皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
[ 本格/新本格 ] 弁護側の証人 |
|||
---|---|---|---|
小泉喜美子 | 出版月: 1963年01月 | 平均: 6.96点 | 書評数: 48件 |
文藝春秋新社 1963年01月 |
集英社 1978年04月 |
出版芸術社 1993年11月 |
集英社 2009年04月 |
No.48 | 6点 | 雪の日 | 2023/04/02 17:34 |
---|---|---|---|
出版日を考慮したら8点はあっただろう。 |
No.47 | 7点 | ミステリ初心者 | 2021/03/13 19:27 |
---|---|---|---|
ネタバレをしています。
アガサ・クリスティーの作品のオマージュ作品のようですが、知らなくても楽しめます。 私とこの本の文章の相性が悪く(笑)、序盤はなかなかページが進みませんでした。ころころ変わる時系列に独特の比喩で、やや読みづらさを感じました。時系列については、どんでん返しには必要な物だと思うので、仕方のないことだと思います。 欲を言えば、もっと事件について、読者がいろいろと考察できる要素があると好みだったのですが、そういう類の小説ではありませんしね。 推理小説的要素といえば、やはり叙述トリックをもちいたどんでん返しです。実は私、叙述トリック的要素がはいってくると十分に察しておきながら、しっかりと騙されてしまいました(笑)。法廷のシーンの最後、ネタバラシの文を読んだ際、「なぜこれにきづかなかったのか」「タイトルからしてヒントだったじゃないか」と、非常に悔しかったです。私は頭パープリンです(笑)。気づけただろう、気づかないといけないだろう、と思わせてくれる作品は、オマージュ元となるアガサ・クリスティーの十八番であり、この作品はそれに少しも引けを取ていません。プロットがうまく、とくにどうという大仕掛けや卑怯な文章があるわけでなく、小説の組み立てで自然と騙されてしまう感じです。 いま気づいたのですが、63年出版なのですね…。レベルの高さを再認識しました。 |
No.46 | 6点 | パメル | 2020/09/22 10:34 |
---|---|---|---|
ヌードダンサーのミミイ・ローイこと漣子は、矢島財閥の御曹司の杉彦に見初められ玉の輿に乗った。漣子は決して財産目当てで結婚したわけではなかったが、周囲の反発が凄かった。そんな中、矢島財閥のトップであり、杉彦の父親である龍之介が殺された。その後、容疑者は逮捕され一審で死刑判決が下された。
「あっと驚くどんでん返し」、「あなたは絶対に騙される」など書店のポップに誘われて購入したが、しっかり騙された。一瞬ですべてがひっくり返る鮮やかな構成。しかも、伏線が全て別の意味を持つことに気付く。真犯人は誰なのか?弁護側の証人とは誰なのか?事件の真相とは一体何なのか?そんな疑問を一気に崩壊させるようなカタルシスは、爽快で傑作と呼んでいいと思います。 現代でこそ、類型的な作品が多くみられるが、叙述トリックがあまり存在していなかった当時の衝撃は凄まじかっただろうと想像できる。ただ、驚きのカタルシス以外に特に語る部分がない小説ともいえる。 |
No.45 | 6点 | okutetsu | 2020/08/08 01:40 |
---|---|---|---|
帯や評判から◯◯トリックであることは予想がついていましたが、まったく見当違いの方に考えてしまっていた。
真相の驚きはもちろんあったけど、古い作品だけあって演出が淡々としていてもったいないなと感じた。新本格以降の作品ならもっと大々的に驚かせてくると思う。 でも復刊させるだけの価値のある作品だなと納得した。 |
No.44 | 7点 | レッドキング | 2020/04/03 00:26 |
---|---|---|---|
初読時の感想は忘れた。あの叙述トリックに驚いたのか、え?って訝しく読み返したのか覚えてない。「殺人交叉点」もそうだったが、その後読んだ「殺戮にいたる病」の目の覚めるような衝撃感はなかったんだろう。叙述、特に冒頭の鉄格子越しの会話を注意深く読み直したが、「◯◯に死刑が宣告され・・」の伏字叙述が気になった。「殺戮に~」ではフルネーム明記されていた。そこらへんかな。
高木彬光に推奨されて世に出ながら、さほど脚光をあびることもなく、51歳で信じられない様な終わりを遂げた作者の生涯に哀悼の意を込めて、点数はオマケ加算。 |
No.43 | 8点 | tider-tiger | 2017/12/23 10:26 |
---|---|---|---|
シンデレラを下敷きにしたとされている作品です。
数日前にE-BANKERさんが若竹七海女史の書評を書かれており、さらにビビデバビデブウについて触れてしまうと(拙書評11枚のトランプ参照)、やはりこの作品のことも書かねばなるまいと思い立ちました。 だがしかし…… 重い話ではあるけれど、語りにはどことなく軽さがあって、あまりベタベタはしていない。粉雪のような作品という印象。非常に繊細で、ちょっと手を加えるとすぐに毀れてしまいそうな、裏を返せば完成度の高い作品。 各人がみな納得のいく行動をしているのにも関わらず、不可解な現象が起こる。この自然さは読んでいて非常に心地よい。 真相はクリスティの超有名作かなあと思っていたのですが、見事にハズレでした。 社会派ミステリでこういう仕掛けを施しつつ、重い話を軽快に書けるセンスはなかなかのもの。作者はクレイグ・ライスを訳しているのですが、クレイグ・ライスが大好きなんだなということはよく伝わって来るが、クレイグ・ライスのなにが良いのかがぜんぜん伝わってこない解説が印象的でした。それはともかく、影響は感じられますね。完成度高く粋な小品(長編としては)です。最初から最後まで息を詰めて読み続けておりました。 本作の事件、現在なら死刑判決はあり得ないでしょう。 量刑が死刑か無期しかない尊属殺は現在では廃止されております。 廃止の端緒となったのは、どうしようもない父親を耐えて耐えて耐えた末に殺害してしまった女性の事件でした。 |
No.42 | 7点 | 臣 | 2016/10/01 12:15 |
---|---|---|---|
長編第1作にしては、あまりにも大胆で、あまりにも技巧的で、あまりにも伏線がうますぎる。
だからといって滅茶苦茶おもしろいかというと、そうでもない。叙述を極めようとするあまり、物語性に悪影響をおよぼしているのだろう。 やはりミステリー小説は、どんでん返しで驚かされるだけではなくて、中途のストーリー性で引きこんでくれないと。 クリスティーの『検察側の証人』にタイトルだけでなく、構図を似せたところがある。〇〇系としてはそれこそが肝なのだが、そこまでする必要があったのか。すこし苦しいような気がする。なんとしても、完璧を期したかったのだろうか。やはりタイトルがまずいのか。 そんなことよりも物語の雰囲気と構成がじつは大好き。作中にも引用されている『レベッカ』を意識しているのではないかと思う。恥ずかしながら原作は未読で、ヒッチコックの超大作を観ただけだが、本作がゴシック・ロマンというほどではないにしろ、暗さの質に共通点があるように思う。最後に場面をがらりと変えてあるところも似ている。 と、欠点と長所が入り乱れるが、やはりうまさが目立つので、評価は中の上か、上の下ぐらいか。 |
No.41 | 6点 | 505 | 2015/10/12 19:54 |
---|---|---|---|
今のご時世では、残念ながらメインでもあるトリックは分かり易くなっており、純粋な読者として騙されることは難しいが、伏線は随所に張られており、その質も高い。ストーリーラインと密接に絡み、ただのトリックで終わらせないことで、物語に緊張感を持たせている。そのために、トリック後の皮肉的な〝反転の構図〟に対して、思わず膝を打ち、感心するクオリティがある。トリックありきの物語であるのは確かであるが、それでもトリックのみに傾倒しているだけではなく、ヒロインが起死回生を狙う骨格は王道そのもの。
昨今の〝トリックのためのストーリー〟だけではなく、〝ストーリーのためのトリック〟と唸らされる価値があるため、国産ミステリの中でも歴史的な価値はあるとしても、そこの域を当然のように出る。煌くことが当たり前であることを主張するかのような傑作である。 欠点として挙げるならば、冒頭にある曖昧な部分から作品全体に散りばめられている〝中途半端な記述〟だけを取り上げれば、本トリックを予想することが難しくないという点。しかし、両方の解釈を孕んでいるという危うい部分が、ミスリードになっており、強烈な意味合いを含んでいる演出は、本書が時代を越えて『傑作』と言われるだけの価値を証明している。人工的で技巧が光る物語そのものに、蓋然性を高めるように描くことで必然的に生まれた恐ろしき作品だ。 |
No.40 | 10点 | 斎藤警部 | 2015/08/17 10:12 |
---|---|---|---|
【徐々にネタバレ度が強くなりますので、未読の方は適当な所を見極めて引き返すか、最初から読まないかでお願い致します】
私の様な鈍い人には、一瞬では分からず、時間をもらってやっと分かったつもりでいると、、「いや、何? .. ああ、そういう事!!」と更に一段深い所の真相に気付いてしまうという、誠に罪深い企みに貫かれた古典名作。 読了後「かなり面白かったけど、結末は言われるほど驚かなかったな、まぁ7点でしょう」くらいに思いましたが、ある事に気付いて「いやいや8点は行くでしょう」と思い直し、やがってもっと大きな企みに思い当たり「馬鹿な、こりゃ9点相当じゃないか!」と心を入れ替えるまで優に%&!$分以上(恥ずかしくて書けません)掛かった私は何たる粗忽者だった事か。 物語自体がミステリとして十二分に面白いし、叙述トリックの仕掛けがその物語を根底から引っくり返してしまうのでなく、半分だけドンデン返し、物語側ではなく読者側にだけドンデン返しを喰らわす感覚がニクいです。 いえ物語の側にも大きな反転があるのですが、実はそれが先に書いた「もう一段深い真相」なんだけど、そっちの方を気付かせない方便で読者の側だけにもう一つの欺瞞を巧みに施すというね。。 何と言うか、一口に叙述トリックと言っても本当に幅広く奥深い可能性があるんだなぁというか、誰か作品内で「叙述講義」でもおっ始めてくれないかなぁ、というか。ぃややっぱりそれはやめなさい、というか。 今にして思えば、何気ない第1章の書き出しこそ、プロローグでのちょっとした不自然さの巧みな目くらましになっていたんだなあ。。 あれが無かったら鈍い私でさえ気付いていたかも。 やられたよ。 間抜けな話で恐縮ですがね、「第十一章 証人」のね、特に出だしあたりは"違和感"がテーマなんだな、って思ってたんですよ、最後の反転に導くためのね。 そしたら、よく考えてみたら"反転"そのものじゃないか、ってね。 最後まで読んでからもっかい考えて、やっと気付いたって言う。 そっかー、「序章」にちょいとした伏線がいくつも張られていたんだよなあ、無意識に違和感で記憶しちゃってたじゃないか、嗚呼それなのに。。 社会派要素が充分に織り込まれているのも良い感じですね。 叙述と社会派の融合がこんな太古の昔に既に実を結んでいただなんて! それと、全体に渡ってどこか爽やかな雰囲気が保たれているのも素晴らしい。読後感もすぅっと気分の良いものですし。 最後までエダ乃至「わたし」への疑いをキープせずにいられなかった私は本当にウブなおバカさんだよ、って思います。 作者の企みはそんな皮相なレベルとは全く違う所にあったんです。 「殺人交叉点」は物語のあまりの音圧に圧死終わり、「葉桜」は「いえ、二度読みまでしなくとも充分に分かりました」と納得終わり、「イニシエーションなんとか」は「おお! 後で二度読みしようっと!」と仮置き終わり、しましたが、本作はどれとも違った。 直ぐに偶数章だけ(第0章=プロローグを含み)パラパラっと読み直してしまいましたよ。 叙述トリックと分かって読んだからこそ「なのに、やられた!」の衝撃は強かった、という側面も大きいです。 叙述擦れを自覚する人にも、未読でしたら是非、勇んで読んでいただきたい。 済みません、題名『弁護側の証人』に込められた意味が分かるまで更に数日掛かってしまった。。 参った! やっぱり10点にします。 それにしてもどえらくフェミニンな推理小説。 |
No.39 | 8点 | sophia | 2014/04/13 20:48 |
---|---|---|---|
もう終盤に差し掛かっているのに大した展開も起こらず、どう締めるのかと思っていたらこういうことでしたか。 |
No.38 | 7点 | ボナンザ | 2014/04/10 17:20 |
---|---|---|---|
当然これは検察側の証人を読んでいることを前提にした作品。
そうでないと破壊力が半減する。 |
No.37 | 7点 | アイス・コーヒー | 2013/11/18 17:55 |
---|---|---|---|
リーガル・サスペンス×叙述トリックという設定で有名な本作、自分は叙述トリックに騙されたいので相かわらず深く考えずに読んだ。でも、こなれた読者なら冒頭の部分ですぐにトリックがわかってしまいそう。
ヌードダンサーの漣子は大手財閥の御曹司と結婚するが、経営者一族からは敬遠され、さらには殺人までが発生する。警察の誤認を発見した彼女は弁護士の清家とともに事件を解決に導いていく。 いわゆるダブルミーニングや伏線はよくできていて、叙述ものでは良くできた部類に入る。250ページほどの薄い分量に「警察の誤認逮捕」という社会派な話題も盛り込み、さらには過去の事件の推移と現在の捜査が並行して描かれ、読みにくいことは間違いないが。 それでも、漣子の望みを失わない生き方や、警察捜査の壁は見事に描写され胸を打つ。なかなか面白かった。 |
No.36 | 9点 | bookmaker | 2012/05/28 02:57 |
---|---|---|---|
当欄ではあまり評価が高くないようですが、同種の趣向の作品が乱作されている昨今に比べて、社会派推理一辺倒の時代にこんな粋な仕掛けを世に問うた著者のセンスに驚嘆します。 |
No.35 | 5点 | Q-1 | 2012/05/28 00:12 |
---|---|---|---|
騙されはしたものの、とても文章が読みにくかったです。
所謂、騙すための本という感じで、あまりストーリ性はなかったように感じました。 |
No.34 | 7点 | スパイラルライフ | 2012/02/21 20:11 |
---|---|---|---|
冒頭に違和感があり、その後はラストまでサクサク読み進めるため忘れてしまう。結果、驚きのオチが待ち構えています。他の方が仰るように、思わず最初のページを読み返してしまいました。
物語の結果そのものではなく、結果のインパクトを底上げするために叙述トリックを用いており、しっかり底上げされました。 ボリューム的にも気負わず読める分量です。 本サイトの評価どおり、名作だと思います。 |
No.33 | 8点 | いいちこ | 2011/12/27 20:58 |
---|---|---|---|
ストイックなメイントリック勝負の作品だが、人によっては極めて早い段階で見破れるので評価が分かれやすいと思う。
とはいえ無理と飛躍のない仕掛けで納得性が高い。 冒頭は相当に考え抜いて書かれている印象。 インパクトもこの作品が書かれた1963年当時、現在ほど女性が社会進出していなかったことを考え合わせれば相当なもの。 |
No.32 | 4点 | メルカトル | 2011/12/16 21:39 |
---|---|---|---|
これだけ読みにくい文章をよく書けるものだと感心するくらい読みにくい。
これが隠れた名作ですか?そうですか。 どんでん返しはどこにあるのだろう、全く想像通りの犯人は驚くに値せず、叙述トリックは一体どれなのか。 単に私の読解力の無さがなせる結果なのだろうか、おそらくそうなのだろう。 読みづらい文体に苦痛を感じる読者は、読まないほうがいいのかもしれません。 それにしても、評価が高いのが最大の謎である、私にとっては。 |
No.31 | 5点 | makomako | 2011/12/06 20:45 |
---|---|---|---|
これは評価が分かれる作品だと思います。まず文章。翻訳家なのだからなのでしょうか、外国作品の翻訳文そのままの文体で味も素っ気もない。こんな文が嫌いだから外国小説は読みたくないという人も多いと思います(私もどちらかというとそっちのほう)。こういった方にはこの作品は全くだめでしょう。
さらにミステリーの面白さが「だまし」にあると感じている人にはこんな面白い小説はないと感じそうですが、そうでなければただだまされただけでばからしいかぎりなのでしょう。 確かにこの小説にはきれいにだまされました。まあ許せる程度なので酷評はしませんが、だますだけの小説なんてあんまり好みではありませんな。 |
No.30 | 9点 | 蟷螂の斧 | 2011/11/21 21:28 |
---|---|---|---|
トリックが明らかになった瞬間、頭がくらっとした。そんなわけはないはずと、最初のページに戻ってしまった。解説にある通り、秘密にしておきたい一冊との価値は十分あります。古い小説だけに、トリックの価値は高いものと思います。 |
No.29 | 10点 | じのびりさん | 2011/11/21 08:20 |
---|---|---|---|
文章力がすごすぎる |