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ミステリの祭典

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smile66さんの登録情報
平均点:7.53点 書評数:36件

プロフィール| 書評

No.36 7点 密室蒐集家
大山誠一郎
(2012/10/22 19:08登録)
密室殺人事件が起こると「密室蒐集家」なる人物が現れ密室殺人事件を解いていくという短編集。

5編から成っており、1つの話につき約50ページほど。なのでこれは密室殺人事件が起きて、警察が殺人事件の状況を調べて、それを元に密室蒐集家が超人的に事件を解くだけのガチガチ本格ミステリーである。

なので本格ミステリーに興味がない人は面白くないかも。。。
でも密室殺人というあまりにラジカルな題材をかなりうまく調理しています。短編の中に伏線がもりもり詰め込まれており、解決編での回収の手腕は素晴らしいと思います。

8点あげたいとこだけど、1編ちょっと無理のあるお話があったので-1点です。


No.35 8点 ひよこはなぜ道を渡る
エリザベス・フェラーズ
(2012/06/05 18:47登録)
トビー&ジョージ・シリーズの最終作。

目を引くようなトリックはないが、プロットがよく練り上げられていて、素晴らしい!
なんだか地味な殺人事件から話が出発しますが、新事実が発覚するたびに真相らしきものがどんどんこんがらがっていくので、読んでいて飽きません。

登場人物の誰もが怪しく見えてくる描写力によって、最後の瞬間までハラハラしっぱなしです。

また、トビー&ジョージのなんだか漫才のようなほんわかした絡みがとてもマイルドな味加減にしてくれて最高です。

大胆な伏線、ロジック、そして真相、申し分なしです!


No.34 7点 大鴉の啼く冬
アン・クリーヴス
(2012/04/16 17:39登録)
一人の女生徒の死体が雪に埋もれる形で発見され、そして近くに住んでいた知的障害のある老人に容疑の目が向けられ、
それに伴って過去に起きた少女失踪事件との関連が調査されていく・・・。

全く派手な展開は無し!
しかし、4人の視点での三人称によって描写される、それぞれの内面、密かに考えていることがどんどん露わになっていきます。
そしてそれが狭い島の狭い人間関係の中で妙にぎっとりとしたサスペンスを生み出していて、誰も彼もが怪しく見えてきて、とても読ませてくれる作品でした。

登場人物ほぼ全てがとても人間臭くよく出来ていると感じました。

ただ、最終的に謎を解くのに必要になる決定的な手掛りが手に入る過程がかなり拍子抜けで、その手掛りもっと早くに手に入らなかったんかい!と思いました。


No.33 8点 開かせていただき光栄です
皆川博子
(2012/01/04 22:23登録)
18世紀のロンドンのどす黒い感じにミステリがよく馴染んでいると思う。盲目の判事、解剖医とその取り巻きなど、登場人物のラインナップも素敵である。

ヘヴィな展開と軽妙な展開が織り交ざりとても読みやすかった。

この作品が素晴らしいのはとにかく迫りくる不条理、理不尽がめちゃくちゃ胸糞が悪いということだと思う。思わず「ぶっ殺せ!」と言いたくなるような悪い奴が出てくるが、何よりも当時のロンドンの司法制度の不条理さが読んでいて本当に陰鬱となる。

受難を受ける登場人物が高い能力を持っていながらも、虚栄心のような人間らしい側面を持っていて身近に感じやすいから、より痛々しいと感じるのだと思う。


No.32 4点 紳士と月夜の晒し台
ジョージェット・ヘイヤー
(2012/01/04 21:57登録)
本格ミステリベスト10に載っていたので読んでみたが、私には全然合わなかった・・・

推理プロセスが・・・などという事を全く抜きにしても、全然ダメだった。

私には、この作品の評価されている要因であるはずの「登場人物」というものがまるで合わなかった。容疑者全員が不毛な罪の擦り付けあい、相手のことも気にせず言いたいことを喚き散らす・・・。

もう、なんていうかヒステリックな雰囲気が始終キィキィ音を立てているようで気分が悪かった。

この感じはバークリーの一部の作品でも感じた。この頃のイギリスの作品は合わないのかなぁ。


No.31 8点 キングを探せ
法月綸太郎
(2011/12/11 07:46登録)
トランプを引いて相手を決めた四重殺人。
完璧かと思われた殺人計画が些細なミスで徐々にほつれていく。

法月親子にどんどん情報を解析されていき、
「あれ、犯人捕まっちゃうよ?」となってからの展開が素晴らしい。

300ページという長さで、推理あり、倒述あり、サプライズありでとても満足です。


No.30 8点 ブラッド・ブラザー
ジャック・カーリイ
(2011/10/17 17:02登録)
主人公の兄ジェレミーが精神異常者の施設から脱走し、それと同時にニューヨークで子宮が取り出され、腹に頭部を突っ込まれたその施設の所長の死体が現われる・・・
物語の入り、読者は主人公のカーソン・ライダーと同じく非常に混乱した状態に叩き込まれる。

主人公の兄でありサイコパスの精神異常者ジェレミーの描写がスマートになっていてグッド!

いきなり大声を出したり、お母さんの真似をしたりするってのが今までの描写で、なんていうか、いかにも頭おかしいですよーって感じがあんまり好きじゃなかったんだけど、今作ではかなり理知的で落ち着いていて狡猾な感じになっていて、こっちの方が普通の人間っぽいけど、決定的に何かが欠如している感じがして怖いと思う。

ジェレミーが統合失調のような精神に異常がある人物を観察により見抜き、そしてそれを利用して思い通りに操っていく様が面白い。

展開が目まぐるしく、サスペンスもイイ感じ、伏線も申し分なく、デス・コレクターズに並ぶ出来であると思います。


No.29 7点 百番目の男
ジャック・カーリイ
(2011/10/11 16:15登録)
カーソンライダーシリーズの第一作目
プロットが良く練られていると思うが、まだ若干弱い感じ
首なし死体の陰部に謎の落書き、というミステリアス出だしがいいです

なんとなく先が読めそうな感じだけど、しっかりと裏切ってくれる作家であると思う


No.28 7点 毒蛇の園
ジャック・カーリイ
(2011/10/11 16:11登録)
カーリイの作品はプロットが本当に緻密に良くできている!
ちゃんと謎解き用の手掛かりと書かれていたし、後半の展開はぐいぐい読ませてくれる
翻訳ものがあまり好きではない自分にとっては貴重な作家です

でも、中盤の捜査場面が淡々としていて恐ろしくしんどい


No.27 9点 キマイラの新しい城
殊能将之
(2011/06/28 18:12登録)
素直に面白い小説だ!
殊能将之の作品はあっさりした文章で、比較的誰にでも書けそうに感じちゃうけど、
その後ろでは恐ろしいほどの知識量だったり、綿密な取材によってその舞台背景などががっちりと組まれている。
こんな作品は殊能将之しか書けないんじゃないかな。

ミステリーの部分は賛否両論っぽいが、伏線もしっかりとしていたし、根拠もある程度しっかりしていると感じたので、全然OK。

過去の事件の真相については、あまりに昔の事過ぎてどんな名探偵だって真相をずばり言い当てられないと思います。


No.26 8点 暗闇の中で子供
舞城王太郎
(2011/06/23 15:40登録)
途中であれ?っと思う箇所があり、一応この物語の仕掛けは気づいたつもりです。

うーん、これはミステリーの形を借りた舞城王太郎の「物語論」ではないのかな。
読み終えてとてもじゃないけどなんかすっきりしなくて、そして求めていたミステリーでもなかったけど、面白くなかったかというとそうでもない。でも友達に薦められるかっていうとそれも微妙な感じ。とっても不思議な小説でした。

ただ三郎はまだまし(?)な方として、周りの人間にめっちゃ迷惑かけまくっている奈津川家の面々が兄弟愛や家族愛や恋人との愛とかで勝手に感動しているのは、俺は絶対に許さないぞ。
とか言うのも舞城王太郎にまんまとのせられているのかな。


No.25 7点 煙か土か食い物
舞城王太郎
(2011/06/21 17:16登録)
なんていうかこれは、レストランでハンバーグ頼んだらかつ丼が出てきちゃったみたいな。
頼んだやつじゃなかったけど、おいしかったみたいな。

ミステリとしての要素は味付け程度でしょうか。
舞城王太郎は家族愛について書きたかったんでしょうか。
でも、奈津川家がやばすぎて普通の人はついていけないと思うんですけどどうなんでしょう。彼らのような壮絶な人生を歩んでいる人のことを理解できるとか気安く言いたくはないです。

デビュー作にこんややばい家族が出てくるってことは舞城王太郎の家も相当にやばかったんじゃないかな。


No.24 9点 折れた竜骨
米澤穂信
(2011/06/16 21:35登録)
ミステリーとファンタジーの融合作品。
ソロンの領主を殺した犯人を探るストーリーですが、他にも激しい戦闘の場面などもあり、普通に小説として面白いと思いました。

この世界では魔法が存在するため、ミステリー的にどうなのかと思いましたが、きっちりとしたルール付けがなされることにより、その部分をクリアしており、推理の過程はまんま本格ミステリーです。

私はファンタジー物はほとんど読んだことはありませんが、ミステリーとしてもファンタジーとしても高い完成度であると思います。


No.23 8点 黒祠の島
小野不由美
(2011/06/09 20:00登録)
孤島での民族風習絡みのおどろおどろしい殺人事件というわけで入りは完璧です。
でも、いわゆる「名探偵」でもない「ちょい探偵」ぐらいの主人公視点なので、
かなり右往左往して展開に緊張感がないかもしれません。
あと、初めは恐怖感がありましたが中盤位から全く怖くなくなりました。

でもプロットや舞台背景はよく練られているし、それに付随する伏線も申し分ないと思いました。
推理もあれやこれやと展開して読んでいるだけで楽しかったです。
最後は爽やかに終わるのが好印象でした。


No.22 8点 踊り子の死
ジル・マゴーン
(2011/06/05 23:47登録)
ジル・マゴーンは本当に外さない。
色々な推論が建てられる舞台設定に人物設定、
そして、プロットともう本当に職人技だと思います。

二転三転する推論はお手の物で、最後の解決への推理もキリっとしてて素晴らしい本格ミステリとなっていると思う。

ただ、主人公たちの恋の行方が殺人事件に比べてほんっっとどうでもいいと思ってしまうのは私だけでしょうか。
主人公たちが悩んだりしてる時に物語がひどく停滞する印象がする。
多少の描写ならいいけど、なんかやたらと多く風通しが悪いのでマイナス2点。


No.21 9点 デス・コレクターズ
ジャック・カーリイ
(2011/06/05 23:36登録)
翻訳ものはカタカナが多いので読むのがいちいちつっかかって、あまり好きではないのですが、
訳文がよかったので読むのが楽だった。

フェアな情報開示、キャラクターの掛け合い、犯罪の異常性など盛り上げるものが数多く、本格ミステリとしてもサスペンスとしても読んでいて本当に楽しかった。
異常犯罪者の記念品収集家というデス・コレクターという題材もなかなかすごい切り口だと思います。
また犯罪の妙だったり、伏線の回収の手腕も素晴らしい。

ただ、やっぱりカタカナが多くて読み辛いのでマイナス一点。


No.20 9点 龍の寺の晒し首
小島正樹
(2011/05/21 14:44登録)
悪い部分:
・奇想の描写が大げさすぎるように感じる(ボートを漕ぐ首のない死体とか、空を舞う龍とか)
・それに対してトリックがいまいちこう、抜群に興奮するようなものではないかも。トリックの鮮やかさというか、そこの説得力を強く期待する人にはオススメできないかな。
・フェアでないと受け取れてしまう部分が複数あるように感じる

良い部分:
・文章が軽妙(人物描写がどーのこーのとか悪い部分にあげられるかもしれませんが、この場合は読み易さという点で良しとした)
・悪い部分が全て認めたとしても余りある本格スピリッツを感じた!途中多少の中だるみのように感じるかもしれないが、後半の怒涛の展開は抜群に面白いと感じた。

構成や伏線などが後半で華麗に結びつく手腕は本当に見事なだけに、正直トリックの説得力というか、もう一頑張りでとんでもない作品になってたと思うんだけどなー。私は新品で買って後悔はしませんでした。少し甘めの9点です。


No.19 9点 魍魎の匣
京極夏彦
(2011/03/31 21:29登録)
とんでもない作品。
姑獲鳥の夏に続き恐ろしい作品。

本格ミステリーという属性が逆に足枷になっているような気がする。本格ミステリーを期待して読むとちょっとガッカリしてしまうと思う、情報の後だしとかいっぱいありますし。

マイナスだと思う部分はちょっと余分な描写のようなのが多いかなというところがあります。その他は完璧でっす。

ただ他の誰かが真似しようとして出来るような本では決してない。


No.18 6点 謎解きはディナーのあとで
東川篤哉
(2011/03/04 02:26登録)
キャラクターの会話は楽しめる人には楽しめる。
楽しめない人には楽しめない。という感じ

色々言われそうだけど謎解きは意外にしっかりしていました。
ただ1500円はちょっと高いかな


No.17 8点 フランス白粉の秘密
エラリイ・クイーン
(2011/02/28 00:16登録)
オランダ靴よりかなりこっちの方が好み。
色々な物証が発見されてそれが繋がっていくのはかなり心地いい。
ロジックも素敵です。

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