ふたたび赤い悪夢 法月綸太郎シリーズ |
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作家 | 法月綸太郎 |
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出版日 | 1992年04月 |
平均点 | 6.42点 |
書評数 | 24人 |
No.24 | 6点 | パメル | |
(2023/03/15 08:10登録) 「頼子のために」の続編。何度も「頼子のために」の事件が言及されていたりと関連性がかなり強いので、まずは「頼子のために」を読んでからがよいと思います。 西村頼子殺害事件の後遺症に悩む法月綸太郎の元に「月蝕荘」での事件で知り合った女性より電話が入る。彼女はアイドルタレント・畠中有里奈(本名 中山美和子)として活動していたが、ラジオ東京近くの公園で死体が見つかったことを知ると、「私が殺したかのかもしれない」と話すのだった。 本作は、名探偵・法月綸太郎の再生の物語ともいえる。自分の母親が起こしたと思われる過去の事件に傷つき、心を閉ざしていく中山美和子の再生の過程に西村頼子事件で、法月綸太郎は精神的ダメージを引きずっている。それ故か本書は、それほどトリッキーなものにはなっていない。ある程度情報が出そろった時点で、それらを材料に真実らしい推理を組み立てるが、その直後にその推理を打ち砕く新情報がもたらされ、事件は混迷の度合いを深めていくといういパターンを何度も繰り返す。 無理筋のトリックは、このシチュエーションだからこそ成立するかもというようなものだが、本書のポイントはパズラーの部分ではなく名探偵・法月綸太郎の再生の過程が主題なので、あまり気にしない方がよいかも知れない。 |
No.23 | 6点 | 虫暮部 | |
(2019/09/10 16:08登録) 作者は、森山塔(=山本直樹)のエロ漫画を愛読していますがそれが何か? と主張したいのだろう。気持は判る。森博嗣も作中で支持表明していたなぁ。 綸太郎が有里奈襲撃事件のトリックに気付くのは遅過ぎない? これは木偶の坊と呼ばれてもしょうがない。 文庫版解説はエラリー・クイーン作品『十日間の不思議』『九尾の猫』の犯人名をサラッと明かしていて非道。そういう名前やキーワードが意味を持つのは既読の人相手であって、しかし既読だからこそ適当に伏字にしても言いたいことは通じるわけで、結局そのうち読もうと思っている人(私)をがっかりさせるだけなのである。忘れ方を教えて。 |
No.22 | 5点 | ボナンザ | |
(2018/09/16 21:43登録) 頼子のためにのトラウマから復活するまでの一作。 とはいえ無駄に長い感は否めない。 |
No.21 | 5点 | 文生 | |
(2017/11/09 11:01登録) エラリー・クイーンをリスペクトしている作者の名探偵の挫折から復活を描いた作品。「頼子のために」から本作の流れがちょうどクイーンの「10日間の不思議」から「九尾の猫」の流れに当たる。まあ、「頼子のために」自体は ニコラス・ブレイクの「野獣死すべし」のリスペクトだが。 本作は名探偵復活の物語としてはなかなか読ませるのだが、肝心の事件がミステリーとしてあまり魅力的ではないのでどうしても全体の印象としては薄いものになってしまう。 |
No.20 | 5点 | ねここねこ男爵 | |
(2017/11/08 22:02登録) 面白いことは面白いが、他の長編群と比べてだいぶ落ちる。特別な属性を持つ人物が狭い範囲に集中しているなど人間関係が好都合すぎることと、これまでの法月作品と違ってトリックが推理小説的リアリティ(勝手な造語です)に欠けるというか…普通気付かんか?と思ってしまった。あとゴシップ記者超有能。 さらに、三箇所ほどやたら冗長な部分があり、正直かなり苦痛だった。この退屈な中に伏線でも張ってんのかなと思い歯を食いしばって読んだが、そんなこともなかった。アイドル論の下りって要るのか…? 『頼子のために』の後日談プラスアルファですね。 |
No.19 | 5点 | いいちこ | |
(2017/06/16 21:57登録) ご都合主義と評価するまでの悪質性はないものの、人間関係の設定や、登場人物の行動等にかなり無理があり、リアリティが感じられない。 また、ハッピーエンドの到来が、早々に、かつ濃厚に漂っていて、緊迫感に乏しい点でも減点。 悪い作品ではないものの、水準には達していない |
No.18 | 7点 | 青い車 | |
(2016/02/17 23:34登録) 『頼子のために』事件での痛手を引きずる探偵・法月綸太郎が、危機に陥ったアイドル・畠中有里奈こと中山美和子を救うため奮闘。歪んだ家族の悲劇に正面から立ち向かい、ついにわずかな希望の光を見出す。 ファンなら絶対に外してはならない記念碑的なストーリーの大長篇です。この感動的なプロットの緊密さは法月作品随一で、600頁を長さを感じさせず読ませてくれます。作者は失敗作と謙遜していましたが、これがなければ今の探偵・綸太郎はなかったと言っていいでしょう。冷たい推理機械であることに疑問を抱き、悩み、そしてついに古風な名探偵であり続けることを選んだ綸太郎の最重要のステップといえます。 |
No.17 | 8点 | ロマン | |
(2015/10/20 23:33登録) アイドル歌手有里奈を襲った悪夢の一夜。刺されたはずの自分が生きていて、刺した側の男の死体が発見される。ボリューム感たっぷりの本作ですが、次々と新展開が続くため飽きずに読了した。家族のことで自分の殻にこもってしまう有里奈と、前作の事件で探偵としての自分を見失ってしまった綸太郎が、今回の事件を通じて徐々に自分を取り戻していく姿が良かった。二転三転する展開も楽しめた。 |
No.16 | 7点 | 蟷螂の斧 | |
(2012/01/23 11:30登録) 「頼子のために」の続編で、法月綸太郎の苦悩を描いた作品。ミステリーというより、「苦悩」「親子関係」「人間の性」を事件に絡めて描いたような気がします。読みごたえはありました。 |
No.15 | 6点 | マニア | |
(2011/02/02 10:16登録) 生き馬の目を抜く芸能界を舞台に、過去の事件(『雪密室』)で知り合ったアイドルを殺人罪の嫌疑から救うために悩める探偵・法月綸太郎が奮闘する。 前半はスピーディーかつスリリングで楽しめたが、中盤あたりで綸太郎が極度に悩み出す(前作『頼子のために』の傷心による)とペースダウン・・・。肝心のトリックも特に驚くべきものじゃなかったかな。 それでも、物語として非常によく練られているしボリュームもあり、読み応えは十分。結末も珍しくハッピーエンドの範疇に入るもので良かったと思う!最後に葛西隆氏のご冥福を心よりお祈り申し上げます。 |
No.14 | 5点 | simo10 | |
(2010/07/04 22:54登録) 本作は「雪密室」と「頼子のために」の続編的なものとして描かれており、「頼子~」に関しては結構ネタばれされているので未読の方は十分注意されたし。 ミステリ部分としては、謎自体がイマイチ惹かれるものではなかったし、真相も「ふうん」といったところ。 物語としては「誰彼」、「頼子~」、「一の悲劇」に続いて四作続けて複雑過ぎる血縁関係が描かれているため、少々食傷気味ではありました。 とはいえ文庫版で600ページ強と結構なボリュームだったのですが、連作の総決算として、重いテーマながらもぐいぐいと読めました。 珍しく(?)、ようやく救われるオチとなってホッとしました。 (ちなみにクイーンに関連して云々言うのは、私にとっては異次元の話であり、正直さっぱりでした。) |
No.13 | 6点 | makomako | |
(2010/03/05 22:24登録) 全体としてみればよく練られたストーリーで悪くないと思います。今回は結末も救われる話なので読後感は悪くない。しかし作品の最初からぐだぐだと暗い話が続き、作者の根暗と気の滅入り方につき合わされうんざりしてしまう。以前に読んだときはさほど思わなかったが、10年以上たって再読した今回は変に教養があるために余計落ち込む作者に嫌気がさしたことは否めない。このあたりの話を削って長さを3分の2ぐらいにしたらきっとすばらしい本格推理小説となったに違いないのだが。 |
No.12 | 5点 | E | |
(2009/11/27 22:58登録) ちょっと無理がある・・・という部分がトリックの基軸になっているので、納得度が低くなってしまう。 雪密室・頼子のためにを読んでいなかったので法月の苦悩がさっぱり判らない・・・; シリーズ読んでから、この作品を読むべきだったんですねぇ。 でも、前作品からの心理描写多いだろう;読み難いッす。 |
No.11 | 6点 | nukkam | |
(2009/06/04 09:36登録) (ネタバレなしです) 1992年の法月綸太郎シリーズ第5作の本格派推理小説です。文章も展開も巧みですらすらと読めますが悲劇色と緊迫感の強い物語が(講談社文庫版で)600ページに渡って続くので読み疲れる作品でもあります。物語性豊かなのを否定する気は毛頭ありませんがもう少し謎解きの面白さを前面に出してほしかったと贅沢な注文を付けたくなりました。「雪密室」(1989年)と「頼子のために」(1990年)の続編的な内容なので、できればこの2作品を読んでから本書に取りかかることを勧めます。エラリー・クイーンの「九尾の猫」(1949年)を読んでいればなおいいと思います。 |
No.10 | 7点 | こう | |
(2009/02/08 23:50登録) 「頼子のために」を引きずった作品という印象が非常に強いです。「雪密室」の後編の趣きですが先に読んでなくてもネタバレはありませんが少なくとも「頼子のために」はネタバレもありますし読んでない読者には作者の思いが伝わらない作品でしょう。 正直そこまで悩まなくてもいいのになあと思いますしクイーンをそこまで踏襲しなくてもと思います。法月綸太郎探偵のためには必要であろう葛藤の部分は個人的には嫌いですし読者も求めていないと思いますが作者と探偵には必要なプロセスなのでしょう。心の葛藤部分がない方が短くまとまりますし個人的には好きですがそれをひっくるめての作品なのでしょう。 他作品を読んでないと入り込めない作品というのも個人的には好きではありませんが「殺人事件」の内容の方は割と気に入っています。 |
No.9 | 7点 | いけお | |
(2008/11/17 13:07登録) くどいくらいの心理描写が、プロットにほどよいボリューム感を出している。 賛否両論あるだろうが、個人的には夢中になって読めた。 |
No.8 | 5点 | おしょわ | |
(2008/03/12 21:59登録) あんまり腑に落ちません。 無理が目立つ。 |
No.7 | 5点 | Tetchy | |
(2008/02/24 12:43登録) 『頼子のために』が好きだった私はその後遺症が残る探偵法月綸太郎に辟易した。 ずっと悩んでばっかりで、エンタテインメントに徹していない。 作者のセラピーのために書かれたような作品だ。 |
No.6 | 8点 | vivi | |
(2007/06/14 02:41登録) 「頼子のために」の「幕」みたいな作品ですが、 綸太郎探偵の再生が書かれていて、ホッとしました。 トリックは大体読めていましたが、 その後どう解決をつけるんだ!?という興味で、 結構分厚い本ですけど、一気に読みました(^^) |
No.5 | 8点 | 如月雪也 | |
(2005/06/05 08:59登録) おお、なんか皆さんすごいですね。 勉強不足なのでそこまで思いつきませんでしたが、 楽しく読めました。 |