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[ 短編集(分類不能) ]
九時から五時までの男
スタンリイ・エリン 出版月: 1967年01月 平均: 7.00点 書評数: 3件

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早川書房
1967年01月

早川書房
2003年12月

No.3 6点 蟷螂の斧 2025/03/29 18:01
明確なオチがないことが特徴?。⑤の主人公と同じで、私は結末が知りたい(笑)
①ブレッシントン計画 5点 「老齢学協会です。あなたのお悩みをお助けに伺いました」…その目的は?(分り易い)
②神様の思し召し 5点 病を治すことができる教祖。その行く末は?(ブラックでもない)
③いつまでもねんねえじゃいられない 6点 自宅で暴漢に襲われた妻。犯人の顔は見ていないが、警察や夫の圧力で…(筋は単純だが、色々な要素が詰め込められている)
④ロバート 5点 女教師は6年生の男子生徒から、驚くべき言葉を浴びせられる…(年金をもらうのは、あと二年なのに)
⑤不当な疑惑 6点 列車の中で、殺人事件に係る会話に興味をもち、聞き耳を立てるが…(結末を聞きたいがための行為が面白い)
⑥運命の日 5点 新聞で三十年も会っていない幼馴染の死を知った…(二人が別れた日の出来事が今に結びつく)
⑦蚤をたずねて 3点 物乞いの男が語る蚤のサーカスの話…(SF?ホラ噺?よくわからない)
⑧七つの大徳 4点 就職面接で社長から言われたことは七つの大罪…(オチが?)
⑨九時から五時までの男 7点 どこにもいるようなサラリーマンに見えるが…ある商売(飄々とした人物像がいい)
⑩伜の質問 8点 死刑の電気椅子係の男が息子に跡を継がせようとするが…(鋭い質問)

No.2 7点 クリスティ再読 2018/05/28 21:03
エドガー短編賞を獲った「ブレッシントン計画」を含む、「特別料理」と双璧をなすエリンの短編集である。軽妙なオチをつけるタイプと、ダークな心理にムムっとなるものとが混在している印象。切れ味と打撃力を兼ね備えた稀有の実力である。
昔読んだ印象だと「切れ味」系の「ブレッシントン計画」「倅の質問」が自分ウケした記憶があるのだが、改めて読むと「打撃力」系の「いつまでもねんねえじゃいられない」(曖昧な証言で無実の男に罪を着せた女が...)「ロバート」(教師が生徒の悪意で破滅する)が感銘が深い。意外なところから噴出する悪意に直面してぞっとさせられる。そういうのはあまりオチがオチらしくなく、オチないのがいいようなものだ。
あとこの人、語り口が実にバラエティに富んでいてそこが工夫のしどころだろう。「九時から五時までの男」なんて淡々とした外面描写だけで、放火による保険基金詐欺請負業という、異常な職業のしかも平凡な男の肖像を描ききっている。やるなあお主、というのが正直な感想だ。なのでこの人、本質はアイデアストーリー系の作家じゃない気がするんだがどうだろうか。

No.1 8点 mini 2016/09/14 09:53
* 私的読書テーマ”生誕100周年作家を漁る”、第1弾スタンリイ・エリンの3冊目

今年の生誕100周年作家は間違いなく異色短編作家の当たり年である
何たってロアルド・ダールとスタンリイ・エリンというこの分野の2大巨頭が同じ年に生まれているわけだからね
この両名、一番の違いは、ダールが英国出身でアメリカに移住してから短編小説を書き始めたのに対して、エリンの方は生粋のニューヨークっ子で、この経歴の違いはそれぞれの作風にも表れていると思う
また作品で言うと、ダールには童話は別にするとミステリー分野に関しては純粋な短編専門作家で、ミステリー長編が1作も無いのに対して、エリンにはミステリー分野での傑作長編が何作も有る
しかし出身国やミステリー長編の有無は別にすれば、両者には共通点も多い
特に決定的な共通点とは、それは一般的に有名な作者を代表する短編集が存在するだけじゃなくて、内容的にはそれらに匹敵するもう1冊の短編集が存在する事だ
もう1冊というのはどういう事かというと
ダールを代表する短編集と言えば、そりゃ当然『あなたに似た人』であるが、ダールには『あなたに似た人』と甲乙付け難いもう1冊の短編集『キス・キス』が存在するのだ
『キス・キス』は以前は異色作家短編集全集でないと読めなかったのだが最近になって文庫化された、ちなみに『あなたに似た人』は遠い昔から文庫だが最近になって改訂新訳版に切り替えられた
一方のエリンだが、代表する短編集と言えばもちろん『特別料理』である、これも以前は異色作家短編集全集だったが最近文庫化された
そして『特別料理』に匹敵するもう1冊の短編集が『九時から五時までの男』なのである、こちらは『特別料理』に先だってとっくに文庫化されており、つまりダールとエリン両名の傑作短編集4冊が今では全て文庫で入手可能である

ちょっと余談だが、来月には異色作家短編集全集からシャーリー・ジャクスンの超傑作短編集『くじ』とフレドリック・ブラウン『さあ、気ちがいになりなさい』の2冊も文庫化予定だそうだ
折角この全集を集めた身としては複雑な気分(苦笑)、特に『くじ』は文庫でしか読もうとしない読者に対して優越感有ったのになぁ(ほんと苦笑しかない)

さて本題に戻ると、『九時から五時までの男』は決して『特別料理』に引けを取らないどころか凌駕する面も有る傑作短編集である
『特別料理』はこの分野としてはそれ程には切れ味勝負な短編集では無く、どちらかと言えばオチのキレとかよりも緻密なプロットの方が魅力だったが、『九時から五時までの男』では切れ味が増しており、しかもエリンらしい人間の魂の暗部を照らすようなエグさも健在だ


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スタンリイ・エリン
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