Tetchyさんの登録情報 | |
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平均点:6.73点 | 書評数:1631件 |
No.211 | 6点 | 屍蝶の沼 司凍季 |
(2008/04/02 15:04登録) 今まで読んだ司作品の中で、ベストの1冊。 文体も今までの作品に比べていい。 今まで推理ゲームのコマのように書かれていた登場人物もそれぞれにエピソードを含ませて、深みをもたらしている。 ホラーと推理小説の融合を目指したようだが、その試みはクリアしている。 ただ最後の結末は駆け足で過ぎていった。 ページ制限があったんだろうか? なんとも呆気なかった。 勿体無い。 |
No.210 | 2点 | さかさ髑髏は三度唄う 司凍季 |
(2008/04/01 22:52登録) 唄う髑髏、白秋の詩に秘められた暗号といったガジェット。衆人環視の中での毒殺事件という不可能犯罪。 今回も島田荘司氏ばりの幻想味を加えた舞台設定なのだが、全然物足りません。 この司凍季氏ならでは!というケレン味がないんだよね。 物語としてのコクも欲しい。 |
No.209 | 2点 | 蛇遣い座の殺人 司凍季 |
(2008/04/01 00:08登録) オランジュ城館というフランスの城館を舞台にし、見取り図まで付け、しかも冒頭から壁を通り抜けて落下した死体、天を舞う蛇といった島田荘司ばりの奇想から幕開け、その後も白髪の狂った老女の登場、そして城主影平氏の、家電の買い込みと小型トラック1台分の殺虫剤を購入し、庭のあちこちに埋めるといった理解しがたい行動、等々、かなりミステリアスな導入部だったのだが、蓋を開けてみれば、アンフェアのオンパレード。 あんな見取り図で、このトリックが解るはずがない! それ以外にも、なんか物語として面白くないんだな、これは。 題名もほとんど内容と関係ないし。 |
No.208 | 3点 | 首なし人魚伝説殺人事件 司凍季 |
(2008/04/01 00:02登録) 師匠島田荘司ばりの冒頭の幻想的(?)な謎の提示―首の無い死体が首の代わりに置かれていたマネキンからつかの間の瞬間、髑髏に変わる―、論理的解明、さらには犯人の手記で物語が終わるといった構成を取っているが、力量不足だと認めざるを得ない。 薄いのに謎だけはメチャメチャある。 なのに面白くない。 しかも最後は犯人の自白かよ! |
No.207 | 3点 | からくり人形は五度笑う 司凍季 |
(2008/03/29 14:13登録) う~ん、一尺屋遙のキャラクターにはなんだかムリを感じる。 どうにか読者に印象付けようと苦心して作られた、そんな感じが拭えない。 あとトリックも大味だなぁ。 文庫で読んだが、文庫の表紙はなんか全然本編と関係ない。 最近新版が出た『占星術殺人事件』の表紙がこれに非常に似ている。 |
No.206 | 6点 | 冥王の花嫁 奥田哲也 |
(2008/03/28 23:53登録) 切断された首を死体の引き裂かれた腹に収め、しかも周囲の皮膚に縫い合わされているという猟奇死体が発見されるというなんともおどろおどろしい幕開けから始まる本書。 なぜ死体にそのような処理をするのか?の真相について思わず「おおっ」と声を挙げてしまった。 今までの奥田作品の中で最も良かったように思う。 ただレクター博士のようなキャラクターが、あまり活かされてないなぁ。 物語の締め方も唐突だし。 |
No.205 | 3点 | 絵の中の殺人 奥田哲也 |
(2008/03/27 23:35登録) タイトル『絵の中の殺人』は全く以って不適切で、あまり絵は関係ない。 また美術学園という特殊な舞台、主人公が元プロ野球選手といった設定が全く物語に活かされていないのも勿体無い。 う~ん、何を書きたかったんだろう? |
No.204 | 6点 | 三重殺 奥田哲也 |
(2008/03/26 16:03登録) バラバラ死体の被害者は矢萩利幸のものと思われた。 第2の焼死体も矢萩利幸と名乗っていた。 第3の転落した車の運転手も矢萩利幸だった。 矢萩利幸は3度殺された? というのが内容。 こういう本格風味の内容を、ちょっと捻くれたワイズクラックを取り混ぜた文体で語るのはちょっと最初は戸惑ったものの、慣れてくるとなかなか面白かった。 3人というかなり少ない関係者を相手に3度の殺人事件を解き明かすといういっぱしの本格ミステリ作家でも困難を極める設定を肩肘張らず、足取り軽く書いているのが、実は無名の天才なのかとも思った。 でも読後の評価は上のような点数。ふつーに読め、それなりに楽しめるミステリだ。 |
No.203 | 4点 | 霧枯れの街殺人事件 奥田哲也 |
(2008/03/26 01:06登録) 原題『霧の中の殺人』改め、『霧枯れの街殺人事件。 奥田哲也のデビュー作。 4人の刑事が主人公だが、刑事らしくなく、大学のミステリサークルの面々といった気がした。 北海道の久寿里市という架空の街を舞台にしており、肝心のミステリよりも、廃れゆく街の暗鬱感の描写の方に力が入っており、本格風味は薄い。 実際、真相は文中に手掛かりがほとんど提示されないので、読者は推理できない。 元々の題名を知っていたので霧が事件に関与していると思ったのだが、そうでもないし。 至って中途半端な印象。 |
No.202 | 6点 | 魔術師 江戸川乱歩 |
(2008/03/24 23:26登録) 公開処刑に、遊園地を舞台にしたクライマックスシーンと乱歩印てんこ盛りの作品。 しかし、そのあまりの通俗さは読書を選ぶ事だろう。 手放しにお勧めできないのが玉に瑕。 |
No.201 | 10点 | 心理試験 江戸川乱歩 |
(2008/03/23 10:49登録) 初読は小学生の時。 だからこの点数はその時の感動した点数になっている。 ポプラ社の少年探偵団シリーズを読んでいた中の1冊に織り込まれたこの短編。 あのときの衝撃は忘れらない。 これほどまでの苦労をしても犯罪って見破られるのなら、やはり悪い事はしない方が絶対いい!と子供心に刷り込まれてしまった。 今思うと、この短編って子供の情操教育のいいんじゃないか? 今読むと、もはや擦れからっしの読者になっているので色んな粗を探してしまいそうなので、再読はしないでおこう。 やはり想い出は美しいままにしておくのがいいだろうから。 |
No.200 | 5点 | 黄金仮面 江戸川乱歩 |
(2008/03/22 19:32登録) 本典のルパンを読むと、やっぱり乱歩の描くルパンは違和感がある。 怪人二十面相ならば黄金仮面をつけるだろうが、ルパンはそんなものつけないもの。 ルパンシリーズでそんな怪人めいた変装はしないし。 なぜ怪人二十面相にしなかったんだろう? |
No.199 | 7点 | 黒蜥蜴 江戸川乱歩 |
(2008/03/21 17:10登録) 本作は小説で愉しむよりも映像や演劇で愉しむのがいいでしょう。 小説で読むとあまりに通俗すぎてベタな感じがしますが、映像や演劇だと逆にこれがよい演出効果を生み、ドラマチックになるからです。 「黒蜥蜴」のキャラクターも現代に繋がるファム・ファタルのいい原形ですね。 |
No.198 | 10点 | 孤島の鬼 江戸川乱歩 |
(2008/03/20 23:27登録) 乱歩の長編の中では一番好き! 謎めいた導入部、海水浴場での衆人環視の中での殺人、終盤の洞窟の中で繰り広げられる一進一退の攻防などなど、乱歩の通俗趣味がいい方向に出た作品だ。 特にあの姉妹が可哀想で、可哀想で・・・。 |
No.197 | 10点 | そして夜は甦る 原尞 |
(2008/03/18 22:48登録) 意外とみなさんの評価が低いのにビックリ! デビュー作にしてこのクオリティにまず瞠目。 チャンドラーの諸作を読んでいるとところどころニヤリとする演出が散りばめられている事が解ります。 とにかく名文、美文のオンパレード! この良さ、解らない人たちが可哀想。 |
No.196 | 8点 | 二の悲劇 法月綸太郎 |
(2008/03/17 22:33登録) 二人称叙述を使用した試みは買います。 だってかなり難しいもの。 ある意味作者=探偵という構成のシリーズの根底を揺るがす作品。 でも悩んでますね、このときはまだ。 |
No.195 | 9点 | 法月綸太郎の冒険 法月綸太郎 |
(2008/03/16 19:32登録) みなさんあまり好評でない「死刑囚パズル」と「カニバリズム小論」がツボ。 点数のほとんどはこの2編に献上! 沢田穂波・法月綸太郎コンビのビブリオ・ミステリシリーズは、最初のこの2編が圧倒的な熱を持っているのに対し、トーンダウンした感は否めない。 |
No.194 | 5点 | 螺旋館の殺人 折原一 |
(2008/03/15 23:56登録) タイトルとは裏腹にやっぱりこの作家特有の創作叙述トリック物。 確かに作中作として『螺旋館の殺人』が挿入されているが、あまり大した事ないなぁというのが正直な感想。 当時は綾辻作品に傾倒していたので、これで綾辻氏が螺旋館という舞台で超絶トリックを思いついても書けないではないか!と逆恨み的に憤った覚えがあります。 |
No.193 | 6点 | D坂の殺人事件 江戸川乱歩 |
(2008/03/15 00:01登録) こういう作品を読むと、つくづく乱歩は短編作家だと思う。 本当に書きたかった本格探偵小説は短編でしか成しえてなかったようだし。 一連の長編は通俗犯罪小説の域を脱していないし。 |
No.192 | 5点 | ふたたび赤い悪夢 法月綸太郎 |
(2008/02/24 12:43登録) 『頼子のために』が好きだった私はその後遺症が残る探偵法月綸太郎に辟易した。 ずっと悩んでばっかりで、エンタテインメントに徹していない。 作者のセラピーのために書かれたような作品だ。 |