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[ 短編集(分類不能) ]
特別料理
スタンリイ・エリン 出版月: 1961年01月 平均: 6.40点 書評数: 5件

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早川書房
1961年01月

早川書房
1985年02月

早川書房
2006年07月

早川書房
2015年05月

No.5 6点 虫暮部 2023/03/09 12:07
 表題作。初読の筈だがオチを知っていた。何処で知らされてしまったのだろうか。
 実物はなかなか控え目な、仄めかすだけの終わり方。予備知識無しだと意味が判らない読者もいるのでは? いや、そもそも共通の “正解” を見出すことが読書の目的では必ずしもないしね。これをいきなり読んで自分がどう感じるか知りたかった。
 作品が優れている → 知名度が上がる → ネタバレする → 知名度が上がる前の素直な読み方が出来なくなる = “名作ゆえに名作としての良さを維持出来ない” パラドックスはどうすればいいのか。久々に悔しい。

 基本的に “起承転結” ではなく “起 → 承 → 転結” と言う三部構成で、真ん中の “承” が退屈、が言い過ぎなら、長過ぎる。その長めの部分を楽しめる程の “語り口の妙” だとはそれほど感じなかったなぁ。

No.4 7点 クリスティ再読 2022/09/12 09:35
有名短編集。でもね、やはり表題作が出来過ぎのようにも感じる。批判を許さない名編だと思う。これと比べちゃ、他の収録作の出来が悪いわけではないけども、分が悪いのは仕方がない。
この短編集は「奇妙な味」系と呼ばれがちなんだけども、実際にはマジメにミステリしている作品が多い。殺人も大概の作品にあるわけで、ギャンブルに命を吸い取られた人々がテーマの「あなたに似た人」と同じカテで「奇妙な味」と呼ばれるのはどうか?という気もするんだ。エリン独特の一歩引いたような客観描写で綴られる、犯罪とそれに魅せられる人々の姿を描いたヒネリのある作品集、という感覚のものではないだろうか。
いや実際「君にそっくり」を「太陽がいっぱい」の原型、と蟷螂の斧さんが指摘されている。たとえば「壁をへだてた目撃者」はエリンだと抒情を抑え気味だけども、これがウールリッチならどうかしら?とか想像したりもするのだ。やはりエリンらしさ、というものを考えたら「九時から五時までの男」に通じる、「几帳面な殺人者」を描いた「アプルビー氏の乱れなき世界」にエリンの独自の体臭みたいなものを感じる。
第二短編集「九時から五時までの男」で印象的な「ふとしたことで噴出する悪意」というエリンの別な側面は「特別料理」ではそう目だたなくて、最後の「決断の時」くらいかしら。「仕掛け物」的な作品は「パーティの夜」と「決断の時」くらいなんだけどもね。「特別料理」を含めてアイデアストーリー的に捉えるのは、ちょっと違うようにも感じるのだ。

そうしてみると、この作品集のバラエティ、というものが EQMM という雑誌のバラエティみたいなものだったようにも感じるのである。

No.3 6点 蟷螂の斧 2016/04/05 20:28
裏表紙より~『まったく何ともいいようのないうまさだった――隠れ家レストラン〈スピローズ〉で供される料理はどれもが絶品ばかり。雇い主ラフラーとともに店の常連となったコステインは、滅多に出ないという「特別料理」に焦がれるようになるが……。エラリイ・クイーンが絶賛した戦慄を呼ぶ表題作をはじめ、アメリカ探偵作家クラブ賞受賞作「パーティーの夜」など、語りの妙と優れた心理描写を堪能できる十篇を収録した傑作短篇集』~
10篇それぞれ趣の違った作品です。そのうちのお気に入りの数点。
①特別料理(1947)・・・「奇妙な味」系、内容は前記のとおり。
②君にそっくり(1952)・・・リプリー(太陽がいっぱい)(1955)の原形とも思える作品。
③パーティの夜(1954)・・・劇団俳優であるマイルスは、今夜のパーティも、ロングランの劇を続けることも嫌になっていた。しかし、やめることの出来ない理由があった。
④決断の時(1955)・・・リドル・ストーリー。何かにつけ自信家のヒューは元奇術師のレイモンドと賭けをした。レイモンドが死にそうになる。さてどうする?。

ロアルド・ダール氏とともに「奇妙な味」の短篇の名手であるという紹介が多いのですが、実は表題作以外「奇妙な味」系はほとんどないようですね。”食の奇譚”ものとしてダール氏、ダンセーニ氏、エリン氏の3氏の作品を読んできましたので、国内作家の作品もと思っています。

No.2 5点 ボナンザ 2015/08/10 00:03
異色短編集ではあるが、ブラックユーモアとは少し違う奇妙な味淡い深さのある一冊。

No.1 8点 mini 2009/09/12 10:50
異色短編作家スタンリイ・エリンはデビューしたのがEQMMで、この短編集も序文をエラリー・クイーンが書いている
あまり読んでないのだが、何巻か読んだ他の異色短編作家と比べてエリンの特徴は、例えばダールとかのような人を食ったような感じが無く、生真面目で直球勝負な作風だなという印象である
読んだ異色短編作家の中でも最も硬派なイメージだ
特に得意なのが解決を読者に委ねる手法で、こういうリドル・ストーリー的な手法を普通の作家がやると気障っぽさが目立ってしまうのだが、エリンの場合は真面目で真摯な態度によって嫌味を感じさせない
スパッと割り切れる解決を好む読者向きでは無いし決して切れ味のある短編作家では無いが、深層心理を赤裸々に語るような重厚かつ緻密な作風は、数多い異色短編作家の中でもある意味逆説的に異色である


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スタンリイ・エリン
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