皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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[ 本格 ] ビッグ・ボウの殺人 別題「ボウ町の怪事件」 |
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イズレイル・ザングウィル | 出版月: 1954年12月 | 平均: 7.74点 | 書評数: 19件 |
![]() 早川書房 1954年12月 |
![]() 東京創元社 1956年01月 |
![]() 東京創元社 1959年01月 |
![]() 早川書房 1980年01月 |
![]() グーテンベルク21 2024年05月 |
No.19 | 8点 | 弾十六 | 2025/01/05 04:07 |
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1891年出版。初出は大衆向け夕刊新聞スター紙連載(1891-8-22〜9-4)、挿絵があったのかなあ。評判が良く、すぐ書籍化されたようだ。私はハヤカワ文庫で読みました。しばらく倉庫を捜索してたんですが、文庫本が見当たらず、国会図書館デジタルライブラリに旧訳(妹尾アキ夫版及び長谷川修二版)があったので、試してみたら二つとも最初から意味を捕まえきれてないボンヤリ文が続き、だめだこりゃとなって結局ネットでポチりました。
ザングウィルさんは、チャンスがあったらすかさずボケなくては!というボケ芸人タイプで、細かいくすぐりが随所にある。こういう皮肉っぽい文章が大好きなので、ザングウィルさんの別の文章も読んでみたい、と思いました。 ハヤカワ文庫の吉田訳は非常に快調で、英国的ユーモア感を見事に再現してるのですが、鍵関係だけは取りこぼしあり。その他の解釈違いなども含めトリビアで細かく書きます。私は本書でようやくlatchkey、lockとboltの概念がはっきりしました。(このネタは長くなるので我がブログで... <予定は未定!>) 後述するが最大の謎 big lock の事については詳しい人の解釈を聞きたいなあ! また、この作品の特徴として、警察の無能に対する非難が激しい。ザングウィルは切り裂きジャックの事件(1888)を解決できなかった首都警察が避難を浴びたことを経験している(掲載誌のスター紙も切り裂きジャック事件で部数を伸ばした)。シャーロック登場時(1887)でも、それほど警察の無能をあげつらってはいない。もちろんコリンズ『月長石』の元ネタであるコンスタンス・ケント事件(1860)で警察は不手際を非難されていたのだが、警察=無能が確立したのは切り裂きジャック事件なのではないか。 以下、トリビア。 作中現在はp38から1888年で良いだろう。 価値換算は英国消費者物価指数基準1888/2025(166.10倍)で£1=32437円。1s.=1622円、1d.=270円 序の日付は1895年9月なので、リプリント版に付けられたものだろう。 p4 海竜(the sea-serpent)◆ ネス湖の恐竜のことか?英Wiki "Loch Ness Monster"に以下の記述があった。Sightings in 1856 of a "sea-serpent" (or kelpie) in a freshwater lake near Leurbost in the Outer Hebrides were explained as those of an oversized eel, also believed common in "Highland lakes". ネス湖の恐竜が有名になったのは1933年だがスコットランドの湖水地域には昔から海竜(実は巨大ウナギか)の噂があったようだ。 p9 二度とは語れない(cannot tell a story more than once)◆ 同じ話を別のやり方では語れない、という感じ? p14 週一シリングの一定料金でガスを(to pay a fixed sum of a shilling a week for gas)◆ なんで定額制にしたんだろう。計算が面倒? p16 六時四十五分を告げる聖ダンスタン教会の荘厳な鐘(St Dunstan's bells chiming the three-quarters)◆ 教会の鐘は15分ごとに鳴るのが多いのだろう。ビッグベンのアプリがあるよ(Westminster Chimes)。 p16 電車(tram)◆ 当時は馬引きか? p17 議会に打って出ようという野心… 亭主持ちの女主人(おかみ)… 一票もうかる◆ 女性には投票権は無かった p17 労働者は、あんなに水をふんだんには使わない(working men were not so lavish in their patronage of water) p17 型どおりに、わざと目をつぶったりせずに大きく見ひらいていて、それがいささか得意らしい(not first deliberately shutting his eyes according to the formula, the rather pluming himself on keeping them very wide open)◆ 食事の描写のようだが、どういう情景なのか、よくわからない… p18 紅茶と緑茶との粗悪な混合物(the coarse mixture of black and green) p19 玄関のドアは差し錠も鎖もはずされていて、鍵であけしめする掛け金が掛かっているだけ(The door was unbolted and unchained, and the only security was the latchkey lock)◆ 最近、探偵小説の翻訳では重要だと思ってるラッチキーがここに出てくる。内部からはボルト(ラッチ)をスライドさせて錠を掛け、外からは鍵で開けられる仕組み。この訳文だと内外とも鍵が必要だと受け取れてしまう。造語だがlatchkey lock=night latch=「夜閂錠(やかんじょう)」を提案したい。latchkeyは「夜閂鍵」とか「閂鍵」が良いかなあ。 p19 大きい錠の舌を押える輪をすべりこませて(slip the loop that held back the bolt of the big lock)◆ この部分が本作最大の謎(私にとって)。どうやってドアの外からドアの内側にある(と思われる)big lockを閉めるのか、全くわからない。前述のように、おかみがちょっと見た時は、big lockのことは見逃して、ラッチキー以外は外れてる、と誤解している。p32に同じ場面の記述があるが、どうやらbig lockは玄関ドア全体をしっかり施錠できるような錠前で、普段はボルトを縛りつけて(tie back)いるのだが、出がけにその結び目?を解いて(slip the loop)ドアを閉めると、重力かバネか何かの作用でしっかり鍵をかけるような仕組みなのではないか、と妄想した。何か似たような写真や絵がないか、ググったが見当たらない。こんなに簡潔に書いてある、という事から、当時の人にはすぐイメージ出来るようなポピュラーな方式なのだろう、と推測するのだが… p20 いつも奇妙な取り合わせだが(always a strange assortment) p23 午前十時から午後十時まで家政婦を(a female factotum between ten a.m. and ten p.m.)◆ ここら辺、くどい表現だが、妾じゃないよ、というニュアンスか。 p25 鍵がかかっているだけでなく、掛け金もかかっているらしい(the door seemed bolted as well as locked)◆ ここは部屋のドア。boltはスライド式の簡易錠で、lockはドアをくり抜いて設置した鍵で開ける本格錠という区別なのだろう。boltとlockの概念の違いに注目。 p25 鍵の舌が納まっている木の部分… 掛け金が肘壺からはずれ(the woodwork enclosing the bolt of the lock splintered... the large upper bolt tore off its iron staple) p32 大きい錠の舌を滑らせて… いつもは押さえてある… だれも入れなかったはず… たとえ鍵を使っても(slipped the bolt of the big lock, which was usually tied back. It was impossible for anyone to get in even with a latchkey)◆ ここも単なる「鍵」ではなく「ラッチキー」と明示されないとわかりにくい。下宿人が外から解錠する仕組みである「ラッチキーを使っても(big lockがかかってるのでドアは開かない)」という事である。この翻訳文だと、鍵さえ持っていればbig lockも開くのでは?と思ってしまうだろう。翻訳の別解はp19で示した。p19で私はbig lockを家の内側からドアを閉める機構だと考えていたが、実は外で閉める仕組みで(だからおかみが内部から一瞥してもわからなかった)ドアの内からでも外からでも鍵で開けられるものかも。big lockの鍵はラッチキーと違って下宿人には提供されていないのだろう。lockはkeyで開け閉めする、という基本概念とも合致するから、これが正解か。 p33 当の陪審員は気づかぬふりをしようとする(the juryman tries to look unconscious)◆ こういうくすぐり、好き! p35 部屋の窓は二つともしっかり差し金が掛かっている(both the windows were firmly bolted) p35 自分の寝室のドアに鍵をかけるのが習慣(in the habit of locking his door when he went to bed)◆ 屋敷の中でも用心のため部屋に鍵をかける。人口が急に増えた大都市ならではの習慣が密室を作り出すのだ。 p36 差し錠は上に滑る式のやつで、ドアの上端についていた(The bolt slid upward, and was at the top of the door)… 外から鍵がかけられないと文句を言った(could not fasten his door behind him)… 金をかけて錠を取り付け(put to the expense of having a lock made)◆ ドアの上のボルトが垂直方向に動く仕組み。内部からしか鍵を掛けられない。ここでも原文ではbolt(keyで開け閉めしない)とlock(keyで開け閉めする)という錠前概念を区別して翻訳しないと、訳がわからなくなる。 p36 神経質(nervous)… とてもよいかた(a very nice gentleman) p36 三シリング二ペンスはいった財布(a purse with 3s. 2d.) p38 十二月四日火曜日(Tuesday, 4th December)◆ 該当は1888年。その年、グラッドストンは自由党党首だったが首相ではない。 p38 窓は二つあって、その一つには掛け金が掛かっていた(There were two windows, one bolted)◆ ここは二つとも鍵がかかっていたはず(p35,p51など)。p199に説明がある。結構細かいところまで考えられているなあ。 p40 問題の家と故人の寝室を実地検証した(view the house and the bedroom of the deceased)◆ インクエストでは犯行現場の実地検証(view)が行われる場合がある。 p44 ぺちゃんこな胸をした女工(a flat-chested factory girl)◆ ヴィクトリア時代はコルセットで胸を強調した時代。その後、1920年代に至るまで英国ではだんだん胸平になっていった。 WebサイトTuppence Ha'penny "Abreast of Developments: The Changing Shape of Décolletage in Fashion"参照 p46 十ギニーの小切手◆ 寄附なのでギニーなのだろう。ヴァージニア・ウルフ『三ギニー』など。そして支払い方法は古いギニー金貨ではなく小切手だ。 p51 窓が二つあり、両方ともしっかり掛け金が掛かっていた(with two windows... both securely bolted) p51 表側のドアは錠がおりているだけではなく、差し錠までかけてある(The front door... is guarded by the latchkey lock and the big lock)◆ 翻訳だと錠前の区別が全く不明瞭になっている。"big lock"も無視。試訳「表口のドアはラッチキー錠で締まっているだけでなく、大錠前もかけてある」 p53 ”天の配剤による死”なる評決(a verdict of ‘Death from visitation by the act of God’.)◆ 突然死(前日まで異常が全くなかったのに朝死んでいた、など)の場合に、多分何かの発作によるものだろうが、当時の医学では原因が突き止められなかった場合、「神の訪れ(Visitation、たいてい大文字で始める)が現実にあったら生身の人間は耐えきれず死ぬ」という趣旨で、時々こういう言い回しの評決が実際に採用されることがあった(20世紀になると廃れた。赤ちゃんの突然死での適用例などあり。inquest verdict visitation of godで検索)。この登場人物は、今回、奇跡じみたことが起きたので、宗教がかったこの言い回しを採用しようと主張しているのだろう。 p54 犯罪ありと決定しようとするXXXの熱意(XXX's burning solicitude to fix the crime)◆ Visitationの評決が採用されても「犯罪あり」とはならず、むしろ逆(奇跡的な自然死)である。ここのfixは「犯罪を(神の)せいにする」という意味だろう。試訳「犯罪を神の思し召しに帰そうというXXXの熱意」 p54 存疑評決(open verdict)◆ 翻訳語としては非常に良い。正確な意味は「今回のインクエストでは、証言や証拠を検討しても死の要因が(殺人とも自殺とも)決めかねる」という事である。インクエストの最終目標は、死の要因が事故か自殺か殺人か自然死かを評決することである。 p55 演歌師(vocalists) p55 モルグ街の殺人(The Murder in the Rue Morgue) p56 《ランセット》紙(Lancet)◆ 著名な医学雑誌ランセットは医師で検死官でもあったThomas Wakelyが創刊。医学の進展や死因の複雑化(特に毒物)により、検死官の資格をめぐって従来の法曹系ではなく医学系を重視せよ、という主張がなされるようになった。Wakelyは「検死」には当然に豊富な医学知識が必須、という立場から多くのインクエスト批評記事をランセットに掲載している。 p56 医師でないものが検死官をつとめている(having coroners who are not medical men)◆ 検死官の資格要件に医学的知識は含まれていなかった。 p57 "かかる傷なれば、刃物はそのなかに没す"というシェリーの詩句の引用(the quotation of Shelley’s line, ‘Makes such a wound, the knife is lost in it')◆ 元ネタはHis fine wit Makes such a wound, the knife is lost in it.('Letter to Maria Gisborne' (1820) l. 240 on Thomas Love Peacock)のようだ。シェリーの文の意味は「彼の優れたウィットにはナイフが隠れており、たいそう人を傷つける」という感じ。引用元の詳細未調査。試訳「ひどい傷が出来る、ナイフはそこに隠れているのだ」 p58 マスケラインとクックのコンビ(訳註 英国の奇術師)(Messrs Maskelyne and Cook)◆ 正しくはMaskelyne and Cooke、Cook表記はフィル・マク『迷路』でも。 p64 ケンジントンやベイズウォーターの金持ち連中(so fashionable as those in Kensington and Bayswater)◆ ベイズウォーターも高級住宅街なんだ… p65 警視庁の元刑事(a former servant of the Department)◆ ここは「公僕」という語を入れた方が良い。 p66 巻きタバコ(a cigarette) p67 凡人、だから知りたい(I am only a plain man and I want to know) p67 ヴィクトリア公園(Victoria Park) p67 エレミア第二章、コリント第一章(The second chapter of Jeremiah... the first chapter of Corinthians)◆ 矛盾があるらしい。未調査。 p70 滑稽詩(comic verse) p70 二ペンスの散髪代(for lack of twopence) p73 パンは四ポンドで四ペンス三ファージング(bread at fourpence threefarden a quartern)◆ 1283円。ほんの一例だが2023年英国のスーパーで800gの最安スライスは36pという情報があった。これを4ポンド換算すると648円。当時は結構高価だったか激安スライスが安すぎるのか p73 授業料… 週に七ぺンス(sevenpence a week for schoolin’)◆ 子供七人分らしいので一人当たり1ペニー。 p74 かあちゃん、妻◆ 下層階級は奥さんをmy motherと呼ぶが、上流だとthe wifeと呼ぶらしい。なかなか貴重な情報。 p82 一ポンド金貨(a sovereign) p85 プロット売ります(PLOTS FOR SALE)◆ この「売り物」実際にあった商売なのか? p86 チンフォード教会(Chingford Church)◆ St Peter and St Paul, Chingford (Church of England parish Church) 1844年建設。 p87 アン女王("... is dead"... “So is Queen Anne”)◆ アン女王はis deadと強く結びついている。(以前どこかに書きました) p89 ダーウィンとファラデー(a Darwin or a Faraday)◆ 当時の有名な学者の例 p92 婦人服の仕立てをしていた(She was a dressmaker) p92 週給36シリング(earning 36s. a week)◆ 植字工の給金、月給にして25万円ほど。 p94 フローラ・マクドナルド(Flora Macdonald、訳註 1722-90 スコットランドの女傑) p97 本当のレディー(real ladies)... XXXだけがいわば素人(XXX was only an amateur) p98 おきゃん(the minx) p99 サラゴーサの乙女(the Maid of Saragossa)◆ Agustina of Aragón(Agustina Raimunda María Saragossa i Domènech) (1786-1857) the Spanish Joan of Arcとして知られている。 p102 九柱戯(skittles)◆ 英Wiki "Skittles (sports)" p104 クリスマスのプラム・プディング(Christmas plum-pudding) p104 迷信(prejudice)◆ 翻訳では間違って訳しているのだが、この前段はグロドマンに対して「クリスマスは一人ぼっちより大勢の方が良いよ」とウィンプが誘っている(Wimp said that he thought it would be nicer for him to keep Christmas in company than in solitary state) p109 クリスマスの鐘の音(Christmas Bells)◆ 教会の鐘。特別な鳴らし方なのだろう。 p110 休日(Bank Holiday)◆ p123の「休日」も同じ。この人は特別な休日にしか出かけないのだろう。 p114 グレイス・ダーリング(Grace Darling 訳註 難破した船の水夫九人の命を、灯台守のちちと一緒に救った女性)◆ 英国中の話題となった。生没年1815-1842、海難事故1838年 p119 上流の人々(the fine folks) p123 ゴクツブシ… 低級な詐欺師(a sponger and a low swindler) p125 うちのいちばん上等なグラス… 三ペンス(one of my best glasses... threepence)◆ 一番上等でもやっと三ペンス p127 女優の写真(portraits of actresses) p129 晴着(サンデー・クロウズSunday clothes) p130 二人乗りの馬車(a hansom) p131 ニューヨーク・ヘラルド(New York Herald) p132 この電気時代(these electric times) p132 ドルリー・レーン劇場(Drury Lane)◆ 有名な劇場といえば、ここ p133 オランダ麻(brown holland) p133 まるで政治集会のように、だれかが《彼はすてきにいい男》を歌いはじめた(someone starting ‘For He’s a Jolly Good Fellow’ as if it were a political meeting)◆ こういう場面で歌うのね p141 ドニブルック市(いち)に(at Donnybrook Fair 訳註 飲み騒ぎやけんかなどで有名) p141 ドヴォルザークの不気味な悪魔的な楽章(one of Dvorák’s weird diabolical movements)◆ どの曲のことだろうか p142 元栓… ガス(the gas at the meter)◆ 当時の照明はガス灯 p143 アルニカ・チンキ(arnica) p145 治安判事(a magistrate)◆ 専門職ではない。英国では地方の名士がそのポジションに就く。現在でも「ボランティア」と表記されている(ということはほぼ無給なのか)。「判事」は誤解を招く訳語だと思う。 p147 自分の鍵を用いて、掛け金だけかけておいた表口のドアから中に入り(got in with his latchkey through the street-door, which he had left on the latch)◆ この翻訳の「鍵」、掛け金」は「ラッチキー」、「ラッチ錠」と明示しないとわからないだろう。on the latchはWikitionaryに(of a door) Closed but not locked, so that it can be opened by operating the latchとあった。試訳「自分のラッチキーで、ラッチ錠だけかけておいた表口のドアを開け中に入った」 p147 ドアに鍵をかけ、掛け金がかかって(locked the door…being bolted)◆ lockはkeyで開閉、boltは部屋の内側で操作、という含意を明示したいのだが、日本語では難しいかも。試訳「鍵でドアをロックし… ボルトがかかって」 p147 錠前の掛け金をはずし、外に出てドアを閉め(unslipped the bolt of the big lock, closed the door behind him)◆ 翻訳ではbig lockを省いているので非常にわかりにくい。この原文の順番ならp32の私の想像は誤りで、やはりドアの内側でbig lockを操作して、ドアを閉めるとスプリングか何かで自動的にロックされる方式のように感じる。だがどんな錠前なんだろう。Webでいろいろ探したが「コレだ!というのは見つからなかった… 試訳「大錠前のボルトをロック位置に動かし、外に出てドアを閉め」(前半はゴマカし訳文です…) p148 お茶をいただく… 濃く淹れて、砂糖なしで(I like my cup o’ tea. I take it strong, without sugar)◆ 夜の飲茶 p151 りっぱな紳士… [彼は]たかが植字工(a thorough gentleman… only a comp)◆ 植字工はgentlemanではありえないのだろう。 p154 死亡時刻推定(the approximate hour of death) p156 『全英鉄道案内』(“Bradshaw”)◆ 固有名詞好きなのでブラッドショーは残して欲しい。 p158 差し金の入る壺釘(the staple containing the bolt)◆ p25では同じ語が「肘壺」と訳されている。 p158 掛け金は上下に動く式(The bolt... worked perpendicularly) ◆ p36では「差し錠」と訳されている。錠前の翻訳語の統一又は区別がちゃんとしていない。 p160 演芸場に(at the music-halls) p161 金貨で(in gold) p162 宣誓を拒み(refused to take the oath)◆ ああ、当時から法廷であっても聖書に誓わなくて良いんだ… p163 東洋古代の伝説(the old Oriental legend) p167 辻馬車(二一三八号)(the cabman(2138))◆ 馬車にはナンバーが明示されている。 p172 黒帽(black cap) p177 大々陪審(訳註 "民衆の声" "世論"のこと)(The Greater Jury) p177 密教(Esoteric Buddhism) p186 ベイコンやミル(Bacon and Mill)◆ 帰納論理学の理論家として挙げられている p194 暗号文の中から"e"の文字を見つけ出す(detect the letter ‘e’ in a simple cryptogram)◆ ポー『黄金虫』(1843)でポピュラーだったのだろう。ドイル『踊る人形』(1903)はモリスン(マーチン・ヒューイット)の暗号短篇(1896)よりも後。 p199 一方の窓しか掛け金がかかっていなかった(only one window fastened)◆ なるほどね。ここでわざわざこの説明がある、というのは「食い違い」について新聞連載中に投書か何かがあったのか。なお、fastenedという語はもっぱら窓に使っている印象あり(本作品で調べると一箇所だけドアで使用(p36)、後の九箇所は全て窓だった。日本語なら「ドアを閉める」と「窓を締める」の違いか)。 ドン・シーゲル監督のデビュー作The Verdict(1946)[邦題『ビッグ・ボウの殺人』] シドニー・グリーンストリート、ピーター・ローレ出演を日本語版が入手できなかったので怪しいロシア・サイトで観ましたよ。英語で字幕無しなのでセリフの大半は聞き取れなかったのですが、概ね原作に忠実な感じだったので理解に支障なしでした。ヴィクトリア朝ロンドンの再現性は非常に満足。残念ながらインクエストのシーン無し、注目のbig lockやnight latchも全く登場せず。陪審員に部屋のドアの模型が提示されていたのが面白かった。囚人服のbroad arrowにも注目!(変なデザイン…) |
No.18 | 9点 | みりん | 2024/10/20 02:11 |
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まさに青天の霹靂…実にショッキングな出来事であった…私が好きな某推理漫画の中でベストトリックに堂々と認定していたものが、まさか1892年で既に編み出されていたなんて…
ソチラの方では他の方々が指摘しているようなトリック露呈の可能性を著しく低めてはいるものの、ほとんど本作のアイデアの流用であった。少年時代にソチラで味わった時の衝撃を本作の評点に加味して9点とする。心理密室の元祖であることやトリックのシンプルさ・独創性・破壊力を考えても『黄色い部屋の謎』より有名になるべき作品な気がします。いや、もう十分有名なのか?また、トリックだけでなく幕引きも完璧です。 ※こちらも「みんな教えて」の「この密室トリックがすごい ベスト5」にてお二方が挙げていたので読みました。カルチャーショック! |
No.17 | 7点 | クリスティ再読 | 2022/06/08 09:50 |
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このところのクラシック・シリーズの最後は、密室長編の嚆矢で〆よう。
本作の凄いところは、実は年代である。1891年に新聞連載された作品だから、要するに「シャーロック・ホームズの冒険」の連載と同じ時期だったりするのだ。だから「ホームズの影響」がある作品なのか?というのがポイントなんだけども、これが「ない」と見るのが実情なんだと思う。 語り口はチェスタートンをコミカルにした雰囲気。確かにアングロ・カトリシズムをベースにした「マイノリティ文学」のチェスタートンと同様に、ザングウィルのバックグラウンドはユダヤ人ゲットーであり、「イギリス社会のマイノリティ」としての社会批判の切り口がなかなか冴えている。作中の追悼集会(老グラッドストンまで参加!)での労働運動活動家逮捕が暴動になるあたりでも、たとえば1887年のトラファルガー広場での「血の日曜日」事件などが反映しているんだろうね。 とはいえ、筆致は深刻ではなくて、ユーモアを湛えつつも、辛辣な観察が覗くというタイプのもの。「ゲットーのディケンズ」という評価がこの人にはあったようだ。靴直しのクラウルの、愛すべきキャラであっても浅薄な知識を振り回して周囲を辟易させるが、インテリの詩人だけがそれにマウントされちゃう...といった造形のうまさを見れば、ディケンズになぞらえられるのも納得。 ミステリとしては、やはりこれが「探偵競争モノ」だ、というあたりを指摘すべきだと思う。一般的な「長編探偵小説のフォーマット」として1920年代くらいまではこれが存在していたようにも見受けられる。このところ「奇岩城」「黄色い部屋」と取り上げたクラシックがすべて「探偵競争」を軸にプロットが動いているわけだ。この終点がたぶん「ローマ帽子」とか「髑髏城」になるんだろうけどもね。しかし、ホームズは絶対的なヒーローであるからこそ、ドイルには「探偵競争」はありえないわけで、ヒーロー小説としての「ホームズライヴァル」とは別な流れを「探偵競争モノ」に求める観点もあるのではないのだろうか。 密室トリック自体のフィージビリティに疑問を持つ向きがあるのは、当然と言えばそうだが、殺害方法をたとえばアイスピックで延髄を一撃!でも成立する話なので、それに難を付ける必要もないだろう。 「アリバイって、なあに?ビー玉遊び?」 (アリバイの説明...) 「ああ、ずる休みのことか」 今の我々からは「ナイーブ」にしか見えないものも、実は複雑な来歴を備えているものなのである。 |
No.16 | 7点 | makomako | 2021/01/17 09:03 |
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中編というべき比較的短いお話の中のほとんどが、密室の推理にあてられているといってよいでしょう。
100年以上前にこんな密室を考え出したことは誠にすごいことです。十分に楽しめました。 そして私の常ですが、密室のからくりは見破れず、犯人も全く分からずでした。 以下ややネタバレ 密室の回答は二つ示されます。二つ目が正解で、これが錯覚を利用した密室の最初とされるものなのだそうです。 私には初めに示された回答のほうが穴がなくてすっきりしましたね。これも錯覚を利用したといえばそうなのですが、ありうる方法なのではないでしょうか。 最終回答は実は医学的には成り立たなさそうに思えてしまいます。 いくら即死でも出血がほとんどないのはあり得ない。首を切って死に至らせるには動脈を記っての失血死か首の骨の中にある神経ごときっての即死かのいずれかと思いますが、神経ごと切るには剃刀では難しそうだし、剃刀の達人だったとしても相当に勢いよくやらないと無理であろうから、このシチュエーションでは必ずきずかれてしまいそうです。またどんなにやっても心臓が少しの間は動いているのでやっぱり大量に手が飛び散るものと思いますので、やっぱり気付かれるのでは。 ああ。こんなこと言っていないで、古典的作品に敬意を表すべきなのでしょう。 |
No.15 | 6点 | ミステリ初心者 | 2020/12/28 19:38 |
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ネタバレをしています。
長編としては最古の密室(たぶん)という作品だそうで、乱歩も絶賛していたとか。前から読みたかったのですが、なにやら復刻されていたようで購入(笑)。 古典ですが読みづらさはないです。登場人物も適度で、割とすぐに密室殺人が起こります。途中、2回の法廷が挟まれ、簡単に事件の概要を理解できます。 結末はかなり衝撃的…?というか、意外な犯人です。読者の裏をかく工夫がなされており、現代の読者でも退屈しない内容でした。 私は、登場人物の少なさと密室の強固さから、一度はグロドマンを疑いましたが、ドラブダンプ夫人の存在のせいでグロドマンには犯行が不可能と思いました(笑)。 以下、好みではない点。 ・密室物の"どうやって入った、どうやって出た"という魅力はイマイチでした。いわゆる、心理的密室というやつでしょうか。嫌いではないのですが。 ・犯人にとっての密室がアリバイ工作などではなく、他人からみて必須ではない点。最近の密室のような理由が、最初期にあったとは(笑)。むしろ評価点か(笑)。 ・ドラブダンプ夫人の行動は、すべて犯人の思い通りにいくとは思えません。ドラブダンプ夫人がグロドマンを呼ばなければ事件は起こりえないのですが、グロドマンが「呼ばれなかったら殺さなかった」とか言ってます。これを推理するのは難しい。そして、ドラブダンプ夫人の見ている前で殺しが起きてます(笑)。しっかり目撃される危険性だってあったはずです(笑)。結構運に頼ってませんか? ・また例の"世界最古の密室"のネタバレがされてらぁ。 |
No.14 | 7点 | ◇・・ | 2020/03/29 17:14 |
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密室ものとして画期的な作品で、小説としてもキャラクターが楽しい。
何が優れているかというと、トリックに対する手掛かりの与え方や論証の方法が近代的なところ。それに基づいて論理的な推論を行い、解決しているから先駆的で洗練されている。 ただし、饒舌体の文章なんか、ディケンズかと思うくらい古めかしいし、物語としても古臭さを感じる。 |
No.13 | 6点 | レッドキング | 2019/03/03 00:48 |
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「心理的」密室トリックの元祖とのことなので、その世評信じて2点オマケ付き。特許権は大事だから。
※ところで「物理的」密室トリックの元祖って何て小説なんだろう。 |
No.12 | 5点 | 風桜青紫 | 2016/07/06 13:01 |
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ミスリードがうまくて結末はけっこうビックリした。……ぐらいか。本格ミステリの中編として今でも十分楽しめる出来だが、平均8.36点はいくらなんでも高すぎた。 |
No.11 | 10点 | あびびび | 2015/12/06 18:50 |
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久しぶりに歴史的な名作に出会った…という興奮。事件、密室、エンディングと完璧である。自分はそう感じた。特に、エンディングの素晴らしさ。登場人物が少なく、薄々感じる犯人だったが、その独白で自殺せざるを得ないという状況。これは見事としか言いようがない。
久しぶりの10点満点。9点にしようかと思ったが、自分の度量のなさを反省し、急きょ変更。しかし、作者はロシア系ユダヤ人で、ユダヤ関連の作品が有名。ミステリはこの一冊だけだったという事実。これも凄い。 |
No.10 | 9点 | ロマン | 2015/10/20 11:04 |
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19世紀に誕生した密室殺人の起源となる作品。当時の時事問題に関心がないためそれを中心に繰り広げられる人間関係にもあまり乗れなかったが、法廷シーンを経て明らかになるトリックは、まさしく密室の起源に相応しい、今となっては誰でも知っているあのトリック。意外な犯人、意外な動機。How Who Why、すべてそろった見事な作品が19世紀に完成されていたことに驚いた。ミステリとしての驚きを期待すると肩すかしかもしれないが、100年以上の時を経ても圧倒的な輝きを放つ傑作。 |
No.9 | 7点 | 斎藤警部 | 2015/06/22 15:54 |
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このユーモア原理主義は大いに有りでしょう。地の文からしてフィリップ・マーロウの台詞に匹敵する含蓄をいちいち感じます。
例の歴史的密室トリック及びそれと密接に関わる意外な犯人像も、短くも怖ろしく密度の高い物語を経た後に見せ付けられるとあらためましての衝撃。今となっては貴重な歴史証言と言える社会派要素も丁寧に織り込まれ、当時かなりの先取りだったであろうミステリ要素の濃厚な文芸作品として玩味に堪えます。 余談ながら「人種のるつぼ」なる表現は彼の戯曲が発祥と言われているそうですな。 *ところでこの密室トリック、実生活でもけっこう応用効きますね |
No.8 | 8点 | ボナンザ | 2015/02/27 00:40 |
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当然これを今発表されても5点がいいとこでしょう。
しかし、この時代にこれだけの斬新さを持っていたこと、逆に言えば今現在でも標準点は付けられる出来になっていることを考えればこの点数になるでしょう。 |
No.7 | 10点 | nukkam | 2014/08/15 16:52 |
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(ネタバレなしです) ロシア系ユダヤ人とポーランド人の間に生まれた英国のイズレイル・ザングウィル(1864-1926)はジャーナリストやシオニスト(ユダヤ民族主義者)としての活動がキャリアの中心でミステリー作品はわずかに本書と短編1作のみですが書かれた時代を考えると本書は驚異的にハイレベルの作品です。現代ミステリーや黄金時代(第一次世界大戦と第二次世界大戦の間)のミステリーを読み慣れた読者には目新しくないかもしれませんが、本書が発表された1891年当時の読者にとっては衝撃のトリック、衝撃の結末ではないでしょうか。冒頭に作者による序文が付けられていますが、「物語の主要部分でデータは全部出しておかなければならない」と、この時代にフェアプレーを意識していたこともまた革新的です。30年後の作品と言っても通用しそうな先進性が際立っています。 |
No.6 | 7点 | take5 | 2013/09/28 18:56 |
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200ページで密室、ミスディレクション、イギリス労働者階級、人生晩年のひあい、自家中毒…が読めれば高評価です。
ウィットが読むスピードに影響して、現代ミステリーの倍は時間がかかりました(´`:) 何故も、ミステリーのトリックも先人の知恵の上に立つ(建つ)ものですから、敬意を表したら後1~2点足してもいいかなあ。 |
No.5 | 8点 | 蟷螂の斧 | 2013/02/16 22:32 |
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密室(心理的トリック)の元祖とのことで拝読。単純明快さという点で「黄色い部屋の謎」よりも上位に位置付けたいですね。密室の評価よりも、動機と犯人の独白に至る経緯が秀逸であると思いました。犯人にとって、喜劇でもあり悲劇でもあったというところです・・・。 |
No.4 | 7点 | 臣 | 2012/02/23 10:20 |
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うわさに違わぬ凄い作品だった。
ただ、本作には多くの瑕疵があります。 (1)短すぎること、さらに中盤を飛ばして読んでもけっこう楽しめること プロット(というか物語の構成?)があまり上手くないということか? まあ、ミスディレクション重視ということなのでしょうか。 (2)who how why のすべてが揃っていること 動機が理解しがたいことや、(空さんも指摘されている)トリックが読者に悟られにくくするためにきわめて危うくなっていることなど、現代の視点でみれば、もろさがあります。でも、すべてのミステリ要素が絡み合って結果的にうまく仕上がっていることも事実です。 (3)アンフェアそうにみえてそれほどアンフェアではないこと もっともっとアンフェアに仕上げていたら、「アクロイド」「そして」ぐらいの超有名作になったのでは? 以上はもちろん長所でもあるのですがね。 実は上記以外にも多くの欠点があり(たくさんあって挙げきれません)、総合的に判断すれば6点ぐらいが妥当ですが、100年以上も前に書かれた元祖密室トリックの代表作に敬意を表して、この点数です。 |
No.3 | 10点 | おっさん | 2011/12/27 19:41 |
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「その十二月初めの忘れがたい朝、目を覚ますと、ロンドンは凍えるような薄墨色の霧に包まれていた」と始まる、この短めの長編は、1891年(『ストランド』誌にホームズものの読み切り連載がスタートした年)に、夕刊紙 London's evening star newspaper に連載され、翌年、単行本化された、ジャーナリスト作家ザングウィルによる、探偵小説パロディの古典です。
ボウ地区で発生した大事件(ビッグ・ミステリ)――密室殺人の謎解きをめぐって、新聞紙上で侃々諤々の投書バトルが繰り広げられるくだりは、何回読んでも面白い。 犯人は猿だろ・・・いや窓ガラスをこう、はずしてだな・・・じつはドアの陰にパッと隠れて・・・違う、外から磁石で掛け金を・・・(ああ、ネットの書き込みみたいだw)。 事件の真相は、推理ではなく告白形式で開陳されますが、作品の狙いを考えればこれは当然の処理で、ドタバタの果てにその告白を導く段取りが、きちんと出来ています。 メイン・トリックは、密室への心理的なアプローチとして画期的なもの。ただし、具体的なその方法だけを抜き出せば、じつは必然性と蓋然性の低い“密室のための密室”です。 それをカバーしているのが、異様な犯行手段と異様な犯行動機を結合する、“犯人の物語”なのですね。 本書はまた、意外な××トリックの古典でもあるわけですが、筆者としては今回の読み返しで、ガボリオが『ルルージュ事件』で試した犯人視点の採用という手法が、ミスディレクションとしてより積極的に活用されている点に、目が向きました(犯人設定で同一トリックにカテゴライズされる、ポオの前例とは料理法が異なります)。 ただし、場面によって視点を固定化するわけではなく(まだ、そうした近代小説の技法は確立されていない)、作者の恣意で人物の内面を自由に瞥見させる手法なので、厳密なフェア、アンフェアの観点からは、微妙なところではありますが・・・。 いっぽう、風俗描写(被害者がそのリーダー格だったため、当時の労働運動が描かれる)と人物スケッチも味わい深く、時の経過とともに二大トリックの衝撃性は失せても、読み物として再読、三読に耐える、笑える古典としてオススメできます。 探偵小説への皮肉なアプローチという面から、チェーホフの『狩場の悲劇』(1884-85)と合わせて鑑賞するのも一興でしょう。 |
No.2 | 7点 | 空 | 2010/07/24 13:38 |
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密室トリックの一つのパターンを確立したことであまりにも有名な作品。同じ手は後にチェスタトンも使っていますし、高木彬光の長編にも応用例があります。1930年頃でさえすでによく知られていたトリックですので、原理だけを見れば、がっかりする人も当然いるでしょう。
しかし、ただ原型というだけでなく、融通のきく殺人計画はよく考えられていると思います(不自然で危ういトリックの方が読者に悟られにくいから優れているという説には賛成できません)。また、密室トリックを自然に行える犯人の人物設定が、犯人の意外性にもなっていますし、1891年という早い時期なのに叙述トリック的な文章があるなど、さすがに古典として賞賛される作品です。解決の仕方は推理展開を重んじる人には不満でしょうが、皮肉な結末もあることですし、特に年代を考えればこれでいいと思います。 |
No.1 | 9点 | あい | 2008/05/16 22:44 |
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密室殺人を語る上で欠かすことができない作品。発表年数を考えると、密室殺人に正面からぶつかっているし、トリックも密室殺人の新たな分野を築いた作品だと思う。今でこそ色々なアニメや漫画で使われてしまっているので驚きは薄いと思うが・・・ |