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クリスティ再読さん
平均点: 6.41点 書評数: 1327件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.927 5点 高貴なる殺人- ジョン・ル・カレ 2022/02/01 09:58
評者どうもル・カレは肌に合わない。けども行きがかり上はスマイリー全作くらいはしておこうか、とも思いなおした。再開して「鏡の中の戦争」「影の巡礼者」「スパイたちの遺産」はやる予定に入れる。
いや評者イギリス・スパイ小説って大体が大好きなんだけども、ル・カレ嫌い、というのは屈折しすぎてるのかなあ。アンブラー・グリーン・フレミングはおろか、モールやらビンガムあたりまで嗜好に合いまくったにも関わらず、ル・カレはダメ。ホイートリー・ブラックバーン・ラムレイの娯楽版でも好きなんだけどね....
その理由というは、やはりル・カレって「市民的」なんだよね。イギリス特有の階級対立の中で、スパイ小説というジャンルがエスタブリッシュメントの視点での「国家」への屈折した愛憎を描いた小説ジャンルだったのを、ぶち壊しにした「革命家」がル・カレのわけである。そのくせ、「国家」への忠誠心は斜に構えたエスタブリッシュメントよりも妙に「純」だから始末に負えない。そういう大衆性の方が、実は日本でもウケるのだ。
そういう資質が実は一見スパイと関係がない本作でも強く出ているわけで、本作のジャンルは「本格」というよりも実は「社会派」、なんである。

由緒あるパブリック・スクールの教員の妻が殺害された事件でも、平民の警察官では対等に扱ってもらえないこともあって、スマイリーが介入することになるのだが、スマイリー自身も「釣り合わない結婚」をした「成り上がり」の部類でもあるわけだ。この教員もグラマースクール出身の「成り上がった」庶民で、研鑽努力して周囲に合わせようと国教会に改宗までするのだけども、妻は平然と庶民的な非国教会信徒のまま、当てつけのように大学外での慈善活動にいそしむ。格式を重んじる周囲との軋轢もあるようだ....

イギリスは階級対立がそのまま宗教的な対立になりかねないややこしさがあるから、戦功と結婚によってようやく上流に潜り込めたスマイリーも、それから被害者の夫妻も、こういう「上流社会」ではマージナルな立場の悲哀を感じざるを得ないのである。

スマイリー・サーガって、そもそもそういう話なのである。「ティンカー・テイラー」で、スマイリーがいかに有能で上司の「コントロール」の信頼が絶大だったとしても、次代のアレリン派からは排除されることになるのも、スマイリーの立場の周辺性にも原因があるのだろうしね。

評者はというと、どうもイギリス人のそういった「偏屈な狷介さ」、屈折と開きなおりに妙に肩入れしたがるヘンなところがあるせいか、市民的な批判派であるル・カレと肌が合わないのは....まあ、仕方がないことだ。

No.926 7点 ドリアン・グレイの肖像- オスカー・ワイルド 2022/01/31 16:51
本作だと1890年出版だから、まさにホームズのデビューと同時代。やや先立つスティーブンスンの「ジキル博士とハイド氏」や少し後の「ドラキュラ」とイギリス世紀末の豊饒さを象徴する作だから、やらないとね。ここらと同様にオハナシの中身自体はきわめて有名。

いやね、そういう読み方をすると、ドリアン・グレイという人物は作中で殺人も犯すしね、稀代の名犯人だ。それに対して、ヘンリー卿の迷探偵っぷりが本作を「探偵小説」にできなかった理由だ(苦笑)。ワイルドが自身を投影したとみられるヘンリー卿は、口を開けば逆説を垂れて、うっとおしいにもほどがある。逆説大好きはそれこそチェスタートンで例を見ているわけだけども、やはり「ここぞ!」で使うから逆説というものも生きるのだ。ご挨拶のように逆説を捏ねていると....こと志に反してバカみたいに見えるのが相場。ドリアンはヘンリー卿に影響を受けて背徳の生活に足を踏み入れたのだけど、寡黙なダンディーとしての生きざまは、口先だけのヘンリー卿を軽く凌駕しているわけである。だからこそ、ドリアンの犯罪にヘンリー卿は露ほども気が付かない! まさに迷探偵、である。

実のところラストは至極あっさりしている。このラストは「出来心」だと評者は解釈したいのだ。因果応報ではなくて、あくまでもケダモノのように軽率であったために、道徳に回収されることなくドリアンは背徳の人生を全うできた....そういう読みによってこそ、ドリアンも以て瞑すべきではなかろうか。

いやいや、評者も逆説が大好きだからね。ヘンリー卿の浅薄さは他山の石としたい。

No.925 6点 ジュネーヴのドクター・フィッシャー あるいは爆弾パーティ- グレアム・グリーン 2022/01/27 08:53
本作が「ヒューマン・ファクター」の次の作品になるわけで、陰鬱な前作とはうって変わったシニカルなコメディ。でも神学的な寓意がいろいろあって、ややこしい作品なんだけども....いやいや、逆に構えずに「ややこしくなく」読んだ方がずっと有益なんじゃないのかな。
たとえば「負けたものがみな貰う」もそうだが、グリーンって「陰鬱」「重厚」ばっかりの作家でもなくて、軽妙な筆致で辛辣なアイロニーをぶちかます意地悪作家の側面があるわけだ。どっちかいうとこっちの面が「モダンなチェスタートン」という持ち味を感じる。本作だと「木曜日の男」に近いような作品と見てもいいんじゃないかな。

主人公はスイスでチョコレート会社の翻訳業務に携わる初老バツイチの一介のサラリーマン。偶然出会った若い女性とロマンスが芽生えて結婚するのだが、妻の父ドクター・フィッシャーは歯磨き粉で財を築いた大金持ち。しかし、娘に関心がないが、金に飽かせて主宰するパーティで小金持ちどもを辱めることに生きがいを感じている奇人だった。富に関心のない主人公は一度招待されたパーティに辟易する。しかし妻の突然の死によって痛手を受けた主人公の元に、再度のパーティへの招待状が届いた....

まあだから、妻が死んで生き甲斐をなくした主人公が、ロシアン・ルーレットを模した「爆弾パーティ」に際会して、自らの死を求めつつも「神」と対決するような....と読んじゃうと、妙に実存小説になってしまう。その手に乗らずにもう少し「軽薄」に読んでみたいものだ。「神はどうして、人類を辱めたがる?」

聖書によると、神は自分の姿に象って人類を創ったそうだ。ところが、出来あがったものを見て、神はおそらく、自分の不手際に失望したのだな。出来損ないの品は、ごみ箱に捨てられる運命なんだ。きみも、あの連中の様子を見たら、笑わずにおれんだろう。笑わぬのは、ユーモアを解しない者だけだ。

確かにユーモアは悪魔的になりうる。憐れみがそれに対抗する感情なのかもしれないのだが、神が示す「悪魔的なユーモア」を、被造物が「憐れん」で笑殺する場合には、神はどうするんだろうね?

前作にひっかけて言えば「ヒューマン・ファクター」ってそういうものなのかもね。ユーモアを巡るメタなユーモアが奏でるアイロニーとして読むのがいいのかな。

No.924 6点 壊れた偶像- ジョン・ブラックバーン 2022/01/26 11:40
ブラックバーンに恐れをなした方が多いのか(苦笑)、一番「まっとうなミステリ」に近い本作の初の書評になるようだ。いやホント、本作はSF&超常設定はとくにないから、「ブラックバーンにしては地味」と言われる作品。この評価はあくまで「当社比」だからね(苦笑)。十分にヘンではある。

イギリスのさびれた運河の街で、惨殺された女性の死体が運河から上がった...当初売春婦と見られた被害者に、東ドイツから亡命した経歴があることが割れて、外務省情報局長カーク将軍との因縁も分かった。カーク将軍は男女の部下とともに、この事件に介入することにした

というイントロなんだから、スパイ小説?とはなるんだけど、そうは問屋が卸さないのがブラックバーン。警察小説的な地道な捜査が続くから、ル・カレのスマイリー物をずっと陰鬱にした雰囲気。結構タイトなタイムスケジュールによるアリバイ調査もあったりして、ミステリ度は高いといえば、高いし、どうというほどでもないけども「トリック」めいたものも、ある。

次第に高まる鬱度。いやそこらへんを愉しむ小説だと思うんだ。処女の売春婦、盗作しかできない小説家志望の青年、両手が萎縮する障がいを抱えながらピアニストデビューを自動ピアノで夢見る少年....極めつけは、関節が逆側に折れ曲がった奇怪な偶像。黒人女性の精神科医がカーク将軍にマダガスカルの女王の奇怪な歴史を語るが...

と、「不能」な話からオカルト側に流れていく。そこがブラックバーン。超常現象はないけど、哀しく鬱でブルブルな真相。

というかね、誰が言い始めたのかよくわからないが、「ブラックバーン=ジャンル混成」論なんだけども、いやこういう「ジャンル小説」に対して作家が「忠誠心」がないのって、イギリスのスリラーの伝統だと評者は思っているんだよ。日本の読者と作家が妙に「ジャンルへの忠誠心」を誇示したがるから、奇妙に感じるのでは?と評者は思ってるくらい。カーヴだってそうじゃない?

(ちなみに、オカルトに流れる警察小説って、コリン・ウィルソンの「スクールガール殺人事件」があったね)

No.923 8点 球形の荒野- 松本清張 2022/01/25 08:37
たとえば井伏鱒二の「黒い雨」が原爆を扱いながらもホームドラマに徹したことを、日本文学の「志」のように捉えるのならば、本作は清張のホームドラマだと思うのだ。だからミステリ要素はつけたりで、一家庭の「歴史」の中に、第二次大戦の悲劇が影を落としている小説である。
実際この作品で良さを感じるのは、昭和中期の上層市民の生活の豊かさと、文化の継承からうかがわれる「歴史」というものなのだ。古寺巡礼もそうだし、歌舞伎観劇、さらには米芾の書に学んだ書体が姪にピンとくるとか、この一家の「家族の歴史」の上に、豊かな文化の伝統と、大文字の「歴史」が重なってくるさまが、やはり清張の「歴史センス」というものなのだと感じる。いやいや、こういう生活に根付いた「歴史センス」が、実のところ今では希少価値なのだしね。
まあでも、意外にもいい人たちなんだ(苦笑)。ラストは本当に泣ける話。

(京都旅行のお泊りは都ホテルだし、食事は平野屋でいもぼう。いいな~~清張は「顔」でのいもぼうが印象的だけど、本作にも登場。清張で知って母にごちそうしたことがある。また行きたい!)

No.922 7点 爬虫類館の殺人- カーター・ディクスン 2022/01/23 18:33
シンプルでそこそこ面白い作品だと思う。空襲下のロンドンで「非常時」の危機に陥った動物園(爬虫類館)という設定が、やはりナイスだと思う。舞台設定が生きている。
密室トリックへのミスディレクションになるものが、空襲と関係があるあたりうまいものだと感じる(評者は空襲を知ってるわけじゃないがねえ)。何となく犯人・トリック憶えてたから何だけど、犯人特定は意外に分かりやすい? いや、メタな推理をした場合でも、この人以外には真犯人はないよね....

だから面白く読めたのはそうなんだけど、難点はケアリ&マッジの奇術師のロメジェリに好感が持てないこと。ここらへん、何とかしてよ~~というのが、読者の叫び(苦笑)。中盤のマッジのピンチをすっ飛ばして中編だったら大名作だったかしら?

密室はトリック自体よりも、「目張り密室」という「趣向の発明」の方を評価すべきだと思う。具体的な解法よりも「問題」を見つけだす方のがずっと偉いことだと評者は思うんだよ。最後の拷問(!)、HM卿らしさが全開で極めて印象に残る(しっかり覚えてた...)。絶対にカー、これがやりたくって仕方のない話だったと思う。必要がないかもしれないけども、お話なんだもん。詩的正義というものですよ。

No.921 5点 赤い館の秘密- A・A・ミルン 2022/01/22 17:42
そろそろ赤とか黄とかやらなきゃね、とも思うんだ。やっぱりここらへんに手が伸びにくいのは、子供の頃にジュブナイルで読んでいて、その後大人向けで読み直したかどうか今一つはっきりしないし、退屈だった印象があることにも原因がある気がする。大人向けで読み直したことがないならば、それなりに「昔と今とどう反応が違うか?」と割り切って楽しみにはなるんだけどね。
だから読む前から犯人もトリックも先刻承知、という前提。本作だとさらにチャンドラーの「簡単な殺人芸術」がネタバレして批判しているのも当然、読んでいる。さらに予備知識がなくても当然で推理できるくらいの内容。...なかなか読む条件としては、キビシい。でも頑張ろう(苦笑)

としてみると、要するに本作、コージーの先駆的な作品、でもいいんじゃないかしら、ギリンガム君、鋭いというよりもイイ奴じゃん。全体的な雰囲気がほんわかしていて、ファンタジックなオモムキもある。ペヴリー君ともナイスなコンビで、二人で一生懸命「ホームズごっこ」しているのが微笑ましい。地下トンネルの話とか、サスペンス出そうという気がないみたいだしね。モールス信号だってマンガみたいな話だし。
で、一種の巻き込まれ型みたいな話なのが、ミステリとしてはちょっとキモかもしれない。実際、パズラーとしてはややアンフェアなのが、逆に味になっているとも感じるんだ。というのは、探偵自身に「直観像」の特殊能力がある件。稀だけどいるんだよね、写真的にシーンを映像記憶できる人。これがうまく推理に噛み合っていて、ちょっとした名場面になっているようにも感じる...「フェア」は全然気にしてないのが20年代。

まあだけどね...全体に冗長。のんびり読むにはいいかもしれないが、だったらコージーに徹して「余計な」描写をガンガン入れた方のが楽しめたかもしれない。似た立場にある作品と比較したら「トレント」の方がおすすめ。

No.920 7点 絆回廊 新宿鮫Ⅹ- 大沢在昌 2022/01/19 21:52
さて一応本作でシリーズ区切り。評者も鮫の旦那はとりあえず区切りにしようかとも思う。「暗約領域」と短編集は気が向いたら、にしたい。

本作だと晶とも別れることになるし、ちょっとショッキングな...もある。その結果、今まで桃井と藪を別にすれば孤立無援だった鮫島を擁護するように、新宿署内の世論が変化してきた、ということで、やはりシリーズ区切りらしいことにはなっている。それでも宮本遺書の話などに決着がつくわけでもなくて、シリーズ継続の含みを持たせているわけだから、不完全燃焼感は、ある。
そういうあたりもあって、「仕掛け」ではなくて「ドラマ」側で押し切ろう、というのがこの作品。「風化水脈」に近いテイストだと感じる。結構似てるといえばそうかな。
樫原の造型はいうまでもなく大鹿マロイがベースで、意図しないトラブルメーカー。でも不器用な乱暴者というよりも、復讐心でバランスを崩した人、という印象だから、マロイの妙な人の良さとは別。女に狂うとかじゃない。
逆に樫原の出所を待つバー「松毬」のママの造型が印象的。でも湿っぽいな...過去の因縁は何となく見当がつきそうだから、全体的な湿度は高い。

すまん、いろいろ決着がつくかと、やや期待し過ぎたかもしれない。力作ではあるんだが。

まあ、例の要素は...うんやはりそうだった。でも、真壁ほどには樫原に「色気」のようなものがないと感じる。「長いお別れ」は特にそうだが、チャンドラーに同性愛を読み込むというのもアリだと思うけども、「狼花」と違って本作だと鮫島を巡ってはそういうケを感じない。まあ晶との問題が大きいからそれどころじゃないんだろうが。

シリーズ全体を通してだと、評者はやはり奇数番が好き。奇数番が実験的で、偶数番がオーソドックス、という傾向があるとやはり感じる。ベストスリーは「炎蛹」「屍蘭」「灰夜」かなあ。

No.919 8点 細い赤い糸- 飛鳥高 2022/01/18 20:23
協会賞受賞作だが、ライバルは「危険な童話」「仲のいい死体」「異郷の帆」「人造美人」と名作ぞろいなのに、それらを抑えての受賞。それも当然、と評者は思ってるくらいの名作である。

4人の被害者にもそれぞれのドラマがあり、それぞれが短編小説のように読ませる。本人にしてみれば皆「自分が主役」なドラマを演じているわけなのだが、「端役」にしか見えない人にも、実は哀切なドラマが潜んでいる。しかし「自分が主役なドラマ」を演じるのに夢中は被害者たちは、その「端役のドラマ」にはまったく無関心で気づくこともなく、それを踏みつけにする...

ミッシングリンク、というのは外部から見ての話に過ぎない。時系列を操作することで、「細い赤い糸」のように関係が見え隠れしながらつながっていく。そして「端役」が「主役」に逆転するドラマが浮かび上がる作劇が秀逸。

ある意味ありふれた事件を、絶妙な語り口で「市井の悲劇」として昇華した、とても60年代っぽい名作。評者は大好きだ。

No.918 6点 ラヴクラフト全集 (7)- H・P・ラヴクラフト 2022/01/17 19:45
落穂ひろいに近い資料的な巻だから、あまり期待してなかったんだが、面白く読める。4巻5巻にある読者に迎合したような安っぽい作品なんかよりも、ずっといいんじゃないかなあ。突出していい作品はないけども、書きっぷりが安定している。
これも意外だけど、ダンセイニ風、とされるファンタジー傾向の作品の「サルナスの滅亡」でも、ホラー傾向が結構強いこと。どっちか言えば第6巻のファンタジー系作品の方が意図的に書いている印象が強い。HPLって根っからのホラー体質みたいだ。だからこの7巻はしっかりホラーしている。

やはり長めの「忌み嫌われる家」とか「霊廟」とか、「チャールズ・ウォード」のエスキスみたいなものだけど、ああいったパラノイアックなくらいに子細に及ぶ歴史記述のスタイルが読みどころ。
魔術王ハリー・フーディニのゴーストライターをした「ファラオとともに幽閉されて」は、フーディニ自身がエジプト旅行の際に、ギザで罠にハメられてピラミッドの内部に縛られて閉じ込められる...という設定の話。フーディニらしい脱出とその際に目撃した地底の秘儀の話で、これを一人称で記述していて面白いけど、書きっぷりはHPLの粘着質で妥協ゼロ。だからオシゴトというよりもコラボ感が出ていて、HPLがフーディニに憑依したかのような体験談になっている。

あと自分が見た夢をそのまま手紙に書いた「夢書簡」は、どこまで夢か!って言いたくなるくらいにHPLの小説そのまま。「ランドルフ・カーターの陳述」やら「ナイアルラトホテップ」まんまな夢を見ている....ちょっと絶句するような「夢見人」だ。スペイン駐留のローマ軍団の文官を主人公にする夢は小説にはなっていないみたいだけど、HPLというよりR.E.ハワードみたいな夢だ(苦笑)。
いやいや、「資料的」とか言って軽く見ちゃいけなかった。なかなかの読み応え。

No.917 7点 蠟人形館の殺人- ジョン・ディクスン・カー 2022/01/15 10:42
いや「面白いスリラー」を読んだ、という感想。バンコランといえば頽廃感、なんだから、蝋人形館に秘密乱交クラブに加え「狂乱の20年代」のパリのナイトクラブ全盛期。イケナイ夜遊びのワクワク感がある作品なのが重畳。
作品中にもムーラン・ルージュでショーを見るとか、ミスタンゲットも名前だけだけど出るし、パリ遊学のカー本人も随分遊んだことだろうね(苦笑)。だからナイトクラブが得意な、たとえばチャンドラーとの同時代性みたいなものも、結構感じるんだよ。要するにジョセフィン・ベーカーとかモーリス・シュヴァリエとか活躍した時代だし、シャンソンだって花盛り。この華やかさがバンコラン物の一番のお愉しみ、と評者は感じている。

でまあ、ミステリとしては状況の解明が推理じゃなくて、当事者の告白で明らかになりすぎるとか、真犯人がやや隠しすぎてて意外だけど面白味は感じない....それよりも蝋人形館オーナーの娘マリーがなかなか楽しいキャラで、いいな~~でも「このおいぼれ父さんを頼りにしておくれよ」とトンチンカンな父親の愛情が、沁みるぜ。

まあバンコラン、策略が過ぎる方でもあるから、真犯人の指摘でも評者実は「それ自体バンコランの罠なのでは?」なんて深読みしすぎたのは(苦笑)。でも皆さん違和感を感じる運命のカードの件は、あれ「自殺クラブ」へのオマージュじゃないかしら。

頽廃的なバンコラン大好きな評者は少数派だけど、うん、構わないさ。

No.916 6点 サムスン島の謎- アンドリュウ・ガーヴ 2022/01/14 06:47
ガーヴの枕詞って「悪女」が通り相場だ。だから本作のキモの部分はヒロインの「オリヴィアが悪女かそうでないか?」を巡って主人公レイヴァリーの心が揺れ動く話なんだと思う。だから、実は本作、恋愛小説だ、と評者は読んでしまう。どうだろうか?

まあだから、ミステリ的にはやや肩透かしな真相も、「恋愛小説+(これもガーヴお得意の)アウトドア冒険小説」と読んだら、それはそれで納得のいくエンタメになっていると思うんだ。本当に楽しんでつるつる読めるページターナーっぷりは本作でも遺憾なく発揮されていて、全盛期のガーヴの達者さを楽しめる。一人称の主人公設定、少ないキャラ、舞台設定の凝り方、仮説を立てて対話的にツッコミあうことで「ミステリらしさ」が出て....なんだけども、昨今のミステリマニアにとって「ノリきれない」部分があるのは、要するにこの人、「ジャンル的忠誠心」みたいなものが希薄なことが原因のように感じるんだ。

評者とかその手の「忠誠心」に欠けている方(すまぬ)なせいか、「こういう作品もありか...」と感じるし、「ミステリ感度」が低めな福島正実がガーヴに入れ込んだのも、そういう面があるようにも感じる。

いやだから言いたいのは、舞台になるコーンウォール沖の離島の観光地、シリイ諸島もうまく生きた、楽しい冒険小説だってこと。ガーヴの余裕みたいなものを感じる。

No.915 4点 盲目の理髪師- ジョン・ディクスン・カー 2022/01/12 08:33
時代柄から言えば、マルクス兄弟風の陽気なドタバタを狙ったんだろうけどもね...カーのユーモアって今一つ洒落たところがなくて、どうも泥臭い。

汚らわしい酔っ払いのけだもの!

ってことか。風刺性がないからね。フェル博士の安楽椅子っぷりは悪かないんだが、でも推理自体にあまり面白味がないのが難。結局海に放り込まれたのはどっちなんだっけ?

船長の部屋で殺虫剤が...のギャグが、臭いかなんかで手がかりになるのかな~なんて予想したんだけども、これは外れ。殺虫剤セールスマンは、ギャグというよりもイヤな奴度が高すぎて笑えない。
陽気なお笑いのためにはちょっとした「人の良さ」みたいなものが必要なんだけど、カーはあまり「人が良くない」のかな。

1934年のカーは「黒死荘」「白い僧院」「剣の八」に本作とロジャー・フェアベーン名義での歴史小説と5作出版した超絶の忙しい年。カーター・ディクスン側で忙しすぎた反動なのかしら。1930年代のカーは両名義で年4作の新作を書いている。凄いっていえば凄いけど、濫作ってものだろう。

No.914 7点 死体消滅 戦慄ミステリー傑作選- アンソロジー(国内編集者) 2022/01/10 08:15
先日楠田匡介やったから、ついつい「人肉の詩集」が読みたくて図書館で探すとこのアンソロがあった。大昔読んだ記憶あり。1976年ベストブック社だけど、アマゾンに登録がないみたいだ。
収録作品:「人間腸詰」夢野久作、「王とのつきあい」日影丈吉、「人肉の詩集」楠田匡介、「二瓶のソース」ダンセイニ、「死を弄ぶ男」山村正夫、「人間解体」森村誠一、「失楽園」北洋、「屍臭の女」斎藤栄、「おーそれーみお」水谷準。
死体処理に特化したアンソロ。グロ耐性がない読者は避けた方がいいかもね。要するに死体処理は即物的だから、アイデアだけだと小説にしたときに面白くない。だからそれに語り口なりロマンなりをうまく融合させる腕の見せ所、のように思える。そういう意味で夢Qはさすがなもの。腕一本の大工のべらんめえな語り口のうまさにしてやられる。
同様に語り口のうまさで読ませるのが日影丈吉とダンセイニ。技巧の極みみたいなものがある。山村正夫のは「自殺したけどもゾンビになるだけで死ねない男」を主人公にして、自殺の原因になった女に嫌がらせとして復讐をする話。どんどん腐っていくしブラックユーモアが落語みたい。これが意外に面白い話。
逆に「リアルで陰惨」になると、どうも面白くない。森村誠一と斎藤栄のはリアルで陰惨系だから嫌い。実は楠田匡介のは筋立てだけなら本当に安っぽいスリラーなんだ。しかしこれは、リアルで陰惨な話が、血をインクに、肉体をパルプに溶かし、皮を装丁に...として詩人とその想い人を「亡き人を追悼する詩集」化けさせるというイメージが、話の具体の内容を超越して訴求する力がある。ある意味究極の「肉体の詩集」なんだから、マラルメ的な「書物」にこだわるビブリオマニアな詩人の理念みたなものでもある。
つまり、観念的な「ロマンの味」が死体処理話の決め手のスパイスなのだ。まさにこの「ロマン」で押し切って成功したのが水谷準の伝説的な名作「おーそれーみお」で、やや押しきれていないのが北洋。「おーそれーみお」は昭和二年の新青年が初出だそうだからほぼ百年前! ポオをやや甘口にしたロマンチックな名作。

読みごたえありの名アンソロ。


ちなみに「人肉の詩集」をタイトルにする楠田匡介の短編集(1956)は、稀覯度が高くてやたらな値段がついている...で、湘南探偵倶楽部が短編「人肉の詩集」だけを抜き刷りにして2021年に出しているそうだ。たった14ページに2640円だすのも酔狂といえばそうなんだけど、思わず「本」として欲しくなる気持ちは、「人肉の詩集」については、わかる(苦笑)

No.913 7点 脂のしたたり- 黒岩重吾 2022/01/08 22:45
親が買ってきた本で家にあったから、中学生くらいで読んだ記憶がある...超絶大人向けだから無謀にも程がある。その後大阪に住んで、株の一つや二つは持ってる身分になるとは、思ってもみなかった(苦笑)

主人公は北浜の証券会社の社員で、映画会社株の不審な買い注文から株式の買占めの開始に気づく。その買主は人目を惹く美貌の女性だった。主人公の色と欲を絡めつつも、仕手の黒幕と情報屋の不審な事故死の調査を通じ、主人公は闇の世界に深入りしていく...
黒岩重吾だから主人公は単純な善玉ではなくて、客の株券を担保に入れて自分が手張りをするとかね(ヲイ!)。主人公はこの調査を基にターゲットの映画会社とも駆け引きするのだが、半身不随の映画会社の女社主が「女怪」と言われるような食えない老女。黒幕を明かすのを条件に、中堅スターを一晩貸すように要求する主人公も主人公だが、敢て貸しちゃう女社主にも思惑あり...いやいや、世の中のウラの小汚いあたりを活写するのが黒岩重吾の真面目。自分の欲望で動く主人公なのが、やはりハードボイルド風の味わいを醸し出している。

で、二重人格のようなヒロイン雪子が「石の肌の女」と形容される出色のキャラで、金にも女にも強いはずの主人公が手玉に取られてる。でもこのヒロインの捨て身の復讐の行方は? あと元同僚で今は情報屋の片腕になっている、男に負けないよう突っ張る敏子、主人公の客で手張りのネタに使われるけど主人公に恋着して事件を起こす深情けの中年女の文子、巨大キャバレーのホステスで主人公とスポーツ感覚でSEXする美代。脇を固める女性たちも生彩があって、なかなかお盛ん。
千人のホステスを抱えて大規模なショーがある巨大キャバレーもそうだけど、昔って「株券」ってあったな~というのが懐かしいあたり。今じゃ電子データなのが味気ない(苦笑)

「金の話をする人に、お金は入らないわ。入る人は黙って儲けている」

ごもっとも。これ真理。

No.912 8点 ヴァンパイヤー戦争1 吸血神ヴァーオゥの復活- 笠井潔 2022/01/08 21:44
評者昔このシリーズはリアルタイムで追っかけた。あの笠井潔の伝奇SFなんだから...まあ、完結したら売っちゃったけども。

実際、矢吹駆の最初の2作が「転向小説」であることは誰も否定のしようのないことなんだけども、時系列だとその次の小説がコレになる。笠井潔ってどういう作家なのか、を理解するためには絶対に外せない本だと思うから、取り上げます。
つまり、矢吹駆の2作で肩の荷を下ろしたところで、「自分がなりたかった」理想イメージを投入して書いたのが本作だと思ってる。あからさまに作り物の伝奇ヒーローだからこそ、逆に衒わずに思った通り、感じた通りで書けているというのが、この本のいいところ。この人「仮面をかぶった方のが自分が素直に出せる」というタイプなんだね。だから、楽しんで書いているのが如実に伝わる本になっている。
...九鬼鴻三郎が日本に残した都市ゲリラ組織「矮人部隊(リリパット・アーミー)」が使い捨ての捨て駒で、吸血姫のラミアに抱かれて復活する、というあたり図式的といえばその通りで、自己解放がもつある種の「臆面のなさ」が妙に憎めない。なんか晴れやかなんだもん。そういうあたりにちょっと「アテられる」小説だ。このシリーズでも1巻目はやはり別格、ということだよね。

(けどさ、おミソな男ヒーローが頑張るけど、ヒロインが無双して全部持ってく、果てしなくループしまくる物語って....なんか「3×3 EYES」と妙にカブる印象を昔から持っている。2巻目以降はやるかどうか、知らない)

No.911 7点 恋人たちの森- 森茉莉 2022/01/07 09:33
どうせ暗黒系耽美小説ならば、人死にがなければオチがつかない、というものだ(苦笑)。まあだったら広義のミステリに入るんじゃないか、とも思う。強烈に人工的な文章だしね...で、耽美の真打ち、森茉莉の短編集。表題作の他に、同性愛が主題ではない「ボッチチェリの扉」、それにガチな「枯葉の寝床」「日曜日には僕は行かない」の4作を収録。

「恋人たちの森」ならギドウ・ド・ギッシュ(義童)×パウロ(巴羅、神谷敬里)、「枯葉の寝床」ならギラン・ド・ロシェフーコー×レオ(山川京次)、「日曜日」なら杉村達吉と伊藤半朱(ハンス)。こんな恋人たち(苦笑)。日本の話です。

夕陽の残映をうつす、金色のかがやきのある空は上方が特に痛く光り、その中に首をもち上げた駝鳥と横を向いた悪霊、骸骨の小人の形をした雲が黒い兇悪な地図のように群がり襲いかかるように浮かんでいた。

いやタダの状況描写ですって。一番ミステリ風の「枯葉の寝床」は、文学者のギランに囲われている美少年レオは、ふとした機会に、サディストでヤク中のオリヴィオに誘惑されて、さらに危険な快楽に目覚めてしまう。ギランはレオの中に目覚めた快楽に嫉妬しつつ、さらにレオとの愛欲に溺れていくのだが、レオの肌に残された鞭の痕に強く執着するようになる。オリヴィオが逮捕されたことを報道でギランは知るが、もはやギランはレオを「生贄」に捧げることでしか愛を実証することができなくなる...

まあこんな話。強く内面化されたかたちでのサディズムが読みどころ。まあ確かに具体的な行為としてはツマラないものだからね、あれは。「恋人に決定的な心理的傷を負わせたい」という心理の変転は、宿命的な事件を引き起こすことでしか落着しない。ホワイダニットといえばそうかもね。

精神的なサディズムが実質のテーマの小説だから、ミステリの裡だと思う。ホントの人工楽園だからね....そこらも乱歩パノラマ風味の変形といえばそうかな。強烈にクセが強くて悪文に近いけど、ノリ方が分かればそうツラい文章ではない。

No.910 8点 嵐が丘- エミリー・ブロンテ 2022/01/03 13:55
大昔読んだきりだけど、改めて読んでノンストップで面白い小説。凄いな。

ゴシック・ロマンスの大古典だから、本サイトでもアリな作品なのは間違いなし。本当に読んでいて、ポオとの血縁を強く感じる。一応ビザールな墓暴きとかある(描写は節度あり)し、ラストは幽霊。「世界十大小説」とかビビる必要のないエンタメだよ(いやネタ元のモームも純文かというと怪しいし)。

貰われっ子なヒースクリフが虐待を受けてヒネて、合法的な復讐計画を練って着実に実行し、それを果たすんだけども、とある事実に復讐され返す話、といえばそう。そういう話の綾と登場するキャラの濃い面々(エドガーみたいにキャラが薄いのも逆な「濃さ」)の卍巴だけでもずいぶんのお愉しみ。で巧妙な叙述の仕掛けもあって、こりゃ、読んでて止まらん。

個人的には、もやしっ子リントンのヒネクレ具合に、よーこんなキャラ作るな、という面白味を感じる。キャサリン母娘の女王様気質、策士な語り手ネリー、お宗旨狂いの変人ジョウゼフやらやら、荒々しい風土にはこんな荒々しいキャラが似合う、とばかりに暴れまくり、でも最後には何となくハッピーエンドになる(苦笑)。

昔の映画は美男のローレンス・オリヴィエだったけど、どっちかいえばゴッホの自画像みたいな顔をヒースクリフを評者は想像しちゃう。

正月みたいな機会に読むには最適な本じゃないかしら。それこそ暖炉に足を向けながら(暖炉なんぞないが、苦笑)

No.909 7点 狼花 新宿鮫IX- 大沢在昌 2022/01/02 14:40
本線の鮫島ストーリー。宿敵の仙田の意外な正体もあり。
要するにこの作品、2つの三角関係が読みどころなんだと思うんだ。
1つは、香田・鮫島・仙田
2つは、仙田・呉明蘭・石崎
この2つの三角関係が、仙田によって繋がっていることで、物語の軸ができてきているわけだ。2つめのダーティ・ヒロイン明蘭を巡る男ふたりの張り合いとか、「壁の花」を嫌うヒロインの像など、萌える要素はあるから、これを突っ込むと面白いと思う。再登場をお願いしたいなあ。
だから最後の殴り込みには仙田の自爆的な愛情が漂うあたりに佳い点があるのだが、それが仙田にとって第一の三角関係側でも「鮫島、俺と香田とどっちを選ぶ!」と二者択一を迫ることが重なるのが話の妙。

まあだから、ラストの殴り込みがすべての小説。
事実上、本作でおおまかには新宿鮫、決着ついたようなもののようにも感じるんだ。でもごめん、評者昔読んだのここまで。「絆回廊」どういう話になるのか、まだ知らない。楽しみにしよう。

いやでも新宿鮫が明白に下敷きにしているマルティン・ベックも9作目の「警官殺し」が事実上の「結末」で、最終作「テロリスト」はカーテンコールみたいな側面があるからね....どうなんだろうか

No.908 7点 立春大吉 大坪砂男全集1- 大坪砂男 2022/01/01 18:13
あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。
...にふさわしい作品って、ことミステリについては難しい。けど今年はコレ。「立春大吉」なら、新年にふさわしいってもんでしょう(苦笑)

創元の大坪砂男全集でも一番パズラー寄りのセレクトの巻。大体読んでる作品なんだけども、改めて読むと一種の「不器用さ」を感じるのが面白い。いや小説は実に達者なんだけども、その達者さをうまく生かし切れていない歯がゆさがとくにこの巻はつきまとう。当初自身の鑑識課員の経歴を生かした名探偵緒方三郎を作ってはみたのだけども、何か動かしづらいキャラになっている。「科学探偵」は大坪の鑑識知識が生きていていいんだが、「赤痣の女」はそれがうまく小説になっていない...困る。要するにこの人、フォーマットに従って書くとダメなんだ。
「三月十三日午前二時」は物理トリック以上に、女性心理を狙ったあたりが面白いから、因果話が因果話でオチる、というのがいいのか悪いのか?「大師誕生」はヘンな小説だけど、取っ散らかり具合がどっちかいえば魅力。ヘンにオチがついて中途半端になっているのでは。メタ小説を狙った「黒子」は論外。こういうの、書いちゃいけない。
としてみると、この短編集でも「成功しているよね」と思うのはやはり「立春大吉」と「涅槃雪」ということになりそう。両方とも「語り口」の工夫がいいあたりで、「立春大吉」の主人公の愚痴っぽさとか、「涅槃雪」の連歌で友情を示すあたりとか、そういうのが印象に残る。語り口の中にトリックがさりげなく埋め込まれている、という風情がこの人らしさなんだろう。

としてみると、一番大坪が「書きやすかった」のは、第3巻の風俗ミステリのあたりだったような印象がある。「私刑」とか「花売娘」とかがのびのび書いている「大坪らしさ」じゃないのかな。「天狗」は例外中の例外、だよ。

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クリスティ再読さん
ひとこと
大人になってからは、母に「あんたの買ってくる本は難しくて..」となかなか一緒に楽しめる本がなかったのですが、クリスティだけは例外でした。その母も先年亡くなりました。

母の記憶のために...

...
好きな作家
クリスティ、チャンドラー、J=P.マンシェット、ライオネル・デヴィッドスン、小栗虫...
採点傾向
平均点: 6.41点   採点数: 1327件
採点の多い作家(TOP10)
ジョルジュ・シムノン(99)
アガサ・クリスティー(97)
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ボアロー&ナルスジャック(24)
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