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[ 本格/新本格 ]
密室狂乱時代の殺人 絶海の孤島と七つのトリック
密室黄金時代シリーズ
鴨崎暖炉 出版月: 2022年12月 平均: 6.78点 書評数: 9件

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宝島社
2022年12月

No.9 6点 mozart 2024/03/24 20:10
前作同様感心しました。

密室殺人のための物理トリックが(文字通り)スケールアップしていてこれだけのアイデアを惜しみなく披露する作者の力量にはただただ驚くばかりです。
オマケとは言え〇〇も絡めてきたし。

関係ないけれどやはり彼女はヤンデレなんでしょうね(最近こういうパターンが多いような気が)。

No.8 8点 まさむね 2023/12/05 20:18
 前作も良かったのだけれど、続編はそれに輪をかけて楽しかったですねぇ。軽快でコミカルな語り口もフィットしてましたね。
 今回の密室では特に「十字架の塔の密室」の振り切れ具合が印象的。こういうの、嫌いになれない。というか、本当は大好き。また、密室推しの流れの中での最終盤のネタも嫌いじゃない。結構驚いちゃったりして。
 ちなみに、他の豪快系ネタも含めて「いやいや、犯行時に誰かしら気づいちゃうだろ、普通!」等々の考えは、楽しい読書の妨げになるので早々に捨て去りました。そういった考えこそ楽しいのだ、という説もあるのですが。

No.7 7点 蟷螂の斧 2023/07/08 15:19
印刷ミスと思っていたら〇〇だった。あまり本筋とは関係ないけど。物理的密室のオンパレードで飽きなかった。ああだこうだと推理しないところに盛大な拍手を送りたい。密室の解答も分り易いし図も挿入され好感が持てた。一か所、二通りの回答(大嫌いな多重解決)があったが、それは犯人ではないことを証明するためだから良しとしよう(笑)

No.6 6点 nukkam 2023/07/04 04:34
(ネタバレなしです) デビュー作の「密室黄金時代の殺人 雪の館と六つのトリック」(2022年)でのトリック大盤振る舞いには驚かされましたが、同じ年内に同趣向の本書が出版されたのにもびっくりです。小手先トリックもあればスケールの大きいトリックもあり、後者については特殊な大道具小道具が必要なケースもあってリアリティ重視の読者だと毛嫌いしてしまうリスクも高い作品ですが贅沢なまでに謎と謎解きを盛り込んだ希少な本格派推理小説と個人的には評価したいです。

No.5 7点 makomako 2023/06/28 16:16
前作より相当良いと思います。相変わらず登場人物は作者のトリックの駒であり、名前もダジャレ風。これは名前を覚えるのが苦手な私には都合がよいのです。
これ程たくさんのトリックを考えつきさらにそれを1作に詰め込んでしまうという離れ業はなかなかできるものではないでしょう。
このうちの2-3のトリックで、もっと推理過程を楽しむようにしたらさぞ面白い本格推理小説ができそうですが。
まあそれをしないのが作者のすごいところかもしれません。
勿論トリックのかなりのものが全く無理そうではありますが、こんな大掛かりな新しいトリックを詰め込み、途中の推理はほとんどなしですぐ回答となる。まるでトリックの問題集と回答書みたいなところは否めませんが、前作よりは登場人物の機微が描かれており、私自身も作風になれたこともあり、かなり楽しめました。
次作はどうするのかなあ。トリックネタ切れで終了にならないように期待しております。

No.4 8点 虫暮部 2023/03/24 12:40
 御見逸れしました。前作よりかなり良い。トリックは馬鹿馬鹿しいものも含めて皆合格点。異常者が揃ってキャラ立ちも充分。
 しかし、こんな “アイデア大放出” みたいな書き方では遠からず消耗戦になってしまうと思うのだが大丈夫なのだろうか。作家として長生きする気はないのかもしれない。それともストックがまだごっそりあるのだろうか。

 ところで初版、“クレッシェンド錠” と一貫して書かれているけど、正しくは……。

No.3 6点 名探偵ジャパン 2023/03/09 20:04
 これだけのトリックを盛り込んだ作品を間隔を空けずに出してくることは、まず凄いですね。中には「そうなるかなぁ?」と思わないでもないトリックもありますが、数で勝負ということで。
 物理的密室トリックだけでなく、「後期クイーン的問題」や「○○トリック」っぽいことも仕掛けてきます。引き出しの多さを見せつけた形ですが、作中人物の口を借りて、ちょっと作者のドヤってる感じが透けて見えて、なんやこいつって思いますね(笑)。
「六」「七」と来て、次は「八」でしょうか。期待が高まります。


 以下、ネタバレ的な感想を。







「液体窒素万能説(笑)」

No.2 8点 人並由真 2023/01/21 07:57
(ネタバレなし)
 まだ二十代前半ながら、日本有数の大企業の二代目社長として、一兆円近い資産を誇る女性・大富ヶ原蒼大依(おおとみがはら あおい)。大のミステリマニアである彼女は、かつてクイーン、カー、クリスティーと並ぶ黄金時代のミステリ作家が所有していた神奈川県周辺の島、満月島(今の呼称は「金網島」)の現オーナーであり、そこに各界の「探偵」を集めて数日間にわたる「密室トリックゲーム」を開催した。被害者の役はぬいぐるみの人形のはずだったが、そこで現実の密室殺人事件が続発する。

 早くも登場のシリーズ第二弾。
 惜しげもなく連発される密室トリックのうち、第●番目は、どこかで見たような気もしないでもないが、ちゃんと本作独自にアレンジがしてある。
 乱歩の言う通り、改変もひとつの創意だというなら、題名の通りに七つのオリジナルトリックが登場。その中のいくつかには、爆笑しながら快哉を上げた。
 そして……(中略)。

 いや、前回もとても居心地の良い長編ミステリではあったが、今回はその心地よさに加えて、最後の最後で唸らされた。

 持ち前のミステリ愛を良い意味での戯作(あくまで、これはホメ言葉)へと変換できるという意味で、この人はかなり傑出したセンスの主だと思う。
 こんなレベルのものを、どこまでいつまで書けるかなあ、という思いだが、今のところ、しばらく期待しながら見守っていきたい。

No.1 5点 文生 2022/12/09 06:46
前作に続いて密室殺人がブームになった背景が語られるがやはり納得ができない。

密室の謎が解けない以上、容疑者の犯行が証明できないのだから無罪判決は当然。それを世間から愚かな判決だとみられて大炎上すること自体がありえない。犯行方法が不明のまま有罪にする方がどう考えても炎上案件でしょう。作中では「密室殺人の場合、犯行が不可能という点では全員条件は同じなのでその件は棚上げしてそれ以外の証拠で犯人を決めればよい」という意見が大勢を占めていた的な説明がなされていますが、そんな馬鹿なとしか思えない。作者は推定無罪の原則を知らないのだろうか。それに、現実でも密室殺人は起きているのに作中の事件を日本初の密室殺人として扱っているのも相変わらず引っ掛かりを覚えます。さらに、密室殺人が次々と起きるために、個々の扱われ方が軽いのも不満。

以上のように基本的な感想は前作とほぼ同じではあるものの、密室トリックが前作よりも奇想天外でバカバカしくなるほどに壮大になっている点は良かった。そのことによって、密室ミステリというよりも一種のバカミスとして楽しむことができました。トリックの発想も『斜め屋敷の犯罪』や『北の夕鶴2/3の殺人』のような島田荘的なところもあるし。今後はトリックの羅列ではなく、一つのトリックをじっくり掘り下げた作品に期待したいところ。


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鴨崎暖炉
2022年12月
密室狂乱時代の殺人 絶海の孤島と七つのトリック
平均:6.78 / 書評数:9
2022年02月
密室黄金時代の殺人 雪の館と六つのトリック
平均:6.00 / 書評数:12