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ミステリの祭典

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ロビンさんの登録情報
平均点:6.56点 書評数:130件

プロフィール| 書評

No.130 8点 災厄の紳士
D・M・ディヴァイン
(2010/03/29 01:46登録)
なんとも地味で、かつド直球の本格作品。展開や描写による演出には問題ありだとは思うが、普通に読んでいれば、この犯人の招待には驚くはず。

個人的には、「なぜ、犯人は車のハンドルだけ指紋を拭き取ったのか?」に対する回答のロジックが秀逸。これだけシンプルかつ明快で、核心を突くロジックでありながら、現代でも通用するものなのに既読感はゼロ。素晴らしいです。

余談ですが、このサイトも昔はいろんな人の書き込みが見れて楽しかったんですけど、最近は毎回同じ人による大量書き込みばかりで、なんだかぁ、と思ってしまいますねぇ。


No.129 7点 真っ暗な夜明け
氷川透
(2010/03/08 14:10登録)
久々の投稿です。
まさか、あの大嫌いな(個人的にですが)某メフィスト賞からこんな硬質な作品が生まれていたとは。驚きです。

まさに、クイーンやアリスを踏襲した「本格」推理小説。ここまでロジカルに徹した作品は、国内では稀有な存在でしょう。
本文中で作者も主人公に喋らせているように、叙述トリックを嫌い、純粋にただの「本格」を貫こうという姿勢が素晴らしいと思います。

ただ、あまりにもエンタテインメント性にかけることと、登場人物にリアリティがない(良く言えば古風な小説的)のと、肝心のロジックが地味すぎること、でしょうか。


No.128 6点 はなれわざ
クリスチアナ・ブランド
(2010/01/28 02:13登録)
真っ先にこの作品を読んで思い出したのが(ネタばれ?⇒)『古畑任三郎』の最終話「ラスト・ダンス」です(松嶋菜々子が犯人の回)。
間違いなくこの作品を元ネタにしてるでしょ、三谷さん。

正直中だるみはひどいですが、演出的にはそれもフリになっています。
しかし、たった一つの殺人でここまで引っ張るか、というあおりが、上記のようなこともあり、サプライズの破壊力は減少。

きっと、かの有名な「金田一」事件の被害者たちは、こんな気分だったんだろうなと感傷的に。


No.127 8点
麻耶雄嵩
(2009/11/01 20:48登録)
一言でいえば、逆叙述トリック。
世の中に蔓延する、「またか……」とウンザリするありふれた叙述トリックをあざ笑うかのような一撃。

事件の真相自体は非常に地味なことと、彼が共犯者になり下がった理由が明かされていないなど不満は残るが、この奇想は一読の価値あり。特に新本格作品しか読んだことない人は。

麻耶雄嵩、恐るべしです。


No.126 7点 人の死に行く道
ロス・マクドナルド
(2009/10/25 18:33登録)
お決まりの失踪人探しに、ギャングが絡んでくる進行は、典型的なハードボイルド。やはり初期の作品だけあって、ロスマク的な家庭内悲劇の色は薄い。分かってはいたけれども、どうしてもそこを望んでしまうので多少の物語的「深み」不足を感じてしまう。

しかし、興味深いのはこの母娘像。なんだか後期の家族造形に相通じるものがあるように感じました。


No.125 5点 見えない精霊
林泰広
(2009/10/17 17:33登録)
何がすごいって、一撃必殺のこのトリックを破たんなく(?)成立させたこと。ロートレックに勝るとも劣らない活字の魔法。この舞台設定や物語世界も、全てがフリだったとは。

ただ、僕個人としてはナシです。確かに練りに練られた構成ではあるけれども、「たった一つのある事実」さえ明らかになってしまえば、という『首無し』に通じるところもあるのですが、あの作品のように構図の転換や謎が紐解かれていく快感などはなく、単なる脱力。


No.124 6点 ベローナ・クラブの不愉快な事件
ドロシー・L・セイヤーズ
(2009/10/10 03:12登録)
まずこの設定が非常にユニーク。コージー的雰囲気を持ったセイヤーズの作風にピタリとハマっています。
しかし、悪く言えば、それだけ。真相自体にひねりはなく、さらに早い段階で明らかにされてしまうと、どうもラストまで気分が乗らない。そういった「演出力のなさ」が目につく作品です。


No.123 4点 青銅ランプの呪
カーター・ディクスン
(2009/10/04 00:06登録)
もはや「人間消失」という前振り自体がミスリードになっている。だって、クイーンとカーだもの(二人の合作ではないです)。そりゃ期待しちゃうでしょ。

ネタバレますけど、消失してないです。振りが強すぎてハードルが上がり過ぎていたせいもあるでしょうけど、本当に拍子抜け。
特に第一の入れ替わりトリック(言っちゃった)は、無理がありすぎて整合性がない。いや、アンフェアといっても過言ではない。いくらなんでも誰か気づくでしょ。


No.122 5点 ニッポン硬貨の謎
北村薫
(2009/09/27 11:35登録)
クイーンのパスティーシュだが、ミステリの観点からは、お世辞にも褒められる点がない。こんなの単なる妄想でしかないよね、とほとんどの読者はあきれてしまいそうな真相。五十円玉二十枚の謎も、こんな解決あるかい、とツッコミたくなるなぁ。

ただ、本作の眉唾物は、『シャム双子の謎』論でしょう。このサイトでは軒並み評価の低い『シャム』ですが、まさかこんな仕掛けが施されていたのか!と驚き。(だけど、ほとんどの読者が気づけていない時点で、それは成功していないんじゃ……)


No.121 8点 フロスト気質
R・D・ウィングフィールド
(2009/09/23 11:34登録)
フロスト警部シリーズ第4弾。元々文庫で分厚い作品だったが、ついに上下巻に分かれ、約1000ページに及ぶ大作です。

このシリーズは毎回フロスト警部の相棒となる新米エリート警官が登場してくるが、そのうちの一人は女で、もう一人は、かつてデントン署に勤務していたいわくつきの人物。なんでも、かつて愛娘を交通事故で亡くし、その事件の担当だったが犯人を上げられなかったフロスト警部を恨んでいるとか。その真相自体はお決まりなんだけど、ホロリとさせるのは警部のキャラクターーだよなぁ。

パターンや構成は毎度のごとく、同時並行で起こる幾多の事件をフロスト警部が一手に手掛ける多重構造。何よりも己の直感を第一とする警部の杜撰な捜査が炸裂し、いつものように首の皮一枚で解決していきます。
特に、少年誘拐事件では今までにない知能犯との対決。何度も空振りを強いられ、今度ばかりはさすがにダメかも……?
だけど、ラストはやっぱり警部らしいオチ。あの証拠にしたって、ねぇ。

作者のウィングフィールド氏は既に他界して、残されたフロスト警部シリーズも残すところあと2作。はやく次作を読みたいようで、読みたくない、そんな心持です。


No.120 7点 時の密室
芦辺拓
(2009/09/18 11:21登録)
驚きの真犯人です。しかし、純粋なフーダニットでなく、芦部氏の魅力である詰め込み過ぎのトリックが本作も炸裂しています。ので、そこはまあ愛嬌かと。

まさに「時をかけるトリック」と言いますか、三時代に渡る密室トリックが互いに連携していて、森江が真相に至るには一度その三大トリックごとひっくり返さなければなりません。この多重構造の仕掛けは上手い。(というか、ダミーの推理が真相だったらがっかりだよ、というレベルですが)

しかし、文章があまりにも活きてない。描写ではなく、説明。そういった小説的技法と、あとは驚きをより美しく魅せる演出力があれば、もっとすごい作家になると思うのですが。


No.119 5点 雲なす証言
ドロシー・L・セイヤーズ
(2009/09/12 13:40登録)
本書の結末には、正直がっかりと言う他ない。
肝心な事件の全貌を説明するラストの場面でも、興ざめな結論を最初に提示され、その工程を一つ一つ追って行っても、心躍る瞬間はどこにもない。


No.118 7点 Killer X
クイーン兄弟
(2009/09/06 21:46登録)
二階堂黎人と黒田研二による合作シリーズ。
舞台は閉ざされた吹雪の山荘、そこで起こる得体の知れない殺人鬼による連続殺人。それと同時並行に起きている下界での突き落とし魔の正体。。と、中身はコテコテの本格作品です。

以下、ネタばれ。
本書はサプライズ好きの人にはたまらない作品だと思います。曖昧な記述が続いているから匂いはあるのですが、それでもこちらの想像を上回る一撃が待っています。


No.117 8点 誰の死体?
ドロシー・L・セイヤーズ
(2009/08/29 13:40登録)
本当に、設定自体はシンプルで突出した点もない平凡な本格ミステリ。クイーンのようなパズルでもなく、カーのような不可能性もない。
下の方の言うように、冒頭から中盤にかけては確かに退屈だった。
しかし、ある人物に焦点が当てられ、事件の構造がおぼろげながらもつかめてきた途端、その大胆な○○トリックの凄さにハッとさせられた。

ラストの犯人による手記を読んで初めて分かる、犯人の頭脳と緻密な計画性。見事です。


No.116 2点 パラダイス・クローズド
汀こるもの
(2009/08/23 17:13登録)
久々に出会ったゴミ作品。根本的に、本格をバカにしている作者のスタンスが鼻につきます。
主要登場人物以外のキャラの描写の手抜き、読者にはアンフェアな密室&双子トリック、最後まで無視され続けた動機、ページ数稼ぎのうんちく、ああ、救いがない。

本当に、某メフィスト賞はどうにかならないものか。
国内ミステリの将来に危機感を抱いているのは僕だけでしょうか。


No.115 9点 死者との結婚
ウィリアム・アイリッシュ
(2009/08/14 11:50登録)
おお、アイリッシュまさかの(ネタばれ?→)カットバック。そして、この構成が何より最大の胆。

相変わらずのご都合主義には目をつむるとして、そんなことはどうでもよくなるくらい美しい描写。風景、人間心理と、これまた相変わらず詩的に描かれています。そしてこの描写が最大のミスリードとなっている。
恋人、家族の愛を描ききることで、「そんなまさか」と思わせる。まるでそれは、読者のリアル世界での自分の家族、友人が悲惨な事件を起こしたとしても「そんなまさか」と相手を妄信してしまうような感覚。「あいつはそんなことをするような奴じゃない」と。
この文章、表現力は、誰も真似できない天性のものだと思います。

ただ、真相(?)には問題ありかと。


No.114 6点 花の下にて春死なむ
北森鴻
(2009/08/09 21:41登録)
良作揃いの短編集。哀愁漂う物語世界は、読み手をホンワカとした気分にさせてくれる。反面、切れ味のあるロジックでピリッと引き締めてもくれる。
安楽椅子探偵的な存在がいるおかげで、とりあえず構成のフォーマットが見えて安心感はあるが、、逆にいえば突出した部分がなく、平坦というか起伏がない。登場人物に個性が感じられないのが欠点。


No.113 7点 死者たちの礼拝
コリン・デクスター
(2009/08/02 00:58登録)
デクスターといえば、生んでは捨てる論理を繰り返し、やがて訪れた(かのように思える)真相もその実は……なんて煮え切らなさもけっこう好きだったり。
「いったいあの描写は何?」と思わせるようなシーンもあり、相変わらずの独特な構図で読み手を混乱に陥れるなど、らしさは顕在。
「何故死者は二度殺されたのか?」という要の謎に対するホワイは、シンプルすぎて逆に盲点を突かれました。


No.112 5点 水の時計
初野晴
(2009/07/11 21:00登録)
これは果たしてミステリなのだろうか。一応ラストに冒頭でほのめかして謎が明らかにされるのだが、正直言って全然驚かされもしない。だって伏線ないじゃん。トリックもないじゃん。
感動を誘うミステリといううたい文句もあるのだが、涙腺を刺激されるような出来事は描けていても、それを伝える表現力、文章力がない。よって感動もできないです。


No.111 8点 象牙色の嘲笑
ロス・マクドナルド
(2009/06/28 01:25登録)
あの事実が明らかになった時は、思わずゾッとした。ハードボイルドという冷徹な文体が成せるインパクト。
ある意味、この作品でロスマクはアーチャーというキャラクターの動かし方、彼が直面する悲劇の原形を掴んだのではないかと思います。

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