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[ 本格/新本格 ]
○○○○○○○○殺人事件
上木らいち
早坂吝 出版月: 2014年09月 平均: 5.96点 書評数: 24件

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講談社
2014年09月

講談社
2017年04月

No.4 7点 まさむね 2014/10/07 00:06
 第50回メフィスト賞受賞作品。
 冒頭にある「読者への挑戦状」において,メインは,犯人当てでも,トリック当てでも,動機当てでもなく,「タイトル当て」とありますが,正直,タイトル自体にとてつもない楽しみが隠されているわけではありません。そして,もの凄く品がない内容であります。下品極まりなし。毛嫌いする方も多いでしょう。
 でも,私は嫌いじゃないです。っていうか,結構好き。誤解の無いように申し述べれば,決してお下劣な表現が好きだということではなく,実は,伏線も含めてしっかりと練り込んでいるからであります。最大の大仕掛けについても,「馬鹿馬鹿しい!」と思いつつ,それは怒りには発展せず,何故か清々しさ(ちょっと誇張)すら感じさせます。
 皆様同様,前半の冗長さはもっと工夫の余地があると思いましたが,いろんな意味で次回作に注目せざるを得ない作家さんではあります。

No.3 6点 メルカトル 2014/10/05 22:12
この採点はひとえに一発勝負の大仕掛けに捧げられるものである。よって、それを除けばせいぜい4点程度の平凡な作品と思われる。それにしても、これは史上まれに見る下品というか、お下劣な作品だ。それはチープな表紙によく表現されている。人によっては、そういった低俗な作風が許せないという方もおられるかもしれない。かく言う私も、エログロは決して苦手ではないが、本作に対してはあまり好感を持ってはいない。だが、あのバカミス的大トリックがいかにもインパクトが強く、一概に貶すわけにもいかないわけである。
私もやはり、前半のごたごたが冗長に感じられて、せめて島に到着するまでのシーン全体を、半分以下にカットしていただきたく思った。それと、大袈裟にタイトル当てみたいなお遊びをさも凄いことのように喧伝しているが、大した意味はなかったと感じる。
さて、この作者、果たして私が予想するような一発屋なのか、それともさらに一皮むけた大物に化けるのか、いずれにしても次回作を楽しみにしたいと思う。

No.2 6点 名探偵ジャパン 2014/09/09 09:02
キャッチーな表紙絵、二度見せざるを得ないタイトル、帯には書店員の紹介文と、地雷臭が半端ない武装に耐えきれずレジへ。
「まあ、つまらなかったらここでコキおろせばいいし」と軽い気持ちで読み始めたが、意外にしっかりしていて楽しめた。
本編の半分以上経過してからやっと事件が起きるなど、序盤の展開はだるい。取材の成果を生かしたかったのだろうが、船や諸島に関する描写が多すぎる。
タイトル当てという要素は必要なかったのでは? とも思うが、それも込みで購買意欲が湧いたことを考えると、怒濤のごとく発刊される新刊の中で、少しでも興味を引くには致し方ないのかも。
人気が出たらいずれドラマ化、映像化されるからそれを観ればと考えている方。本作は色々な意味で映像化不可能なので、気になったらご一読を。

No.1 6点 アイス・コーヒー 2014/09/06 15:23
第五十回メフィスト賞受賞作。アウトドアという共通の趣味を持ち、あるブログのオフ会に訪れた男女。メンバーの一人が所有する島で例年行われる恒例行事だったが、今年は新顔の乱入もあって波乱の予感。そんな中、失踪事件が起きる。

タイトルの「○○○○○○○○」はあることわざを示す伏字。本作最大のテーマはその「タイトル当て」なのだ。さらに、それだけにとどまらず本編では「仮面の男」やら「針と糸の密室」やら新本格らしい道具立てが揃えられている。そこから導き出される真相もまた驚愕もの。(肝心のタイトル当てもこれはこれで面白い。)
伏線の配置やトリックの組み合わせ方は絶妙で今後が期待できる作家だろう。実にメフィストらしいユニーク(くだらない)な作品なので、深く考えすぎず気軽に読むことをお勧めする。
下ネタ要素なども含めて、「六とん」のようなバカミスの一つといえるだろう。無論、「消失!」のような作品を受け入れられない人は読まない方が良い。これからはこの調子で極北路線を極めるのか、本格を追求していくのか。どちらにせよ次回作が楽しみ。


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