながら懸命に生きる登場人物の生き様に好感。
以上、本格ミステリとしては評価し辛いものの、読物としての抒情性を買ってこの評価。
キライな作風ではないのだが、著者に求めているものはこれではない。

No.16 6点 メルカトル
(2014/01/02 22:40登録)
再読です。
ファンタジー小説『タンジール蜜柑共和国への帰還』は、巨大な蜜柑の木の枝に家屋が立ち並び、通りができており、一つの小国として成り立っている。蜜柑をもぎるために妖精たちは羽根を羽ばたかせる、またその国には鼻や耳がない者もいるという、相当意味不明なものである。スウェーデンで教授をしている御手洗潔は、この小説から真実を抽出し、作者の帰るべき国を模索し、とんでもなく奇怪な殺人事件を解決に導くべく、推理を始める。
前半ではこれまでの「御手洗潔シリーズ」では見られなかった、御手洗自身の一人称を読むことができる。しかし、かつてのエキセントリックだった御手洗の姿はそこにはない、冷静で思慮深い学者然とした、それなりの年齢を重ねた落ち着いた御手洗に、なんだかしっくりこないものを感じる読者も多いのではないだろうか。
まあしかし、彼の天才ぶりは相変わらずで、この程度のからくりは大して頭脳を駆使する必要もなさそうだ。
全体的にはやや小粒な印象は受けるが、『タンジール蜜柑共和国への帰還』が思いのほか面白く、個人的にはこれがかなり気に入っている。
ミステリとしての興味は、いわゆるホワイダニットと言えるかもしれない。何故犯人は被害者の首を切り、ネジによって首と胴体を繋げるような真似をしたのか。そこには島荘がよく口にする「信念の犯罪」が執念とも言える理由をもって存在しているのだ。

No.15 6点 TON2
(2012/11/26 18:27登録)
講談社NOVELS
御手洗潔は、スウェーデンの大学の脳神経の研究者をしていて、舞台は彼の研究室だけです。
記憶の一部をなくした男が書いた奇妙な童話「タンジール蜜柑共和国への帰還」をヒントに、かつてフィリピンで起こった殺人事件の謎を解く、安楽椅子探偵ものです。
構想は「眩暈」と同じだと思います。
御手洗が天才過ぎるがゆえに、こういうとんでもない謎にしか挑戦できなくなっているように思います。
この作者らしく題名も奇抜ですが、これは御手洗ものだから、固定の読者がいることを前提にしたものでしょう。一見さんでは、この題名では手に取らないと思います。
余談ですが、この作品でヒッチコックの後期の作品が、「鳥」「マーニー」「引き裂かれたカーテン」「トパーズ」「フレンジー」「ファミリープロット」であることを知りました。全部観ています。

No.14 3点 makomako
(2011/06/28 08:00登録)
どうも雲をつかむような話で、しかも長い。御手洗もいつの間にか脳科学者となり以前のようなエキセントリックなところがほとんどみられない。好みの問題でしょうが私は退屈してしまった。

No.13 5点 好兵衛
(2011/04/23 21:46登録)
ファンタジー色強めな作品。
絵本から謎を解くという引きが面白かったです。

肝心の謎というところより、ファンタジーの話しが面白く
そちらの方に見入ってしまいました。
本当に絵本にしたら綺麗だろうなぁ。
なので、ミステリとしては不思議色つよめだなぁと思います
なので、謎解きの部分で無理がでてくるというか
あまりその部分は面白くなかったです。

あの話から真相をみちびく御手洗は凄いな
の一言でしょうか。

設定と引きに5点。ファンタジーとして読んだ方かよいです。
それにしても、御手洗は変わってしまわれた。

No.12 6点 E-BANKER
(2011/03/26 23:09登録)
御手洗潔シリーズの超長編。
プロット的には「眩暈」に似た感じですね。(ただ、「眩暈」よりは落ちる)
~記憶に傷害を持つ男、エゴン・マーカットが書いた物語。そこには、蜜柑の木の上の国、ネジ式の関節を持つ妖精、人工筋肉で羽ばたく飛行機などが描かれていた。ミタライがそのファンタジーを読んだとき、エゴンの過去と物語に隠された驚愕の真実が浮かび上がる・・・~

相変わらずの「島田節」が炸裂!っていうところでしょうか。
とにかく、一見しただけでは「ありえない」「単なるファンタジー」でしかないと思われたストーリーが、御手洗のロジックで解き明かされる快感!
ただ、そのロジックはいつものとおり「偶然の連続」で起こったという奴・・・
だったら、正直「何でもありじゃん」と思ってしまいますが、そこは他の作家とはスケールが違うわけです。
結局最後には「すごいねぇ・・・」と思わされてしまいます。
特に、今回は「ネジ」にすっかり騙されました。そりゃそうですよねぇ・・・単純に考えれば、そういう「カラクリ」になってるのは自明なのに、他があまりに突拍子ないため、それには気付かない・・・んですねぇ。
まぁ、島田節に酔いたい貴方にはお薦めの一冊です。
(ページ数の割にはスイスイ読めました。)

No.11 7点 seiryuu
(2010/07/16 17:25登録)
「タンジール蜜柑共和国への帰還」が意外と面白かった
トリックがゴウレム章でうまく隠してある。
ストーリーも構成も好き。

No.10 6点 touko
(2008/10/29 02:16登録)
「眩暈」の序盤部分の謎解きだけで一冊書いてしまったって感じで、やや物足りなさが残りました。
悪くはないけど小粒な印象。

No.9 8点 ロビン
(2008/10/16 19:50登録)
途中で御手洗が物凄いロジックを展開してくれるおかげで、おそらくほとんどの読者にはメインのトリックは分かってしまうだろう。それでも残る事件の不可解な点、猟奇的殺人の真相がラストに明かされ、前記のロジックでは理解し切れなかった部分がようやく把握できた。
この作品の御手洗さんはずいぶんおとなしいですね。彼の個性がほとんど出てこない。

No.8 4点 rintaro
(2008/08/27 17:35登録)
途中までは良かった。普通に小説として面白かったが、後半どんどんしりつぼみしていくのが残念だった。特にフランコのネジ事件にたどりついてからは単につまらない推理小説、肝心のネジ式の首の真相は正直氏の短編レベルのネタだった。ただ評価できる点としては作中作のエゴンの小説が幻想的で好きだったのと、不可解な銃痕の解明の論理は良かったと思う。

No.7 7点 おしょわ
(2008/01/27 20:54登録)
「眩暈」にちかい展開。やっぱり無理はあるけどスケールの大きな展開に免じて多少を目をつぶりましょう。
何と言ってもタイトルがすばらしい。

No.6 5点 マニア
(2008/01/14 22:26登録)
相変わらずスケールの大きな展開&トリック
前半のタンジール蜜柑共和国についての謎解きは面白かったが、後半のネジ事件の展開ははっきりいってそんなに楽しめなかったし、会話ばかりの文章は読みづらくもあった。

それでも、不可解な謎の数々を最後に1つのストーリーにまとめてしまうのは流石!

No.5 7点 Tetchy
(2007/12/21 17:56登録)
『眩暈』を髣髴させる悪夢のような手記が今回も論理的に明かされる!
とはいえ、ちょっと無理を感じたかなぁ。
最後の殺人事件の解明は無理が重なったような感じを受けたし。ちょっと残念。

No.4 7点 姑獲鳥
(2007/08/07 23:05登録)
ミステリーとしてはストーリーもトリックも面白かったです。ただ、御手洗さんが普通の人ですね。占星術や暗闇坂のような御手洗さんを望んでいる人には少しがっかりかも…でも作品の中のタンジール蜜柑共和国の話も面白いし作品としては完成度は高いと思います。

No.3 3点 しゃんテン
(2004/07/05 16:46登録)
「Aの台詞」「Bの台詞」「Aの台詞」…こんな調子で対話が延々と続く。最初のほうは多少の描写があるのだけれど、途中からは台詞しか存在しないページが延々と続く。
そのためだろうか私には語り手の考えや感情も、そのほかの登場人物の表情も見えてはこない気がした。
 探偵役やワトソン役、記憶を失ったキーマンなどの登場人物にちっとも関心がもてないせいか、事件にも関心がもてなかった。
 また、御手洗の推理は薀蓄を自慢するだけのものにみえて、推理を構成する論理は凄く適当で厳密とはいえない気がした。
 『占星術殺人事件』などの作品では御手洗潔が、毒舌を吐きまくりで、性格が悪く、けれど、謎めいていて、天才で。そういった凄い人間といった雰囲気を持っていたが…この作品では御手洗潔がただの物知り的秀才といった感じがする。謎めいた感じも凄さも漂っていない気が私にはした。その点でもこの話は楽しめなかった。

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