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[ パスティッシュ/パロディ/ユーモア ]
町長選挙
精神科医・伊良部シリーズ
奥田英朗 出版月: 2006年04月 平均: 6.33点 書評数: 15件

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文藝春秋
2006年04月

文藝春秋
2009年03月

No.15 5点 HORNET 2024/02/27 23:08
 まぁ、ミステリではない。特に前半2編「オーナー」「アンポンマン」は特定の実在著名人をモデルにしており、社会風刺風の読み物。とはいえ、その実在モデルを批判・批評する趣旨ではなく、それを題材にしながらの一種のハートウォーミングな短編にまとめている。
 しかし、伊良部は本作で、「アホを装う実は深遠な何かがある人物」ではなく、本当に「ただただアホ」であることが確定した。表題作「町長選挙」では、それでも何か「もっている」人物として描かれてはいたが。
 上に書いたように、基本ハッピーエンドに着するので読後感はよい。特に、結末はどうなることかとにやにやしながら読んだ表題作「町長選挙」は、都会から派遣された公務員の心情の変化に映し出される物語の趣旨がよかった。
 ミステリの採点サイトなので、その意味で高評価にはしづらいが、短編集としてよい出来ではあると思う。

No.14 5点 いいちこ 2017/03/23 20:56
各短編の主人公の人物像を造形するにあたり、「イン・ザ・プール」「空中ブランコ」とは一転して、著名人をモデルに採用したのは、単純にネタ切れであろうと推測。
これ自体はやむを得ないことだが、そのことで本シリーズの際立った美点である読者の共感性やテーマの普遍性が失われている。
その結果、「イン・ザ・プール」はもちろん、「空中ブランコ」にも遠く及んでいない。
本シリーズは明らかに限界に達しており、本作をもってシリーズを打ち切った(?)のは英断と言えよう

No.13 6点 smk 2013/12/22 11:04
伊良部一郎シリーズの第3作。
相変わらずリーダビリティは高いが、コメディ部分は前2作に比べると若干パワー不足かな。
表題作以外の3作はモデルがあるので、イメージはしやすいです。
ミステリではないので△1点。

No.12 6点 まさむね 2013/12/17 20:43
 伊良部シリーズ第3弾。
 今回は,社会風刺的な側面を強く打ち出していますね。ちなみに伊良部センセのハチャメチな言動は控え目で,その分マユミ看護婦の存在感が増しています。
 収録4作品のうち3作品は,実在のモデルが分かり易すぎて面白い。今となっては「ああ,当時はそういう騒動があったよね」的な楽しみ方も。
 表題作は,民主主義の本質を突く(?),なかなかに奥深い作品と言えないこともないような気がします。(ちょっと言い過ぎかなぁ?)

No.11 5点 2013/01/29 10:25
「オーナー」「アンポンマン」「カリスマ稼業」「町長選挙」の4編を所収。
お笑い度、ミステリー性はいつものとおりで、安定感がある。伊良部の性格もあいかわらずだが、ちょっと路線が変わったかなという気がした。

表題作以外の3編はみな有名人(当時の時の人)がモデル。しかも、そのことがすぐわかるような仕掛けになっている。そして、もちろん皮肉もたっぷり。これが楽しい。ただ、週刊誌かワイドショーのネタのようにも思えて、安っぽくも感じられた。タイムリーに読めば、それを超越してもっと楽しめたのかもしれないが。
表題作はテーマを広げすぎの感あり(そもそもテーマなんてあったのか?)。笑えるけど涙が出るほどではないし、ちょっと苦しい。ラストの締めはこれしかないだろうが、物足りない。このへんで打ち止めということでしょう。

No.10 7点 TON2 2013/01/07 01:52
文藝春秋
 大好きな伊良部一郎シリーズの第3作。「オーナー」「アンポンマン」「カリスマ稼業」「町長選挙」の4編。
 最初の3編は実在の有名人をモデルにしていておちょくっていて、これはこれで下世話で面白いのですが、伊良部のテンションが少し低いようです。
 町長選挙では、ノー天気な伊良部が窮地においこまれだだをこね、これも今までのシリーズとは少し雰囲気が違います。
 作者もそろそろネタが尽きたのでしょうか。もっともっとはちゃめちゃな伊良部を見たい。

No.9 6点 E-BANKER 2011/07/24 15:46
絶好調の「ドクター伊良部シリーズ」第3弾。
今回は実在の人物がモデルにされてます。(しかも相当分かりやすい!)
①「オーナー」=人気球団「東京グレート・パワーズ」のオーナー田辺満雄、通称「ナベマン(!)」が今回のクランケ。この老練な人物ですら、伊良部のマイペースとアホパワーの前には負けてしまう・・・でも、「老害」ってのは絶対ありますね。
②「アンポンマン」=アンポンマンこと、某IT企業の風雲児・安保貴明が主人公。超効率的な思考で世間をアッと言わせ続ける安保が悩まされるのは「ひらがな健忘症」(!) パソコンでのローマ字変換に親しんでしまった方にとっては「ギクッ!」とするかも・・・
③「カリスマ稼業」=40代にして美貌を保ち続ける女優、白木カオル(!)が主人公。まぁ、女優っていうのは多かれ少なかれ、陰ではこういう努力をしているんでしょうし、プロ意識が高いということだから、決して悪いことじゃないと思いますけどね・・・もう少し「自然に」ということなんですかね。
④「町長選挙」=選挙戦を前に真っ二つに住民が割れている町、「千寿島」が舞台。公然と札束が乱れ飛ぶ激しい選挙戦に伊良部がなぜか巻き込まれていきます・・・でも、やっぱり最後は何とも心温まる光景になる。
以上4編。
相変わらず「うまい」ねぇ。
①~③はモデル丸分かりで皮肉一杯ですけど、何か問題出なかったんですかねぇ?(特に③)
まぁ、いろいろ皮肉を言いながらも、最後には「ホロッ」とさせられるので、読後感はいつでもいいんですけど・・・
結局、この伊良部シリーズ共通のテーマは、「あまり肩肘張らず、見栄も張らず、自然体でいこうよ!」ということなのでしょう。
でも、伊良部の真似なんて絶対できない!
(前作、前々作と比べるとやや落ちる印象。やっぱり④が面白い。)

No.8 7点 haruka 2011/05/29 10:48
話題の人物が「もしもこんな悩みを抱えていたら」という着想を、ドクター伊良部と結びつけた作品。患者の悩みはフィクションと分かっていても現実味があり、読んでいて面白い。

No.7 6点 シーマスター 2011/03/08 23:05
伊良部シリーズ第三弾。
4つの短編が収録されているが、本書の特徴は表題作以外の3編の主人公が(露骨に)現実の著名人をモデルにしているところ。そして各編に微妙な繋がりがある。またマユミが少し能動性を見せるところも今までとチョット違う。

・【オーナー】・・・日本一の発行部数を誇る新聞社の代表取締役会長にして日本一の人気プロ野球球団のオーナーである田辺満雄、通称「ナベマン」の老境を襲う不安神経症。

・【アンポンマン】・・・ITベンチャー企業「ライブファスト」を立ち上げ、破竹の勢いで事業拡大し「時代の寵児」ともてはやされる安保貴明32歳に取りついた「ひらがな失認症」。もちろん「あの事件」以前の作品。

・【カリスマ稼業】・・・40代にして美貌と若さを誇る遅咲き女優、黒・・いや、白木カオルの必死のアンチエイジング、アンチカロリー。いろいろな実在芸能人モドキが出てきて笑える。

・【町長選挙】・・・前半は大いに笑えたが、後半、らしくない伊良部がイマイチだし、ちょっと奥田さん、テーマを大きくしすぎて苦しかったか。

前作「空中ブランコ」に比べると、趣向を若干変えたとは言え「笑いと爽快な読後感」の質はややレベルダウンの印象。
ところで、先日初めてテレビ朝日で放映中の「Dr.伊良部一郎」を見たけど・・・・・・いやはや・・・これはないわ(まぁ、伊良部の容姿が原作と正反対なのは脚本家の故意だろうけど)・・・・・日曜の深夜、暇で暇でしょうがない人だけにおススメ。ていうかもうすぐ終わりかな?

No.6 8点 2010/01/31 17:41
伊良部先生の周りで起こるドタバタ騒動のなか、いつのまにか病気が治癒したり、皆が幸せになっています。
ミステリーではないけれど、楽しめる作品です。

No.5 6点 あびびび 2009/12/18 11:34
精神科の診察室へ入ると伊良部先生の「いらつーしゃい」と患者を待ちかねた声。その患者は世間を騒がせる大物ばかり。
微妙に現実味を感じさせるが、まずありえない話。

しかし、本当に笑えるし、面白い。ただ、完璧にミステリーではない。

No.4 8点 おしょわ 2009/07/04 15:33
相変わらずミステリでも何でななくこのサイトでの採点対象ではない。けど面白い。

No.3 8点 itokin 2008/02/26 20:41
こうゆうの大好き面白くて何度も吹きだした。伊良部先生のキャラクターも最高。時流に乗った題材でさもありなんと思わせる。オーナーと町長選挙は10点をつけたい。

No.2 6点 dei 2007/11/17 21:24
パロディだらけでがっかり。
表題作は8点、他5点

No.1 6点 akkta2007 2007/11/17 21:00
伊良部作品の3作目となる作品であったが・・・・
正直、内容的に前作、前々作のほうが楽しかったような気がする。けれども笑うことは出来たのでこの点数である。

離島で起こる町長選挙に話を持っていく内容は面白いなと感じた。


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