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[ 短編集(分類不能) ]
我が家の問題
平成の家族小説シリーズ
奥田英朗 出版月: 2011年07月 平均: 6.56点 書評数: 9件

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集英社
2011年07月

集英社
2014年06月

No.9 7点 HORNET 2020/09/13 18:18
 家族、とりわけ「夫婦」を題材にした、コミカルかつハートウォーミングな短編集。小粒ながら作者らしい巧みな語り口で、読んでいて非常に楽しい。
 ラスト2編、「里帰り」と「妻とマラソン」なんかはホントによかったなぁ。「絵里のエイプリル」だけ深層が分からないままで、ちょっともどかしいけど、これも奥田氏の技巧なのかな(解説によると)
 家庭生活や妻の問題を取り上げる話は、昨今はブラックな内容になるものが多い中、ハッピーエンドで統一されている本短編集は非常に読後感が良かった。

No.8 6点 まさむね 2019/02/23 18:18
 筆達者な作者さんだよなぁ、と改めて感心いたしました。「家族」について考えさせられつつ、ほんわかと温かい気持ちになります。ミステリーとは言い難いのでこのサイトでの採点は控え目にしますが、純粋に楽しめましたね。
 マイベスト短編は「妻とマラソン」で、ラストは目が潤みそうになりました。そして、マイベスト台詞は、「夫とUFO」で妻が発する「これからおとうさんを救出してきます」。家族って、やっぱりいいな。

No.7 7点 いいちこ 2019/01/25 20:15
相変わらず達者、素晴らしく達者。
そのクオリティの高さに手放しで賛辞を送りたい。
取り上げられている「我が家の問題」と登場人物の生き様が、あたかも日本家庭の最大公約数であるかのように普遍性があり、それゆえにリアリティと共感性が高く、読んでいて全く飽きることがない。
それでいて筆致も実に巧みであり、「我が家の問題」を前向きに受け入れ、乗り越えていこうとする夫・妻・こどもの健気な姿が強く胸を打つ。
本サイトではこれ以上の評価は難しいが、軽量コンパクトな作品でもあり、万人に一読を勧められる佳作

No.6 6点 ミステリーオタク 2018/04/11 10:24
ずば抜けた読みやすさは相変わらずだが、ミステリーファン、奥田サスペンスファンとしては、ほのぼのファミリー系は一冊でよかったかな。

No.5 6点 ねここねこ男爵 2017/10/29 05:25
「家日和」二作目、という位置付けですが、家日和がのほほんとしていたのに対して、本作はタイトル通りリアルな問題を抱えた人々の渋めの話がやや多め。
個人的には家日和の方が好きですが、本作も十分面白いです。
この作者は本当に人間を書くのが上手いですね。

No.4 6点 メルカトル 2014/08/13 22:28
必要最小限の文章で最大限の情報を読者に提供する、これはなかなかできそうでできないことではないだろうか。それをいとも簡単そうにやってのけるのが氏の才能だと思う。そっけないほど簡潔な文章なのに、登場人物のその時々の感情の揺れ具合が手に取るように解る、素晴らしいことではないか。
これはどこにでもいそうな夫婦の、特別ドラマティックでもない日常から持ち上がる様々な問題を、それぞれの思惑の元、結局最後には夫婦が協力しながら解決していく物語を綴った短編集である。
本当にどこにでも転がっていそうなものから、やや深刻な様相を呈するものもまで、解決すべき問題は色々だが、それぞれに共通するのは、やはり夫婦愛なのだろう。その辺りの実に微妙な人情の機微や夫婦間、親子間の絆をサラリとしたタッチで描いており、大変好感が持てる。これはもう一種の名人芸と言っても過言ではないかもしれない。文章が上手すぎて、何も言えない。

No.3 7点 E-BANKER 2014/07/30 22:04
小説「すばる」誌に断続的に掲載されてきた作品をまとめた短篇集。
先に発表された「家日和」の続編的な意味合いもある好編。

①「甘い生活?」=新婚の妻は常に甲斐甲斐しく、家事も完璧にこなす。でも、なぜか居心地が悪く、まっすぐ家に帰れない夫・・・。これは「独身病」というらしいです。夫婦が初めて本音をぶつけ合うラストが何ともいえない。
②「ハズバンド」=夫が会社で上司や部下から軽んじられているらしい・・・。妻が抱えた不安と夫のポーカーフェイス。専業主婦の妻が取った行動は、とにかく毎日おいしい弁当を作ること! でもこれが意外な効果を生むことに・・・
③「絵里のエイプリル」=何気なく聞いてしまった父母の不仲と離婚の話・・・普段は仲の悪い弟も巻き込み、普段は“いて当たり前”だった親の存在を考えることに・・・(で、結局どうなったんだろうか?)
④「夫とUFO」=これはかなり面白い。突然、帰り道で毎日UFOを見ると言い出した夫に戦慄を覚える妻。会社では真面目で部下に頼られる存在の夫なのに、なぜこんなおかしなことを!? そして判明する夫の本当の姿。巻末解説の吉田氏も述べているが、『これからお父さんを救出してきます』という作中の台詞が本作NO.1だろう。
⑤「里帰り」=せっかくの休暇なのに、お互いの実家に帰らざるを得なくなった新婚夫婦。でも、嫌々だったはずの里帰りで、思わぬ「ホッコリ」した気持ちを味わうことに・・・これも好編。
⑥「妻とマラソン」=前作「家日和」の中にもあったが、作者自身の家庭をモデルにした作品。マラソンに嵌っていく妻を最初は訝しく思っていた夫なのだが、その理由に気付いたとき、夫婦そして親子の絆が強くなっていく・・・ラストなんて目頭が熱くなってもいい。

以上6編。
さすが奥田英朗! 実にウマイ!
ホント、どこにもありそうな夫婦や親子の姿を描いているのに、それがこんなに読む側の心をしんみり、そしていい気分にさせてくれるなんて・・・
もう名人芸です。

①~⑥までどれも好編揃い。特に、①に出てきた夫なんて新婚時代の自分にあまりにそっくりで笑っちゃいました。
⑤も分かるね。でもベストは④かな。
とにかく読んでみてください。でもミステリーじゃないので・・・悪しからず。

No.2 6点 haruka 2014/07/25 01:55
各話ともありふれた家庭を舞台に淡々と物語が進んでいくが、随所にリアルな家庭風景が描かれる。中でも「夫とUFO」「妻とマラソン」はグッと来た。

No.1 8点 akkta2007 2012/02/29 14:40
家日和と同じく、短編集の集まりであるがどの作品も非常に楽しく読めるものばかりである。
中でも「妻とマラソン」が特に面白かった。


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