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ミステリの祭典

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黒祠の島

作家 小野不由美
出版日2001年02月
平均点6.05点
書評数20人

No.20 6点 ミステリ初心者
(2023/01/28 13:05登録)
ネタバレをしております。

 ほぼ一つの島の中で物語が完結する推理小説です。クローズドサークルとは異なるかもしれませんが、ある程度の閉鎖空間っぽさが楽しめます。
 現代の時間軸の小説ではありますが、舞台となる島では結構特殊な宗教や因習みたいなものがあり、民俗学ミステリーっぽいです。また主人公に対して排他的な態度をとる島の住民もいるため、雰囲気が異様で良いです。ただ、戦前・戦後を舞台とした民俗学ミステリーよりかはその辺の雰囲気がやや普通?というか、異様さやおどろおどろしい感じは欠けます。現代を舞台とした小説でそれをやるとリアリティがないせいでしょうかね? そのため、前半はやや退屈なページもありました。

 推理小説的要素について。
 まず、麻里と志保が本土の時点で入れ替わっていたという、大きな驚き要素がありました。叙述トリックと呼べるのかどうかはわかりませんが、それに近いような仕掛けでした。
 また、入れ替わりのドンデン返しを考慮した論理的な犯人当てがありました。たいがいの小説は叙述トリックと論理的な犯人当てが両立されていませんが、この作品はそれができていて貴重です。
 私は、麻里と志保の入れ替わりは察することができましたが、そこから犯人を当てることはできませんでした。浅緋の推理はなるほど説得力がありましたが、それは犯人のミスが偶然の不幸も絡んでいるので、読者が推理するには難易度が高いと思います(負け惜しみですがw)。

 総じて、小説の雰囲気がよく、かつ本格度の高い良い推理小説でした。ただ、犯人を当てるには難易度が高すぎると思う点、登場人物紹介がなくアリバイ検証もメモが必須クラスに複雑な点(事件も3~4回は起こっているし)、個人的に序盤が退屈だった点がマイナスでした。
 すごい個人的なことですが、式部と葛木の再開シーンを書いてほしかったのですがw いや、恋人というわけでもないし、ないほうがいいのかな…。葛木についてもう少し描いてほしいですねw

No.19 6点 ぷちレコード
(2021/04/11 23:54登録)
ある論理を貫徹させるために、一つの村と宗教を作り上げてしまうという発想が卓抜だと感じた。特殊でいて借り物でない物語の舞台が、鮮やかな犯人像をくっきりと浮かび上がらせている。びっくりするような驚きはないものの、物語のテーマが静かな熱をもって迫ってくる。

No.18 6点 TON2
(2012/12/28 18:31登録)
NONNOVEL
(ネタバレ)
 明治の国家神道から外れた神を祀る黒祠の島で起こる殺人事件です。島に祀られている神は、悪人に罰をもたらすという言い伝えがあります。
 幼いころの悲惨な記憶から、幼なじみが入れ替わったというトリックは、なかなか面白いと思いました。

No.17 8点 smile66
(2011/06/09 20:00登録)
孤島での民族風習絡みのおどろおどろしい殺人事件というわけで入りは完璧です。
でも、いわゆる「名探偵」でもない「ちょい探偵」ぐらいの主人公視点なので、
かなり右往左往して展開に緊張感がないかもしれません。
あと、初めは恐怖感がありましたが中盤位から全く怖くなくなりました。

でもプロットや舞台背景はよく練られているし、それに付随する伏線も申し分ないと思いました。
推理もあれやこれやと展開して読んでいるだけで楽しかったです。
最後は爽やかに終わるのが好印象でした。

No.16 4点 メルカトル
(2010/07/01 23:59登録)
「獄門島」を意識した訳ではないだろうが、プロットや設定はそれを思わせる。が、そんな魅力的な舞台設定を全く生かしきれていないのは残念である。
確かに小野不由美の作品でなかったら、これ程評価されなかったであろう、まさにイマイチの作品。

No.15 5点 touko
(2010/01/15 23:27登録)
道具立ては派手だし、設定もおどろおどろしいのに、単調で盛り上がりに欠けます。。
トリックは凡庸とはいえ、書きようによってはもっと面白くなりそうなのに、派手な登場人物の沢山出てくるラノベや長編ホラーで名の売れている作家にしては、登場人物の誰も印象に残らないは、まったく怖くもないのでは拍子抜け。

No.14 4点 江守森江
(2009/05/23 18:57登録)
途中まではハラハラしながら読んだが・・・
最後の方の記憶が薄い。
その程度の作品。

No.13 6点 nukkam
(2009/05/11 11:23登録)
(ネタバレなしです) 小野不由美(1960年生まれ)というと「十二国記」シリーズなどのファンタジー小説やホラー小説の書き手のイメージが強く、2001年に発表された本書が本格派推理小説だったのにはかなりの読者が驚いたのではないでしょうか。舞台の特殊性のためか21世紀に書かれたとは思えぬほど古風な雰囲気が漂います(私は横溝正史の「獄門島」(1947年)を連想しました)。前半はシンプルな展開で読みやすいのですが中盤からは名前は会話の中に出てくるけど生身の人間としてはなかなか登場しない人物が増えて頭の整理が大変になるので、登場人物リストを作成することを勧めます。ホラー小説で評価の高い作家だけあってきちんと謎解きをしながらも通常の本格派推理小説の常識を超越した決着の仕方はかなり衝撃的です。

No.12 4点 abc1
(2009/02/03 04:11登録)
主人公が少しずつ事件を知っていくわけですが、展開がのろすぎでダレます。薀蓄は別にいいのですが、島の(というか例の一家の)人間関係の叙述も長すぎる。この長さの半分だったら傑作になっていたかも知れない。

No.11 5点 884
(2004/10/26 16:38登録)
 ミステリ部分は置いておくとして、物語的には不満足感の残るできだと思います。登場人物が無個性で、特に主人公は存在感が希薄です。あとは無力感が残るぐらいでしょうか。
 いいところは最後がハッピーエンドで終わるところですね。少なくとも主人公にとっては。

No.10 10点 パブロピカソ
(2004/08/14 02:00登録)
これはすごい。私の思う本格ミステリそのものだ。ディテールに凝った設定と緻密な筆力で、島のとんでもない狂気と異常心理、そしてあの動機を成り立たせている。そのためには冗長と思われがちな薀蓄がよほど効いてきている。まるで、無駄な一文がないかのようだ。
この作品はそれほどに完璧ではないか。

No.9 6点 バファックス
(2004/07/03 00:02登録)
ヒール型ヒーローの登場シーンがよさげ。
歌舞伎の台本とかにリライトできないか?
歌舞伎、あんまり、見ないけど。

No.8 4点 SD
(2004/03/11 22:56登録)
小野不由美さんの作品は初めて読んだのですが途中少し説明口調なのが多く感じました。ラストもなんだか出来すぎで・・・。

No.7 8点 じゃすう
(2004/02/26 00:45登録)
天才変人系の探偵にはだいぶ食傷していたので、こういう全て探偵視点の地道な話も面白いと思いました。
途中、読むのがおっくうな部分もありましたが、雰囲気やラストのどんでん返し的仕掛けは個人的に好きです。
最後、○○を確認する直前で終わってたら不満が残ったでしょうけど。

No.6 10点 りえ
(2004/01/22 22:35登録)
二回読むと、素晴らしさが分かる!

No.5 8点 梨杏
(2003/08/18 23:54登録)
あまりミステリーを読まないので、専門的なことは分かりませんが、島や文化の描写は私なんかには思いつかない素晴らしいものがあると思います。
確かに、展開も早い段階である程度想像できましたが、この作者が描く一人ひとりの生き様に注目することで、そこから更に自分の想像を広げていけることが可能となるのではないでしょうか。

No.4 4点 クールガイ
(2003/07/25 01:46登録)
小野不由美というネームバリューがなかったら・・・。

No.3 4点 一二三
(2003/07/22 16:46登録)
なんとなく、二人の写真が出てきた時点でなんとなくわかっちゃいました。屍鬼でもそうだったんだけれど、ラストが不満足。この人はミステリよりもホラーやファンタジー向きだと思います。

No.2 6点 寝呆眼子
(2002/08/29 21:20登録)
黄昏た雰囲気は、とっても気に入りました。ただ、すべてをすっきりと解決してくれたようには思えず、今後の期待を込めて、ちょっと辛めの採点です。

No.1 7点 由良小三郎
(2002/04/20 18:25登録)
残された古い習俗、よそ者の受け入れをこばむ閉鎖的な島というミステリの雰囲気を盛り上げる設定が、時代を現代にもってくると成立させるのは難しいのか後半、普通の田舎の話になります。
古代信仰に対する蘊蓄(京極さん風)がおまけです。探偵と助手のキャラクタはなかなかよいとおもいました。

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