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ミステリの祭典

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真っ暗な夜明け
氷川透シリーズ

作家 氷川透
出版日2000年05月
平均点5.95点
書評数21人

No.21 6点 nukkam
(2024/09/08 13:46登録)
(ネタバレなしです) 覆面作家の氷川透のデビュー作である2000年発表の本格派推理小説です。作者名と同じ名前の主人公を使っていること、「読者への挑戦状」が挿入され、論理を重視した謎解きであることはエラリー・クイーンを連想させます。活躍時期は大変短く、2006年以降は作品を発表していません。エラリー・クイーンがバーナビー・ロス名義を使ったように別名義で活動しているかもしれませんが。論理を重視し過ぎて説明が回りくどかったり屁理屈に感じられる時もありますが全般的には読み易いです。人物描写や物語性はほとんど配慮されず、典型的なパスル・ミステリーですが最終章では人間ドラマを描いています。あらゆる可能性を丁寧に検証するあまり(直接描写でないとはいえ)エロネタやトイレネタにまで踏み込んでいるのは読者の好き嫌いが分かれそうですが。キワモノ系が有利とされる某ミステリー賞をガチ本格派の本書が受賞していたのは意外でした。

No.20 5点 メルカトル
(2019/02/21 22:29登録)
これはある意味凄い作品ですね。面白いとか楽しいとかワクワクとか、そういったものとは一切無関係の世界です。ひたすらロジックに淫し突っ走る、ただそれだけ。ですから、トリッキーなミステリを楽しみたい方には向いていません。とにかく論理で謎を解き明かし、犯人を特定するためだけに読みたい方のみお薦め。
動機なんかはさして重要ではなく、付与されているに過ぎません。ましてや人間ドラマなんぞこれっぽっちも感じませんね。その点、私には登場人物に血が通っているようには到底思えませんでした。視点がコロコロ入れ替わり、一応その視点の人物の心情が多少は挟まれていますが、まあ無機質で泥臭い人間らしさは皆無と言って良いでしょう。作者の自己満足が前面に押し出されたような印象も受けます。

密室ならぬ密室のトリックは、多少なりともミステリを読んでいる人にとってはまるでみえみえだと思います。まさかあれじゃないだろうなというのがそのまま採用されています。
最大の読みどころはやはり第一の事件の、凶器に関する論理展開でしょう。ここはかなりよく練られたものと感じます。しかし見取り図は載っているものの、時系列と各容疑者の行動が分かりづらい印象を受け、煩雑さは拭えませんね。
それと気になったのは、いくとゆくの使い分け。普通プロの作家が例えば「そうはゆかないだろう」と書くでしょうか。発音は「ゆ」でもそこは「い」を使うべきじゃないですか。その点と前述の視点の頻繁な入れ替わりが最後まで苦になってなかなか集中できませんでした、正直。

No.19 7点 ロマン
(2015/10/20 23:05登録)
大学時代のバンド仲間との同窓会の帰り、終電を待つ駅で殺人事件が発生。被害者は改札前で別れたはずのバンド仲間。改札内にいたのはみんな同窓会出席者。。 駅の改札内での密室状態での殺人事件ということで、犯人は限られてしまうが第二の事件が起こって不可解に。地味な感じの事件だが、細かい論理の連続で楽しめた。凶器の謎も面白かった。

No.18 3点 yoneppi
(2011/04/15 18:12登録)
ロジックを積み重ねる本格が実は苦手なのか。それともバンド仲間系ミステリが苦手なのか。

No.17 5点 seiryuu
(2010/07/16 18:33登録)
時間差トリックが面白い作品。
登場人物の人間関係が複雑だった。
なぜこの凶器なのか?から 人の動きを推理して
犯人を割り出すところはとても面白かったです。

No.16 7点 ロビン
(2010/03/08 14:10登録)
久々の投稿です。
まさか、あの大嫌いな(個人的にですが)某メフィスト賞からこんな硬質な作品が生まれていたとは。驚きです。

まさに、クイーンやアリスを踏襲した「本格」推理小説。ここまでロジカルに徹した作品は、国内では稀有な存在でしょう。
本文中で作者も主人公に喋らせているように、叙述トリックを嫌い、純粋にただの「本格」を貫こうという姿勢が素晴らしいと思います。

ただ、あまりにもエンタテインメント性にかけることと、登場人物にリアリティがない(良く言えば古風な小説的)のと、肝心のロジックが地味すぎること、でしょうか。

No.15 7点 測量ボ-イ
(2009/12/13 20:08登録)
氏の作品を読むのは3作めですが、その中では一番良かった
です。
ロジックの積み重ねで犯人を絞っていく訳ですが、特に「何
故犯人はブロンズ像そのものを凶器に用いず、その台座を使
ったか?」の論理は読み応えありました。
僕自身の嗜好に近い方なら評価できるでしょうが、推理小説
の「小説」の部分に比重を置く方には、合わないかも。

No.14 8点 江守森江
(2009/05/22 07:20登録)
犯人が作為的なトリックを弄さない殺人事件を論理的に解明する地味な作品だが、ロジカルな読者挑戦物好きなら必読。
これがデビュー作だからと作者への期待は大きかったのだが・・・。

No.13 2点 キトウY
(2007/10/27 22:52登録)
ロジック好きにはたまらないのかもしれないが、話も人物も地味すぎて微妙。人物の視点が変わるせいで読みづらくてたまらなかった

No.12 10点 高桑敏裕
(2002/09/05 15:58登録)
ロジック崇拝者にはたまらない。ましてや「読者への挑戦」付き。
ロジックだけじゃ無味乾燥な作品になると云われる方もいますが、ここまで徹底してくれれば文句ないんじゃないでしょうか。

No.11 8点 KANNO
(2002/04/14 23:12登録)
ヤラレタ。『論理的』という言葉に弱くなっていく。カッコイイ小説だと思いますよ。登場人物「氷川透」が人間くさくてよい。

No.10 7点 りょう
(2002/03/18 00:57登録)
好きな作品です。「推理」小説に拘った感じがしました。ただそれだけに、物語性を読むというよりも、「娯楽」と割り切って読むのがよいようです。

No.9 7点 由良小三郎
(2002/03/07 21:34登録)
文章はよみやすく、人物描写も丁寧です。問題は推理小説であることよりも推理クイズとしての完成度を重視しているようにみえるところなんでしょうが、たぶん将来はじけて、東野圭吾みたいに巨匠の道に到達するに違いないとおもいます。

No.8 7点 tenkyu
(2001/08/27 04:32登録)
なかなか面白かった。ただ本格にとって脱構築の見地をとる事は開き直りでしかないのも確か。ある意味、本質直観をより上を行っている。まあ島田荘司いうところの意地悪高等叙述方法を信奉するものの意見ですがね。

No.7 1点 ぼんち
(2001/08/01 09:59登録)
これほど「小説」の名に相応しくない人もいないでしょう。

No.6 5点 もよもよ
(2001/07/08 18:10登録)
なんというか・・・地味じゃないすか??
事件とかトリックとかがもう少し凝ったものだったら、物語性はこのままでも面白く読めた気がする。

No.5 8点 ぽん
(2001/06/15 06:20登録)
物語性に欠けるのは・・・・まあ、いいでしょう(笑)。
ここまで端正に論理性を求められたのって珍しくないですか?

No.4 3点 水母
(2001/05/23 14:10登録)
パズラーじゃないのに読んだ私が悪かったです。はい。
内容に引き込まれなかったしトリックも『ふ〜ん。で、何なの?』としか思えなかったです。ごめんなさい。

No.3 8点 Nakatz
(2001/05/15 10:18登録)
純粋に論理で推理する、っていう作品は好きです。
物語性が弱いのは、まあ目をつぶっておきましょう。

No.2 6点
(2001/05/15 02:46登録)
『密室は〜』よりはこっちのほうが好きかな。
でも動機やそれにいたる過程が納得できないというか、釈然としないというか。。。
相性よくないのかも(^^;

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