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ミステリの祭典

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由良小三郎さんの登録情報
平均点:6.62点 書評数:199件

プロフィール| 書評

No.79 8点 バベル消滅
飛鳥部勝則
(2002/04/22 23:05登録)
自分のスタイルをだそうとされているのか、全体の構成は「殉教カテリナ車輪」と同じ手を使っていて、それはあまり好きではありません。話としてやりきれない所がありますが、好感のもてる人物も登場していて救われる感じです。


No.78 6点 篠婆 骨の街の殺人
山田正紀
(2002/04/21 15:03登録)
最初は文章も軽いのでトラベルミステリの単なるパロディかと思いましたが、連作にするらしくて、次回作のためにか、いろいろ訳のわからない人物が入ってきて、おさまりが悪くなっています。どういう展開になるか期待もたせるのはうまいのですが、単独の作品としては、「こいつは誰でなんでここに登場するんだ。」といいたくなります。


No.77 7点 黒祠の島
小野不由美
(2002/04/20 18:25登録)
残された古い習俗、よそ者の受け入れをこばむ閉鎖的な島というミステリの雰囲気を盛り上げる設定が、時代を現代にもってくると成立させるのは難しいのか後半、普通の田舎の話になります。
古代信仰に対する蘊蓄(京極さん風)がおまけです。探偵と助手のキャラクタはなかなかよいとおもいました。


No.76 7点 人形は遠足で推理する
我孫子武丸
(2002/04/19 22:04登録)
軽い感じの作品も好きなんで、このシリーズは読んでいるのですが、人形シリーズの長編です。たぶんキャラクタのファンになっていないと、いまいちだと思うので、「人形はこたつで推理する」から読まないといけないとおもいます。まあ基本的にユーモア小説みたいなものですから、ミステリとかサスペンスとかで評価されるものではないでしょう。内気な腹話術の天才と小生意気な、人形のやりとりぐらいを楽しむ作品です。


No.75 7点 Rommy
歌野晶午
(2002/04/18 20:39登録)
複雑な構成をつかってROMMYという主人公が非常に魅力的に書いてあって、ひきこまれたわけですが、こんな結末しか用意されてなかったのが、残念という感じです。思わず同じ手のNさんの作品と、どっちがフェアか比較するとまだこっちでしょうが、こっちはシリアスものですんで、もっと別の悲しみを用意してほしかったような気がします。


No.74 8点 スキップ
北村薫
(2002/04/16 22:36登録)
個人的には、北村薫をかなり読むようになったきっかけの「初北村」だったわけですが、いい話ではあるけど、やや学校の推薦図書という感じのやぼったさを感じます。この作品がミステリかどうかは作品の評価とは無関係なんですが、ガチガチの本格ミステリからのはずれる方向も、いろいろあるとおもうのですが、ある方向にずれてミステリと一般小説の境界線上にあると僕が思う作品の1つです。
高校生だった主人公が、目覚めると年をとって高校の先生になっているという設定で、どうしてそんな事になったかというのが、解明されない謎なのですね。
謎の解明よりも、異常な設定の中での心理や行動に物語の主眼を置くこういった物語をミステリの分野にいれるかどうかという議論をして、ミステリとは何かを考えるのにいい例だとおもいます。


No.73 7点 朱色の研究
有栖川有栖
(2002/04/13 15:33登録)
前半は好調で、中盤から後半はやや低調な感じがしました。いろいろおしゃべりはしているけれど、犯人役・犯人候補の性格なんかが、わかるような会話でないような気がしました。だから一応解決したんだけれどもものたりないのです。
余談ですが、このシリーズでの警察の役割というのは、火村探偵におまかせで、何もしないんでいいんだろうかと思います。ややご都合主義・・・。


No.72 8点 殉教カテリナ車輪
飛鳥部勝則
(2002/04/11 21:34登録)
新しく採点対象になった作家なので、さっそく読んでみました。
自作の幻想的な題材の油絵を謎の画家の作品として挿入するというかなり危険な試みも、まあ違和感ないし、地方の美術館の学芸員、中年になってから突然絵に没頭する無名画家とかの人物設定も楽しめました。他の作品もよんでみようとおもいました。
後半、ある意味で普通の(意外な結末のある)ミステリとしてまとめにかかるところで、やや押し付けがましくフェアだと主張しているようなところが、個人的には難です。
鮎川賞受賞作なので、島田さん、有栖川さん、綾辻さんの選評つきというのも、ある意味豪華です。


No.71 8点 天使たちの探偵
原尞
(2002/04/08 23:02登録)
ハードボイルド嫌いな人は、原?を読まないし、ハードボイルド好きには、この短編集はものたりないという不幸な短編集ですが、中途半端な僕には、良質な短編集だと思います。「選ばれる男」が好きです。


No.70 8点 ダレカガナカニイル・・・
井上夢人
(2002/04/07 16:02登録)
超常的な状況に(転生などに)巻き込まれる話は、いろいろな人の作品がある訳ですが、これも話としてはおもしろかったです。不満としては、前世がいやな性格な人間だったはずなのが、案外明るく生まれかわってきたりしているんで、メインの暗い話に違和感があります。別の展開もありえたような気がしました。


No.69 7点 焦茶色のパステル
岡嶋二人
(2002/04/06 15:52登録)
乱歩賞とるために有効といわれている蘊蓄の部分は、サラブレッドの血統についてですが、全般にソツなくまとめて賞とりにいってるという感じです。


No.68 7点 倒錯のロンド
折原一
(2002/04/04 20:55登録)
ひねっているのが、見えてるというのか、この手もあるかなという感じだったり、乱歩賞であそんでみようという感じが、まっこう勝負じゃなくて小説としては少しイヤなんです。


No.67 7点 哲学者の密室
笠井潔
(2002/04/04 20:30登録)
基本的に「楽しめたかどうか」という評価はしにくい教養主義的大作、読了すると達成感は高かったです。哲学をかたるのに、具体的事例としてミステリの登場人物の行動を用いているという感じですか。読了できたことを自慢したくなる作品なので、採点します。


No.66 9点 クラインの壷
岡嶋二人
(2002/03/29 21:30登録)
非常に好きな話です。自分を見失うという結末が、ややありがちな気もしますが、無意識な悪意みたいなものにつきあわされた主人公の気持ちがわかるような気がしました。途中のサスペンスの部分も非常にいいと思います。


No.65 5点 殺意の集う夜
西澤保彦
(2002/03/28 20:16登録)
無理無茶も、思いっきり限界こえると、許されるというパターンでしょうか。つじつま合わせの部分はどうでもいいという感じですが、最後のオチは、まあおまけみたいなものですが、あざとさをかんじます。


No.64 8点 二の悲劇
法月綸太郎
(2002/03/25 20:04登録)
随分前に購入して2人称のプロローグやなにかに、撃退されてしばらく未読にしてあったのですが、法月さんの他の作品でファンになったので、やっとおもしろく読めました。荒井由美の「卒業写真」が引用されるのはそれでもついていけないのですが。

前の作品でちょっとでてくる法月探偵の元同級生の久保寺容子という女性がいい雰囲気で、犀川・萌絵コンビ風になるかと思えば、マネージャのおじさんと、つきあってるらしいことにしてしまうのが法月さんらしいのかもしれません。


No.63 8点 パズル崩壊
法月綸太郎
(2002/03/20 20:11登録)
何が崩壊したのか、法月さんも難しいことになってきてしまったなという感想です。ミステリに素朴でなくならざるを得ない時代の作品といいましょうか、そんなに深刻にならずに気楽にやってほしいものです。作品をつくる作者と、それを冷静に批評している作者が分裂していまっているのでしょうか。密室物(アンチ密室物?)の「黒のマリア」など前半の作品はかなり「あり」ですし、「カットアウト」なんかもいいんですが、僕らのような健全で(何が)素朴なミステリファンのためにもっと書いてほしいものです。


No.62 6点 鏡の殺意
山田正紀
(2002/03/18 20:42登録)
これも比較的平凡な読後感でした。
無意味よりも破滅を求めるというのがキーワードだそうです。正常な感覚の人間が異常に踏み込む感じに飛躍があって、ちょっとついていけませんでした。


No.61 6点 淋しい狩人
宮部みゆき
(2002/03/18 20:26登録)
主人公が下町の古書店の主人の老人とその孫息子という設定ですが人情物もありますが、短編のなかには深刻な犯罪も登場し随分人が死んだりします。殺人事件は、この主人公たちは、さばききれてない感じがします。物足りなさを感じる作品が多いと思いました。孫息子のその後は、関心があるので続編は期待しますが・・・。


No.60 6点 ロシア紅茶の謎
有栖川有栖
(2002/03/16 16:32登録)
こういったスタイルの短編集としては、こんな感じだと思います。短編では、キャラクタの魅力がだすのも大変だと思うし、真面目に探偵小説の要素いれてあるけど、そんなすごいネタが残っている時代でないので、ミステリ作家は大変だと思うわけです。

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