皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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HORNETさん |
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平均点: 6.32点 | 書評数: 1122件 |
No.21 | 8点 | 冬期限定ボンボンショコラ事件- 米澤穂信 | 2024/05/19 19:28 |
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大学受験を控えた時期に、轢き逃げに遭い病院に搬送された小鳩君。手術後に警察の聴取を受け、昏々と眠る小鳩君の枕元には、小市民として「互恵関係」を結ぶ小佐内さんからの「犯人をゆるさない」というメッセージが残されていた。いっぽう小鳩君の頭には、小山内さんと出会ったきっかけとなった、中学時代の苦い思い出がよみがえり…
中学時時代、まだ虚栄心に満ちていたころの小鳩君が小山内さんと出会ったのは、今回と同じ道路で、似た状況で起こった同級生の轢き逃げ事件だった。当時名探偵よろしく立ち振る舞った小鳩君は、結果的にその同級生を傷つけた。その顛末が現代と並行して描かれ、それぞれに解き明かされていく構成の長編。 シリーズ読者には、2人のなれそめが描かれている過去の物語も一興。しかも現代の小鳩君の轢き逃げと、その中学時代の過去との両者がそれぞれに謎解き物語となっており、微妙にリンクしながらもそれぞれの結末へと収斂していく。さすがの手腕である。 どちらかというと中学時代の過去の物語の方が、謎解きとしては印象的だったかな。とはいえそれぞれに施された仕掛けと謎解きの過程も上質で、ミステリとして十分に一級品である。 前作「巴里マカロン」が、秋から冬にかけての短編集だったから、てっきりこの「季節限定シリーズ」の冬版かと勘違いしていたら、ちゃんと「冬期限定…」長編として出てくれて嬉しい限り。 これでホントに一区切りなのかな? |
No.20 | 7点 | 可燃物- 米澤穂信 | 2023/11/03 21:50 |
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太田市の住宅街で連続放火事件が発生した。県警葛班が捜査に当てられるが、容疑者を絞り込めないうちに、犯行がぴたりと止まってしまう。犯行の動機は何か?なぜ放火は止まったのか?犯人の姿が像を結ばず捜査は行き詰まるかに見えたが…(「可燃物」)。連続放火事件の“見えざる共通項”を探り出す表題作を始め、葛警部の鮮やかな推理が光る5編。(「BOOK」データベースより)
米澤氏が「警察小説」という新境地に踏み出した一作と言えよう。とはいえそこは十分な力と実績のある作家、間違いはない。組織の中で、上司にとっては扱いづらい有能な刑事という設定はまぁベタではあるが、それが間違いないからベタなのであり、結局…本作も面白い。全体的に、横山秀夫の短編のような雰囲気があった。 「ねむけ」は、主人公・葛らの不眠不休の捜査ぶりを伏線にしながら、真相と結び付けている企みが〇。ミステリ的な仕掛けでは「命の恩」が一番良かった。どんでん返し的な面白さがあったのは最後の「本物か」。 しかし、帯にある「本格ミステリ×警察」って何なんだ。警察小説ってだいたいみんなそうだと思うけど。 |
No.19 | 7点 | 黒牢城- 米澤穂信 | 2022/10/08 17:41 |
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戦国時代を舞台にした、「安楽椅子探偵もの」。歴史に詳しくないので史実はよくわからないが、時代背景に彩られた描写、武士の世界における価値観による物語、十分に堪能した。
ミステリ読みなら、最側近の十右衛門が真犯人であるかのようにミスリードしている(と思うんだけど)のはだいたい気づき、終盤には「黒幕」のあたりはついているんじゃないかと思う。しかしこうした歴史を舞台としながらも、きちんと伏線が張られており、丁寧に織り込まれている構成には感服する。 本当に引き出しの多い作家さんです。すごいなぁ。 個人的には、羽生飛鳥の「蝶として死す」と並んで、歴史ミステリのお手本のような作品だと思う。 |
No.18 | 6点 | Iの悲劇- 米澤穂信 | 2021/06/20 19:56 |
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南はかま市に吸収合併された山あいの小さな集落、簑石。6年前に滅びたこの場所に人を呼び戻すための「Iターンプロジェクト」を請け負うのは市役所「甦り課」。課に配属された万願寺邦和は、「出世街道から外されたのか…」とため息をつきながらも、成果を上げるために蓑石への定住者を増やそうと奔走する。しかし新しい居住者の間にはトラブルが絶えず…
コージー以外の筆者の作風とタイトルから、重厚なミステリを想像していたが、雰囲気は違った。時折ユーモアを交えながらの連作短編。とはいえ、せっかく移住してきた住民が次々と離れていく過程で次第に不穏な空気は増していき、最後には全編を貫くどんでん返しが用意されている。 想像していた雰囲気とは違ったが、十分に楽しめる一冊だった。 |
No.17 | 7点 | 巴里マカロンの謎 - 米澤穂信 | 2021/01/24 12:03 |
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高校生・小鳩常悟朗は、同級生の小佐内ゆきと、必要な時に互いに手を貸し合うという「互恵関係」を結んでいる。ある日ゆきから、新装開店した名古屋の人気カフェにつき合ってほしいと頼まれ共に店を訪れる。ゆきのお目当ては季節限定のマカロンを食べることだったが、注文したマカロンがなぜか一つ増えていた。そして、そのマカロンの中にはなんと指輪が仕込まれていた・・・
なんと11年ぶりの「小市民」シリーズ。春、夏、秋ときて、「冬(続編)は出ますか?」という質問に作者は「書きます」と答えていたが、なぜか急にタイトルが「国名シリーズ」に(笑)。これは、「冬」で終わらせずに今後も続くということなのだろうか・・・? 2人の特異なキャラクターを軽妙に描きつつ、巧妙に伏線を忍ばせながら「日常の謎」を解き明かしていく作者の手腕は健在。「伯林あげぱんの謎」は、いかにも普段やりそうな人の行為をうまくすくい上げた真相で唸らされた。古典部シリーズと並んで、学生を主人公にした日常の謎もこの作者の重要な領域なのだと感じた。 |
No.16 | 7点 | いまさら翼といわれても- 米澤穂信 | 2020/05/10 13:51 |
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シリーズ6作目となる本作は、短編集でありながら単なるいつものメンバーのエピソード集ではなく、古典部の面々のそれぞれの物語が進行していて通して読んでいるものとしては非常に興趣をそそられた。
特に本作では伊原摩耶花が主役となっている「鑑には映らない」「わたしたちの伝説の一冊」が面白かった。どちらも、これまで距離のあった摩耶花とホータロー、麻耶花と河内先輩の間柄が変化した様子が、シリーズ読者としては何となくうれしかった。 古典部の面々の物語が進んだという点ではタイトル作が一番なのだろうが、その行く末は本作以降に委ねられていくのだろう。ある意味、本シリーズがまだ続くことが分かり安心である。 (「小市民」シリーズの方はいっこうに動きがないが…) |
No.15 | 6点 | ふたりの距離の概算- 米澤穂信 | 2019/09/29 20:27 |
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私はタイトルからてっきり、ホータローとえるの関係性に進展があるようなラブコメ要素が入ったものだと思ってたので、そうでなくてよかった。本当の意味での「距離」だとは思ってなかった・・・
日常的な高校生活の中にあるささいな場面を取り上げて、論理的に謎を解くシリーズらしさは健在。ホータローと福部の相変わらずの仰々しい物言いに苦笑しながらも、今回はいつもにもましてコミカルなやりとりがたくさんあって吹き出してしまうところがいっぱいあった。 マラソン大会を舞台にして、20kmのあいだに関係者(?)に声をかけていきながら謎を解くという設定には賛否両論のようだが、私は「面白いなー」と思った。 メインの謎「大日向が入部をやめた理由」については、こんなに婉曲的にお互いを探り合う高校生なんかいるか?とは思うが、まぁ小説ということで割り切って楽しんでいる。 |
No.14 | 6点 | 遠まわりする雛- 米澤穂信 | 2019/05/02 20:46 |
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古典部シリーズ第4弾の短編集。
ホータロー、える、里志、摩耶花の4人が学園内外で起きる様々な小さな謎に挑む話なわけだが、今回はこの4人の中で起こる身内的な問題もいくつかあって、それによって4人の関係性が揺れ動くところもあった。 純粋なミステリとしては「心あたりのある者は」「遠まわりする雛」が面白かった。「心あたりのある者は」は、放課後にされた校内放送からその背景を推理するというもので、作者自身の解説にもあったようにハリイ・ケメルマンの「9マイルは遠すぎる」の古典部シリーズ版。 「やるべきことなら手短に」「手作りチョコレート事件」は、それぞれホータローとえる、里志と麻耶花の微妙な関係が素材となった話だが、ごくフツーの高校に通う高校生が、ここまで策を弄したり、それを裏で理解し合ったりするか?という感は否めない。 なんにせよ、一見ラノベテイストにも見られがちな本シリーズだが、「日常の謎」として堂々とミステリを名乗れる内容になっているのはさすがだ。 |
No.13 | 7点 | クドリャフカの順番- 米澤穂信 | 2018/04/15 17:48 |
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「氷菓」「愚者のエンドロール」と、神山高校文化祭、通称「カンヤ祭」の準備に纏わるストーリーで続いてきたが、本作はその本番、カンヤ祭当日の話。これほど間を置かず、連続した時期を描く連作モノも珍しいのではないかと思うが、幸い現在立て続けに本シリーズを読破中なので非常にそれが功を奏した。
メンバーのミスで予定より大幅に多い冊数を印刷してしまった、古典部の文集「氷菓」。果たしてカンヤ祭中に売り切れるのかが最大の悩みの古典部だったが、そんな中、学内で奇妙な連続盗難事件が起こる。いくつかの部活から、碁石、タロットカード1枚、ペットボトルドリンク1本など、それぞれは他愛もないものが盗まれ、そこに犯行声明文と思しきメッセージと、カンヤ祭のしおりが―。 いつもながら省エネ生活を身上とする奉太郎は関わるつもりはなかったのが、古典部文集を売るために、重い腰を上げることになる。 摩耶花の漫画研究会のストーリーや、奉太郎の「わらしべプロトコル」などの伏線の絡みも上手く、冗長でない程度に高校の文化祭風景も描かれていて楽しい。何だか懐かしくなった。 一つだけ、結局「クドリャフカの順番」はクリスティのどの作品をひねったものだったの?わかってないの私だけ??(途中で私は、「十文字事件」の様相から「ヒッコリーロードの殺人」かと思ってた(笑)) |
No.12 | 7点 | 愚者のエンドロール- 米澤穂信 | 2018/04/15 17:26 |
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前作でも書いたが、こんな小粋な高校生がいるわけないとは思うものの、学園モノかつ日常の謎モノでここまで作りこまれる作品はなかなかない。作者の腕を感じる。
神山高校祭、通称「カンヤ祭」にビデオ映画を出品することになっていた2年F組だったが、その脚本家が倒れて入院してしまい、制作は宙ぶらりんの状態に。その作品が「ミステリー」だったことから、真相は脚本家である生徒しかわからず、これまで撮影した映像からそれを推理することに。未完成のビデオ映画を見せられた古典部の面々は、千反田えるの「私、気になります」の一言でその謎を解くハメに。あとは例によって例のごとく、奉太郎の推理によってその真相が明かされていく。 今回は、一旦決着がついたかのような件のあとの、本当の「真相」解明の部分が秀逸だった。F組の「女帝」入須冬実(これも、こんな女子高生いたらヤダ、ってレベル(笑))の風格あるキャラもよい。 ミステリとしてもストーリーとしても、前作よりよかった。 |
No.11 | 6点 | 氷菓- 米澤穂信 | 2018/04/07 21:40 |
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神山高校生、折木奉太郎が探偵役となり、千反田えるが「私、気になります」と持ち込む謎を解いていく「古典部」シリーズの最初の作品にして米澤穂信のデビュー作。太刀洗万智シリーズや本格ミステリ「インシテミル」、異世界ものの「折れた竜骨」など、幅広い作風で今や超売れっ子作家である氏のスタートの作品と思うと興味深い。本作品は「小市民シリーズ」に似た雰囲気があるね。
ラノベ、アニメのテイストも感じるような特異なキャラクターの高校生4人で、甘ったるいと感じる人はいるだろう。こんな高尚な語彙での粋なやりとりをする高校生がいるとは思えないしね。それぞれに謎について調べてきて、真相を検討する集まりなんかは、なんというか…ヘンな4人にしか見えない(笑) まぁでも学校を舞台とした「日常の謎」モノとしては飽きなく読めるし、こういうミステリがあってもいいと思う。このあと本シリーズを全部読もうと思う。 |
No.10 | 6点 | 真実の10メートル手前- 米澤穂信 | 2017/02/04 17:35 |
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「王とサーカス」を読んでからこちらを読んだ。「さよなら妖精」のシリーズは読んでいないので、逆から進んでいる感じか(?)。印象として、「王とサーカス」よりも主人公・太刀洗の無骨な雰囲気が強かった。話としてもブラックな要素が強い。こっちの方が好みかも。
作りのクオリティは、話によってややまちまちだった感はある。 |
No.9 | 8点 | 王とサーカス- 米澤穂信 | 2016/01/10 22:09 |
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まず、この「さよなら妖精」シリーズを読んでいなくても大丈夫。前作までを読んでいないとわからないことはない。そういう点で米澤氏はいつもフェア(?)な感じがする。
実は氏の講演を聞く機会に恵まれた。その講演の中で、「小説(ミステリ)を書くには三つの要素が揃えばよい」と話されていて、それは①物語②謎③舞台だとおっしゃっていた。そして氏のこだわりというか、信念として最も伝わってきたのは、「①物語と②謎は不可分のものでなくてはならない」と言われていたことだ。つまり、「こういう『謎』を解く話のアイデアができた」というとき、それをどんな物語の中でも使えるのではなく、その「謎」が必然的に結びつく物語でなければばならない、ということ。例えば本作品のメインとなる謎やトリックも、「この、『ネパールという舞台、取材に行った太刀洗…』といった設定の話と不可分に結び付いたもの」にならないとダメ、ということである。 前置きが長くなったが、それが見事に具現していた。米澤氏は、上記のような考えから「謎の解明だけで終わるミステリはダメ。ミステリはクイズではない。物語に結び付いて終わらないとダメ」ということもお話しされていたが、それがよくわかる。本作品も、一応フーダニットではあるが、骨子がそれだけの痩せたものではない。ジャーナリズムの意味について、受け止める我々について、私たちが気付かなかったそこに内在する問題について、ミステリとしての謎に絡んで描かれている。 米澤氏の深く考え抜かれたプロット、哲学的ともいえる深い物事への深い洞察に、こちらも腕を組んで考えてしまう。 |
No.8 | 7点 | 満願- 米澤穂信 | 2014/09/14 13:17 |
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近年めきめき頭角を表してきている著者だが、短編を書いても一流、と思える質の高さ。ハウダニット、ホワイダニットが主体の作品が揃っているが、どれも読者の感心を得るような仕掛けが巧みになされている。
「夜警」は警察短編の名手・横山秀夫を彷彿とさせるような筆致で警察社会ならではの謎が描かれている。「柘榴」は正直大体の予想はついていたが、「やはり」と思っても怖さは半減しなかった。表題作「満願」は既読だったが、再読しても面白かった。 |
No.7 | 8点 | 折れた竜骨- 米澤穂信 | 2012/10/09 21:55 |
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読み慣れない設定と人物名に最初は戸惑ったが、中世ヨーロッパを舞台とし、魔術や伝説を「アリ」としてうえでのロジカルミステリという(少なくとも私は)今まで接したことのない世界に、非常に引き込まれて読んだ。青銅の巨人を意のままに操る魔術師が出てきたり、何度切り刻まれても生き返る人種が存在したりと、科学的にありえないのだが、作中ではそれが全て「アリ」とされ、その上で「走狗(ミニオン)」と呼ばれる事件の犯人をロジカルに追う。私自身それほど詳しくないのでかなりいいかげんな想像だが、甲冑や剣をまとった中世の剣士を頭に思い描きながら、楽しく読めた。登場人物それぞれに同情や反感を感じながらも、どれも憎めないキャラクターで、読後感もよかった。
「春期限定…」などのライトミステリ、「インシテミル」などの本格物も手がける著者の、懐の深さというか幅の広さに本当に感心してしまう。 |
No.6 | 7点 | 秋期限定栗きんとん事件- 米澤穂信 | 2011/09/18 21:18 |
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互恵関係を終わらせた小鳩君、小山内さんの煮え切らなさにやきもきするが、そっちのほうも、本筋の事件のほうも、ラストにすっと胸がすく。学園ものというライトな設定、事件も本格のような重さはないが、伏線もよく考えられ、下手な本格よりミステリ的にも面白かった。 |
No.5 | 6点 | 夏期限定トロピカルパフェ事件- 米澤穂信 | 2011/03/02 15:45 |
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ミステリの楽しみ半分,小鳩くん,小佐内さんの「小市民に徹するコミカルなやりとり」の楽しみ半分の作品なので,小佐内さんのダークな部分が見えたのは意外でした・・・(どう考えても「小市民」のやることではない)
しかしその分ミステリの要素が高まったため,結果として採点は前作と変わらずです。この作品でますます堂島健吾が好きになりました。 |
No.4 | 6点 | 春期限定いちごタルト事件- 米澤穂信 | 2011/03/02 15:41 |
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日常的な高校生活の中で,些細な謎にめぐり合いそれを解いていくというほのぼのしたミステリ。肩に力を入れずに読めて,こういうのもアリかな・・・気に入りました。小鳩くんと小佐内さんはもちろん,個人的には堂島くんのキャラもよい。それにしても,小鳩くんの過去は作中である程度示されていますが,小佐内さんはいったいどんなだったのか・・・気になります。 |
No.3 | 6点 | 儚い羊たちの祝宴- 米澤穂信 | 2011/01/30 14:10 |
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副題にある「バベルの会」という読書サークルが全短編を通して登場するが,作品によってはほぼ不要のものもある。むしろ,贅沢なお屋敷に住むお嬢様の召使(女性)が物語の主要人物(ときには語り手)になっているという共通設定が面白い趣向だと感じた。ラストのどんでん返しに主体を置いた作品集だと受け止めるが,その評価は作品によりけり。私としては,「身内に不幸がありまして」「玉野五十鈴の誉れ」がよかった。 |
No.2 | 8点 | 追想五断章- 米澤穂信 | 2011/01/10 16:02 |
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物語の結末自体は途中から予想が出来ました。ただしそれは事件の真相という点だけで,5つのリドルストーリーの仕組みということではありません。本筋においては謎を担う役割になっているそれぞれのリドルストーリー自体もそれ単体でなかなか面白く,二重においしい気がしました。よく考えられた作品だと思います。 |