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ミステリの祭典

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死者たちの礼拝
モース主任警部シリーズ

作家 コリン・デクスター
出版日1980年11月
平均点6.14点
書評数7人

No.7 6点 ◇・・
(2024/03/12 19:52登録)
描写が曖昧で読んでいる時は、霧の中を歩いている感じ。教会で礼拝中の信者が殺され、礼拝を執り行っていた牧師も死んでしまうというのがメインの謎。
ここで使われるトリックはなかなか切れ味があるが、それ以前の部分が面白すぎてトリックの所在を見失ってしまう。この雰囲気が最高の持ち味。

No.6 6点 レッドキング
(2021/10/23 22:41登録)
デクスター第四作。牧師はじめ教会関係者5連続殺人事件。姦通・献金横領にカインとアベル・少年愛ネタのパズル断片散りばめて、「顔無し死体もの」の意表突く応用・・WhoHowからWhatへの・・転生応用。こんな手があんだな、面白い。ただ、楽屋(What)によって仮象された舞台がカー風不思議だったら・・7点・・まあ、やめとこ。

No.5 6点
(2019/09/19 03:10登録)
 四月はじめのはだ寒い月曜日。二週間の休暇を持て余したモース主任警部は、何かに導かれるようにセント・フリデスウィーデ教会のドアを開けた。彼はたまたま内陣にいた女性ルース・ローリンスンから、去年教会で起きた殺人事件の切り抜き記事を入手する。信徒たちが最後の賛美歌を歌っているあいだに、教区委員の一人ハリー・ジョーゼフスが聖具室で刺殺されたのだ。直接の死因こそナイフによる刺傷だったが、検視報告は胃の中に致死量のモルヒネがあったことを示していた。
 さらにその翌月には、牧師のライオネル・ロースンが教会の塔から転落死している。直前に聖餐式を行ったばかりで、事故とも自殺ともつかない出来事だった。いったい、この教会には何が潜んでいるのか?
 事件に興味を抱いた主任警部は私的に調査を開始し、担当のベル主任警部にも聞き込みを行う。さらに相棒のルイス巡査部長を担ぎ出し教会の塔に登ったモースだったが、彼らがそこで新たに発見したのは、なかば白骨化した男の死体だった。
 三番目の犠牲者の発見後、インフルエンザで倒れたベルから正式に事件を引き継ぐモース。だが行方をくらました関係者たちの死は、これだけでは終わらなかった・・・
 「ニコラス・クインの静かな世界」に続くモース主任警部シリーズ第4弾で、1979年度CWAシルヴァー・ダガー賞受賞作。初読時は「ウッドストック」「キドリントン」に次ぐものと評価していましたが、改めて再読するとやや微妙。献金詐取や不倫事件をリンクさせ、誰も彼も一癖ありげな不穏さを湛えたオープニングは素晴らしいのですが、結末は必ずしもそれに見合っていません。
 重要証人のルース・ローリンスンが何かを秘めていることや、彼女と関係する犯人らしき人物がブランク描写されるのですが、ルースの人物設定からある程度正体が割れてしまうのが難点。解決のカタルシスを決定的に左右する部分なので、処理が適切であったかどうか疑問です。
 またモース達は結局六つもの遺体を抱え込むことになるのですが、動機がちょっと曖昧。少なくとも少年殺しの必然性はあまり無いように思います。初読の際はこのへんの五里霧中感が良かったのですが、改めて見ると目晦まし的な面が強い。墜死体の眼鏡の件も、暗示される事実はモースの推理を崩しかねないもの。
 総合的には多少のアラより読者を取り込むテクニックを優先した仕上がりですが、そこをどう判断するか。楽しめはしますがシリーズ上位には食い込めないかもしれません。

No.4 5点 ボナンザ
(2015/10/31 11:03登録)
話の運び方が秀逸。
最後まで引き込まれる内容だった。

No.3 7点 E-BANKER
(2015/06/21 20:03登録)
1979年発表の長編作品。
モース警部シリーズとしては四作目に当たる。

~教会の礼拝の最中に信者が刺殺され、つづいて礼拝を執り行った牧師も謎の死を遂げた。神聖な教会にはいったい何が潜んでいるのか? 休暇を持て余していたモース主任警部は捜査に乗り出すが、関係者はみな行方をくらましており事件は迷宮入りの様相を呈していた。さらに第三の犠牲者と思しき死体が発見され、謎はいよいよ深まっていく。英国推理作家協会賞シルヴァー・ダガー賞を受賞した人気シリーズの第四弾~

シリーズらしさという点からいうと疑問だが、なかなかの面白さ・・・だった。
オックスフォードのとある教会を軸として起こる殺人事件。
モース警部はひょんなことから事件の解明に乗り出すことになるのだが、紹介文のとおり、事件の関係者の殆どは殺されたか行方不明の者ばかりという状況。
モースはいつもの妄想(?)を駆使し、無理矢理巻き込まれた部下のルイスとともに仮説を繰り返していくことになる。

この設定は本シリーズが最も得意とするパターンではないか?
関係者の新たな証言が期待できない状況(しかも少ない関係者からは嘘の証言を聞くことになる・・・)でというのは、モースの仮説捜査が最も得意とするところだ。
正直、ロジックが弱いかなという部分も目立つのだが、それ以上にラストの落としどころが見事に嵌っている。
(ある事件関係者の証言がアンフェアかなという気がしないでもないが・・・)
動機については微妙だけど、補強がなされていて一応の納得感は保たれているのではないか。

今まで読んできたモース警部シリーズに比べると、相対的に本作の評価は上。
世評どおりじゃないなという気がしていただけに、まだまだ面白い作品が残っているのかもしれない。
(ラストシーンは読者向けのサービス?)

No.2 6点
(2013/02/04 20:40登録)
前半はモース主任警部休暇中の事件です。次作にも登場するベル主任警部が担当して一応決着していた教会での殺人事件に、モースが暇にまかせて首を突っ込んでかぎまわってみると、新たな死体を発見して、という展開です。
結末部分の構成の妙とか意外性演出など、見るべきところは多いのですが、全体的にはガーネットさんと同じく、論理が今ひとつ物足らないかなという印象を持ちました。本作でも、教会の塔から墜落死した「牧師」は本当に牧師自身だったのかとか、モースとルイスが発見した死後数か月の死体は服装どおりの人間なのかといった議論はあるのですが、その論理がどうもあいまいなままで話が進んでいくように思われるのです。
事件関係者のひとりルースの視点がところどころに挿入され、彼女が事件の秘密をかなり知っていることは読者に知らされるのですが、この手法も本当に効果的だったかどうか疑問です。

No.1 7点 ロビン
(2009/08/02 00:58登録)
デクスターといえば、生んでは捨てる論理を繰り返し、やがて訪れた(かのように思える)真相もその実は……なんて煮え切らなさもけっこう好きだったり。
「いったいあの描写は何?」と思わせるようなシーンもあり、相変わらずの独特な構図で読み手を混乱に陥れるなど、らしさは顕在。
「何故死者は二度殺されたのか?」という要の謎に対するホワイは、シンプルすぎて逆に盲点を突かれました。

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