ブラッド・ブラザー モビール市警殺人課カーソン・ライダー刑事 |
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作家 | ジャック・カーリイ |
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出版日 | 2011年09月 |
平均点 | 7.00点 |
書評数 | 9人 |
No.9 | 4点 | レッドキング | |
(2023/08/12 00:08登録) 第四作目。面白い! 処女作二作目にチョイ出の、魅惑的な殺人鬼サイコお兄さん、ついに主役に。本拠地アラバマからマンハッタンに舞台を移し、女性屍体の下腹部に、切断頭部を埋め込む猟奇殺人を巡る、警察 vs 殺人鬼の虚々実々サスペンス。皮肉なことに、オモシロ度アップに連れて、ミステリ度はダウンするこのシリーズ。ディーヴァー「コフィン・ダンサー」ツイストが決まるが、兄のシリアルキラー汚名の雪辱Happyとは祝福できず、作者のヒヨリと失望せざるを得ない。ので・・減点。 ・・・思えば、レクター博士クラリス捜査官の逃亡エンドは見事だった・・・ |
No.8 | 6点 | メルカトル | |
(2021/07/24 22:50登録) きわめて知的で魅力的な青年ジェレミー。僕の兄にして連続殺人犯。彼が施設を脱走してニューヨークに潜伏、殺人を犯したという。連続する惨殺事件。ジェレミーがひそかに進行させる犯罪計画の真の目的とは?強烈なサスペンスに巧妙な騙しと細密な伏線を仕込んだ才人カーリイの最高傑作。 『BOOK』データベースより。 確かに面白かったですよ。しかし、刑事の兄が連続殺人犯という設定を除けば、ごく普通のサイコサスペンスだと思うんですが。物語を複雑にするのは大変結構な事、むしろ翻訳物は大味という先入観を持っている私にとっては、大歓迎です。ただし、話が色んな方向に分散し過ぎて、諸々説明不足になっている感が否めません。特にホワイの部分がいま一つ納得行かないですね。何故あのような猟奇的な装飾が施されたのかとか、真犯人の心理状態とか、殺害予告の意味など。これ見よがしにあれこれ盛り込めばそれらしく見える、見栄えが良くなると単純に考えた故としか思えません。 誤解を恐れず書けば、この程度のサイコサスペンスであれば、国内、巷に溢れていますよ。本作はカーリイの最高傑作と言われていますが、どうなんだろうなーと首を傾げてしまいます。しかし、一作だけで評価するのはやはり片手落ちだと思いますので、あと何作かは読んでみますけどね。 |
No.7 | 9点 | あびびび | |
(2016/03/07 10:59登録) ジェフリー・ディヴアーの後継者と言われる作風は、サイコパスの不気味さと現実感をよく表現していると思う。ジェフリーなら上下巻になりそうだが、さらっと400ページにまとめ、スピード感を重視したあたり好感が持てる。 次の作品が待ち遠しい作家がまたひとり増えた。 |
No.6 | 7点 | 蟷螂の斧 | |
(2014/03/26 09:11登録) 連続殺人鬼の殺害方法が強烈ですね。映像化は無理かも?。連続殺人犯の兄を持つ弟(刑事)の心理がよく伝わってきました。登場人物の因果関係が明らかにされるのですが、この辺の構築はうまいと思います。サスペンスフルでスピード感もあり一気読みできました。メッセージの翻訳で「わたしに必要なのは重大な・・・」より「わたしに必要なのはシリアス・・・」の方がよかったような気がします。 |
No.5 | 8点 | E-BANKER | |
(2013/05/29 20:40登録) 2008年発表。カーソン・ライダー刑事シリーズの4作目。 「百番目の男」「デス・コレクターズ」「毒蛇の園」ときて、シリーズは更なる盛り上がりを見せているが・・・ ~きわめて知的で魅力的な青年・ジェレミー。僕の兄にして連続殺人犯。ジェレミーが施設を脱走してニューヨークに潜伏、殺人を犯したという。連続する惨殺事件。ジェレミーがひそかに進行させる犯罪計画の真の目的とは何か? 強烈なサスペンスに巧妙な騙しと細密な伏線を仕込んだ才人カーリィーの最高傑作。ラストまで真相は分からない!?~ これは素直に面白い。 特に、事件にジェレミーの関与が明らかになる中盤以降は、まるでギア・チェンジをしたみたいに、物語に加速感がついてくる。 そして、深まる謎、カーソンが恋に落ちたNYの女性刑事が囚われ窮地に陥る、etc そして、謎の中心がジェレミーの過去にあると判明し、浮かび上がるひとりの人物・・・ まさに、最初から最後まで気の抜けない展開が続いているのだ。 好みの問題もあるし、全作を読んだわけではないのでエラそうに言えないが、個人的にはJ.ディーヴァーやM.コナリーよりも「面白さ」は上に思える。 (何より、「長さ」がちょうどいい。文庫版で上下分冊というのは個人的に萎えてしまう・・・) 本作は、いつものアラバマ州モビールではなく、舞台を大都会NYに移している点も魅力のひとつ。 周りに味方がいない状況で、殺人鬼ジェレミーが実の兄だと告白できず悩むカーソンはともかく、NY市警のシェリーとアリス、そしてよきパートナー・ハリー刑事など、登場人物の造形も相変わらずウマイし、読者は事件の渦そして謎にすぐに巻き込まれていける。 敢えて苦言を呈するなら、真犯人ということになるのだろうが、「後出し」といえば「後出し」ではある。 まぁでもねぇ・・・無理やりドンデン返しのために、「まさかあいつが!」という人物を最後にもってくるよりは、こういうプロットの方がしっくりくる(ように思えた)。 まとめるなら、「お勧め」ということになるし、次作の発表が待ち遠しい作家&シリーズ。 評点としては、他作品との兼ね合いでこうなった。 (シリーズ未読の方なら、発表順に読むほうがベター。) |
No.4 | 6点 | touko | |
(2012/07/28 14:33登録) 元々この兄のアナクロなキャラ自体がいまいち機能していないように感じていたので、兄全開はいいのですが、兄のキャラのいきなりの方向転換にはついていけませんでした。 |
No.3 | 8点 | Sputnik | |
(2012/03/03 23:22登録) サイコパスの描写が上手いジャック・カーリィ作品でも、特に力が入っている作品。 中盤からのスピード感は本当に最高でした。 予想外の真相が出てくるという点で、デスコレクターズに及ばないので、採点は8点で。 |
No.2 | 8点 | smile66 | |
(2011/10/17 17:02登録) 主人公の兄ジェレミーが精神異常者の施設から脱走し、それと同時にニューヨークで子宮が取り出され、腹に頭部を突っ込まれたその施設の所長の死体が現われる・・・ 物語の入り、読者は主人公のカーソン・ライダーと同じく非常に混乱した状態に叩き込まれる。 主人公の兄でありサイコパスの精神異常者ジェレミーの描写がスマートになっていてグッド! いきなり大声を出したり、お母さんの真似をしたりするってのが今までの描写で、なんていうか、いかにも頭おかしいですよーって感じがあんまり好きじゃなかったんだけど、今作ではかなり理知的で落ち着いていて狡猾な感じになっていて、こっちの方が普通の人間っぽいけど、決定的に何かが欠如している感じがして怖いと思う。 ジェレミーが統合失調のような精神に異常がある人物を観察により見抜き、そしてそれを利用して思い通りに操っていく様が面白い。 展開が目まぐるしく、サスペンスもイイ感じ、伏線も申し分なく、デス・コレクターズに並ぶ出来であると思います。 |
No.1 | 7点 | kanamori | |
(2011/10/06 18:31登録) サイコパスを兄に持つカーソン・ライダー刑事シリーズの4作目。 本書では、いままで登場シーンが少ないのに存在感が尋常でなかった実兄・連続殺人犯ジェレミーが主役。矯正施設から解き放たれ舞台を潜伏先のニューヨークに移し、連続して発生する惨殺事件を巡っての兄弟の知的対決が一番の読みどころでしょう。ジェレミーの他人を思いのまま操るテクニックや、カーソンにヒントを与える手法など、レクター博士とダブって見えてきた。 「すべては驚愕の真相のために」と題した解説の冒頭に、ジェフリー・ディーヴァーとマイクル・コナリーの代表作からの引用があるのだけど、確かに騙しの巧妙さは二人と比べても遜色ないように思える。 |